信州大学噂の巨大地下通路

〜 長野県松本市信州大学旭キャンパス 〜

member
出たトコ隊長 伊藤 顕
切り込み隊長 佐藤和哉

◆ 噂(うわさ) ◆

 最初にその噂を耳にしたのはいつの頃だっただろうか。それはたしかあの「松本サリン事件」の頃だったように記憶している。
 発生から数年過ぎた今でも全国にその名が知られている「松本サリン事件」の現場は大学からそう遠い所ではない。実際多くの学生がその被害を受けている。
 自分はとくに被害を被ったわけでもなかったが、その数時間前まで現場から100mほどしか離れていない市立図書館にいて、被害の出たあたりを自転車で帰っていったのだから、まったくの他人事でもなかったはずなのだが、さしたる危機感を持っていたわけでもなく、テレビに映った野次馬の中にだれそれがいたとか、そういう他人事のような雰囲気が周りの大半を占めていた。
 ただそんな中でも、死者が出たマンションに住んでいた同級の生々しい、それでいてどこか他人事のような「今日家に帰れそうにないよ」という言葉が妙に印象に残っている。

 当時オウムの影は全くといっていいほど見受けられず、事件は関係のないところで様々な噂や憶測が囁かれていた。その噂の一つがこの話のはじまりとなる。

「信州大学構内に、巨大地下通路がある」

 なにを馬鹿な、誰もがそう思っている。かくいう自分も当時はそう思っていた。
 今でもその存在を知らない者がほとんどではないか。あるいは噂くらいは聞いたことがあるものがいるかもしれないが。
 そんな噂よりも、当時「松本毒ガス事件」と呼ばれていたこの事件の謎に対する噂としては、かつてこの一帯にあったという旧日本陸軍の基地と、その化学工場の遺物が何らかの拍子で地上にあらわれたのではないか、という噂のほうがよほどもっともらしかったし、実際そのような噂があるという報道まであったのだった。

 

◆ 扉の向こう ◆

扉の向こうは、どこまでも左右に続く、
暗くて埃っぽい狭い通路だった。(写真(1))

 大学の図書館裏の側壁に、扉があった。
 そしてその扉が、少し開いていた。

 信州大学の松本キャンパス(通称旭キャンパス)は緩やかな斜地に立地しており、各校舎はちょうど段々畑のように、均された大きな段の上に立っている。だからたいてい校舎の裏は3mほどの段差の側壁になっている。
 だからその側壁の向こうは当然、
 地面のはずだった。

 しかしその側壁にどういうわけか扉があり、そしてこれもどういうわけか扉がわずかに開いていた。
 もしかしたら倉庫にでもなっているのだろうか。
 なんだかまずいものを見てしまったような気もしたが、見つけてしまったからには確かめずにはいられない。心なし悪いようなことをしている気がして、こんなところ誰も来ないとわかっていながらも、周囲を気にしながらおそるおそる扉を開いた。
 真っ暗で何も見えない。例によって常時携帯している懐中電灯を取り出し、中を照らし出してみた。

 扉の向こうは、どこまでも左右に続く、暗くて埃っぽい狭い通路だった。

 

◆ 巨大地下通路 ◆

 < …どこまでも続くと錯覚するような >
 < 先の見えない天井の低い通路を、左に向かった。 >
 < ふいに足元に深い穴があいているのに気がついた。 >
 < もしこれに気づかずに落ちて動けなくなったら >
 < 助けが来る可能性はほとんど0ではないかと思われた。 >
 < 誰が人を探すのに、地面の下を探すというのだ? >

 

 このあとの我々の行動を全て書くつもりはない。その巨大な地下通路は学内の全ての建物の床下へと続き、中には床下から建物内部へ侵入する階段を持つものもあった。
 どうやらこの通路は、電気、ガス、水道等を学内に供給するための共同溝らしいと気がついたのは後になってからのことである。
 そう言えば学内には電柱がない。地面の下に埋まっているのだろうとはなんとなく予感していたが、まさかこのような巨大な地下通路になっていようとは…
 ちなみに、工学部のある長野キャンパスでも同様の地下通路があることが判明している。案外、どこにでもある非日常の空間なのだろう。


それは巨大な地下通路だった。(写真(2))

 

 < …緑色の明かりが見えた。 >
 < それは、ひと気のない夜の病院の >
 < 非常口の明かりの緑をおぼえた… >

 

 それは巨大な地下通路だった。最初はどこか建物の中に出たかと思ったほどだ。印象としては建物の中にある機械室などにきわめて近い。
 大きなところでは幅、高さともに3mほどはあろうか。
 何より電気がついていて、ご丁寧に電工標識まである始末!
 普段なにげに歩いている道のすぐ下に、ほんのすぐ上で生活しているにもかかわらず、全く気がつくことのない別世界が広がっていた!

 その後数回の調査を経て、この地下通路が作られた年代によって2層ないし3層の構造を持っていることがわかっている。
 その調査の成果の一つが下の地図である。
 地下通路にいる限り正確な位置をつかむことは困難なのだが、数ヶ所ある出入り口と床下の構造から、このようになっていると思われる。
 しかしこれも完全ではない上に、階層構造を表現できていない。未調査の部分も多くあり、もっと広がりを持っていると思われる。


 

 街を歩くと、時々見かける。

写真(3)

写真(4)

 見覚えはないか?
 地面の入り口に見覚えはないか?

2000.12.01 Itoh Akira


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