私は今、怒っている・・・本当に怒っている。
今日は休日・・・SUPもお休み、朝はゆっくりしながら、とってもいい気持ちで目が覚めて・・・佐祐理と朝のおはようを交わす。でも陽介は、怪我をしてるから霧島さんの診療所で入院してて家にはいない、少し寂しい。
佐祐理の作った朝ごはんを食べて、コーヒーを飲む・・・この、佐祐理と交わすのほほーんとした時間が大好きだ。
だけど佐祐理もドクター結城さんと、陽介のスーツを治す為お休みじゃない・・・少し残念。これで、私は一人となってしまった・・・大変寂しい。
今日は佐祐理がハンバーグにするって言ってた、凄く嬉しい・・・佐祐理がそれで私にひき肉を買ってくれと指令を出した。
今日の予定(任務)が変わった。お夕飯のひき肉を得る・・・・・・お肉、お肉、お肉・・・
私は佐祐理から出された指令を受けて、予定を組む・・・よく考えたら、お夕飯まで時間がある・・・・・・だから、それまでは居ない陽介の代わりに、私が町を守ろうかと思う。
「うーん・・・」
どの剣で行こうか迷う・・・壁に並ぶ、私のコレクション。お小遣いをはたいて骨董屋から買い占めた剣からどうしようかなと思う。
うん、今日はこの剣にする・・・陽介と同じ形の日本刀をもつ。うん、これが今日の気分。
まだ夏の陽気が(異常気象にはあんまり気にしない)まだ残る中、今日は少し肌寒く、佐祐理が編んでくれた薄手のセーターを着る、少しまた胸がきつくなった・・・また大きくなったのかな?
お昼・・・町を剣を袋に入れて歩いていると、お腹がすいた・・・行き付けの牛丼屋に行ってお昼にする。
パクパク・・・もぐもぐ・・・安い、早い、美味い・・・チュドーン!
近くで爆発の音が聞こえるけど・・・美味いから気にしない。
「お替り、得盛り・・・玉つけて」
これで、3杯目・・・そろそろ終わらせないとまた、胸が大きくなる・・・と言うわけで、次に1階の本屋へ行く。
えっと・・・私は何をしに来たんだっけ?
本屋で立ち読み・・・・・・ズガーーン!また近くで変な音・・・少し五月蝿い・・・
でも本から眼が離れない・・・とても面白い。
どっしゃーん!
・・・・・・気がついたら
「・・・・・・瓦礫の下」
何でこんな事になったのか解らないから取り合えず、起き上がってみる。
ぼこ
起き上がると・・・向こうで、何かが争ってる・・・。
・・・・・・あ、魔物だ。
ビルが壊れてる・・・2階にあった牛丼屋も、3階の佐祐理と陽介とよく行った喫茶店も・・・みんな、なくなってしまった。
向こうで争ってる、魔物達のせいでみんなが困ってる・・・
私も怒った・・・
魔物を追ったら、みんな逃げていった・・・もう怒った・・・
最初はみじん切りにしようかと思ったけど、気が変わった・・・佐祐理が今日はハンバーグだって言ってたのを思い出した。
ひき肉をまだ買ってないから丁度よかった・・・
超弩級巡洋戦士ウラタンダー!
第四話 後編「今日のおかずはハンバーグ・・・by舞」
ジャギーン!!
舞の剣が、ウラタンやY(ヤクト)団(主に首領を狙ってる)に斬り付けられる、何とか逃げて、逃げて逃げ惑った先に・・・
何時もの廃墟に辿り着いた。
「な、何でこの町には、廃墟が多いんじゃい!」
「そんなの知らんべ、おめさんが作ったんじゃないか?」
「あほ抜かすな、金曜深夜の変態集団め!」
「いったべなぁ!この極悪凶悪趣味の悪いメタルが!」
「あ、俺のスーツが趣味悪いだと、てめーらのほうが趣味もわりーだろうが黒タイツ集団!」
「人を江○2:○0と一緒にするな〜〜!!」
またガキみたいに、口喧嘩を始める二人にさすがの舞でも呆れ帰ってしまう・・・こいつ等は何歳なのか?なぜ上も陽介もこんな魔物を放っておくのか不思議で仕方ない。
「・・・大人しく、ひき肉・・・・・・」
斬!!
舞の華麗なほどの斬撃が、二人の間を引き裂いた。
「って、この女!さっきから何言ってんだ!?」
「知るかぁ!とにかくお前が斬られるがいいべよ!!」
「てめぇらのほうが手数は多いだろ!?全員揃って、ミンチになりやがれ!」
「・・・・・・お前もひき肉」
「ざけんな見逃せゴルァ!?」
「・・・嫌」
全員をひき肉にしようと、剣を二人(それと団員各位)に振り上げて、斬り付けた。地面には、さっきまで舞が倒した戦闘員達の残骸が、何人も何人も・・・転がっていた。
そんな彼らの喧嘩を、ボロボロのままで追っかけてきた者が遠目で見て居た。
「あわわっ、やっちゃってる・・・」
前回、あの二人の馬鹿騒ぎでビルの瓦礫の下へと下敷きとなって酷い目にあった蒼藤氷隼中将である、前回のまま頬って置いて放置プレイってのも嫌なので、彼等を追っかけて見ました。
途中で、切り倒されたY(ヤクト)団の戦闘員達を何度踏んでも気づかないくらいそっと近づいて、今廃墟の入り口付近で事の成り行きをじっと見詰めていた。
「でも生身であんなに強いなんて、川澄さんすごいなぁ」
剣片手に敵は双方共々、強化服を着てるというのに互角と言うか本当にミンチにしない勢いで向かっ行ってる舞に正直感心してしまった。
「でも、いいのかな・・・あの二人って本部で指定された、二人だと思ったけど・・・陣内さんも下手に手は出しちゃだめとも言ってたし・・・それに、その肝心の陣内さんは何だか大怪我しちゃったって噂だし・・・」
実を言うと、陽介はギャレール戦の後、重症を負ったためか、霧島診療所での傷を治しているのだが、SUPの内部での混乱を避けるためか、この事を知っているのは、5本の指や諜報部・・・佐祐理か、今彼女の目の前に居る舞くらいだから。
それで、彼女が噂でしか聞いてないのは、無理も無いだろうが・・・
「心配だな。本当だったら、お見舞いに・・・」
会った時は、戦闘中だったから声だけで、実際に会った事は無いけど・・・少し気になる存在ではあった。
しかーし、氷隼は、その言葉の途中で少し詰った。
「でも、何処に入院してるんだっけ?」
そんな事を考えてるさなか、舞とウラタンダー・・・首領との小競り合いは続いていた。
「スティンガー・・・」
バシィィ!
