何気ない日常
あの激闘の日々より数ヶ月。
戦禍も収まり、すっかり平和に戻っている。
今、再びリィンバウムに新たな波風が立とうとしていた。
「……おはよう」
寝ぼけまなこをこすりながらマグナが食卓につく。
「もうすぐこんにちは、になるんだが」
開口一番にネスティが皮肉を言う。
もちろん口調は本気ではなく、半ばあきらめが入っていた。
「そろそろ本当に朝食抜きにしたらどうだい。アメル?」
やれやれといった感じでため息をつくネス。
「うーん。今のままだとそうなりますね」
マグナの朝食の準備をしていたアメルが苦笑しながら肯定の意を示した。
「……努力します」
2対1では勝てないとわかり、マグナが白旗を揚げる。
すでに太陽が高く照っている時間に起きたマグナには反論できるはずもない。
とりあえず素直に降伏して朝食をとることにした。
「ごちそうさまでした」
食事を終えたマグナが集まっている一同を見回す。
しかしそこにも探している人物はいなかった。
「誰か探してるのかい?」
目ざとく気づいたモーリンがにやけながら尋ねた。
「いや、そんなんじゃないけど……ハサハ知らないか?」
君が一番知ってるんじゃないのか?と言いかけたネスティだが、
マグナの近くにハサハがいないのを見て言い止る。
「朝からいなかったんでここにいるかと思ったんだけど」
ぽろっとマグナが漏らした言葉に反応したのは。
「あっ、あ、朝からって……マグナさん!?」
何を勘違いしたのか、瞬時にアメルが赤面した。
動転のあまり呼び方も昔と同じ"さん"付けに戻っている。
「ごっ、誤解だアメル! いつもハサハが起こしに来てくれるだけだ!」
ここでマグナは真実を口にしなかった。
実際はおはようのキスをしてくるのだ。
それもそれで問題ではあるが。
「いつも!? いつもなんですか!?」
さらに噴火するアメル。
こうなるともはや手遅れに近い。
背中に羽が見えたりするのは気のせいだろう。
「はぁ……また始まった…」
二人のやりとりをネスティ達はしばらく呆れて眺めていた。
そのころ、当のハサハは街へ出ていた。
行く先はメイメイの店。
以前マグナに連れて行ってもらったときのことを憶えていたのだ。
そして手にはもちろんお酒。
割らないようにしっかり抱えていたりする。
そうしているうちにやがて目的地が見えてきた。
店の前の看板には新たにこう書かれていた。
『悩み・相談受付けます』
それを見て意を決したようにハサハは店内へと足を進める。
「にゃははははは!いらっしゃーい!」
午前中なのに異様に高いテンションにハサハが後ずさる。
奇怪な笑い声を上げてメイメイが奥から出てきた。
「あらら可愛いお客さん。なんの御用かな?」
どうやらメイメイはハサハを忘れているようだった。
最初に見たときもマグナの後ろにいたから仕方が無い。
「…かんばんのこと…」
それだけ言うと恥ずかしそうにうつむくハサハ。
「ほうほう、なるほどわかったわ。こっちへいらっしゃいな」
ハサハを連れて奥の座敷へ向かう。
「で、どういう用件かしら。お姉さんにどーんと言っちゃいなさい!どーんと」
ハサハに椅子を勧めると、
大きく張った胸を叩く動作をしながらメイメイが促す。
「……………。(ぼそっ)」
頭の上の耳まで真っ赤にしながらハサハが声を絞り出して言った。
「ずっと一緒にいられる方法? ……そうねぇ。手軽なのはアレかな?」
「……あれ?」
「相手の人は、責任感とか強いほう?」
「……………。(こくん)」
「それならオッケーね。ちなみに効き目の程は、結婚よりも凄いわよぉ〜」
「けっこん……より?」
「キセージジツってやつ? にゃははははははは!!」
ハサハは自己完結して笑い出したメイメイに狂気を感じた。
「ごめんごめん。で、その方法とやらだけどね。これを見て勉強しなさいな」
どこから出したのか、持っていたノートを手渡す。
受け取ったハサハに続けて耳打ちした。
「きめ台詞は………よ?」
メイメイの言っている意味がわかっているのだろうか、
ハサハは素直に聞いている。
「……これで……ずっといっしょにいられるの?」
メイメイの講義(?)を受けたハサハの瞳には、意志の光が宿っていた。
