赤黒いメタリックスーツに身を包む男は、まだ少年の響きを残す声で、つぶやいた。

「・・・敵部隊は既に周辺海域まで・・・集結してるようだな、この分だと。」

どすっ!

刀を地面に突き立てると、無数の爪が生まれる。

「地を這う蜥蜴の爪から、逃れられる者はいない…土団鉄爪!!」

ざんっ!

目の前にいる、黒い獣が数体引き裂かれた。

そう、その男・・・陣内陽介ことウォーハンター陣は、圧倒的な数のギャラクシービーストによって囲まれていた。

海岸線からは、いまだ敵は上陸を続けている。

住宅街、そして商店街の方向に目を向けると、そこでもここと同じように爆炎が舞っていた。

「あいつ等も、そろそろ戦闘態勢に入った・・・か。」

『ぐあああぅっ!!』

一匹のGBが、彼ののど元に喰らいつこうとする!

しかし、彼は、仮面の下の怜悧な面持ちを少しも変えずに、刀を横に持って行き、遠心力をかけて投げつけた。

「ラウンドトリップ!」

ざしゃぁ!!

刀の遠投げが、また数匹のGBを引き裂いた。

「潜水機動部隊を配置しておいて正解だったな・・・」

彼はそうつぶやくと、ブーメランの如く戻ってきた刀を受け取り無形の位に構える。

そう、この町の周辺海域には、高性能のステルス機能を備えた、最新鋭潜水艦隊が控えている。

水中戦の切り札のひとつでもある、潜水機動兵器を多数従え、戦略級ミサイルを装備するその艦隊の司令の名前を、彼は思い出していた。

「確か、蒼藤氷隼・・・といったな・・・どんな人物か・・・」

がすっ!

「正幸」が獣の顔面を砕く。

「自分もロボに乗るそうだが・・・ま、会えばわかるだろう・・・」

ふと、彼は妙なことを思い出した。

「そういえば・・・その司令はゾイドが大好きで、私財を投じて本物作ったって言ってたような・・・とぅっ!!」

ざんざんざんっ!!

刀は、間断なく獣をなぎ払う。

「さて、もうひと暴れするか・・・」

刀が、冷徹な輝きを、湛えている。

今日の「正幸」は、その色を増している。

そう、陽介は感じていた。

「それほどに羽がほしいというなら・・・この仮面、叩き割ってみるがいい!・・・遠慮は要らん・・・!」

仮面の瞳が、闘志を表すかのように輝く・・・

「かかってくるがいい!鉄の血が…無の爪となり切り裂く…鉄血無爪!!」

彼が叫ぶ、赤い爪牙を生み出す業は、黒い獣を薙ぎ裂き・・・

そして、その不気味な血液は、彼の赤黒いスーツを青く染める。

「来ないのならば・・・こちらから行くぞ!!」

群がる獣どもの、数も威勢も吹き消すように、陽介はそう叫んだ・・・



「のわああっ!!ふざけてんのか、こいつらぁ!!」

獣どもは、間違いなく自分を狙っているはずだ。

なのに、なぜ、目の前の子供を・・・

浦谷は、1秒にも満たない時間で、それを考えていた。

「俺の隙が目的か、こらあああっ!!」

ごがしゃああっ!!

子供を襲おうとしていた牙が、頭ごと砕かれる。

浦谷・・・いや、ウラタンダーのこぶしが、それを砕いたのだ。

子供は、あまりの状況に放心したように座り込んでいる。

浦谷が叫んだ。

「早く逃げろ・・・つっても、この数を滅殺しねえと逃げもできんか・・・どちくしょうっ!!」

そのとき、唐突に、彼は手をたたいた。

ポン、と。

まるで、何悩んでたんだろう、俺は、という感じの軽快さで。

・・・

ああ、ナレーターの私には、この男が何かよからぬことを考えてるのが見えてしまう・・・・・・

なぜもくそもなく、この男はこうするだろうということ・・・・

「最初からこうすりゃよかったぜ・・・URAユニット・・・俺らの周りにフィールドを張れ。そして、周囲百mを・・・吹き飛ばしてOK。」

ウラタンダーがそうつぶやいた瞬間。

ちゅどむ。

本当に周りが吹き飛んだ。

戦艦から、直接エネルギーを照射・・・なんて無茶をするのだろう、この男。

「・・・ほれ、早く逃げろ。」

浦谷がそういうと、子供はカクカクと頷き、恐怖におびえた顔で、去っていった。

「よっぽど怖かったんだな・・・うむ良いことをした。さて・・・」

いや待て、あれはお前のせいだと思うぞ・・・

「気にするな。じゃぁ・・・ま、俺も逃げますか・・・って、逃げられる量じゃねえし、住宅街にでも・・・」

ごきっ。

こぶしが、無造作にGBの頭を砕く。

「逃げてみますか・・・はぁ・・・俺の平穏は、何処か・・・」

ナレーターに突っ込みを入れるという、常識はずれをかましつつ、彼は住宅街へ撤退戦を開始した・・・



超弩級巡洋戦士ウラタンダー!

第三話「ここはいったい何なんだ?」後編

注:戦わなければ生き残れない!!



「まぁてぇえ!極悪メタルぅぅぅぅっ!!」

おなじみの二人が、追いかけっこをしている。

「待てといわれて待つ馬鹿がどこに居るんじゃぁぁぁ!!!」

住宅街へ逃げた浦谷だったが、そこには当然のようにY(ヤクト)団がいて、やはり当然のように、戦いは始まり・・・

「ここにいてくれと願う、俺様がいるべっ!!」

そして、今、こうなっている。

浦谷は、首領の無茶な言動に、そのまま、

「むちゃぬかせえええええっ!!!」

と返していた。

ウラタンダーは、Y首領と手下‘Sに追われて、道路を海岸へ向かって駆けていた。

「喰らうべさ、Y(ヤクト)27の秘儀、エレガント祭りっ!!」

どんどんどん!!

バラ型の爆弾が、間断なく爆発するのを、浦谷は感じていた。

「勘弁してくれ・・・俺が、何したっちゅうんじゃ?!」

ともすれば、虚空へ意識が返っていきそうな錯覚を受けながら、ウラタンダーは走っている。

間断なく襲ってくる、GBの攻撃をものともせず、二人は海岸線へ向かってその足を速めていった。

アドバルーンビームが、エレガント祭りが、お互いを攻撃しているにもかかわらず見当違いの方向へ逸れ、GBどもを薙ぎ散らしていく。

その光景を、少し高台で同じくGBどもを鉄血無爪でなぎ倒しつつ、陽介は眺めていた。

「羽が欲しいんだろ?欲しければ…かかって来い!!」

ざざん!ずしゃぁっ!!

また、数体、対魔一神流剣儀の連続攻撃が薙いだ。

「あいつらも、きちんと戦ってるみたいだな・・・よし、邪魔者をさっさと片付けて俺も行くか。とぅっ!」

そういうと、彼は刀を上段に構えると滑るように高台からジャンプした。

「地獄の番犬の爪が、地獄へと誘う…参重殺爪!!」

ガガガガガガ・・・・!!

回避不能の爪が一気に十数体のGBを吹き散らす。

「鉄血無爪っ!!」

地面に降り立つと同時に、再び鉄血無爪が閃く。

「どこからでもかかってくるが良い・・・ギャラクシアン!!」

闘志、天を突く。

そして、彼もまた、二人の向かった海岸の・・・それも、一番敵の数の多い、敵主要上陸地点へ向かった・・・



そこは、まさに敵の巣だった。

「・・・これを倒せと・・・・・・無茶苦茶だぁぁっぁぁぁぁっ!!」

「な・・・なんだべ、この数は・・・しゃあないっ!主要攻撃目標を、こいつらに変更するべさ、戦闘員どもかかれっ!!」

「「「「「ヤック!!!」」」」」

見渡す限り、獣の群れ・・・

首領と戦闘員は、元気に敵に向かっていく・・・

すぐに、獣どもに囲まれ、見えなくなる。

「あ、待ちやがれ!黒服ども!!」

その言葉むなしく、こっちはこっちで完全に囲まれている。

「勘弁してくれ・・・俺、ここ数日で何回この言葉を言った・・・?」

ごしゃっ!

また、一匹こぶしで砕かれる。

「マジで勘弁しろこのやろーーーーーっ!!!」

そのとき、何か、こう、彼の癇に障る声が響いた。

「何、弱音はいてるんだ・・・?ご町内のヒーローさん。」

「何だ、ごら・・・てめえ。」

「そんなこと言ってる場合か?ほら。」

声は、彼の腕に噛み付こうと飛び掛るGBを示していた。

「だっぁっ!ふざけんじゃ・・・ねぇっ!」

ごがっしゃ!

黒い獣は、また一匹頭を砕かれ、虚空へ消えていった。

「てめえ・・・なにもんだよ・・・っ!」

ぐわしゃぐわしゃごげしばすっ!

もう、何かめんどくさいと感じたのだろう、ウラタンダーは周りにいるGBどもを片っ端から殴り始めた。

声にはいらつきが混じる。

「この状況の原因を知ってんのか、そこの誰か!」

さっきと同じ声が聞こえる。

「ああ、知っているとも・・・だが、それはこいつらを残らず倒してからだっ!ハイタイムっ!!」

ずばしゅう!

彼の刀は光のごとき神速で、群がるGBどもを突き上げるように吹き散らした!

もちろん・・・それは・・・

「『正幸』の錆になりたいものは残らずかかって来い・・・!」

ウォーハンターである。

風と刀が、青い血煙をあげ、ようやく彼はウラタンダーの前に姿を現した。

「・・・よう・・・気にくわねえが・・・こいつら張り倒したら、この原因教えろよ!でなきゃ末代までたたってくれる!!!」

「それは御免被りたいな・・・だが!」

ぐさぁっ!

ずぶりと、GBの頭に刺した刀を引き抜くと、彼は、

「とりあえず、必ず教えることだけは約束しよう・・・それまで生き残れればだがな!」

「ああ・・・死にたくねえから、俺は死なねえ!てめえも、それまでは生きてろよ、その後死んでもいいからよ!」

「口の減らないおっさんだ・・・ま、理解できなくも無い。」

がすっ!

刀の一突きは、GBの頭を数体まとめてぶち抜く!