「あでれば!あの三号シュワルツ改2号と同じ技使いおって、このくそアマ!」
「ぽんぽこたぬきさん・・・」
特にウラタンダーが失言と暴言を吐きまくってる為か、集中的に攻撃を仕掛けているため、Y(ヤクト)団首領はこの隙に退却しようとした。
「あ!逃げんじゃねえ、このくそ服!」
「はちみつくま、ラウンドトリップ!」
ブオン!
「ひえ〜」
逃げようとした、首領の横を舞の投げた剣がブーメラン状に弧を描きながら通り過ぎる。
「二人とも、逃がさない・・・」
「くそう、相手は川澄さんだが、やられてるばかりじゃないべ、ヘイ戦闘員!カモーン!」
ひゅー・・・
さむーい風が吹いたんですけど・・・
「あれ?戦闘員!カームヒア!」
しーん・・・
あれだけ沢山いた戦闘員が影も形もいなくなってる・・・
「・・・・・・まっとれ、すぐ目に物を見せてやるべよ!」
携帯電話のダイヤルを押して耳に当てる。
「もしもし、ウルルべか!?」
『首領様〜キレルがぁ、キレルがぁ頭が切れてますぅ!』
「いっつも切れてるべよ、つばでもつけとくべ!それより補充戦闘員を頼むべ!」
『は、はいでは、補充弾薬と一緒にいかせますですー』
おずおずとした声でウルルがそう言うと、最期に「キレル適当に治してきますねぇ」って言って、電話を切った。
「す、すぐ目に物見せるべ! 覚悟して待ってるべよ!」
「ほほう、何時見せてくれんだ?変態黒服集団・・・いや、集団じゃねえやな」
「はちみつくまさん」
なんか、ウラタンダーと一緒になって舞さんも目が座って首領の方を向いている。
「と、とにかく・・・・・・・・・今日はこの辺にしてやろう」
と、いそいそとその場を後にしようとする首領。
「ああ、池○めだか見たいな、新喜劇やって帰ろうとしてんじゃねぇから!?」
「おもしろくない・・・ぽんぽこたぬきさん」
ウラタンダーと舞は目をキュピーんと言う音が聞こえるほど光って、剣を握り締める。
や、殺る気満々だぜ状態だよ、二人とも・・・・・・
「こ、これはやばい感じだべ」
二人のだんだんとじりじりと、追い詰められて、冷や汗を流す首領。このままでは本当に二人にミンチにしかねられない情況に陥っている。
「煙幕弾も無いし・・・万事休すだべ〜」
「・・・・・・!?」
じりじりと迫っていく舞の動きが止まったかと思うと、廃工場の天井を向くと、後ろへと飛んだ。
シュタタ!
「ん?うわ!」
頭上から、手裏剣が3本降ってきて、丁度ウラタンダーの居た地面に突き刺さる。
「しゅ、手裏剣?!ってぇ、なにしやがんの!?」
「・・・・・・」
『ふ、なかなかの反応速度だな・・・』
天井の影が盛り上がり、影が一つの人型に形成される。
その影は、首領とウラタンダー、そして舞の間に割るように地面にふわりと降り立った。
「てめぇ、誰だかしらねぇが・・・邪魔すっと、ギタギタにして地面に埋めるぞ!」
いっつも切れ気味のウラタンダーが挑発的にブレードをその影に向ける。
「(こいつ、この前海に行ったときと同じ・・・・・・いや、陽介を傷つけた奴の同類)」
舞は本能的のそれが、以前陽介に瀕死の重傷を追わせたギャレールと同類だと言う事が解った。
「やはり、ここにはあの男は来ておらぬか」
「人の話を聞いてんのか!変態お化け・・・」
「ん・・・」
低俗は相手にしないが如し、その影・・・ギャドーは・・・ウラタンダーと首領を見据えて・・・
「はぁ、やはり、貧乏くじを引いてござるか・・・」
と、呆れたような溜息をついた。
「なれば、早々に片付けて去るか・・・」
ギャドーはそういうと、背中に背負った忍者刀(ハッ○リ君風表現)を抜き払い、つぶやく。
「宇宙忍法・・・火炎地獄。」
その言葉に呼応して、地面から炎が吹き上がる。
「・・・ふ。決して消えぬ煉獄の火炎・・・その身でとくと味わうがよい!」
「うっぎゃあ嗚呼ああああ!!何じゃこりゃああああああああっ?!!!」
「はああああああ?!!熱っ?熱ぅっ?!丸焦げは・・・いやだべえええええ!!!」
ギャドーの自信に満ちた声に、ウラタンダーと首領の悲鳴が重なった。
「・・・この程度でござるか・・・所詮、弱者。見るも詰まらぬ・・・」
「・・・」
その炎の中で、舞だけがじっとしていた。
「・・・こんなの、屁でもない。」
「ふうむ・・・おぬし、死ぬ気でござるな?強化服もなしでそのままいれば、一分と持つまい。道を明けるゆえ、早々に去るが良い。」
ギャドーの言葉に、舞はニヤリと笑って首を振った。
「この程度で弱音言ってたら、みんなに申し訳ない・・・!」
静かにそういうと、舞はトン、と地面を蹴って跳んだ!
