/アティ・その重石不覚

桜さんが倒れた。

それを、ライダーが助け起こした。

私には意味がわからない。

「ライダー、これは一体?」

「クッ・・・すいません、最後まで隠していたかったのですが」

こうなっては、仕方がない、と。

表情だけで彼女は訴えた。

「どういうことかは、後でゆっくりと。今は彼女を―――」

そう言って、ライダーに促す。

布団はどこだろう、氷嚢は?

タオルも探さなくちゃならない。

暫し、バタバタとして、そして布団が敷けた。

そこに桜さんを寝かせて、氷嚢を頭に載せる。

ほっと一息をついた。

そこで、ちょっと見回すと。

「あ。ライダーがいない」

さっと霊体化してしまったのだろうか。

少なくとも、あの態度からして、桜さんの知り合いであることは間違いがない。

まぁ、慎二のサーヴァントであったわけだから、顔見知りでも問題はない―――

と思ったけど、なんか嫌な感じがした。

「はて、桜さんの家族構成は―――」

そう考えた時、ガラッと襖が開けられる。

「これは、どういうこと?」

起き抜けの不機嫌と若干の怒りを湛えた凛と、何故か一緒にやってきたキャスターだった。

「あ、ええ。何故か突然倒れてしまって」

私は、良くわからずそう返答した。

「何故なのか、さっぱりなんですけど」

キロリと睨まれた。

ああ、何か怖い!

しかし、そんなこと言ってる場合じゃないです。

桜さんの容態のほうが大事。

「―――何よ、それ」

怒りを込めた、彼女の声。

でも、私は冷静。平静。

きっと、不機嫌顔の魔女さんも。

「落ち着きなさい、お嬢さん」

皮肉気に彼女はそういった。

当然だろう。

確かに、降伏はしてもらった。

でも、また戦うってならないとはいえない。

だって、彼女の望みがわからないから。

「ああ。安心しなさい。宗一郎様と一緒にいられれば、それで私はかまわない」

平然と、彼女はそういった。

いけない、いけない。

表情をばっちり読まれてしまっていたみたいだ。

「ここに来た時も言ったような気がするけど、ふん。このメディアの名前は安くないわよ」

そんなことを、やはり不機嫌に言った。

「なるほど。じゃぁ、ちょっとだけ、手を貸してもらえないでしょうか」

不安だけど、二人共に向けて私は返した。

「―――わかった。この子のことなら、仕方ないわ」

「まぁ、いいでしょう」

不承不承、二人の魔術師はそう答えて、桜さんの枕元に座って、ごそごそと何かをしていた。

私は氷水を代えて、彼女たちには汗を拭いてもらおう。

出来れば、彼女たちのために軽い食事でも作って―――

そこまで考えて、後ろを振り向くと。

彼女たちは、じっと桜さんを見て、怖い顔をしていた―――


「これは・・・!」

「間違いない、と思うわ。ホント、悪趣味ね」

最初は凛、次にキャスターが怒りを込めて言葉を発した。

「魔力が吸われているわ。魔力の精製量は私より上なのに、蓄積量が余りにも少ない。魔力を何かに食われて、それが熱になって出ている。魔力とは即ち、生命力だもの」

そこで言葉を切った。

「この子、魔術師、ね?」

キャスターは凛に向き直って、そう言った。

「ええ、そうよ。間桐の正式な後継者はこの子だもの」

平然と凛はそう答えて。

「あの、一体どうなっているのか、わからないけど」

私にはさっぱりわけがわからなかった。

でも、魔力と言う言葉に反応して、腰のポーチを開けて

「これを飲ませてください!早く!」

緑色の飴玉を取り出して。

それを凛に放っていた。

「―――え?」

「私の世界の、少しだけですけど、それでも常人一人分くらいの魔力が補給できるアイテムです!早く!」

メロンキャンディ。

何でメロンキャディなのかはわからないけど、兎に角魔力を回復させるための物品だ。

戦闘時に使うとなると、一端の召喚師には余りにも回復量が少なく、余り役には立たないのだが、こういうときは役に立つ、と思う。

「まだもう少し持ち合わせがあるんです!さぁ、早く!」

一所懸命に急かすと、凛はそれを噛み砕き。

ビックリした。普通できない。

口移しで、桜さんに飲ませた―――

「ふう・・・」

凛が息を吐く。

すると桜さんも、今までの苦しそうな顔つきから、穏やかな顔に変わった。

一体、何が起きているのだろうか。

それはさっぱりわからなかったけど、兎に角わかったこと。

ライダーは桜さんを知っている。

そして、凛も、私の思ったより桜さんのことを知っている。

ただ、訊くのだけはばかられた。

「驚いたわね。変なものを持っている人ね、貴女」

キャスターの声が耳に響く。

「それにしても、こういう女を食い物にするようなやり方、是認しがたいわ」

彼女が人のこといえた義理じゃないような気がするけど、その思いはぐっとしまって。

ただ、答えた。

「どうするかはともかく、彼女を寝かせましょう。今はそれしか」

氷嚢が溶けている。

凛が言った。

「こういうのは・・・ああ、どうしても頼りたくはないのだけれども」

凛がそう呟く。

それが何かは私にはわからない。

でも、また一つ埋まった。

何かを成す為のピースが埋まったと。

心のどこかが感じていた。


/士郎・ユメ

―――夢を見ていた。

戦いのユメだ。

彼女は、護り手だった。

巻き込まれた戦い。

取り残されたものたち。

閉ざされた箱庭の島。

箱庭を壊して、中の成果を取り出そうとするものたちと彼女は戦っていた。

見捨てられたその島で、彼女は何を求めていたのだろう。

それは虚ろな正義。

みんなを護りたい

自分を犠牲にしても。

それが求まれていると信じて。/望まれていないとわかって。

彼女は、何がしたかったんだろう。

例え、彼女が身を犠牲に護ったとしても。

きっと、みんな悲しむというのに。

―――だけどそのあり方は。/だからそのあり方は―――

美しい/見苦しい

これはユメだ。

さぁ、起きよう。

すべてが白く霞んで、後には現実だけが残る―――


続く



おとがそ
ぱっぱらーぱっぱららー
おっけー、ランサー編なのに、まだ微塵も出ないよね!
これって何の詐欺ですか!?
しゅいません。
多分、長丁場です。
ではまた。

WEB拍手返信
2月23日分
>今後見てみたい対決。「アティVS真の暗殺者」。この物語なら、小次郎がいても可能かと。
・・・出ません。ええ、出ません。多分。真アサはとある理由により、出ません。申し訳ない。
>「なんというか、先生は先生を呼ぶというか。」っとアティは言っていますが、藤ねえも含まれますか?
きっと含まれます。それにはタイガー道場ししょーもフジ軍曹もクイズ鬼も含まれます。・・・アレ?全員同じ人?
>もしも、アティが「ホロウ」のほうに登場していたら、ランサーよろしく釣りですか?
ティーチャーズヘブンですか。彼女なら、きっと、えーと。赤は海に叩きこまれ、金とは一緒に子供の面倒見てそうです。青とは普通に釣果を競ってるだけかと。

嘘(?)タイトル
「Fate/Summon ataraxia 先生と八人のサーヴァント 激突!殺意の波動!!」
冗談かどうかは、本編完結後にわかるという寸法です。



書いてくださると、筆者のペースが速まる可能性があります!