「そっちこそ、生きているんだな・・・それでは、こっちが困る。」

「・・・?とりあえず、俺が死ぬわけねええええええ!!!」

叫ぶと、彼のけり(ヤクザキック)が炸裂し、GBの外反母趾を治療・・・いやいや、GBの足を砕き、次いで放つ回し蹴りは体を両断する。

彼の元気なさまを見て、陣は、

「死んでしまってはいやみも文句も言えないからな!」

というと、「ラウンドトリップ!」と叫び、刀をブーメランのごとく放り投げる。

ざしゃぁぁあぁ!!

陣の刀が、なぎ払う!

ぱしっ

刀が手元に戻る。

そうして、彼は「じゃぁ・・・な。」といって駆け出す。

「スティンガーーーー!!!!」

突撃を意味する、その技の名を叫んで、彼は敵陣に消えていった・・・

「勘弁したれや・・・・・・」

しばらく考えると、彼は結論を下そうと思った。

「はぁ・・・資材も馬鹿にならんし、この海岸ぼこぼこにすると、連中になんぞ言われそうだなぁ・・・」

そういうと、彼は「ま、しゃあないか。」といった。

「最初からこうすればよかったんだけどよ・・・」

かなり鬱々とした声で彼は、「URAましーーーーん!」と叫んだ。

瞬時に、彼の脇には車が転送されてくる。

「もう壊れるのは覚悟の上よ!ひき潰せえええええっ!!」

ごしゃめきぐしゃばきびろーんごりごりずるずるめきぎゅうはぼきめめたぁずきゅーん・・・・・

彼は車に乗ると、ものすごい勢いでアクセルを吹かし、GBどもをとんでもないい擬音つきで引いていった・・・



三時間後

「ぜーっ!はーっ!・・・生きてるか戦闘員・・・」

「や・・・ヤック・・・ヤッ(ガクリ)」

「し、死んじゃだめだべさ、戦闘員A!」

「・・・ようやく・・・終わり、か。」

「・・・俺の車が・・・汚ねえバケモンの血でべとべと・・・そこら辺中凹んでるし・・・わかっては、いたが・・・なんでじゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

海岸にいた、全てのGBは・・・三人(+戦闘員)の手によって壊滅していた。

「オノレ、よくも戦闘員Aを!責任者出てくるべさっ!!」

「確かにそこそこむちゃだとは思っていたさ。でも、やっぱりむかつく!俺のくるまぁぁぁぁぁっ!!」

二人は思い思いの愚痴と文句を虚空へ零し・・・

陣は、冷静に戦況を分析しようとしていた。

(GB隊は全滅・・・なら、次は円盤どもが来るはずだ。しかし・・・)

ちらりと、叫ぶ二人のほうを見る。

(こいつら、なんて自分勝手なんだろう・・・)

あきれ気味に、そう心でつぶやくと、さらに思考を進める。

(このままの戦力では、心もとない・・・しかし、潜水艦隊は切り札だ・・・ここで損耗するような事態を引き起こしてよいものか・・・?)

そして、ウォーハンタースーツのアイ・ディスプレイの時間を読む。

(・・・完全にまずいな・・・非常に不本意ではあるが、こいつらに最後まで協力させるか・・・)

そこまで考えたとき、突然通信音が耳に響いた。

「はい、こちらウォーハンター陣・・・ってうわっ!」

『あのぉ…あたし達の出番は…まだでしょうか…?』

そこから聞こえてきたのは、ほわぁ〜っとした感じの、女性・・・いや、女の子の声だった。

「は・・・はぁ、どちらさまですか・・・?」

『もうっ…潜水艦隊の司令って言ったら、話通じますか?』

面食らった声で、陣がそう帰すと、元気よく「自分は潜水艦隊の司令」だという・・・

「は・・・潜水艦た・・・ええっ!?」

完全に驚きに支配された彼は、そう言った。

「ほ・・・本当に、蒼藤司令官なのですか?」

『その声…あたしの年齢完全に勘違いしてたんですね…まぁ、仕方ないですけど』

その言葉を聞いて、陣は(マジかよ・・・)と、心でつぶやき、次いで、(こんなに若い・・・って言うか、幼かったのか・・・)と冷静なことを思った。

SUPはリベラル・・・というか、リベラルすぎる軍隊である。

高校生が普通に少佐やってるんだから、能力さえあれば、中学生が司令長官やっててもいいよな・・・

彼はそう思い直すと、勤めて冷静に答えた。

「はい、了解しました。何か問題でも発生しましたか?」

『あ、いえ…問題は何もないです。でも・・・』

「でも?」

柔らかい布の感触を持つその声に、一抹の不安が見えた。

ほんの、少し。

そして、その口調を一般の子供の口調から、指揮官のそれに変え、こう言った。

『出番は・・・まだですか?』

「出番・・・ですか。」

『後12〜3分で、敵の編隊が到着するはずです。こちらから先制攻撃するべきではないのでしょうか?』

困ったような、それでも冷静な声音。

陣は、苦笑して、遠慮する旨を以下のよう伝えた。

「はい・・・しかし、その場合、避難民への被害が懸念されます。もう少し、待機していてくれませんか?」

『・・・そういうことなら仕方ないですね・・・わかりました。しかし・・・』

「しかし?」

なにやら、とげとげしい・・・と彼は感じた。

『今回の作戦指揮は、完全にあなたに委ねられています・・・私たちの適切な運用を願います・・・・・・それと。』

「それと?」

『もう少し…女心をわかってくれると…うれしいです…ぐすんっ』

ぷつん。

唐突に、通信は切れた。

最後の言葉に、柔らかながら剣呑な雰囲気を残して。

「司令?司令!」

呼びかけても、返事はない。

どうやら、司令の「女心」というやつの怒りに触れてしまったらしい。

「まったく・・・その辺は肝に銘じてるはずなんだけどなぁ・・・」

佐祐理、そして舞の顔を思い浮かべながら、頭を掻くしぐさをして、彼は少し笑った。

そして、振り向くと・・・

「何じゃこりゃぁあああっ!!」

「責任者っ!出てこおおおおおいっ!!!」

まだ、二人は叫んでいる。

彼は、あきれた連中だ・・・と思い、「おい、貴様ら」と、普段の彼には似つかわしくない、乱暴な表現で二人を呼んだ。

「この後、確実に敵の主力が来る・・・協力しろ。」

そういうと、愛刀に手を伸ばし、構える。

そこに叫ぶのをようやくやめたウラタンダーが「・・・てめえ・・・」と、何かしら言いたいように近づいてきた。
 
「この状況はいったいなんだ!誰が、何の恨みがあって、こんなもん送ってきやがるんだ!!」

ぶわわっ、と涙でも噴出しそうな勢いで、彼はまくし立てる。

ああ、うるさい、というように陣は、

「これから来る連中さ・・・後、10分もしないうちに来るだろう。」

「ほおう・・・こなんだら、責任とってもらえるな?」

挑発的に浦谷がそういうと、陣は勘弁しろという感じの適当さで、

「おい、その台詞・・・なんか危ないし、ホモくさい。やめてくれないか?」

といって、そっぽを向く。

「俺はホモに人権認めてねえんだよ。んじゃ、まあ・・・そいつら張り倒したら、教えろよ!どうしようもねえしなぁ!!」

「わかったよ、おっさん・・・」

「男と男の約束だ・・・破れば、命の取り合いしか残らん。いいな?」

ウラタンダーのその言葉に陣は、「余程荒んだ生活してきたんだな・・・」とつぶやき、その愛刀を構えた。

「くる・・・ぞ、用意しろ。」

「わかったっつの・・・」

二人は、完全に戦闘態勢に入る。

異様な緊張感。

それは、迫り来る敵に向けてか、それとも隣にいる者のためか。

そんな中、ただ一人(?)首領(+戦闘員)は、海に向かって、「責任者でてこぉぉぉぉぉぉぉい!!!」『ヤァァァァァァァァック!!!』と、叫び続けていた・・・・



「ふ・・・まぁ、ギャラクシービースト程度ではあんなものか・・・」

巨大な戦艦の艦橋、そこにその男はいた。

G侵略要塞戦艦「ギャラキュリア」の艦橋。

艦長席・・・と思しき豪奢な椅子に腰掛け、その男・・・魔人皇帝ギュレルは不敵な笑みを浮かべ、そう言った。

「トーラス部隊・・・でどこまでやれるかな?前回の戦では、そこそこだったが・・・さて。」

そう言うと、再び艦橋に闇が落ちる。

(クック・・・仲間だと思っている、Y(ヤクト)団首領が裏切る・・・好いシチュエーションじゃないか・・・)

彼の思考にも、闇と同じ色の黒が混じっていく。

ちょうどそのとき、中央に掲げられた、時計と思える円盤が、ゴーン、という音を立てた・・・



再び、海岸。

ごぉん・・・ごぉん・・・・・・

大陸では、時折イナゴが大発生し、農作物・・・時には人の生にすら大打撃を与える。

そんな、空を埋め尽くすイナゴの群れを思わせる、大量の円盤が、真夏の深青の空を埋め尽くしていた。

「おうおう・・・いやになるほどくるぞ・・・」

ウラタンダーが呻く。

すかさず、陣は、

「文句言うな。俺だって、やる気はしない・・・」

といい、刀に力をこめる。

「は、まぁ・・・な。」

ウラタンダーが息をつき、そして陣は、この期に及んで円盤どもに何ぞ文句を言いつづける首領に、

「いいかげんにしろ、首領・・・そこで叫んでたら、死ぬぞ。」

と、吐息混じりに言った。

その声に気づいたように、彼ははっと顔を陣に向け、「・・・確かに、ここで連中に文句言いつづけてもしゃあないべ・・・よっしゃ、戦闘員ども、あれの起動作業、どのくらい進んでるべさ?」と言い、敵に目を向けた。

「絶対、戦闘員Aの仇は取るッ!覚悟しとくべ!!」

その声は、決意に満ちていたが・・・

なぜ、この男・・・首領は陣に疑問を持たないのだろうか。

「・・・はっ!そう言えば、おまえ誰だべ!でも・・・気にしてる場合じゃないべさあっ!」

ようやく気にしたか、この男は。

そう言うと、「終わったら、インタビューを覚悟するべ、そこの人!」と言って、端末らしき機械をいじり始めた。

疑問を持っても、彼は目の前のことには背を向けない男だった。

それが、どれだけ大事なことか・・・

彼がもしも、ここで陣に食って掛かっていたら、次の瞬間、彼らは吹き飛んでいただろうから。

そう、指揮官機である黄色い円盤が、攻撃を開始したのである。

ぐわあっ!