「・・・兜・・・割りっ!」
ザンッ!!
その上空から串刺しにするような攻撃を人差し指と中指で受け止め、ギャドーは静かにこういった。
「ほほう、生身で拙者と戦う資格を有するとは・・・良かろう。殺してやろう・・・!」
剣を受け止めていない、もう片方の手に闇がわだかまる。
「・・・クク。黄泉路へ就くが良い・・・」
ギャンッ!
そのとき、眼下の炎の海から光弾と爆弾が飛んできた。
「最後の一発だべっ!」
「よけろ、クソアマッ!!」
二人の声が飛んだ。
と同時に、舞は思い切りよく剣を捨て、炎のない部分へとジャンプした。
ドガァッ!!
ぱぱぱぱぱっ!!
光弾が命中し、そして目くらましのように爆弾が破裂する。
その攻撃を受けたギャドーはこともなげに、
「ふーむ・・・驚いた。あの男には遠く及ばぬが、十分に拙者と戦える力量だ。」
そういうと、ギャドーは頭の中で考えを組み立てる。
―――黒服の小僧は状況判断に長けて居るようだ。先ほどの攻撃は、的確に女を逃がすためのものだった。あの無礼な男は頑丈なようだな。あの炎の中でも打撃をほとんど受けていない。女は攻撃に長けている・・・か、早々に決めねば拙者もまずいな。
舞の剣を舞が着地したほうへと投げ捨て、ギャドーは言い捨てる。
「良かろう。このギャドー、忍の名に懸けて貴様らをここで葬って見せよう。」
その言葉と同時に、まだ腕にわだかまっていた闇を開放する。
「宇宙忍法・・・隠行陣。」
攻撃に使うはずだった闇は拡散し、廃工場の中に完全な闇を作り出した。
「・・・このあらゆる探知機器を無効化する、わが故郷と等しき闇の中で、心穏やかに死ぬるが良い・・・」
「なんだとぉっ?!馬鹿にすんじゃねえぞこらぁっ!」
ウラタンダーの叫びに、首領が、
「・・・いや、あいつの言うことは本当だべ、極悪メタル。完全にセンサーが馬鹿になっちゃってるべさ・・・」
と焦りの色が濃い声でつぶやいた。
「お互いの居場所もわからぬ、見えぬ・・・やがて、五感全てが絶たれる。深い深い闇の中・・・・拙者の生まれた闇と同質の、決して他を確認できぬ地獄の中で死ねぃっ!!」
・・・一方的な、攻撃というよりは、虐殺のような。
そんな戦いが始まった。
「ガッ!ぐっ!!ゲハ!!」
「・・・うう・・・」
「・・・舞さん・・・極悪メタル・・・グ・・・」
捕まえた蝶をもてあそぶ子供。
あるいは、トンボの羽をむしりとる。
あるいは、かえるの尻に爆竹を詰めて遊ぶ子供。
そんな光景を思い出させる、一方的な攻撃だった。
「が・・・はぁぁ・・・」
「ふ・・・ソロソロ限界でござろう?すでにほかの二名は青息吐息。おぬしも、もはやその強化服が破壊されるのは時間の問題であろう。」
「く、そ・・・」
苦しげな声でそういうウラタンダーにギャドーは言った。
「獅子欺かざる、と言う。ここで貴様らを逃せば我らにとって脅威となろう。死ねぃっ!!」
剣を構え、ウラタンダーの喉を砕こうとしたときだった。
「・・・とった。いまだ、変態っ!!」
「わかってるべっ!!Y(ヤクト)団首領27の秘儀が一つ改っ!!超電科学重力反転応用編!!闇を吹き飛ばせぃっ!!」
ぶぃいいぃ・・・
妙な音がして、空間がゆがむ・・・
そして、気づいたときには目の前の闇全てが霧散していた。
「やったべっ!!初にしてはうまくできたべ・・・アドバイス、感謝するべさ、極悪メタル!!」
「感謝どーいたしましてっ・・・!もう、貴様の技は通用しねえぞごるぁ!!!」
そう、闇の中でウラタンダーは首領に「もし、空間をゆがめる技があったら使え。あの技はなんか微妙だから壊せるはず」とアドバイスしたのだった。
うれしそうに言う首領と、ニヤリと笑ってそういうウラタンダーを前にギャドーは言った。
「驚いた・・・!まさしく、驚嘆に値する!!これで、完璧に貴様らを逃がすわけには行かなくなった!」
そういうと、忍者刀を構えた。
だが・・・
ウラタンダーは、へっ、と笑って・・・
「はぁ?逃がすぅ?逃げるのはテメーのほうだっツーの!!俺を怒らせたからにゃ・・・」
バチバチッ!
