「ああ…あったま痛い…首も痛い…」

翌朝、僕は…見知らぬ町の道に出て、朝の風に当たっていた。

頭がいたいのは二日酔い…首が痛いのは…寝違えたからだ…


超弩級巡洋戦士ウラタンダー!

第三話「ここはいったい何なんだ?」中篇

今度はやくとくん視点です。

陣内君の提案で、僕はよりにもよって、大家さんと同じグループとなって…夫々の宿に向かう事となった。

で、昨日は散々だったわけで……(北の国から風)

いや決して、やましい事は全然していないよ!そうしたら全国のユーザーさんが僕を殺しにくっから!

昨日は泊まった先の家主さんが…ほんと凄いの…酒が…

なんでも、大家さんとは古い付き合いらしくて…性格は正反対だけど、同じく僕くらいの少年好きと来た…迷惑この上なかったが…僕は食われはしなかったが、それと同じくらいの、恐怖と屈辱を味わった。

『酒』である…

そこの家主さんは酒豪…とまでは行かないけど、かなり自堕落な性格で、一升瓶の似合う姉御って感じの人だ。

そう、大家さんが僕を彼女に紹介して……まず言った言葉は何だと思う?

まず、一升瓶を僕の目の前にどーんと置いて……

「飲め!」

と関西弁で言ったのだ……その家の娘さんまで引っ張り出して…宴会のドンちゃん騒ぎ…

でも、お酒は僕は苦手…だってまだ高校生だから、でも寝ようとしてもその人が無理やり起こして酒を勧めるんだよ…、犯されてるのとなんら変わりない。

結局はその人にも気に入られてしまい、ようやく寝込んだのも束の間…大家さんに頭を抱えられ、その家主さんには足をつかまれ、気持ちいいのはいいが…凄い体制だったから寝違えてしまった。

という訳で、二日酔いと寝違えた時の痛みで…あ、今日は動きたくない…

でも空が青いのは、少しいい感じだ……

「あ、こんな所にいた」

ぐわ〜〜〜ん…

後ろから声がして、その声が僕の二日酔いの頭に響いた…

この声は、ここの家主さんの娘さんの神尾観鈴さんだ…神尾さんは笑顔が可愛い系で、髪の短い元気な女の子だが……少し前にイメチェンしたらしい…

でも、神尾さんの元気な挨拶は僕にとって苦痛だった。

「あ…ああ…おはようございます…神尾さん…頭ががんがんする…」

「…二日酔い?頭いたい?」

「うん、水をくれると本当ありがたいんだけど、いいかな…」

「解った、今すぐ持ってくるね……」

そう言って、神尾さんは家の中へと戻って行った…なるべく早くね…

「とも角、今日は無理をしてでもロボットの回収しないと……Y(ヤクト)団員達に連絡だ…」

携帯電話で、この近くに潜伏中のY(ヤクト)団員達に連絡をする、援護頼み終わると。

「ああ、電話を掛けるのもつらい……」

「鮫島さーん」

家から神尾さんが戻ってきた……

「はい、お待たせ」

僕はそれを、見ずに受け取る…四角い箱状の物体、ああ二日酔いに効くあれか!

ストローからそれを押し出すように、喉に流し込んだ。

どろり……

「う!?」

ばたん……

「が、がおぉー、鮫島さんが倒れた…」

素っ頓狂な叫びを上げる神尾さん、何だ…一瞬目の前がブラックアウトしたりホワイトアウトしたぞ…

なにか、どろっとしたものが口に流れてきて…それで…本当すんごくて…なんて破壊力だ。

これって、『どろり濃厚シリーズ、抹茶』…抹茶っておい…

これは、これは使えるぞ!