4門のレーザー砲が火を吹き、目の前が吹き飛ぶ。

ジュウっと音がして、砂浜が解けたガラスの匂いを発した。

「ぃ・・・いきなり何かますかッ?!」

「なっ、何するべ・・・戦闘員Aで飽き足らず、俺様まで狙うとは・・・責任者は正義の名の元に処刑だッ!!」

二人の叫びに呼応するかのように、陣は一言、

「同感だな・・・おまえら、こいつらには情けをかける必要はないぞ・・・さっきのようにな。」

と言う。

「「情けなんぞかけるか」だべさっ!!」

元気良く、いや、かなり機嫌悪くそう言う二人をちらりと見ると、円盤に向けて彼は「そろそろ声くらい聞かせてくれてもいいんじゃないのか・・・ギュレル。」と言った。

『ほお・・・一度顔を合わせたきりだが・・・よく気付いたな、私だと。』

「忘れるものかよ・・・あれは、ウォーハンターとしての最初の戦いだったんだ。」

『光栄の至りだな・・・だが、今回は貴様のデータも十分にある。前回のような戦いができるとは、思うな。』

「ふ・・・貴様こそ、ヒーローの力はデータだけではかれるものではないと言う教訓を学ばなかったようだな。」

不敵な笑みを仮面の下で浮かべ、陣は刀を握り締めた。

「そして・・・「トーラス」・・・その機体の能力もすでに分析が終わっているんだ、そちらこそデータに足を掬われるな?」

『ほざけっ!』

ギュレルの憎しみを込めた、その声をあざ笑うかのように、隅っこで話を聞いていた首領にウラタンダーがつぶやく。

「は、そこの赤黒スーツの言うとおりだ、データに100%頼るやつって、俺の経験では・・・相当の馬鹿だぜ?おまえも覚えとけ。」

「う・・・わ、わかったべ、貴様に言われるのは癪だけど・・・そのくらいなら、次の参考になるべさ・・・覚悟するべ。」

気弱く、そう言う首領だったが・・・

「しまった!敵にアドバイスしてどうすんだ、俺!!」

そりゃそうだ。今回は「敵の敵は味方」理論で味方でも、次は敵なのである。

「やーい、お間抜けー!!」「ヤック、ヤック!」

ここぞとばかりにはやし立てる、首領と戦闘員ども。

お気楽な連中である。

陣は呆れたように、「おまえら・・・いいかげんにしろ。」と言った。

「ま、不本意だが・・・俺の意見はそこの赤いのとほぼ同意見だ。ギュレル、おまえは馬鹿だ。」

『な・・・なんだとぉっ!』

「馬鹿」の部分を必要以上に強調した彼の言葉に、怒り心頭に達した・・・そう、ギャラキュリアの艦橋では、顔を真っ赤にして・・・と言う表現がまさしく当てはまる、ギュレルだった。

「馬鹿だっつったら馬鹿なんだよ、ハゲ。」

ウラタンダーも言い募る。

首領も、「やーい、アホだべさー」と、戦闘員どもと共に囃し立てる。

『おのれおのれぇっ!ふざけおって・・・ッ!指令装置をオンにしろ!そこの無礼なY(ヤクト)団首領に言うこと聞かせるんだぁっ!』

そう、叫ぶと、何かおかしな音がする。

円盤の向こう、つまりギャラキュリアの艦橋からの様だ。

『クックック・・・さあ、我が意のままに操られるが良い、Y(ヤクト)団首領!』

そう言う・・・が。

「は?何言ってんだべ。そこの阿呆は。」

『・・・は?』

「こっちこそ「は?」だべ。俺様に命令できるのは、どくろべえ様だけだべよ?おまえさんみたいな超絶馬鹿の言うことなんて聞くわけないべ?」

首領は平然として、ギュレルを小ばかにする発言を繰り返す。

素っ頓狂な声をあげるのは、ギュレルのほうだった。

「な・・・なんだとぉッ!ふざけおって・・・良いか、そもそもそのどくろべえとやらは我々が送り込んだ・・・」

「そんなこと知らないべさ。ただ、どくろべえ様は俺様の正義を後押ししてくれる尊い存在だべ・・・どこの誰が送り込んできた物だってかまわんべ!」

そう、彼にとってどくろべえは、もうかけがえのない存在になっている・・・

それをそのように言われて、怒らないわけがあるだろうか?

「てめえは、俺様を怒らせた・・・徹底的にやってやるべさ!!」

怒るに決まっている。もう、彼の戦闘準備は万全だ。

手には爆弾、戦闘員たちもおのおの、元自分が所属していた組織から持ってきた武器を手に、マスクを真っ赤にしている。

もはや、ギュレルの思惑なんて、宇宙の彼方の一歩先くらいだ。

そのくらい、首領は怒っていた。

それを見たウラタンダーは、

「何しようとしたかはわかんねえが・・・失敗したみてえだな、ハゲ。ま、所詮おまえは三流も良いとこ、せいぜい五流だな。」

と言うし、陣までもが、

「思惑が外れる・・・か。日ごろの行いが悪いんじゃないか?ギュレル・・・」

と憐憫に満ちた声でそう言う。

『な・・・んだとぉおお・・・着陸のショックで、どこか壊れたらしいなあ・・・もう良い!貴様らまとめて地獄へ送ってやる!!』

怒り心頭を越して、堪忍袋ぶちきれたギュレルはそう言う。だが・・・

ウラタンダーは、全く意にも会せず、

「そうやってすぐぶちぎれるのが五流の証拠よ・・・馬鹿通り越して、ホント憐れだな。」

と馬鹿にする。

『なんだとぉッ!』

「なんだとなんだと五月蝿えよ、ハゲ。さっきから何回言ってんだ?」

「そうだな・・・しばらく見ないうちに、ボキャブラリー減ったんじゃないか?」

『うがああッ!そこの赤いの!見たところ貴様の能力は、ウォーハンターはおろか、その他のスーパーヒーローと比べても劣るぞ!?そんな貴様になんだかんだ言われたくないわッ!!』

もう、天井知らずの怒りは、ついにウラタンダーに向けられた。

しかし・・・

もしも、ここで彼がウラタンダーに怒りを向けなければ・・・

ここで、彼の生涯最大の屈辱的惨敗を喫する・・・と言う事態は避けられたはずなのだ。

だが、もう遅かった。

完全に、その言葉はウラタンダーの怒りのスイッチを押してしまった。

「あんだとぉ・・・てめえ、ハゲの癖に、いちいちうるせえんだよ、このハゲ!!!」

『ふざけるな!誰がハゲだ、この阿呆が!!』

売り言葉に買い言葉。

「俺がハゲだッつったらハゲなんだよ!あー、もう決定。手前は誰がなんと言おうとハゲ!!永遠にハゲのまんまだこん畜生!!」

『何を抜かす!?貴様のようなやつがいるから、われらギャラクシアンの征服事業は進まんのだ!!』

もう、止まらない。

「馬鹿言ってんじゃねえ!人様を力で支配するような屑どもの邪魔してやんのが俺の生きがいだ!!!」

『なら、私は貴様のような邪魔者を消すのが生きがいだ!!』

いや、むしろ止めない。止めないぜ!

「あっそうかい!!なら、貴様から死にやがれ!超弩級糞が!」

『貴様こそ死ね!!』

「誰が死ぬか、手前が死ね!!」

『ガあっ!貴様ぁ・・・その減らぬ口を叩き壊してくれようか!?』

「手前こそ、そのよくしゃべる口をぶち壊してくれるぞ!!」

もう、子供言い争いのレベルだ。

「阿呆ども・・・いい加減にしてくれ。」

「もう、こうなったら止まらんべさ。少しほっとくと何とかなるべさ。」

「経験か?」

「いや、なんとなくだべ。」

「そうか・・・」

陣と首領は、少し遠巻きにその口喧嘩を見つめていた。

首領も、この低レベルさに怒りを少し静めたようだ。

そんな二人を尻目に、依然ウラタンダーたちは口喧嘩を続けていたが・・・

ついに、ギュレルが決定的な言葉を口に出した。

彼の不幸の始まりと言って良い言葉を・・・

『くぁあ・・・もう許さん!そこまで口が利くということは、貴様・・・ほかのスーパーヒーローに匹敵する技を持ってるんだろうな!?』

「ああ?お望みとあらば見せてくれるわ!このうすらトンカチ!!」

『ぎぃ・・・』

ギュレルの歯軋りを聞くと、ウラタンダーは、手で空中に紋様を描く。

「どうなっても知らんぞ・・・?だが、これだけは言える!」

そう言うと、空が・・・青い空が揺れたような気がした。

「この円盤軍を消滅させるくらいの力は、喚べる!!」

『何ぃっ!!』

風が・・・突如、風が吹き始めていた。

少し前までは、夏特有の無風状態であったのに。

「何をはじめるつもりだ・・・ウラタンダー。」

「と・・・とんでもない事する気だべ、極悪メタル!こっちもビッグアシュタロンとスパークローラーを起動させるべ!」

「ヤック!」

「こちらも、「天槍」を呼ぶべきか・・・」

そうした、二人をよそに、ウラタンダーは続ける。

その口から発する言葉は、陣も、首領も知らぬ言葉・・・

彼の故郷の言語だった。

「召喚プログラム起動!エディット開始・・・」

空に、呪字と思しき模様が浮かぶ。

「天の狭間、地の狭間・・・」

風がいっそう強くなる。

「光の狭間、闇の狭間、風の狭間、火の狭間、水の狭間、時の狭間、空の狭間・・・」

ピカッ!!

ゴロゴロゴロ・・・

青いはずの空に、雲もないのに雷光が閃き・・・雷鳴がとどろく。

「数多在る狭間を超えて、われ呼ぶは力なり!」

ごごごごごごごごごご・・・・

空間が軋みを上げている。

「これが・・・うわさに聞く、クルマジックパワー・・・か。」

陣がつぶやき、こうしては居られぬとばかりに叫ぶ。

「ロンギヌウゥウウウスッ!!」

叫ぶとほぼ同時に、海中から飛沫を上げて戦闘機が飛び出し、あっという間に陣をその機内に乗せて・・・

陣は、すでにロンギヌスにブーツが装着されているのに気付く。

「ふ・・・なかなかに気が利くようだ、あの司令殿は。よし!変形バトロイドモード・・・!」

がきぃん!