電光が彼の指先から走った。
「・・・ぜぇぇぇぇってぇニガサネエけどなぁぁぁっ!!!召喚プログラム起動っ!!エディット開始!!」
空に呪字が浮かび、彼はこの星の言葉ではない言葉で呪をつむぎ始めた。
「天の狭間、地の狭間、光の狭間、闇の狭間、風の狭間、火の狭間、水の狭間、時の狭間、空の狭間・・・」
風が吹く。
「何をするつもりでござる・・・まさか!」
「そう、そのまさかよ!テメーのお仲間のハゲのくそ円盤をぶっ壊した、アレだよ!!」
叫んで、さらに呪は続く。
「数多在る狭間を越えて、われが呼ぶは力なり!!」
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
前回の召喚時と比べれば、はるかに規模は小さいだろう・・・
しかし、それでも・・・
「テメーをぶち殺すレベルの力は、呼べるっ!!」
叫んで彼は、呪を最終段階へともって行く。
「させるかぁっ!!宇宙忍法・・・火炎地獄!!」
カッ!
炎が先ほどと同じように彼を包むが・・・
しかし、結界のごとき光が炎を打ち消す。
「呼ぶ力、一つは業極めし忍びなり!一つは竜神に寵愛されし召喚の巫女なり!!」
ぐにゃりと空間がゆがみ、その歪みは二つの人型を成す。
「いざ、疾くこの地に出でよ!わが呼びたる大いなる力よ!!」
・・・その人型はやがて色を成し、人となった。
そして、それは・・・
一人は、20代前半も半ばを過ぎただろう年頃の、薄紫にドハデな忍者装束と思える服を着た男。
もう一人は、年のころは舞と同じ位だろう。
緑をベースに黄色い星型の模様が浮かぶレオタードに、同じく緑色のわざとボロボロにしたようなマントを羽織った女性だった・・・
「・・・コ、今度は・・・今度は俺様も知らんべさ・・・!」
現れた二人を見て、首領は小さくつぶやいた。
それを聞いて、舞は小さく「知ってる」といった。
「アレ・・・ファイナルファンタジー4の人。」
そういうと、ウラタンダーに向き直り、「すごい。」と一言言った。
「そうかぁー、すごいかぁー・・・でも、問題があるんだよなー。Hey,girl.あいつらに事情説明できる?」
ウラタンダーは、そう言うと舞に向き直った。
「・・・おっけー。任せて。」
安請合いする舞だったが・・・
しかし、彼らはすでにこちらのほうへ歩いてきていた。
「・・・あんたが、異世界の召喚士か?」
忍者風の男は、マスクをずらしながらそう問いかけてきた。
「・・・そうだ。」
その真剣な表情に、思わずウラタンダーも真剣に答える。
すると彼は、にっこりと笑って、
「そうか!あんたがそうか!イヤー、心配したぜ。アスラのおばさんの話、正直心配できる要素ばっかだったからな。」
その言葉に、不機嫌な顔になった女性は男の頭をひっぱたいて、ウラタンダーに言う。
「失礼でしょ。はじめまして、異世界の召喚士さん。私はリディア。あなた方からすれば、異世界の召喚士、ということになります。んで、こっちの失礼極まりない馬鹿が・・・」
「馬鹿とは何だよ、リディア。俺様は忍者の王国エブラーナの王子、エッジだ。よろしく頼むぜ、おっさん!」
リディアと名乗った女性は礼儀正しく、エッジと名乗った男は、いい年こいてガロードと似たような挨拶をして、ウラタンダーたちを困惑させた。
「・・・どういうこった?お前ら、なぜここが異世界だと、すぐにわかる?そして、なぜ俺が呼んだと?さらに、召喚されることをあらかじめ知っていたような口ぶりだが・・・」
「アー、エーとですね。順を追って説明するから、黙って聞いてね♪」
ウラタンダーの怪訝そうな声に、そうこたえると、リディアはちょっとした説明を始めた。
―――ふむ。こやつのあの不可思議な術を見極めるために、ここは黙して拝聴するべきだな。
ギャドーの呟きを最後に、リディア以外の全員が押し黙ったのだった。
説明はいたって簡単だった。
異世界だということは、景色ですぐわかった。
彼らの世界の文明レベルは話を聞く限り中世レベルで、高層ビルの類はある一箇所を除いて存在しなかったらしい。
リディアは「バブイルの塔」といっていたが、彼らの世界の失われた技術で作られた事物であるという以外は、ウラタンダーたちにはよくわからなかった。
そして、ウラタンダーが召喚した、ということは「魔力」なるものを感じたからわかったという(ウラタンダーと首領は、精神波の類、と理解した)。
最後に、召喚されることを前もって知っていたのはなぜか、という件だった。
「あの日、幻界の女王のアスラ様が私たちに予言したの。『もうすぐ、あなた方が異世界に召喚される。そして、そこではゼロムス以上の存在に脅かされているから、いつでもいいように準備しておいて下さい。』って。・・・あ、ゼロムス、ってのは私たちが前に倒した、とんでもないやつのことね。」
そこでエッジが口を挟む。
「しかも、俺とリディアだけってな。なんだったら、セシルとかローザとかも呼べばいいのに、とか思ったがよ。」
「・・・黙って。あの時、アスラ様言ったじゃない。『必要とされているのは、お前たちです。』って。」
