スーパーヒーロー作戦


…闇、漆黒の、闇。

声が聞こえる。

―――さらば。

それは自分の声。

―――さらば。

それは、見も知らぬ誰かの。

―――■■■■■■。

―――■■■■■■■■。

声は一つに。

―――俺の大切な仲間たち…


虚空堕天使ルシファー


銃声、爆音。

闇を光が裂いていく。

「チッ!」

暗闇の巨人が一人、虚空に立っていた。

それは、墜ちた灰の翼を持つ堕天使。

舌打ちをして、白髪の男は巨人へと機体を向ける。

駆るは漆黒の魔王。

「生きていたのか!」

『生きて…いた?』

「いや、違うな。どうして存在している!■■■!」

ゴォン!

巨人は答えるつもりも無く、光(闇)の矢が王を叩いた。

『存在に理由など要らぬ。必要とされれば在る。なければ亡い。それだけに過ぎない』

無機質な声が響いた。

虚空がゆれる。

虚空が揺らめく。

無いはずの疾風が頬を伝う。

「なるほどな、ならば」

男は辛く漏らすと、続けた。

この男の全生命を賭けた言葉を紡いだ。

それは、きっと、己が受け継いだ宿命ゆえに。

「この世界では、俺が貴様を倒す。約束だからな」

言葉は虚空を光のように貫いた。

『倒されてやるわけにはゆかぬ。ならば』

それは、きっと、己が滅びた妄執ゆえに。

『この世界では、私がお前を壊そう。アレを壊したようにな』

言葉は闇のように虚空を塗りつぶした。

それは何を意味するのだろうか。

それには何も答えは出ない。

ここでは・・・・

永遠にその答えが出ることは無い。

ただ、ここでは・・・・・・・

『滅びよ。■■■■の彼方へ』

「…消え去れ!■■■の中へ!」

光と闇が渦巻く。

漆黒と暗闇が交差し、そして。

裁決と神罰の十字砲火の後。

そこには、そこには何も残ってはいなかった…



共通暦100年

全世界を混沌に陥れた「混乱の時代」から、実に四半世紀以上の時が流れた。

都市は発展し、富は人々を潤し、だが世界には平和という名の退廃が満ちていく…

そんな中再び怪獣出現の兆候が世界中に現れ、時を同じくして姿を消したはずの暗黒組織の暗躍が始まった。

これに対し人類は地球防衛軍、国際連合を再編成し、TPC(地球平和連合)を結成。

人類は夢にまで求めていた恒久平和への道を歩みだす…はずだった。

しかし、予想に反して事態は悪化の一途をたどる。

異次元からの侵略者「クライシス帝国」「ダークザイド」の出現といまや日常に溶け込んだ存在となった超能力者ミュータントを狙う「アンノウン」の登場。

世界は再びの混乱におびえながら、つかの間の平和を何とか維持しようと懸命にあえいでいた。

そうした情勢にあって、アンドロイド兵、ロボット兵器を使って世界を支配しようともくろむ大規模テロ組織『ネオバディム』の出現に世界は慄いていた…



―――むくり。

音も立てずに男はベッドから起き上がった。

時間は、深夜。

規則正しい生活を送る彼にとっては珍しいことだった。

「夢、か」

男は一言つぶやくと、ベッドから起き上がる。

室内は殺風景そのもの。

軽量高強度、かつ保温性の高い一般的なハイパーナノカーボンを主とした素材で組まれた集合住宅の一室であるので、確かに素の風景は殺風景だろう。

だが、普通はそうした部屋に観葉植物の一つや二つは置くし、本棚があってもおかしくない。

もしかしたら、動物を飼っている人もいるだろう。

壁が殺風景だと思えば、絵でも壁紙でも飾れば良い。

だが、そこにはそんなものは微塵も無い。

ただ、殺風景を極めるような、無機質な部屋が広がっているだけだ。

「前にもこんなことがあった気がする」

誰に聞かすともなく、男はつぶやいた。

「つ…ゥ」

軽い頭痛。

交差するのは、自分ではない誰かの記憶。

暗い暗い闇の中、自分を見つめる複眼の仮面…

それが、自分のものでないことだけが彼にはわかっていた。

彼の見る夢は幾つもある。