次の瞬間、青い15m級の巨人は地面に降り立っていた。

「・・・あいつはどうしている!・・・あの力、ダップさんの話では、禁術のはず・・・」

相変わらず、雷鳴はやまず。

トーラスも、その動きを止めて。

ただ、ウラタンダーを凝視しているような、そんな気がした。

「呼ぶ力、ひとつは猛き力を浴びて閃光放つ巨人なり。ひとつは原子の力秘めたる巨人なり。ひとつは重き軽きの理操る巨人なり!」

『己・・・化け物、め!』

ギュレルの声が聞こえる。

もう、それはウラタンダーの耳には届いていない。

ぐにゃり、と空間が捩れる。

「いざ、疾くこの地に出でよ。我が呼びたる、大いなるもの!!」

ミリミリミリぃ・・・

ウラタンダーが、みな知らぬ言葉で叫ぶと・・・

ずっしゃああっ!!!

空間が裂け、三体の巨人が舞い降りた。

そう、その姿は。

首領・・・やくとにとっては馴染み深い。

そう、今回彼が作り出した機体のモデルとなった作品の・・・

まさに、主人公機たちの姿だった・・・

「まさか・・・な・・・ここまでとは。」

「と・・・トンでもないべ・・・」

二人がつぶやく。

そう、そこに現れたのは・・・

ガンダムDX・・・

ジャイアントロボ・・・

大鉄人17・・・

彼らは、この世界でも、その名で呼ばれていた・・・



同時刻 S.U.P.月面恒久要塞

月の北極点にほど近いところに存在する巨大な建造物。

ここは、SUPが誇る、月面要塞である。

かつての侵略・・・

超力戦隊オーレンジャーが戦った「マシン帝国バラノイア」の基地跡に建設された、恒久基地だ。

そこでは、日夜地球の平和と明日の宇宙開発のための研究が行われている。

そこでの日常の会話・・・すぐに崩される、他愛もない会話・・・

そこで話しているのは・・・

「沖さん、聞きたいことがあるんだけど。」

沖と呼ばれた男・・・沖一也は、かつてドグマ帝国、ジンドグマ帝国・・・ふたつの悪の組織と果敢に戦い、勝利を収めた「仮面ライダー」のひとり、スーパー1である。

以降も、ある時はS.U.P.に協力し、またある時はほかのライダーたちと協力して、さまざまな悪と戦ってきた歴戦の勇者だ。

また、彼は惑星開発用改造人間として、志願して改造された。

それが、彼の夢・・・宇宙開発の夢を追うということだった。

夢を追う、そのための努力も欠かさず、民間・国家・超国家を問わず、数々のプロジェクトに参加してきた。

その関係上・・・そして、先日出現を確認された“ある”もの・・・その調査のために、彼はここにいた。

「何ですか、星川司令官。」

そして、彼・・・

星川と呼ばれた、初老の男性は、星川竜という。

彼もまた、20年ほど前、S.U.P.ER・・・スーパー戦隊のひとつ、ジャシンカ帝国と戦った「科学戦隊ダイナマン」のひとり、ダイナブラックだった男だ。

彼は忍者の家系に生まれ、発明家になり、ダイナマンに参加して、以後忍者の伝承に伝わる「良い宇宙人」との交信のために、数々の宇宙開発計画に参加していた。

そして、なぜか今はここの司令官をしている。

「あー、何度言わせるんだい?竜で良いと言ったじゃないか。」

二人は、他愛のない話をしていた。

「しかし・・・」

ここに、あまり人はいない。

敵に真っ先に狙われるのがここ・・・だからだ。

それゆえ、自動兵器と最低限の保守要員、そして研究員たちが駐屯しているだけである。

機動性のない要塞は・・・防御力攻撃力は高められても・・・圧倒的に不利だ。

それを、彼らは熟知していた。

「ま、気にしないけどね・・・ところで。」

「はぁ・・・」

「その・・・君のファイブハンドは・・・取れるって聞いたんだけど。ほら、ポロっと。」

「ええ、そうですが・・・形状記憶合金のアタッチメントなんです。普段はベルトについている装置に収納されてますけど、それが何か。」

「いや、便利だなぁ・・・と。」

「便利って・・・現在の電送技術のほうがよほど優れていますよ。俺が志願したころは、S.U.P.もほとんど技術を公開してませんでしたからね。」

「それは・・・そうだが。」

「それに、こうしないと、整備が大変なんです。あのころもそうでしたが、今でも改造人間の変身、という分野では、悪の組織のほうが技術が上です。本郷さんや風見さんのようには行きませんよ。」

「そうか・・・」

こんな会話でも、彼らアストロノーツにはかけがえのない時間。

だが・・・

ズ・・・ズズズズズ・・・・

そのとき、突如地震と思しき振動が、月面を襲った。

ありえないことである。

中心部まで冷え切ってしまっている、この衛星で、地震・・・

それは、何者かの仕業によるものだけは間違いがなかった。

「行きます!」

「わかった。俺も行こう。」

沖の叫びに答えるように、星川もそう言った。

「え・・・大丈夫ですか?司令官。」

「誰にものを言っているんだい?ブランクは長いが、俺も戦士だ・・・それに、新命さんや、大岩さんに比べたら、まだまだだよ。」

「・・・押忍!」

「じゃぁ・・・行くか、ダイナマン!」

「変身!!」

星川は一瞬で黒い強化服を、そして沖も銀の改造人間の姿に変わった。

「良し、Vジェットを貸してもらえるか?」

「わかりました。俺はブルーバージョンで先行します!」

そして、二人は、震源と思われる、基地付近の北極点へ向かった・・・



「な・・・なんだ、これは・・・」

そこにあったもの。

それは・・・

「巨大な・・・しかも、月面基地に匹敵する建造物だ・・・と?」

その飛行甲板らしき位置に見えるのは、無数の人型機動兵器。

「あれは・・・恐らく、無人兵器・・・ですね。」

「ああ、それも・・・この規模だと、うちと同じく自己生産機能を持ってそうだ。」

「いったい・・・誰が、こんなものを・・・それも一瞬で・・・まさか、ギャラクシアン?!」

そう言うスーパー1にダイナブラックは、「いや、違う。」と言った。

「だってなぁ・・・連中の使うメカのデータもずいぶん集まったが・・・連中は無人兵器を好むものの、ああ言うモビルスーツみたいのは使わないはずさ。だから、違うと思う。」

「では・・・いったい・・・」

その疑問は、数日もしないうちに解かれることとなる。

そう、それは・・・

浦谷がガンダムDXと共に、時空の彼方から呼び出した、マイクロウェーブ発信施設・・・

そして、それの中枢である「D.O.M.E」であったから・・・・・・



「こ・・・ここはどこだ?!パーラは?ゲテモノガンダム兄弟はどこ行ったぁっ!?」

「ガロード・・・怖い・・・」

「ティファ、安心しろ、俺が守ってやる!」

「ここは・・・?!」

「17・・・ここはどこか、わかるかい?」

「・・・(ワカラナイ)」

浦谷の予想通り、召喚した3機の操縦者たちは、混乱していた。

当たり前である。

見知らぬところに、一瞬で放り出された者が混乱しない訳がない。

「どうするつもりだ、ウラタンダー・・・」

ロンギヌスから、陣はウラタンダーに呼びかけている・・・

ウラタンダーはシレっとして、

「ふん・・・こう言う場合は、正直にすべてを話す。そして、その上で協力を仰ぐしかないだろ。」

と言う。

それに陣も、

「それも、そうだな。」

と言うが、続けて、「しかし、その間敵が待っててくれる訳ないだろ?」と疑問を投げかける。

だが、ウラタンダーは「その間は・・・まぁ、俺の戦艦と、おまえと・・・後は黒服集団で持たせてくれ。多分5分くらいだ。」と言って、

「URAユニット、こぉおおいっ!!」

と叫んだ。

「わかった、わかった・・・おっさん、きちんとしてくれよ・・・でなきゃ、事情の説明なんぞ、できやしない。」

「わかってるッツーのッ!URAユニット、バトルフォーメーション、GO!!」

「ロンギヌス・・・頼むぞ・・・」

そして、URAユニットとロンギヌスは、怒り狂い、まだ何事か面妖しい事をのたまい続ける、黄色い円盤へ向かって、進撃をはじめた!



同じころ。

首領は、今回作成した2機の大型兵器。

スパークローラーと、ビッグアシュタロンの目の前にいた。

「ふっふっふ・・・これでもって、あの無礼な馬鹿チンを張り飛ばすべさ。」

そう言って、コントローラーのスイッチに手を伸ばす。

ギュイ、ギュウ・・・ギュン!

「よぉし、オートコントローラーの調子も良好だべ。存分に暴れるべ、スパークローラー!」

そう言うと、ひらりとジャンプして、彼はビッグアシュタロンと呼ばれた・・・趣味の悪い、紫の巨大モビルスーツに搭乗した。

「誰が、趣味悪いべか!?純粋に機能が優れてるからだべ!」

だから、ナレーターに突っ込み入れるなよ(汗

「気にするなぁぁっ!蹴散らしてやるべ、円盤ども!!」

がっきゅうん!

首領の叫びと共に動き出した、二体の巨大ロボは、円盤へと攻撃を開始しようとしていた・・・



上空のロンギヌスのコックピットから、陣は動き出した二体のロボを見下ろす。

「ほう…鮫島も、俺が支給したパーツを…遺憾なく使ったようだな」

二体の完成度は陣をかなり感心させる物だった…これで、あれさえ治れば、今後のいい戦力になるはずだと陣は思った。

あのウラタンダーも、戦闘能力に難点を残すが…潜在能力までは未知数だ、現に禁断の技も使った事だし、もしかしたら化ける可能性は、否定できない。

もしかしたら自分より…

「よし、首領!おっさんが彼らに説明している間、先に先攻するぞ!」

その考えを拭い捨てる様に、陣はロンギヌスの操縦桿を握った。

「言われなくても、そうするべ!!」

ビッグアシュタロンの中から、首領は威勢良く…トリガーを引いた。

「げ、ありゃゲテモノガンダム弟か?!しかも、でかい!」

ガロードが驚くのも無理は無く、その機体はガンダムアシュタロンをそのままでかくした物とは大違い、攻撃力とパワーは本物を凌駕する物だ。

「ただ、この…ビッグアシュタロンにはでかい故に欠点があるべさ…資料によると、これは変形したべ…けど、これはでかい故に変形機構が出来ない事だべ!」

「駄目ジャン…」

本編のより巨大なアトミックシザースを展開させて、その中心から…メガ粒子砲を発射さする。

ズギューン!!

