/アティ・力には技、技には魔法、魔法には力(U)

毒蛇百芸、千変万化。

邪拳使いはその拳を鉄塊として、私の急所を狙い続ける。

いずれ、私が彼の業を見切るか、それとも彼の拳が私を破壊するか。

どちらかまでこの攻防は続く。

しかし、其れに私が付き合う言われはない。

私の間合いは一足一刀に非ず。

私の間合いは、ミドルレンジ。

召喚術にも、格闘戦にも対応できる万能の間合いだ。

「ハッ!」

一瞬の隙、一息吐いて、私は飛ぶ。

間合いは大股5歩といったところ。

瞬時とは行かない距離へと、私は離れる。

「―――ム」

気付いたようだ。

「なるほど、な」

腰のポーチから召喚石を一つ取り出す。

それは、彼の動きを封じる。

「仮面の石像よ!!」

私の叫びに、手の中の召喚石は光を放ち、そして周囲には五つの仮面の石像が聳え立つ。

これはあの時、ライダーを殺そうとした誰かの動きを止めたものと同じもの。

仮面の石像は周囲にいる者の無意識に威圧を与え、動きを封じる呪いを持っている。

これで、近づかれなければ大丈夫、なはず。

もう一つ、召喚石を手に持って、それを彼へと差し出す。

「チェックメイト、です。」

「そうかな?」

そういった瞬間。

まるで、魔法のように。

仮面の間から腕が伸びてきた。

紙一重でそれをかわす。

けれど、それはまるで突き刺し針のように、私の首を掴む。

そうだ、手は本来殴るためではなく、武器を掴み、道具を掴むもの。

「―――が、ぎっ・・・!」

それは、まさしく私の首を掴みつぶす。

指が食い込み、血が、肉がはじける・・・!

「その術は、一度見た。簡単なことだ、その仮面を見なければ事足りる」

―――まさか、この人は、あのときの、ライダーを殺そうとしていた・・・!?

なら、あの時にいたのはキャスターだったのか、そこまで考えて、切り替え。

気道が破壊されてしまう前に、一声だけ・・・!召喚を行うためのただ一言を・・・!

狐火の巫女炎陣符・・・!ぁぁぁぁぁっ!」

後は声にならない。

けれども、手の中の召喚石は赤い光を放って。

光から飛び出した、狐面の巫女は目の前の男に黒炎を当てる。

だが、その時には既に遅く。

確かに、邪拳使いは炎にまみれ、彼は地面に倒れるが。

私もまた、遠く投げ飛ばされていた・・・!


/士郎・力には技、技には魔法、魔法には力(V)

―――熱い―――

―――焼ける―――

―――溶ける―――

イタイ、イタイ、イタイ、イタイ。

コロセ、コロセ、コロセ、コロセ。

脳裏に叫ぶ、呪いの言葉。

それは、いつか聞いたことはなかったろうか。

いや、そんなことはあるはずがない。

だけれども、それはそれに似ていて。

破壊の衝動だけが、俺を支配していた。

「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

誰の叫びだ?俺の叫びだ

敵はどこだ、敵はどこだ、敵はどこだ。

「―――よくやる。もういい」

赤い外套の男が立っている。

誰だか、思い出せない。

だけれど、この男とは戦わなくてはいけないと。

頭の中が燃える。

衝動が、交じり合った壊すだけの衝動が、やがて形となって目前の男への敵意へと変わる。

そういえば、さっきからこの男と打ち合っていたはずだ。

何故?