何とか上体を起こして、僕は神尾さん手を握って…

「神尾さんこれ、まだある?」

「え?気に入ってくれたの?」

気に入ってくれたくれないは別として…

「うん、どこの自販機にもこんな物体置いてないし…」

「それ、ジュースだよ…」

ジュースか?こんな破壊力抜群なジュースが、日本に存在していたのか…日本って侮れないよ。

「うん、このシリーズ観鈴ちんのお気に入り、だからいつも買い置きいっぱいしている」

「いっぱい?他にも抹茶味の他に何か出てるの?」

「うーんオーソドックスな、ピーチ味に…果物ならマンゴーまで出てて…最近の新作は、さばの味噌煮込み味……に、こってりとんこつ味…」

なんちゅう製作会社だ…きっとさばの味噌煮込みのパッケージには、『骨入り』って書いてあるのかも…

「さばの味噌煮込み味…こってりとんこつ味…どれも凄い破壊力を生みそうだ…その新作も抑えてるの?」

「うん、全種類集めてるの、観鈴ちんのコレクション」

案外気が合うかもな、彼女とは……

「じゃあ、僕に譲ってくれない?」

「うん買い置きなら、沢山あるけど」

「全部頂戴!」

彼女の両肩をがしぃっと掴んで、顔が触れ合うくらいまで近づいて彼女に言った。

「が…がお、解った」

面食らったかのように少し半泣きで彼女は了承してくれた。

よしこれでいいサンプルAは所得できたべさ。

これで打倒、極悪メタルに対する兵器が完成するはずだべ。

「あなたもあのジュースに引かれたのね……」

「ええ…何せあの破壊力はすさま…って!大家さん!?」

「やくと君、おはようございます。今日はいい朝ね…」

昨日あれだけ飲んで、二日酔いすらしてないのかこの人は…

「私もあのジュースを飲んだ時は…」

それ以前にあれは飲み物だと言うのが凄いな…

「この世に、私のジャム以上に強力な破壊力を持つ物があるなんて思ってませんでしたから……」

「はぁ…って?大家さん…今なんとおっしゃいました?」

「はい?思ってませんでしたと…」

「いえ、その前に少し…戻って…」

「やくと君が、昨日お酒飲んで裸踊りを…」

「戻りすぎです、それにやってません!」

「ジャム以上に強力な破壊力を…」

それだぁ!この人なら絶対持ってると思った!しかもジャムとなると…

「あの、貰ってもよろしいでしょうか?…これで」

僕がDTPの勉強をかじって作った雑誌、『月間華音学園ビジョン』華音学園で、相沢君、北川君、陣内君の3人の学校生活の写真や色々電々…の

「はわぁ…」

ほーら食いついて、読み始めてる…

「あら?これ…やくと君が居ないわね…」

「え?」

何を言ってるんだろう、大家さんは…

「でも月間だって言うから来月は、やくと君も乗せてくれて…了承」

「は…はぁ…」

編集者を載せる雑誌なんて聞いたこと無いけど…まあ、Y(ヤクト)兵に任せよう

「あきちゃーん、頭いたいねん…なんか作って〜」

家の中から晴子さんの声がして、大家さんは神尾家の中に入って行った。

どうやら晴子さんは重症らしい…

「あきちゃん、何もってん?お?この雑誌そっちの高校のやん…ええなぁ、うちも欲しい」

「やくと君に言えば作ってくれますよ〜」

「あの小僧にか?解った、観鈴んとこの高校編つくってもらお」

…無理だ…

とも角、これで謎のサンプルBは揃った。打倒極悪メタルの兵器に…これだけ凄いサンプルが揃うと我等の地球征服の野望も…

「鮫島さーん持って来たよー」

「あ、ありがとう神尾さん」

神尾さんが謎のサンプルAの買い置きであろう、ダンボール詰めをズルズルと引きずってきた。

「ふぅ…これだけあればいいかな」

「うん、ありがとう…」

ザ!