二本のアトミックシザースから放たれたビームが数十体のトーラスを蒸発させる。

「…本物よりもすごいかもな…」

「あの巨大ロボットは?ローラーロボッとに似ている…」

「ロボと戦った、スパーキィーにも似ている、僕達の敵を合体させたような敵だ」

「てか、お前等人の話を聞け!」

ウラタンダーがY(ヤクト)団のロボットに見とれているのを突っ込んでいる脇で、アトミックシザースから放たれたビームで、かなり有利な戦いを見せる。

「スパークローラー!出番だべさ!!」

ビッグアシュタロンからの指示で…スパークローラーがビッグアシュタロンの手前に立つ。

「我が盾となるべ!」

その言葉と同時に超電磁バリアが発生し、トーラス軍のビーム攻撃をことごとく跳ね返した。ある物は超電磁バリア近づきすぎてぶつかり、粉みじんとなるトーラスも居た。

「どうだべ、阿呆指揮官!スパークローラーの防御力を!!」

『あれだけの数のトーラスの攻撃に耐えてるだと!?』

「それだけじゃないべ!!」

ビッグアシュタロンからの指示で、スパークローラーのローラーが肩に移動させ、変形させる、ローラーは巨大なガトリング砲のような形をして…

首から伸びる触手から、電気がローラーに送り込まれ、銃口に赤いエネルギー弾が溜まってくる。

「食らうべ!
ヴァリアブルランチャーポッド!!

ドシュ!ドシュ!ドシュ!ドシュ!ドシュ!

ローラーから無数の赤い光の弾がガトリングガンが、発射されるように放たれた。

光の弾は、一機・一機とトーラスの数を減らして行った。

その光の弾に紛れ込むように単機ロンギヌスがトーラス軍に向かって行った。

「さすがは、いい性能を引き出すな…Y(ヤクト)団のロボットも…こっちも負けてはいられないか」

ロンギヌスはビームサーベルを展開させて、トーラス軍の攻撃を巧みに避けながら指揮官機をに向かって行った。

「お前の相手は俺だ、ギュレル!」

『ウォーハンター陣!この屈辱をお前から、味わえさせてやる!!来い!!』

指揮官機のトーラスが、変形してチェーンソーアームで対抗しようとした。

「堕ちろ!!」

ジャイン!

ビームサーベルでトーラスの大群に飛び込み、斬り払いながら、ギュレルが操る指揮官機を目指した。

「はぁ!!」

ビームサーベルを、日本刀のように両手で持って…指揮官機に振り上げた。

ズガーン!!

指揮官機を攻撃しようとした所で、また別のトーラス数機が阻んだ。

『はははぁ!この数では近づけまい!!』

「ち!ロンギヌスのビームサーベルでは、対魔一神流は無理か!」

ビームサーベルで鉄血無爪ができれば、敵を一掃出来る物なのだが、強化服とは勝手が違うのが難点という所か。

「だが、笑っていられるのも…今のうちだぞ、ギュレル!!」

ロンギヌスの砲座が開き、スペースレーザー砲が展開される。

「エネルギー充填100%スペースレーザー砲!発射!」

対宇宙機動兵器用に開発された、胸の大口径レーザー砲が光の筋を作り軸線上の敵を蒸発させた。

『何!?直線コース!?』

指揮官機はとっさにレーザーを避けたが、既にロンギヌスとの間合いを詰められていた。

「威勢だけは一丁前だ…」

ジャキィーーーン!!

トーラスの腕を、ロンギヌスのビームサーベルが斬りおとす。

「まだだ、鈍いぞロンギヌス…お前の力を引き出せ…」

陣はそう言い聞かせながら、ビームサーベルでギュレルの指揮官機に確実にダメージを加えていく。

『く!!何て早さだ…ちぃ!たかが、一機の地球の戦闘機動兵器に!?』

「これで、止めだ!!」

ビームサーベルで突き貫こうとした瞬間、別のトーラスが割り込んできて、指揮官機の身代わりにビームサーベルを受け止めた。

「ちぃ、雑魚を盾と使ったか!!」

バシュー!

ビームサーベルで頭を貫かれ、一機のトーラスが堕ちた。

『ふん、まだ現われるぞ!』

そう言うと再び現われたトーラス軍がギュレルを取り囲もうとした。

「木を隠すなら森の中か……行け!!」

ロンギヌスが飛び上がるとギュレルの横をビームが掠める。

そして再びギュレルの周りを取り囲もうとした、トーラス軍をビッグアシュタロンの二本のビームが蒸発させる・・・



五分後。

ロボットに乗っていた彼らの詳しい説明は、原作のほうを見てもらうとして・・・(ぉ

どのような無茶苦茶且つ、強引な理屈で彼らを納得させたかについても、詳しいことは置いておく。

「とりあえず、わかったよ・・・ここきりぬけなきゃ、話にならないしな・・・」

「あの人から、悪いものは感じません・・・」

「・・・そっか。なら、ティファがそう言うなら、納得してやるぜ!俺はガロード、天下無敵のモビルスーツ乗り、ガロード=ランだ!」

そう、親父声の少年は言った。

「で、こっちが・・・」

「ティファ・・・ティファ=アディールです。よろしく・・・」

同じコックピットに乗っている、少女は落ち着いた声で、そう言った。

「僕も・・・まだ、納得できたわけじゃないですけど・・・とりあえず、ここが僕の世界じゃなくて、この世界もBF団のような悪の組織に狙われていることだけはわかりました。」

妙な、赤い・・・ノーマルスーツのようなものを着込んだ少年は、そう言ってウラタンダーに握手を求めた。

「僕は、草間大作。このロボットは、ジャイアントロボと言います。よろしく。」

「ま゛っ!」

また、正装して、変なヘルメットをかぶっている少年も、

「僕の考えも、大作君と一緒です。よろしくお願いします。」

そう言って、彼も握手を求め、「南三郎です。そして、あの鋼鉄巨人は・・・」

「・・・ワン、セブン」

そう、少しだけ、青い鋼鉄巨人が言った。

「すまねえな・・・こっちの都合で呼んじまったのに・・・」

「ああ・・・気にすんなよ、おっさん。」

「誰がおっさんだ・・・こら。」

「いいじゃん、俺たちも帰れるんだろ?だったら全く問題ないし。な、ティファ?」

「はい・・・あなたは、滅茶苦茶な人のようですが、悪い人ではないようですから・・・」

「納得してくれて、助かる・・・って誰が無茶苦茶だ。」

済まなそうに言うウラタンダーに、ガロードやティファはそう言って励ました。

毒舌や失言に、ウラタンダーは機嫌を悪くしたが。

「とにかく、あの・・・あっちで戦っている人たちを助けなきゃ。」

「うん、ワンセブン、行くぞ!」

「飛べ、飛べ!ジャイアントロボ!!」

ロボットを操る二人の少年も、また戦意は十分だ。

よっしゃ、戦闘開始だッ!

そう、心で思うと、彼は、

「しにさらせ、このはげぇぇぇぇっ!!」

と叫び、みんな機動兵器に乗ってるのに、素手で、円盤どもへと向かっていった・・・

(にしても、あの説明で納得してもらえるとは・・・)

そう、ウラタンダーが思っていたことは、内緒だ。



『バ・・・化け物どもがッ!』

「失礼だな、ギュレル・・・データに足を掬われるな、といったはずだぞ?」

「所詮、おまえさんは馬鹿そのものだべッ!正義の力に勝てるわけないっ!」

たった五分。

たった五分で、先発隊トーラス1500機の半数が消え去っていた。

URAユニットの支援攻撃と、機動力に優れる天槍、攻撃力で群を抜くビッグアシュタロン、電磁バリアと装甲の厚さで絶大な防御力を持つスパークローラー。

即席の連携にしては、足並みのそろったその攻撃によって・・・

そして、そこに・・・

「生きてたか、連中!」

ウラタンダーと、愉快な仲間・・・いや、召喚された戦士たちがたどり着いてきた。

「よっ、こっからは俺に任せてくれッ!」

ぎゅぅん!

ざしゅっ・・・どんっ!!

大型ビームソードの一閃が、トーラスを切り裂く。

「ロボ、ミサイルだッ!」

「ミサイル発射ッ!」

ずどどどどどどどどどっ!

どがががががががががっ!!