戦いの夢がほとんどだった。

だけれども、それが何を意味するのか、彼にはわからない。

ピィ

部屋に備え付けられた端末が声を上げた。

端末を無造作に立ち上げる。

普段起きない時間に起きたせいか、瞼は重く、体の動きもおぼつかない。

「なんの用だ?」

端末に写ったのは特徴があまりない、ただ優しげな笑みを浮かべた恰幅の良い一人の老人だった。

『やぁクォヴレーさん。いや、ゴードンのほうがよかったですか?』

「こんな時間になんの用だと聞いているんだ、ラッセルさん」

『ああ、それもそうですね。実は頼みたいことがあります』

老人はそういって立ち上がると、映像を切り替えた。

「―――これは…」

『日本の東北地方に現存するとされる未確認遺跡の一つです。ここにネオバディムの実行部隊が向かったとの情報を得ました』

ラッセルの言葉と共に映し出されたのは、巨大なピラミッド。

「どうしてこんなものが今まで発見されなかった?」

『当然の疑問、ですね。しかし、我々もそれはつかんでいません』

「なるほど。それも調べろ、ということか」

ニヤリと笑ったクォヴレーに、ラッセルは笑いかける。

「アールガンを使ってかまいませんか、総裁」

丁寧な言葉でクォヴレーはそう言う。

画面の中の老人は、我が意を得たりという顔で彼を見た。

『許可します。毎度無茶な注文ですが…』

「拾われた恩さ。記憶喪失・・・・の俺を拾ってくれた貴方へのね」

それだけ言って、彼は端末の電源を落としもせずに彼は部屋を出る。

出る寸前に聞こえた、ラッセルの声は…何を言っているのか、聞き取れなかった。



「まさか、お前を使うことになるとはな…」

誰いうともなく、クォヴレーはそうつぶやくと、目の前の機動兵器へのタラップを上る。

機動兵器は黒い塗装がされて入るが、もともとの形は失ってはいない。

今は倒産してしまった古い会社に、マオ=インダストリーという企業があった。

その企業は対怪獣用人型機動兵器の開発生産を主に行っていたのだが、混乱の時代の中期ごろにメインの開発陣が行方不明になる事件と、主生産工場を超獣に破壊される事件が数年の間に立て続けに起き、態勢を立て直す間もなく崩壊している。

その工場跡から見つけられたのが、この機体だった。

「元は…SRX計画の機体と聞いているが、果たして…?」

コンソールに灯がともる。

彼の言葉は戦意に掻き消えていった。

都内某所の秘匿格納庫からすべるようにそれは射出されていった…

そこに何が待つのか、それが何を意味するのかわからぬままに…

北へ…

「虚空からの使者」 終

Next Epsode...「光を継ぐもの」



次回予告
3000万年の時を超えて究極の勇者が蘇った!
「ウルトラマン…ティガ!」
暗黒の世界を照らすために!
「この大異変を救えるものは、ティガの巨人だけ…」
次回「光を継ぐもの」



あとがき
魂とは毛色の違う話を、ということで書き始めてみました。
見ての通り、久保が主人公のお話です。
まぁ、無印&ダイダルのガイアとメタルダー抜き再構成でしょうか。
題名は、坂田火魯志さんの協力を得て上記のように決まりました。
ありがとうございます。

参戦作品は以下!
ウルトラマン
ウルトラセブン
帰ってきたウルトラマン
ウルトラマンエース
ウルトラマンタロウ
ウルトラマンティガ
仮面ライダー
仮面ライダーV3
仮面ライダーBLACK
仮面ライダーBLACK RX
仮面ライダーアギト
宇宙刑事ギャバン
宇宙刑事シャリバン
宇宙刑事シャイダー
人造人間キカイダー
キカイダー01
イナズマン
超光戦士シャンゼリオン
ガメラ-大怪獣空中決戦-
ガメラ2-レギオン襲来-


WEB拍手返信
>Fate/Summon nightはまったく先が予想できない展開でいつも楽しみにし ています。
>続き楽しみにしています。

…申し訳ありません、更新停止です…また帰ってくるから!絶対、絶対です!今はご容赦を!それではまた!!