その言葉に突っ込みながらリディアは続ける。
「それで、必要なものをそろえ終わったときに、こうしてここに呼ばれた、ってわけ。」
「つまり・・・その、女王様が予言者でそれで俺が呼ぶのがわかった、と。」
「そういうこと。」
そして、リディアのそのそっけない一言で、説明は終わった。
「怪我してるわね。これ、飲んで。」
説明を終えるとすぐに、火傷だらけの舞にリディア近寄っていって、薬ビンを渡した。
「それを、鼻摘まんで一気に飲んで。」
「・・・うん。エリクサー?」
「よく知ってるね。そ、飲んで。楽になるから。」
「・・・攻略本で見たから・・・」
ゴクリ、と一気にその薬ビンの中身を飲み下すと、舞はすごくいやな顔をして、
「・・・苦い。」
と言った。
その瞬間、舞の体の火傷は見る見るうちにふさがり、後も残らなかった。
「うん。さすが、古代人の月で買ったやつね。効き目抜群!」
「・・・ホントに、全部治る・・・ホントに、すごい。」
舞は感嘆して、そう言った。
そして・・・彼女の傷がふさがったのを見てすぐに、リディアとエッジはギャドーが天井にさかさまでぶら下がっているのをにらみつけた。
「てめえか・・・俺たちの敵は。見たところ、貴様も忍のようだが、名は?!」
「・・・拙者、ギャラクシアン帝国、忍者頭領ギャドーと申す。貴殿、相当の手練れと見たがいかに!一手指南を所望する!」
ギャドーの名乗りに、エッジは「俺のほうは・・・さっき言ったよな」と言うと、背中に十字に背負った二振りの日本刀を抜き放った。
「後悔すんじゃねえぞ・・・?あんたも強いかも知れねえが、俺も強いぜ?」
「ふ・・・面白い。宇宙忍法火炎地獄!」
業、と炎が吹き上がり、エッジを炎で包み込む。
だが・・・
「へっ!なっちゃいねえな・・・これが炎だって?あの野郎の火炎流と比べてまるで涼風のようだぜ!あいつの台詞だけどよ・・・炎ってのは、こうやって使うんだっ!火遁っ!!」
炎の中からする声は、明らかにそれをあざ笑い、そして。
彼の声とともに、彼を覆っていた炎は消し飛び、いやその炎を従えて、新たな火炎がギャドーを襲った。
「こんなもん、屁でもねえぜっ!」
そして、その炎を放っている男は、服にも焦げ目を見せず、まるで「チッ、鍋使ってたら指、火傷しちまったぜ」と言う風で立っていた。
「な・・・なんだとぉぉぉっ?!」
「生身だからってなめるなよ!俺らは星ぶっ壊すような邪悪な思念とも戦ったんだぜ!」
驚愕の声にエッジはそう返すと、呆然としているウラタンダーたちに向かい、「休んでてくれ。このくらいなら、俺一人で大丈夫だ。」と言った。
三人とも、コクコク、と頭を縦に振り、リディアだけが「無理しないでね」と心配なのか、心配じゃないのか微妙なことを言っていた。
「オノレぇ・・・宇宙忍法、変幻影。」
ブン、と音がしてギャドーの体は幾重にも分身した。
「・・・分身、か。こしゃくだな。行くぞ、水遁の術っ!」
ばきっ!
床が、その下の地面と一緒にわれ、その中から猛烈な勢いの水がギャドーたちに襲い掛かった。
ゴゴゴゴゴ・・・・ザパァァァァンッ!!
下手な津波にも匹敵する、その激流はギャドーの分身を全て押し流し、そして本体だけが残る。
「・・・ちぃ・・・!」
「だから言ったろ?その程度じゃ俺を倒すなんて無理だぜ、おっさん。」
「貴様・・・生身でそこまでの修練を積むとは、お主の世界は苛酷な環境なのだな・・・」
ギャドーは、エッジの言葉にそう返す。
「・・・だが、拙者も故国の誇り、そしてわが同胞のためにここで貴様如きに敗北を喫するわけにはいかん!」
その言葉にエッジはあきれたように、
「それが侮ってるって言ってんだよ。いいか、如き、って言ってる時点で、てめえは俺を侮っている!油断してるんだよ。」
と返して、にやりと笑った。
「―――四天王の連中もゴルベーザの野郎も、んなこと言ってた奴ばっかだった。少なくとも、セシルたちに話を聞いた限りじゃな。最後には団結してきたけど、そのときは俺たちはもう強くなってた。手前ら、負けるぜ?」
そう言って、ウラタンダーと首領をちらりと見ると、
「あいつらだって、今はお前に全然かなわねーけど、きっと強くなるさ。ルビカンテの野郎に、一撃もくれられなかった俺が言ってるんだから、マチガイねえ。あいつらはお前より強くなる。」
そう言って日本刀を背中にしまった。
「・・・拙者に油断など、ない!」
「そうかぁ?その割には、俺に一太刀も当てられてねーじゃねーか。」
「・・・!」
今までの余裕綽々の表情を真剣なものにして、エッジは叫んだ。
「忍とは忍びに忍んで最後に任務を果たすもの。その恐ろしさは忍の俺にはわかる。だから・・・てめえをここで逃がすつもりはねえ!死にたくなきゃ、全力できやがれ!俺の真価も見せてやるっ!」
「ふ・・・ふふ・・・なるほど。貴様の力、量り違えていたようだ。なれば・・・」
ギャドーは再び立つと中に浮かび、ひとつ叫んだ。
「宇宙忍法、幻影刃!」
その瞬間、無数の刃が生まれ、エッジに襲い掛かっていった。
グサグサグサッ!!