「え?何?」

僕の前を、何か小さくて素早い何かが通り過ぎる。

「がお?どうしたの?」

「こいつ等…」

僕と神尾さんを取り囲むように、無数の小さな生き物達が現われる…

一見すると、この間雑誌で見た…グレイタイプのエイリアンに似ている。頭の形状に大きな目と小柄な体系。だけど違うのは…グレイタイプは見んな銀か灰色なのに…こいつ等は緑…それに、グレイタイプとは明らかに違うのが…生物的な部分があることだ…

口には長い牙…背中にある無数の棘…

うーん、何だっけどっかで見たような…

「が、がお…変な生き物」

「こいつ等、僕達を獲物だと思ってるみたいだ……」

「え?どうしてかな…」

「……生物学は専門外」

「がお…」

こいつ等、地獄から這い出してきた悪の申し子か…

でも神尾さんが居る以上…ここで武装装着するわけにも行かないし…

「観鈴ちんピンチ」

「僕もピンチ…」

まさにダブルピンチだった。

『けけぇぇーーー!!』

「襲ってきたぁ!」

僕に向かって生き物の一匹が襲い掛かってきた。

「鮫島さん危ない!」

ブン!

神尾さんがとっさに何かをその生き物に投げつけた。

べチョ!

生き物はそれに命中すると、失神して落ちた。

見ると…『どろり濃厚あずき味』と書かれていた…おしるこ?

「あ、ありがとう…助かったよ」

にしても凄い破壊力…これだけは守って帰りたいね。

「がお!また来た!」

仲間をやられ、怒り狂ったほかの仲間達が一斉に僕達に襲い掛かってきた。

チュドーン、ドガーン、バガァーン

そのとき生物郡が、突然爆発する。

「この煙…Y(ヤクト)兵!」

『ヤック!』

Y(ヤクト)団兵が、神尾家の屋根や他の民家の家の上から…爆弾を投げてくれたようだ。

「ありがとう助かった!」

「また変な人たち……」

「違うよ、彼らは僕の味方……神尾さんはそれを持って、家に入るんだ」

「うん、解った…」

そう言って、神尾さんはどろり濃厚の入ったダンボールを引きずりながら家に入って行った。

「首領、化け物どもは海から町に侵入してますぜ…ヤック」

Y(ヤクト)兵の一人が僕にアタッシュケースを渡す。

「うん、解った…悪の申し子を叩きに行くぞ!」

「了解ヤック!」

僕は人気の無いところに一旦入ると…

「武装装着!」

カキーン!

Y(ヤクト)スーツ一式に装着して、俺様はY(ヤクト)兵たちと町に躍り出た。

既に避難命令が出たのだろう、町は人の流れができていた。俺様たちY(ヤクト)団は屋根から屋根に飛び移りながら海に向かった。

海の向こうから、なにやら怪しげな戦闘機の編隊がこっちに向かってくる事がわかる…識別不明…あのわけわからん生物達のか…

「首領!スパークローラー、何時でも動かせますぜヤック」

隣を走ってたY(ヤクト)兵が海に沈んだわが最高傑作の事を言った。

「よし!ビッグアシュタロンと共に起動する!」

「了解ヤック!すぐ本部に起動命令を出すでヤック」

Y(ヤクト)兵はそう言うと屋根を伝って、我等とは違う方向へと去っていった。

「よし!あの悪の申し子達を蹴散らすぞ!」

「ヤック!」

段々と人が少なくなってきて、あの生物群が増えだしてきた。どうやら、避難民を人質に取ろうと言うのか?

「悪の申し子達よ!そうはさせん!Y(ヤクト)27が秘儀の一つ!アツアツ点心丼・火あぶりの舞!」

たいまつ状のY(ヤクト)爆弾を投げつけて、相殺する。

水瀬君や皆は大丈夫だろうか…戦闘に巻き込まれて無ければいいが…

「くそー!この、ちび化け物ども!しつこいぞー!パパ、怒っちゃうからねー?!」

むむ?この声…

「どりゃーーー!アドバルンビーム!」

「むむ、間違いないべ…我が宿敵!極悪メタルなり!物ども!続け!」

俺様は、建物の屋根を伝って…極悪メタルの所まで走る。案の定、極悪メタルが剣と銃であの小さな、生物達の相手をしていた。

チャンス…

「Y(ヤクト)団推参!極悪メタル!覚悟!!」

「げ!出やがった変態黒服集団!」

そして、戦いは…大気丘市の海へと移っていく。

「大激戦の予感だな…」


続く

後書き

どうも、できました。竜さん編ができたときが全てが終わる時だ!

と言う事で、竜さん編に総合後書きを…

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