その声には熱がこもっており、力強い。
「もちろんっ! 万事OKよ。にゃはははははっ♪」
と、メイメイが再びハサハを見たとき、すでにその場にハサハはいなかった。
一人残されたメイメイとテーブルに置かれた瓶。
「こっ、これは!?『鬼殺し』じゃないの!」
鬼まで酔ってしまうくらいの度数を誇る酒だ。
いつもへべれけのメイメイが欲しがらないはずはない。
「にょははははははははははは♪」
その日、メイメイの店からはさらに奇怪な笑い声が一日中聞こえてきたという。
夕方、日も暮れようかという頃にようやくハサハが帰ってきた。
玄関で待っていたマグナが優しく出迎える。
「でも、どうしてメイメイさんの店に行ってたんだい?」
帰ってきたあとにハサハは皆に正直に話した。
ただ一つ、メイメイの店に行ったところの詳細を残して。
「あれ、マグナは知らなかったのかい? 新しいこと始めたそうだよ」
モーリンの言ったことはマグナにとって初耳だった。
なんでも占いとは別に、悩みや相談事とかも請け負っているらしい。
それにしても、だ。
ハサハがそこまで思いつめていたなんて。
気づいてやれなかったマグナは自分を責めた。
「ごめんなハサハ。俺が気づいてやれなくて……」
その日の夕食の後。マグナはハサハの部屋にいた。
マグナとしては今朝のことで注意をしたかったのだが、
部屋に入ったとたんにその気持ちも萎えてしまった。
「……おにいちゃんは、わるくないよ?」
マグナの元気がないのを見て、不思議そうに首をかしげるハサハ。
「いいんだよ。それより、もう心配させたらダメだよ?」
言いながらハサハを抱き寄せて頭を撫で撫でする。
ハサハも気持ちよさそうに身を任せていた。
「なあハサハ……って寝ちゃってるしなぁ」
しばらくたってマグナが声をかけると、可愛い寝息が聞こえてきた。
一人で街を歩いたことで疲れたのであろう。
「起こすのもかわいそうだしな」
小さなハサハの身体を抱き上げてベッドまで運ぶ。
安心しきった寝顔はまさに幸せそうだった。
「……おにいちゃん……だいすき……」
起こさないように部屋を出るときにハサハの寝言が聞こえてきた。
「また明日な。ハサハ」
応じるようにマグナは声をかけて部屋を出た。
その足でそのまま自室へと向かっていった。
彼は知らない。
「また明日」ではなく、今日だということを。
もちろん、マグナにそれを知る術はなかったのだが。
惜しむべきはハサハが持っていたノートに気付かなかったことだった。
次の朝。
昨日と同じ時刻。
マグナは妙な違和感を感じて目を覚ました。
「マグナ、起きてますか?」
部屋の外からアメルの声が聞こえる。
マグナを起こしに来てくれたのだろうが、今は違和感の方が先だった。
…なんか微妙に暖かい。
…しかも胸元から寝息が聞こえる。
…まさか。
嫌な予感と同時に慌てて布団から転げ出る。
するとそこには、予想通りの光景があった。
マグナが出た布団が、未だ盛り上がっていた。
それこそ誰かがいるように。
「ハサハ……また潜り込んでるな…」
以前にも全く同じことがあって、そのときに注意しておいたはずだったが。
また俺の布団に入ってきていたらしい。
「マグナ起きてる〜?」
まあ以前もあったことだし、アメルも怒りはしないだろう。
とマグナが安心したときだった。
「……ふにゅ……。」
ちょうどハサハが起きた。
もそもそと動いて布団から顔を出す。
「おにいちゃん……おはよう」
「ああ、おはようハサ…」
そのときマグナは凍りついた。
布団から覗いたハサハの顔は成長していたからだ。
そう、メルギドスとの戦いの前後で見たあの姿。
(ま、また俺の魔力に反応したのか)
(しかし一晩近くにいただけで…)
(まさか、添い寝するたびに蓄積していた魔力が今朝になって…)
(や、やばい。さすがにアメルは怒りそうだぞ)
次の瞬間。
マグナは更に、再び凍りついた。それこそ永久凍土のように。
部屋の床に、ハサハが脱いだと思われる着物が畳まれていた。
丁寧に畳まれた着物の上に、宝玉がちょこんと乗っていた。
マグナは床の上の着物と、きょとんとしているハサハの顔を交互に見つめる。
口がパクパクしているがけっして酸欠ではない。
(…………マジですか?)