ほとんどの刃は地面に刺さって消えていったが、幾本かの刃はエッジの肩と腕に刺さっていた。
「ぐっ!やれば、できるんじゃねーかよ。」
「当然だ!宇宙忍法、瞬影斬!!」
ズバッ!
ガキンッ!
信じられないすばやさでエッジに切りかかるギャドー。
一撃目は身代わりの術、二撃目を刀で受けエッジは飛び退った。
「くっ!やるな!なら、俺の得意技、見せてやるぜ!!」
そう言うと、彼は懐から幾本かのクナイと手裏剣を手に取った。
「俺の得意技は、投擲術。今から、てめえがどこに隠れようともこの風魔手裏剣をてめえの肩口にぶち当てる!」
そういって、クナイと手裏剣の束から奇妙に捩れた手裏剣を取り出す。
「ほほお・・・やってみるがいい!」
「後悔すんなよ!」
「無論だ・・・宇宙忍法、透影陣。」
ブウン・・・
その言葉とともに、ギャドーの姿は虚空に解け消えた。
「・・・光学バリア!ここまで完璧なものを作れるなんて・・・なんて科学力だべさ!」
首領の叫びが聞こえるが、それすら耳に入らないほどの集中力でエッジは気配を研ぎ澄ませる。
―――臨兵闘者皆陣烈在・・・
「前っ!!」
ヒュンッ!!
ドスッ!
何かに刺さる音がして、手裏剣は空中でとまった。
「・・・なんと・・・!光学バリアで姿を消し、拙者が修練で得た気配消しの極意を以って完全に目の前から消える!これが敗れるとは・・・」
虚空が薄れ、そこからギャドーが姿を現す。
その肩からどくどくと、人のものとは違う色の血を流して。
「・・・カラクリに頼った、てめえの負けだ・・・と言いたいが、てめえ、刃に毒塗りやがったな・・・?」
「当然であろう・・・任務を確実に果たすは、忍の本分。痺れる程度のものだが、塗らせてもらった・・・そちらこそ、人のことは言えまい。この刃・・・一度刺されば、肉に食い込み骨を犯す。なかなかの凶術よ。」
そう言うと、ギャドーは笑った。
「ふふ・・・任務抜きで、ここまで楽しめた相手は久しぶりだ。拙者はギャレールやギャルサースの如きいくさ狂いではないが・・・貴様とは、このような場でなく、整えられた場で正々堂々決着をつけたいものよ。」
「チ・・・ギャドーとか言ったな。てめえを見てるとルビカンテの野郎を思い出すぜ。」
「ほう・・・拙者、ルビカンテとかいう者と似てござるか。それは愉快。拙者も主にとってそやつのような存在になれ得るとよいのう、エッジとやら・・・」
エッジの言葉に楽しげにそう返すと、ギャドーは「さらば」と言って虚空へその姿を消した。
―――そこな女子、そなたには置き土産だ。存分に楽しむがいい・・・
そんな声がして、完全に気配が消えた。
「・・・チッ!逃がしたか・・・!」
「もう・・・無茶しないで。それより・・・」
「あー!レーダー、レーダァァァァッ!!この間の円盤が、一杯来るべさ!!」
エッジを介抱するリディアの耳に、首領の声が響く。
「置き土産・・・来たみたい。」
そう言うと、彼女は廃工場の屋上に出る階段へと走った・・・
空には、無数の円盤がこちらに向かっている。
「・・・多いわね・・・でも、脆そう。少なくとも、ベヒーモスとかブルードラゴンよりは。」
リディアはその円盤・・・トーラスの群れをにらみつけた。
「竜神よ・・・全ての源である幻獣神バハムートよ・・・我が召喚に答えよ。偉大なるその御力を!」
この世界のものではない呪を唱え、リディアは瞑目した。
「光の力を今ここに!メガフレアっ!!」
空間がゆがみ、そこから巨大な竜が出現する。
そして、それはその巨大な頤を開くと翼を開いた。
その口に、魔力の光が集まり、巨大な熱量を放つ。
その光景を見ながらウラタンダーは言った。
「・・・俺のとは、違う。しかし・・・」
―――強い。
そう、ウラタンダーのその言葉はマチガイがなかった。
一瞬、空が明るくなったと思うと、いくつもの破裂炎が弾けて消えた。
そして・・・
「・・・ふう。久しぶりだったし、ここが異世界だからできないかも・・・とか思ったけど、結構上手くできたわ。」
そう、その破裂炎が消えたときには、数十機は居た筈のトーラスは、残らず消滅していた。
「なぁ、エッジ・・・だっけ。アレ、あんたの彼女かよ・・・?」
「・・・そうなりたいな、と思ってる。」
「スーパーロボット並の攻撃力の女にほれる男か・・・」
ウラタンダーは内心「すさまじい連中呼んじまったな」と少し後悔したのだった。
そして・・・今回の騒動は終焉を迎えた。
結局、舞に平謝りすることで二人は許してもらい、舞はと言えばエッジたちからハイポーションやドライエーテルと言った、異世界の薬品をもらって陽介の居るはずのところへ行ったのだった。
そして・・・当の彼らは。