ワンセブンとジャイアントロボのミサイル攻撃だ。

「か・・・感激だべ・・・」

そんな、夢の光景を目の当たりにした首領は、心のそこからうれしそうだ。

「絶対、これが終わったら、サインを貰うべ!」

そんな、変な決意を胸に秘めていた。

まぁ、それは置いておいて。

『ぬ・・・ぬぬぬぬぬぅうう!!!』

さらに数を減らすトーラス部隊の惨状に、うめきを上げるギュレル。

それに追い討ちをかけるように、ウラタンダーが、「よ、久しぶりだな、ど馬鹿。」と気軽な声を発した。

もちろん、極上の嘲笑を浮かべて。

「ざまねえな、クズハゲ。悔しかったら、かかってきやがれ、糞。」

もう、なんてーか、すれすれって言うか、アウト気味って言うか、むしろOUT!な言動を繰り返しつつ、ウラタンダーは罵倒し続けた。

「け、この程度で音を上げてんじゃぁ、ギャラクシアンとやらも糞の集まり大決定だな。あっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃ・・・げほっげほッ!」

「笑い過ぎだぜ、おっさん・・・」

「げほごほ・・・ああいや、すまん、面白すぎて笑いが止まらなくてな・・・うひゃひゃひゃ。」

「変なおっさん・・・」

「大変、見苦しい所をお見せしてしまい申し訳ありません…が必要だな…」

ガロードや陣の突込みにも負けず、ウラタンダーは笑い続けた。

『おのれ・・・おのれぇ・・・このたびはこれで勘弁してやろうと思ったが、もう許さん!』

もう何度目とも知れない怒りの声を上げ、ギュレルは吼えた。

「チ・・・調子に乗りすぎたか・・・まずいな。」

「何が、まずいんですか・・・そこの方。」

あせりの声を上げる陣にそう言う、大作に答えるかのように、

『10000機のトーラスで一気にもみつぶしてくれるわ!全機発進せよ!!』

と、ギュレルが吼えた。

その数瞬後・・・

ぶわぁ・・・ン・・・

空間がゆがみ、壊滅したトーラス部隊に変わって、新たなトーラスが姿をあらわしていた。

「く・・・これ・・・は。」

「むむむむむ・・・どうやら、指揮官機あたりに電送装置でも搭載されてたようだべ・・・まずいべよ!」

「くひゃひゃひゃ・・・げほ・・・・・・まずいか・・・さすがにこの数は。いくらあれが馬鹿でも。」

「どぉすんだよ、おっさん!いくらなんでもあれは・・・」

「くッ・・・」

それぞれにあせりの声を上げる中・・・

ギュレルは勝ち誇ったように『この数では勝てまい!』と叫んだ。

が。

なんと言うか、身も蓋も無いようだが、彼らの戦意が衰えるわけではないと言うことに、彼は気付いていなかった。

「でも・・・おもしれえ・・・ティファ、しっかりつかまってろよ?!」

「はい・・・!」

「ロボ、がんばれるか?」

「ま゛っ!」

「ワンセブン・・・」

「オッケイ・・・」

「こんなもので、正義の力は・・・心は消えんべ!数がどうしただべよ・・・さっきの6倍じゃないか!さっき五分で700近く葬ったんだから!」

「ふ・・・今度は、単純計算で80分・・・ってところだな。」

「もっと、すっきりする方法も、考えようによっては、在るぜ?」

「チ・・・口の減らないおっさんだ。」

そう、全く戦意は衰えていない。

ここを切り抜けなければ、明日は無い。

それを知っているからだ。

そして、再び、戦塵が舞う。

「期待します・・・よ。この世界で語られる世界での、その力を。」

「ヒーローロボ三体とッ!俺様たちに勝てると思うなべッ!」

「ハゲには・・・ハゲにふさわしい負け方を体験させてやるぞ!」



「カイザー・・・ファングッ!!」

ちゅどちゅどちゅどちゅどちゅどぉっ!!!

ロンギヌスから放たれた、狼の型の光線が、トーラスをまとめて十数機吹き飛ばした。

「あなたに・・・力を。」

「4.03秒後にマイクロウェーブ来るッ!」

ヒィィィ・・・・

空気を切って、残月から光の線が延びる。

ばしゅうぅう・・・

展開されたエネルギー吸収板が輝く。

そう、ガンダムDXの最強武器である、ツインサテライトキャノンの前触れだ。

「驚いた・・・な、この世界でもつかえるなんて。
ツインサテライトキャノン、発射ぁッ!!」

かっ!!

ちゅどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどぅっ!!!


放たれた閃光が、百機近いトーラスを消し飛ばした。

きゅいいい・・・

そのDXにトーラスのチェーンソーが迫る!

「うわッ!やべえっ!!」

だが・・・

「オウ、あぶねえっ!URAエンドバリエーションのひとつッ!
スカイドライブッ!!

ウラタンダーの剣から放たれる、エネルギーキューブが、トーラスを粉微塵と化す。

首領のロボも、ジャイアントロボ、ワンセブンも果敢に攻撃を繰り返していた。

「ところで・・・Y(ヤクト)団首領・・・って言ったっけ。」

「ぁ、はいなんだべ?」

「何で、ゲテモノガンダム弟・・・そっくりのモビルスーツに乗ってんだ?趣味??」

「趣味じゃないべッ!純粋に機能面ではこれが優れていたのだべ!」

「そっか・・・確かに、あのアームとかには苦労したもんなぁ・・・」

ちゅどむっ!

どんっ!

また、数機、ビッグアシュタロンの砲撃とDXのバスターライフルがふっ飛ばした。

もう、数の上では、4000機を張り飛ばした。

そんなころだった。

『ぐぅううう・・・こうなればぁ・・・・合体だッ!トーラス全機合体ッ!!』

そのギュレルの叫び答えるように、トーラスはすべて一箇所に集まっていった。

『ックック・・・恐れ戦け・・・今まで私も6000機近いトーラスを合体させたことは無い・・・どんな素敵な代物になるだろうなぁ・・・クックック。』

不味かった。

相当にやばい事だ。

下手すれば、大きさだけで300mを超えるとんでもないものが出来上がってしまうだろう。

円盤は海上でひとつに集まって、ぐにゃぐにゃと不定形生物のような動きをしている。

「不味いな・・・今度は本当に。」

「サテライトキャノンで、吹っ飛ばす・・・か?」

陣の言葉に、ガロードがそう言うが、彼は、

「いや・・・あのエネルギーフィールドの前には無駄だろう・・・」

と言う。

よく見れば、トーラスの回りには、淡い色をしたバリアらしきものが張ってあった。

「はっ・・・どうする・・・赤黒。」

「ふん・・・ひとつだけ心当たりがある。多分、このバリアを破れる・・・が。」

「が?」

ウラタンダーの声に、苦渋の色をこめて、彼は返した。

「恐らく、この町は・・・吹き飛ぶ。」

「うそ・・・でしょう?」

大作はそう言うが、陣は首を振り、「いや・・・本当さ。」とだけつぶやいた。

「もし・・・もしだ、着弾の瞬間に、その攻撃エネルギーを、海上遠くまで吹き飛ばすことができるなら・・・可能かもしれない・・・が。」

陣は、コクピットでもう一度首を振った。

「いや、だめだ。そんな攻撃力を持った兵器は他に存在しないし・・・百万分の一の正確さが求められるだろう・・・」

だが、ウラタンダーはあっけらかんと。

「ああ・・・そうなのか・・・なら、心当たりがある。」

と言った。

「何だと?!」

「心当たりがあるといったぜ?」

「・・・本当か、貴様。」

「ああ、本当だとも。」

そう言って、ウラタンダーは、何やら端末を弄くる。

「へ、やっぱな。精神波なら、外部アクセスは可能だ。」

「何・・・やってんだ、おっさん。」

ガロードが聞くが、彼はお構い無しに、こう言った。

「・・・すまんが、黒服、それと三人とも集まってくれ。」

「ああ・・・」

「な・・・なんだべ?」

みんなが、集まってくる。

そこでウラタンダーは、

「これから、サテライトキャノンを、暴走させる」

と一言、そう言った。

「・・・何考えてんだ。おっさん!」

「・・・これしか、方法は無い。」

「本当に、それしか方法が無いんですか・・・?」

非難をする、大作とガロードへ、ウラタンダーに代わって、首領が答えた。

「多分・・・大丈夫だべ。」

「へ?」

「だから、大丈夫と言ったべ!いいか、説明するべさ!」

そう言うと、彼は説明をはじめた。

「いいだべか?俺様には、そこの赤黒い人が使おうとしている兵器には、想像がつくべ・・・多分、衛星軌道上からのマスドライバー攻撃か、エネルギービーム攻撃だべさ。」

そう言って、ビッグアシュタロンの腕を伸ばす。

「海上の上空で合体を続けているあれにそれが着弾した瞬間に、それを多少はじく程度の攻撃を当てるべさ・・・」

腕を、DXに向けると、

「そうすれば、エネルギーは弾かれ、あさっての方向へ飛んでいく・・・角度にもよるけど、大気で減衰されて・・・太平洋のど真ん中で、派手な水飛沫を上げるか、そのまま宇宙へ吹っ飛ぶべ。DXのサテライトキャノンを、オーバーブースト状態にすれば・・・恐らく、足りるべさ。」

と言って、続けて、

「着弾時間、軌道の演算は、ワンセブンの超高性能AIと俺様のビッグアシュタロンでやるべ。成功率は・・・16.8%ってところだべが。」

と言った。

「上出来だ、黒服。」「ちょっとまてぇい!!」

ウラタンダーとガロードが、同時に声を上げる。

前者は余裕で、後者は焦って。

「16.8%・・・って、成功率低すぎだろぉが!」

「だから、それを気合で何とかするのが、男だろうが。」

「無茶言うなッ!」

ガロードは、ごね続け、合体は続いていく・・・

だが、そのとき、ガロードにとっては、有難くないかもしれない一言が飛んだ。

「私・・・ガロードを信じています。ここで、死ぬのは・・・いやです。ガロードが死ぬのはもっといや・・・!」

ティファがそう言って、ガロードに抱きついた。

・・・もうお分かりですね。

後は、作戦決行しか、無いと言うことが。

「ようやく、決まったか・・・正直に言おう・・・冷や冷やした。」

「そうか・・・なかなかそういう感情見せねえなあ、手前。」

「やってやるべさッ!」

「じゃ・・・ま、作戦通りで頼む。」

そう言うと、ウラタンダーは、また地球の言語ではない言葉で呪を書き始めた。

「汝、猛き力を持つもの、なれど争いを求めぬもの。なれば、我が問いに答え、我が願いを聞き届け賜え・・・」

数秒後。

ウラタンダーは、にこりと言う表現が似合いそうな表情をマスクの下で浮かべて・・・

「D.O.M.E.はわかってくれたらしいぜ・・・D.O.M.E.・・・D.O.M.E.って言うのか、あんたは。」

と言った。

「よっしゃ、大丈夫だぜ・・・後60秒後には、通常の三倍の出力でマイクロウェーブが照射される。しっかり、押さえててくれよ、ジャイアントロボ・・・ワンセブン・・・」

「俺様には何も無しだべか!ふざけるでねーぞ、極悪メタル!」

「あー、聞こえない、聞こえない。」

彼らがじゃれ付いている間、陣は・・・

「はい、お願いします。艦長。」

『わかった・・・それは、すべて予定の行動・・・なんだな?月面での騒ぎも・・・』

「一応、そう言うことです。」

『わかった。ギガブースターライフルの使用許可を出そう・・・ここで、翼人の力を奪われるわけには行かない・・・』

「はい・・・ありがとうございます。」

と、軌道上の、あるものと、連絡をとっていた。

今は・・・その正体を明かすわけには行かない。

ただ、言えることは。

それは、S.U.P.の切り札である・・・と言うことだけだ。

「よぉし・・・ウラタンダー。こちらの用意も整った・・・いつでも行けるぞ!」

そう言う陣の言葉に呼応して、この夏の戦いの・・・

最終幕が、開いた。



「マイクロウェーブ、充填率120・・・150・・・200!!」

「軌道計算は終わったべ!何とか行けるとおもう!!」

強い、光が、周りを包んでいた。

『おのれ・・・何をしている・・・』

「ハ!てめえみてえなハゲには教えてやらん!」

ウラタンダーが、叫ぶ。

作戦に気付いたギュレルは、いまだ融合が完全ではない部分を元に戻し、攻撃を開始したのだ。

「絶対にここは通さん・・・!希望を、守るためにッ!」

ロンギヌスもまた、光を発して・・・

「メギドの矢よ!悪のものを滅ぼせぇぇぇぇぇっ!!