「あ、あの、ハサハ? 服、着てる?」
ハサハはマグナの質問に、首を横に振って答えた。
それを確認したマグナはしばらく、そのまま固まっていた。
「開けちゃいますよ〜」
アメルの声でハッと我に返るマグナ。
しかし事態は好転していなかった。
むしろ悪化していた。
布団の中から顔だけ出していたハサハが、上半身を起こしていたのだ。
もちろん、肌もあらわという状態である。
それなりに発達している乳房が見え隠れする。
(ご先祖様。今そこにいけるかもしれません…)
マグナが今生の別れを告げていたころ。
部屋の外では。
「どうかいしたのかい、アメル」
「ネスティさん。起きているようなんですが……返事がないんです」
「よーし、あたいに任せなって」
ちょっとした人だかりが出来ていた。
「よし、開けてみよう。って鍵が開いてるじゃないか」
「不用心ですね」
ガチャッとノブを回してドアを開く。
先に入ったアメルが顔を赤らめて叫んだ。
「まっ……マグナさん!やっぱり!」
「…君は馬鹿か? 護衛獣相手に何をやってるんだ」
「ありゃりゃりゃ」
アメル・ネス・モーリンが口々に叫んだり、感想を述べたりしている。
「待ってくれ!これも誤解だ!!」
メルギドス戦でも見せなかった必死の形相でマグナが弁解を始める。
しかしそれも長くは続かなかった。
それまで黙っていたハサハが、口を開いたからだ。
「せきにんとって、ね? おにいちゃん」
今度はネスたちが口を開く番だった。
アメルにいたっては完全に停止していた。
先ほどまでの剣幕は見えない。
やがて、ハサハ以外が止まってしまった部屋に皆が集まりだした。
「まぁ良いじゃない。ルウは別に気にしないから」
「うんうん。……で、どうだった?」
「フォルテ!あんたって奴は!(ぼこっ!)」
「若い頃には、色々あるもんだ」
「レナードさんも静観しない!」
(……誤解なんだって…)
その後、マグナが行く先々でからかわれたのは言うまでもない。
「僕は、お兄さんが誰を好きでもかまわないよ」
「あらあら、マグナさんはそういった趣味をお持ちなんですか?」
瞬く間に広がり、蒼と金の派閥の間で持ちきりにまでなったという。
「…これで……おにいちゃんとずっといっしょ、だよ?」
おわれ
あとがき
いやはや、なんといってもサモンナイト2クリア記念!(だからどうした
すぱっと一日で書いたので骨組みもなーんもありませんでした。
ただ勢いで突っ走ったらこうなってしまい、反省してます。
でも満足です。結婚の約束とかしてるあたりが………
まだ一周しかしていないので二周目頑張ります(SS書けよ
次は…モーリンですね。攻略できないキャラがいるのが残念無念。
月姫SSを書いてたのに、勢いで先に書き上げてしまいビックリ。
恐るべきサモンナイト2。SRPGをやっていなかったせいか、大ハマリ。
最後にやったゲームが「カードオブディスティニー」な俺は駄目ですか?
話を戻しますが、個人的に好きなキャラ順は……
ハサハ>ミニス>モーリン>ケルマ=ファミィ=レナード=パッフェル>その他>アメル
ちなみに芋が一番嫌いです。
ていうか話的に芋女とくっつけようとしてるのが……なんで?
何度「芋なんて放っておいてくれ!俺はハサハとハァハァしたいんだ!」と言ったことか…
それと自分は脇役キャラが好きな傾向があるので、ケルマ・ファミィ好きなのは勘弁して(獏
忘れた頃にケルマSS書いてるかも……もちろん18キーンで!(マテ
なんつってもハサハはもちろん可愛いが、成長後も凄くイイ!
一粒で300メートル走れるよヲイ!(謎
あとサモナイって思ったより801が多くて……鬱です。
別にやおいに抵抗はないのですが……ノーマルより多いのには驚きました。
マグハサ万歳!まんせー!大人ハサハまんせー!
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