「「よぉ。醤油貸してくんねぇ?」」
「・・・サラウンドで同じ事言うんじゃねえ!エッジ、ガロード!!」
「「んなこといってもよぉ」」
「同じ事言うなっつってんだろ!!!」
「そういうなよ。次こそ、あのボケをぶっ倒して見せるからよ。」
そう・・・
二人とも、あの後すぐに浦谷から秋子に紹介され、即座に「了承」されて榊荘にすむことになったのだった。
すぐにガロードと懇意となったエッジは、お互い彼女を部屋に残して、こうして生活物資の補充(?)に来ているのである。
「・・・やっぱり紹介するんじゃなかったぜ・・・!」
そう言ったとき、外から声がした。
「すいませーん、浦谷さーん。」
「こんにちはぁ、氷隼ですけどぉ。」
そう、やくとと氷隼だった。
「・・・そうだった・・・あいつらもいたんだ。」
心底げんなりしながら、浦谷は扉を開ける。
「引越しそばです。よろしくおねがいしますっ」
氷隼もまた、部屋がビルごと崩壊したので、S.U.P.の伝手でここに来ることになったのだ。
「あー、よろしく。次、兄に類する呼び名を持ち出したら地面に埋める。」
「え?やっぱりダメ・・・ですか?」
一人は若干目を潤ませながら、浦谷を見上げる。
背がかなり小さいので、どうしても見上げる格好になってしまうのだった。
浦谷と始めて会った氷隼は、何をとち狂ったか浦谷を「お兄・・・」とまで呼びかけて、頭に浦谷の拳骨を食らったのだった。
「俺は、男でも女でも容赦なしだ。覚えとけ。それと、頼むから俺のことは浦谷とかなんとか、普通に呼んでくれ。」
「うう・・・容赦なしですかぁ〜〜(泣」
「そうだっての。そばはもらっておく。用事はすんだな。」
普通の人間は殺意を覚えそうな台詞をはく浦谷に、やくとは怒ったように、
「こっちの用は、まだですよ。」
と言うと、浦谷に今では古風になってしまったCDを渡した。
「これ、お話したFF4のCD-ROMとエミュレータのデータです。舞さんからお礼、ともらったんですけど・・・身に覚えがないんですよ。」
「そか・・・よくやった・・・俺は疲れた。お前ら四人、全員出て行け。」
そう言うと、浦谷は彼らを強引に外に出すと鍵を閉めた。
「・・・俺の、安息を返してくれ・・・もう・・・もういやだ・・・」
心底疲れたふうで、浦谷はそう言ってへたり込んだ。
近いうちに、彼の意識を変革する、重大事がおきるとも知らずに・・・
ぽいぽいと、捨てられるように浦谷さんの部屋から僕等4人は放り出される。
「ちぇー、おっさんのケチ!べぇぇーー」
子供のように舌を出してベーをするガロード君の肩をエッジさんがつんつんと叩き・・・浦谷さんの部屋から頂戴した、醤油瓶を見せる。
「心配するな醤油はいただいたぞ・・・」
「お、流石、忍じゃん!手癖わりぃ!」
「何だか褒めてるのか貶してんのかわかんねけど、ほれ買い込んでいた、食品類も失敬したぞ」
まるで、どっかの時代劇の悪代官と越後屋のような取引がされてるのは、この際無しにして。
「(二人ともあの極悪メタルが呼んだ人なんだよな〜)」
後々で、ちゃっかりインタビューしてエッジさん達の世界(FF4の世界)を一寸わかった。そんで今から、焼いたFF4をやろっと思ってるところ。
研究の為だから、遊ぶ為じゃないからね!
「んじゃな〜、おそうだ!やくとぉ、俺んとこにもFF4やいてくれ」
榊荘に僕がタイ米はたいて開発した、PS2改(見つかったら逮捕物)が配備されてるらしく、ガロード君とこも大作君とこも当然ある。
「あ、やくとさん。私のところもお願いできませんか?」
と、最近越してきた、氷隼ちゃんもさることながら(本職はどうしたの本職は(笑)
「おれんとこも宜しくな!」
「あ、あの・・・エッジさんはそちらの世界の方ですから、別にいいんではないでしょうか?」
「俺もリディアも、来たばかりで退屈なんだ、いいだろ?」
「は、はぁ・・・そうなんですか・・・」
何だか僕の作業工程が増えたような・・・・・・あれを焼くの結構大変なんだぞぉ。
それにこの前のエッジさん達のデータを元にまた新たな対極悪メタル用の武器・・・いんや僕自身が強くならなきゃならいんだから、ちょっと、Y(ヤクト)スーツ一式を改造しないと・・・
また必要経費が・・・掛かるのだ(泣
戦闘員達に働いてもらうか・・・・・・仕方ない。
結果的にまた、あの極悪メタルに僕は助けられてしまったし・・・あいつと連携するのは二度目だけど・・・なぜか、嫌な感じはしなかった。
ああ、だめだめだ、僕はあやつを完膚なきまで叩きのめして厚生させてやるのが目的(既に当初の目的を外れてる)なんだから、こんな事で弱気になってたらだめなのだ!