しゅごごごごご・・・・!


光の矢は、トーラスを巻き込んで消滅していく。

URAユニット!バルキャノン!!!

ちょごごごごごっ!!

また、数十機、消滅した。

「まだか、黒服、ガロードッ!!」

「も・・・もうちょっと!」

「チッ!」

攻撃が熾烈さを増す。


もうだめかと思われた、そのときだった。

『…あたしって…すっかり端役で…台詞も無くって…もう、忘れられてたみたい…ですね。す〜っごく、悲しいですっ!全艦、H級戦略ミサイルを、全弾発射してください!!最優先事項です!!!』

天槍の通信機に可愛らしい声が流れ・・・

その、数瞬後・・・!

どっががががががががっががががっ!!!

とんでもない量の、ミサイルがトーラスのほとんどを跡形も無く消し飛ばしたのだ!

『えへへっ、陣さん…あたし…役に立てましたか?』

「はい・・・ッ!ありがとうございます、司令・・・!」

そう、今の今まで忘れられてた・・・潜水艦隊の攻撃だった。

氷隼の声がコックピットに響く。

『本当、間一髪でしたね・・・感謝してくれるとうれしいです。クルーのみんなも頑張ってくれましたから』

「感謝しないわけが、無いじゃないですか・・・よぉし!活路は開いたッ!」

陣がそう叫んだとき、氷隼は、

『では・・・こちらの位置を知られた潜水艦は弱いです・・・その原則に従い、私たちは撤退します・・・。陣さん、無事でいてくださいね?怪我とかしたらダメですよ?』

と言って、通信を切った。

その時、だった。

「あなたに・・・力を・・・」

エネルギー充填300%・・・ツインサテライトキャノンオーバーブースト準備完了!!

ギガブースターライフル・・・発射!

おおおおおっ!!発射あっ!!!

きゅどむっ!

一瞬で、トーラス集合体が消滅するッ!!

そして・・・・

同じく一瞬で、寸分たがい無く・・・

どどどどどどどどっ!!!

ツインサテライトキャノンオーバーブーストの一撃が、完膚なきまでに余剰エネルギーを吹き飛ばすッ!!

しゅしゅう・・・・・

そして、後には・・・

「何にものこらねえぜ・・・成功・・・だ」

「はぁっ!やっと終わったべさ・・・って、あらッ!?」

ぐしゃっ。

ビッグアシュタロンのうでと、スパークローラーのキャタピラが、完膚なきまでに壊れていた。

「ぎゃああああッ!こ、壊れてるべさぁぁーーっ!!」

すべてを使い果たしたように、ぐったりとする戦士たち・・・

その中で、首領だけが一人、絶叫していた・・・・・・



ギャラキュリア艦橋

「おのれ・・・おのれぇぇっ!このような屈辱、生まれてはじめてぞ!!」

顔を怒りで真っ赤にして、ギュレルがそう言うと、すぐ近くの影が動いたような気がした。

「怒りは禁物でござるぞ・・・ギュレルどの。」

「・・・ギャドー・・・か。」

「うむ・・・感情的になられたのが、今回の敗因でござろう・・・」

「確かに・・・な・・・」

「だろうな、お前さんはちと感情的になりすぎだ……」

「ギャレール!」

ギュレルが貴様だけにはこの失敗は見られたくなかったと、言う顔で身の丈3メートルくらいある、巨大な刀を背中に何本も持った…男に言った。

「だから、お前さんの作戦は失敗すると…考えていたぜ、地球人類…連中の使う技術・・・、元はクルのものもある…初めからこの作戦は失敗するとおもうてた…」

「貴様、蚊屋の外で見ていた文才が弁えろ!」

「これでは、次期総帥候補の名が泣きますなぁ…ギャラクシー8のリーダー止まりじゃいけませんぜ…皇帝ギュレル様…」

その男は鼻で笑うと、人を小ばかにするようにギュレルの顔に近づく。

「言わせておけば!!」

「よさぬか…見苦しい…」

殴りかかろうとした、ギュレルをギャドーが阻む…

「ほう、地球の新しいスーパーヒーローに…未知の機動兵器が3体」

その三体とは、ギャラクシアンでも知られていない、ジャイアントロボ・17・ガンダムDXの事だろう。ギャレールは先端が二つに割れた舌で舌なめずりをする。

「8の中に、こういうのに詳しい者が居る……知ってるかもな」

「ふん、前線にも出れない腰抜けか!」

「まあ、奴なら…この3体を知ってるだろうよ…」

ギャレールはそう言うと、一枚のフォログラフを見ていた…それは、刀を振るうウォーハンターの姿が…

「ギャレール殿、何を考えておるのでござるか?」

「俺と、全てのギャラクシービーストを地球に下ろしてくれないか?一度手合わせしてくるよ…この剣士と…」

「ギャレール殿…、確かギャラクシービーストはそなたのビースト星から連れて来た住人であったな…主戦力の一つの全てを投入するのでござるか?」

「まあな、俺はのんびりしていられない性格なんでな、他の宇宙系侵略者のように…ああ、誰かさんのようにデータに頼るようなのんびり屋じゃないんでな…」

「おぬしの力なら、青い星のスーパーヒーローに対抗できるかもな…」

「作戦指揮は我だ!勝手なことはするな!ギャレール」

ギュレルが食いかかろうとするが、ギャレールは踵を返して、ギャラキュリアのブリーフィングルームから出た。

「俺はやりたいようにやる…獲物は、効率よくハントしなくてはな…」

そう言い、ブリーフィングルームから出て、ギャラキュリアから…一隻のG侵略輸送空母『グランディオ』が発進した。

「まあ、これはこれで良い…」

「くぅ、どいつもこいつも!!」

ギュレルは怒りを壁にぶつける…壁にひびが入る。

「次回は・・・もう少し、落ち着かれよ。さもなくば・・・」

「わかっている!!」

ギャドーの言葉に、叫ぶギュレル。

「ならば」

「うむ・・・次は、こうはいかん・・・覚えておるがいい・・・」

闇が艦橋に落ちた・・・

深淵とも思える闇が・・・



エピローグ 木陰の陽炎

「はー、ひどい目にあいましたねー。」

「言わないでくれ・・・佐祐理さん・・・」

「全部、あいつらのせいですよねー、舞?」

「はちみつくまさん。」

「天槍も、修理する必要がありますし…『狩人』もメンテが必要だしな」

「ですねー、前回よりトーラスの数が多かったですから…」

陽介と佐祐理さん、舞の三人は、美凪の呼び出しを受けて廃駅のベンチにいた。

「遅いですねー、美凪さん。」

困ったように、麦わらを揺らす佐祐理。

ほのぼのとした時間が過ぎる。

・・・奇跡的に、町に被害はほとんど無かった。

死者も居らず、散発的な怪我人がいただけだった。

明日には、この町を離れる。

そう思うと、ここ数日のてんやわんやさが思い浮かばれる。

「お待たせしました・・・」

声へ顔を向けると、そこには、黒いワンピースを着た美凪と・・・

そして、神妙な顔つきの、みちるがいた。

「どうしたんですか?美凪さん。」

「どうしたもこうしたも・・・とにかく、この子の話を聞いてください。」

「はぁ・・・」

そう言うと、美凪はみちるに促した。

「ほら・・・」

「うん・・・空の、前のみちるを作ってくれた・・・悲しい翼の人がね・・・」

「・・・!」

陽介の顔がとたんに険しくなる。

「もうすぐ、時が来る・・・って、言ってたよ・・・それだけ・・・なんだけど・・・」

「けど・・・?」

「もう、悲しい運命は終わると思う。これは、みちるの勝手な考えだけど・・・」

そう言うと、肩の力が抜けたようになった。

陽介も、あえて言葉を続けない。

「みちるはね、このみちるの、姿と・・・心を移したものなんだ。時を越えて・・・美凪のお願いが作り出した・・・ね。」

「そう・・・か。」

「もし、このみちると、陽介が会ったとき、何か感じたとしたら・・・それは、前のみちる・・・みちるを作った力が、残ってただけなんだよ。そして、それも、もうすぐ消える・・・」

そう言うと、美凪は少し顔をうつむけた。

「心配しないで、美凪。みちるは、いつでもみちるの中にいるよ?だから・・・」

「私は、もう・・・泣かないよ、みちる。」

「うん・・・」

二人とも、微笑を浮かべた。

本来なら、もっと何か聞かなきゃいけない場面なのに・・・

陽介は、なぜか、聞く気になれなかった。

「陽介も、悲しい運命に、負けないで。」

「ああ。」

「うん、美凪・・・国崎往人によろしく・・・」

そして、“みちる”は消えて・・・みちるに戻った。

それは、陽炎のような・・・

木陰の、涼しげな・・・本来ありえぬ・・・

陽炎のような、ひとときだった・・・・・・



エピローグ1 帰郷

Y(ヤクト)団首領こと僕は武装解除して…ぐったりとしながら何事も無かったかのように、町に戻る人々に混じって、そろそろ帰る時間と言うことで、待ち合わせ場所の遠野精米に行く前に…大家さんを迎えに行かないと…

「ああ、戦ったとはいえ散々だったなぁ…」

ちょっとした回想。

Y(ヤクト)団首領が、壊れた二体の巨大ロボットを見て絶句している内に、S.U.P.のスタッフによって、インタビューする事もなく…極悪メタルが召還した、3体のロボットと…その操縦者達は赤黒い人が連れて行った…