愚問だ。

この男は敵だ、俺を否定する敵だ。

打ち合うたびに、俺を否定する要素が混じってくる。

怖い、怖い、怖い、怖い怖いコワイコワイコワイ。

この俺を否定するあかいものはなんだ。

―――まず見えたのは、無数の剣に串刺しになって死んでいる、俺。

―――次に見えたのは、裏切られ、堕ち、それでも何かにしがみついている、俺。

―――最後に見えたのは、まごうことなき養父の笑顔。

コワイコワイコワイコワイコワイコワイ―――

手の中のカタマリを振るう。

カタマリと、あかいものが振るうものが触れ合うたびに、何かが流れ込んでくる。

ヤメロヤメロトマレクルナクルナ―――

「どうした、その顔は。どうした、その吐きそうな顔は。どうした、その最低な面は。どうした、オレの最期・・・・・でも見たか」

きこえない、きこえない、きこえない、きこえない

みえている、みえている、みえている、みえている

きこえないのはことば

みえているのはわざ

かれのわざはりゅうれいで

おれのちからはやなぎのように

それはおれのユメのようで

どこか、とてもちがっていて

ただただ、あたまにうかぶはこのことば

―――からだは、つるぎで、できている


/セイバー・破戒すべき全ての符

飛ぶ、一路飛ぶ。

目前の敵を破壊するのだ。

この剣で。

剣閃一風。

ローブを切り裂く。

だが、少し遠い。

瞬時に空間転移を行い、キャスターは光弾を放つ。

だが、無駄だ。

そんなもの効きはしない。

そんなことはお構いなしに、彼女はこちらを攻撃してくる。

魔力で空気を蹴り、飛行の真似事。

剣撃と光弾の応酬をしばし繰り返す。

幾度繰り返したか。

地上では,アーチャーが、アティが苦戦しているというのに。

「クッ!」

空を飛ばれている限り、辛い。

一体、どれだけの魔力を蓄えたのだ、この魔女は。

宝具を開放するか?

いや、それは拙い。

此処で放てば、下の二人を巻き込みかねない。

それは、できない。

苦戦しているのだ、尚更。

斬、とまた一閃。

しかし、当たらず。

「逃げてばかりで、卑怯とは!」

「思わないわね、セイバー!フンっ!」

また、光弾、光条。

また、数度同じ攻防を繰り返す。

そして、変化が訪れた。

また一度、剣閃が空振る。

その瞬間、今まで少なくとも剣の間合いの外に現れていた彼女は。

私のすぐ後ろに、転移した。

そして、告げる。

死神の譜を。

「かかったわね、セイバー・・・・破戒すべきルール―――」

しまった、と思う暇もあらばこそ。

「―――全ての符ブレイカー!」

歪な形の短剣が、私の背に突き刺さっていた。

「―――な」

驚愕。

その短剣が私に刺さった瞬間。

私と、シロウの間の接続が閉じ、そして―――

「―――え?!」

これは、キャスターの声。

令呪以外の何かで。

「「そんな、ばかな!?」」
二つの声が重なる。

そう、接続が閉じ、切れ、そして。

強引に、開かれたのだ。

何者か、に。


つづく



おとがそ

―――そろそろ一つの核心。

最初はお遊びで始めたこれも、いつの間にやら完全シリアスでして。

あははは・・・

結局、hollowネタを入れることになりそうです。

そして、ほのぼの系に途中から変えようと思って意図的にしていた、士郎君の士郎君らしくない言動。

これが、意味を持ってくることになるでしょう。

つうわけで、次回はアーチャー大活躍?

続きます。

後、話半分に聞いていてくれると助かります。



WEB拍手への返答

2月14日分

>再開オメです。これからも頑張ってください。・・・それで、その。いつ頃スクリプト・オン?(出ないから
>更新再開お待ちしております!
待っていてくれた方、申し訳ありません!今後は出来得るだけ矢継ぎ早に更新していきたいと思います・・・!

2月19日分
>今回更新の文章中のタイトル「力には技、技には魔法、魔法には力」ですが
>今回セイバー視点で使われたタイトル「力には技、技には魔法、魔法には力」って
>元ネタはボンボンのナイトガンダム物語のアレでしょうか?
大当たりです。というか、それ以外ありえないぜ。アムロは力も、魔法も、技も中途半端な人だったからその全ての長短が見えていた、ということですね。
後、これを思いついたのは、鬼化バサカ共感シロウ君vsアーチャー、葛木先生vsアティ先生、キャスターvsセイバーなら、こうかな,と思ってw

>柳洞寺が正解です。柳堂寺でも柳桐寺でもありません。
申し訳ありません、素で間違えてました。五話分については今回修正させていただきます・・・
残りも、次回までには・・・















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