「あの、どうしたんですか?やくとさん、ぶつぶつ言いながら・・・。エッジさん達もう行っちゃいましたよ」
「え?何処へ?」
「エッジさんが『お前の本拠地を見たい!』って言って、ガロードさんもそれに着いて行っちゃいましたけど。止めた方がよかったでしょうか?」
「って家!?しかもバレバレ!?」
「くすすっ、気がついてないと思ってました?」
迂闊だった、まさかエッジさんはともかく・・・氷隼ちゃんさえも知ってるなんて・・・
もしかしたら、浦谷さんも(知ってません)
「そう言ってる、間にも向ってますよ」
「うがぁぁぁーーーー冷蔵庫が空だぁぁぁーーー!!」
と、浦谷さんの部屋からけたたましい叫び声が響いて、それを聞いた氷隼ちゃんが僕の手を引いて一目散に駆け出した。
「きゃぁぁぁーーー!!」
「うわああああーーー!!」
階段辺りは半分引きずられながら僕は、家へと戻って行った。
その後、ティファさんやリディアちゃんも加えて、Y(ヤクト)団本拠地見学会を勝手にする事になった。他言厳禁という忠告も付け加えて・・・(浦田に以外無理だって)
ああ、これで浸透しちまうでねーベか!街の都市伝説に・・・
その頃
ぱぁぁ・・・
暖かい光が生まれた。
「・・・ふう・・・この感覚、なれないな・・・」
大気丘市の霧島診療所の待合室で、舞から渡された異世界の薬(宝珠のようなもの)を砕き陽介はその光を浴びた。これで、この薬を‘浴びる’のも3度目かと陽介は小さく呟く。
「いやしかし、良薬は口に苦しとも言いますし・・・・・・実際俺が予定していた一ヶ月より早く退院できそうだ」
「傷の方はどう?」
「まあ、胸の傷は何とか。痕が残らないのが幸いですね・・・聖さんもこの薬の事をもっと知りたいと研究室に篭ってますよ」
「それで、診療所の番がポテト・・・・・・」
本来医師の居るべき椅子には、なぜかポテトが陣取ってるのだ。
ちなみに佳乃も、今日は飼育部の仕事をやってるらしく、この診療所はがらがらだ・・・
「浦谷と鮫島・・・・・・二人が連携してギャドーと渡り合った・・・無意識だが、奴等はいがみ合って、お互い分かり合ってきているのかもしれない・・・・・・」
「まだ、解らない。あの二人は・・・・・・」
「そうですね・・・・・・兎に角、この薬を持ってきた異世界の者に、感謝しなくちゃ」
「・・・・・・うん」
あくまで、浦谷には感謝はする気の無い陽介は刀を持って立ち上がるがそこでぐら付いた。
「傷は治れど、体力の方はまだみたいだ・・・」
「もう少し養生した方がいい、『狩人』ももう少し修理が必要だとも佐祐理やドクター結城が言っていた」
「ええ、それに・・・ここでまだ調べなければならない事がありますからね・・・・・・」
「・・・・・・ん?それって?」
「羽の事ですよ・・・」
そう言って陽介は窓から、遠くにあるあの羽のある神社を見つめた・・・
すぐ先にあるのが絶望か、未来へ向う希望があるのか・・・・・・どちらか・・・
その時、舞はまったく別のことを考えていた。
「あの後のハンバーグ・・・美味しかった」
そんな事を考えているとは陽介も想像は付かないだろう・・・
その頃、宇宙では・・・
ギャドーは一人それを見つめていた。
黒い傷跡。
かつて、彼が滅ぼした惑星で一人の「忍」が彼につけた傷跡だった。
彼はこう言った。
先読みの力を持つ彼は「異界の忍が我に代わり貴殿を討ち滅ぼす。その光は二つ・・・後はご自分で考えられよ。」と遺して世を去った。
「クク・・・彼の者がそうか・・・この傷を見ねば、忘れたままで居るところだった・・・クク・・・」
薄い笑みを浮かべ、その傷を服で隠すと盛大な笑い声を上げた。
「ハーァハッハッハッハッハッハッは・・・・!そうか・・・そうか、貴様が拙者の飢えを満たすものでござるか・・・!!」
笑いはひとしきり響くと、唐突に収まり。
そして、闇が落ちた。
続く。
あとがき@浦谷
血迷いますた。
ファイナルファンタジー4知らないと、一切理解できないこの内容。
一言言うと、このウラタンダーは、どこまで言っても、いくらシリアスになっても、あくまで拙者とY(ヤクト)団首領。殿のお遊びに過ぎぬ、と言うこと理解していただきたく存ずる・・・
切腹!
ちなみに、最後の「お兄・・・」のくだりは、蒼藤葵殿の要望を少し改変したものです。
決して、私は妹属性などではありません。
義理の妹にも萌えません。
拙者は何でもアリですが、反面何でもナシなのです(謎
月姫一番萌えは琥珀さんだし。Kanonでは真琴、Airでは美凪さん、第二次スーパーロボット大戦αではクスハたんとアイビスたんが同列、大正もののけ異聞録(マイナーだな、オイ)では鈴音さん、GジェネNEOではレイチェル=ランサムちゃん。
・・・あげればキリないけど、見事に一番萌えの属性がばらばら。
強いてあげれば、古風な言葉遣いで若いけど実は年取ってる、ってタイプが萌えかな。
先にあげた鈴音さんとか、ワイルドアームズ2ndのマリアベル様とか(汗
次点でAirの神奈様も居るな。いまだにあの方の年齢知らない。
あ、サモンナイト2のユエルたんとか、月姫の晶ちゃん、東鳩のあかりちゃんみたいな犬チックも萌え。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・ハッ?!
・・・何こんなところで、自分の萌えるツボを披露してるんでしょうね?
駄目人間ハケーン!
(妹萌えの人、すいません(汗))
間違えて見た人は、見なかったことにしてくださいね♪
シュワッチュ!!
そんで私(Y(ヤクト)団首領。)の後書きです。
こ、今回陽介の出番はこれだけだ!
次回はどうするのか?ふふーん、いい質問だ・・・
さっぱり考えてないのが正直な感想だべ!
幹部クラス3体くらいSUPに殴りこませようか?
そこんとこ、竜さんどうでしょう。
んじゃw
次回をおたのしみに