極悪メタルもいつしか、どこかに去っていた。

そして、再びあの赤い人が来たかと思えば…

「こっぴどくやられたな…良かったら、修理してやるが」

「と言うことは…己は、S.U.P.の奴か!?」

まさかとは思ったけど、赤黒い人はS.U.P.の新型スーツを来た人だった、その正体は良く解らなかったけど…

彼が、S.U.P.でこの2体を修理してやると言った…うーん本部でも、これを修理するのにまたお金を使うかもしれないし…

背に腹は変えられない事で、S.U.P.なら結城さんも居るし…任せる事にするか、と言う事で…赤黒い人に、ロボットを任せる事にした。

大丈夫なのかな…

彼はその後「用事があるから、俺は失礼しよう…」

その前に、彼は誰だったんだろう…どっかで聞いた声だったんだけどなぁ


回想終了

まあいいか、そんな事考えてる内に神尾家に到着した。

「鮫島さんおかえりー、大丈夫だった?」

帰ってきたら、神尾さんがのほーんと出迎えてくれた

「ああ、そっちは避難しなかったの?」

「お母さんが二日酔いで動けなくて、あの変な生き物をばったばったとなぎ倒した」

「だれが?」

「秋子さんが…」

「はぁ!?」

「うん、観鈴ちんもびっくり」

そりゃびっくりだべよ…何だか回りにさっきの化け物の死骸が落ちてるし…

顔に何だかオレンジ色の何かが塗られているのが気になる…

「あ、やくと君。おかえりなさい」

神尾さんの後ろから、大家さんが現われる…手にはあの化け物が…

「ただいまです…あの、この有様は?」

「ええ、いっぱい来て邪魔でしたので…こうちょちょいと」

やっぱり、大家さんのジャムの威力は侮れないと言う事か…うーん…欲しいな。

「あら、もうこんな時間…観鈴ちゃん泊めてもらってありがとうね、晴ちゃんにもそう伝えてね」

「はい、またお越しくださいね〜鮫島さんも、あ、観鈴ちんどわすれ!」

神尾さんは突然驚いたような表情になると、家の中に急いで帰って行った。

「どうしたのかしら…」

「あ、もしかして…」

「所で、やくと君…少し外が騒がしかったけど、どこに行ってたのかしら?」

大家さんが突然さっきの事を聞いてくる、不味い…大家さんって神尾さん達と内に残ってたんだっけ〜

「え、ちょっと…した事がありまして…外に出てたんです」

「そう…あまり危ない事をしちゃ駄目よ」

「あ、はい…」

神尾さんはそう言い僕の前にさっきのジュースの買い置きの入ったダンボールを引きずって来た。

「お待たせ、鮫島さん…はい!」

「ああ、それだそれ…忘れる所だった」

ああ、そう言えばここにまた破壊力の高い、自称ジュースなる物があったな

「でも、買い置きこれで全部…観鈴ちんお小遣いピンチ」

「ごめん…あまったら郵送で送るからさ」

「うん、解った」

これであの憎き極悪メタルに対抗する為の武器を開発するべさ!

「そう言えば、やくと君私のジャムも欲しいと言ってましたね…」

よしこれで装備は整いそうだべ、あの阿呆宇宙人も極悪メタルもやっつけられるべさ!

「じゃあ、観鈴ちゃん…またね」

「重い…でも、正義のためだ…」

僕はジュースの入った重いダンボールを両手で持って、神尾さん家を後にする事にした。

「ばいば〜い、また遊びに来てねぇ」

「うん解った〜…お、重い…」

「元気があっていいわね〜」

感心しているなら少しは手伝ってくださいよ…

遠野精米まで…どの位かかるんだろう…


遠野精米

遠野精米では、僕と同じく米俵を持ってぐったりした浦谷さんと、何か神妙な面持ちの陣内君、いつもどーりの川澄先輩に倉田先輩…そして非難していた事を感想を言っている水瀬さんとあゆちゃんが居る…さっきの騒ぎに巻き込まれなかったかな、皆…

「お母さん、やくと君…お帰りなさい〜」

「秋子さん、大丈夫?怪我とかしなかった?」

「ええ…、どうしたの二人とも…」

それで、水瀬さんとあゆちゃんから、さっきの阿呆宇宙人たちがやってきて自分達は非難していた事を、語った。

「あらあら、宇宙人さんだったのね…あの人たち…」

「避難してなかったんですか?」

陣内君が変わりに大家さんに聞いた…

「ええ、そんな事があったなんて知りませんでしたから…」

「そうか、なら良かったけど…」

その後、あゆちゃんが僕がどこに行ってたのかワザとらしく聞いてきた。ってあゆちゃん僕の正体知ってるのに…

大家さんからはこの騒ぎの事で色々聞かれるわで、少し騒いだけど、とりあえずみんな無事でよかったと思う。


あ、そう言えば…あのロボットのパイロット達や、赤黒い人のインタビュー忘れてた!あの巨大ロボット、すごい参考になりそうなのに。

まあいいか、今回は共闘してしまったが「昨日の味方は今日の敵だべ」とのどくろべえ様も言ってる事だし…あの阿呆宇宙人達もまた来ないことも限らないし…次こそは、あの憎き極悪メタルを、けちょんけちょんにしてやるべさ!

「おら、やくと!」

げし

後ろから機嫌悪そうにいきなりヤクザキックを浦谷さんにかまされる。

「そこで、つったって夕日眺めてないでさっさと車乗りやがれ!おりゃ早く帰りたいんだ」

「あ、はーい…」

ああ…また科学者の知識の宝庫にかまされたよ…

あれ?このヤクザキック…どっかで…

まあいいか!よーし!帰ったら早速、神尾さんから貰ったジュース(らしき物体)と大家さんの謎ジャムを分析だぁ!

「鮫島、置いてくぞ」

次に陣内君に呼ばれて、僕は急いでマイクロバスに乗り込んだ。

「あ、まってよー」

「またお隣ですね〜」

「あ…あはは…」

行きに続き…帰りも大家さんと同じ席だ。

「それでは、美凪さん…みちるちゃん、また」

「またお会いましょうね〜」

「…はちみつくまさん」

窓から、この遠野精米にお世話になった3人が別れを言った。

「またお越しくださいね……」

「うに〜、次来たら剣の使い方を教えてね〜」

「陣内、お前も色々頑張れよ……」

「国崎もな…」

「出すぞ!シュワ45世!」

「じゃ……」

そう言って、制限速度を軽く通り越して浦谷さんはぶっ飛ばして…大気丘市を後にした。

ああ、よほど疲れたんだね…浦谷さん…

僕がこの大気丘市で会った人たちと、現われた宇宙人。極悪メタルと同じように…しなければならないのだ…

この経験を十分に生かして、次回に続くべ!



エピローグ2 そして、いつも通り・・・?

さて。

これが、俺と、さまざまな人間が過ごした、夏の日の記録のすべてである。

俺はというと、一応米は買えたし、車も何とか直した。

他の連中のきちんと避難してたし。

でも、タイヤキ娘はどこ言ってたと騒ぐし・・・俺が変身できるの知ってるくせにな。

大家には問い詰められるし・・・

ま、それでも、普通通りの生活に戻れたと言えよう。

しかし・・・

「おっス、おっさん。醤油無いかい?」

そう、このアパートに住人が増えた。

「それにしても、いいのか?あんな広い部屋・・・」

「ああ、いいんだよ。大家に感謝しとけば。」

「そっか・・・でも、生活費は稼がなきゃいけないし、なんかバイトしらねえ?」

「しらねえよ・・・」

一応、全部説明して、俺の正体も、こいつらには明かした。

ロボットのほうは、赤黒のボケが「心当たりがある」とか言って、引き取っていった。

そして、大家が・・・

この榊荘に、こいつらを住まわせても良いと言った。

これには、正直言って助かった。

俺がめったにアレを使わないのは、人間を呼んだ場合、居住させるところに困るからだ。

ま、他にもいろいろ理由はあるが。

大作と三郎は、あまりこの部屋にこないが・・・(部屋が離れてる所為だろう)

ガロードとティファの部屋は近いために、こいつはよく来やがる。

しかも・・・インタビューとか言って、やくとが前以上にこのアパートに入り浸るようになりやがった。

「いい加減にしろ・・・」

この、「いい加減にしろ」「勘弁してくれ」・・・

いわなくて良い日はいつ来るやら・・・

ハ、まぁ・・・シュワルツEXがロボ持ってってくれただけでも・・・

はぁ。

・・・?

なんか忘れてる。

・・・はっ!

そうだ、赤黒から何も事情を聞いてないッ!!

・・・あの野郎・・・

「必ず事情を聞き出してやるッ!次こそはっッ!!!」

そう、俺はこのとき、なぜか・・・

あの気障な男とは、一度や二度じゃ無く会いそうな気がしていた・・・

・・・そう言えば、いつのまにか黒服どもが消えてたな。

まぁ・・・良いか・・・・・・

ナレーター注:良くないと思うのだが。

気にするなッ!

NR:ナレーターに突っ込むな!!

続く





後書け浦谷

つかれた・・・

やー、ようやく3話が終わったさ。

・・・つらかったけど。

パソコン壊れるし。

ま、それもこれも良い思い出ということで。

処理できるか。

処理できるほど甘くないわッ!

ああ、早々・・・

拙者、別段、はげている人、髪の薄い人に誤解・偏見・その他の悪感情を持っているわけではありません・・・念のため。

嗚呼、石をぶつけんでくれたまい!

本当ですよ・・・拙者も、親がはげとるので、いつはげるかと戦々恐々・・・あはは。

それと、もうひとつ。

別のところにある設定ですが・・・

あれは、あくまで初期設定のため・・・

この幻(げん)日(じつ)たる世界の進行によって、変わっていく物であることを改めて付け加えておきます・・・

ではまた。

シュワッチュ!!



後書き首領

うう〜、まーた1つの話の完成に半年を要してしまったべ〜

次こそは早期の終わりを願うです。

でも、これでウォーハンター陣の次の話が出来るので良かったべさ!

さーて、がんばっぞー!!

今回は陽介君がかっこよく書けて良かったです、竜さん次回もこんな感じでやりましょ。



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