日本の印象と中日関係について

──陳健大使に聞く

賀雪鴻

 過ぎ去ってゆく旧正月の歳暮も押し詰まった日に、記者は日本駐在中国大使官邸に陳健大使を訪ねた。復旦大学を卒業し、国連駐在中国次席代表、外交部部長補佐および外交部スポークスマン等数々の要職を精力的にこなしてきたベテラン外交官陳健氏は、昨年六月末に大使として日本着任後、各界から注目されている。陳大使は大変意欲的にインタビューに応じ、日本の印象、中日関係および日米両国間の共通点と相違点などについて語ってくれた。以下は対談の内容である。

 日本の印象について

 記者 大使、日本に着任してもう一年半になりますが、日本という国に対する全般的な印象はいかがですか。

 陳健大使 まず最初の印象は自然環境が素晴らしいということです。ですから、初めて日本の方に「日本はどうですか」と聞かれた時、私はすぐ、「日本の人は自分の環境をとても大切にしますね」と答えました。東京の町を歩くと、至る所で緑が目につきます。でも、他の国の駐日大使の話によれば、以前は決してよくはなく、大気汚染もひどかったようです。ここ二十年余りの間に、日本人の環境保護意識が高まるにつれて、環境は大きく改善されました。ところが、時として日本人は執拗なほど自分のものを大事にするように見えることがあります。皆住み慣れた家を守り、なかなか都心から離れたがらないそうです。そのため、東京はますます人口が膨れあがり、狭く立て込んでいます。アメリカのニューヨークと比べると、スケールとして大都会の雰囲気が少し欠けるようですね。

 もう一つ目立った印象は、日本人は外来文化の模倣、保存と発展にたけているということです。私は京都と奈良に行ったことがありますが、京都の町造りや一部の建物、奈良の唐招提寺などのお寺には、中国の隋唐の時代の風格がほとんど完璧な形で保存されています。ところが、中国では、時代が移り変わるにつれて、こうした木造の隋唐風の建築物も今ではあまり見かけられなくなりました。

 日本人は中国文化を学び、吸収すると同時に、中国文化を発展させることに意を尽くしてきました。お箸を例にとってみても、二千年来中国の箸は変化がありませんが、日本人は箸の端を細くし、フォークとしても使えるようなとても便利なものに変えました。十数年前に初めて訪日した時、友人への土産にお箸を買って帰りました。日本は中国やその他の国から学んだ外来文化を大事にしてきました。しかも、保守的ではなく、日本人の手により多くの外来文化を伝承し、発展させてきました。もちろん、日本は古代において中国を模倣し、近代において欧米を模倣しながら、自らの発展を促す面で目に見える成功を収めると同時にいくつかの問題ももたらすことになりました。例えば、現在日本でかなり話題となっている「独立性の欠如」の問題はその一例です。最近日本の首相が任命した賢人委員会は百三十数ページに及ぶ「二十一世紀の日本の構想」というテーマのレポートを提出しました。その中で人々の「自立、創造」の意識をはぐくむことを打ち出すとともに、それを日本社会の新しい世紀における目標としました。

 このほか、日本人は非常に礼儀を重んじ、この面では非常に細かいことにまで気を配っています。これは日常の贈り物と返礼の場合もそうです。もちろん、これらの礼儀はもともと中国から伝わってきたもので、そのルーツは孔子が編さんした『周礼』に溯ることができます。日本人は中国の古代の礼に新たな「装い」をこらして、いまの日本独特の「礼儀」になっているのだと思います。

 また、日本人の真面目さにも、私は敬服しています。

 ドイツ人は真面目だと聞いたことがありますが、残念ながら、ドイツ人の真面目さを実際に拝見する機会には恵まれませんでした。しかし、私は日本人の真面目さを目のあたりにしたことがあります。昨年初めのことですが、日本人に大使館の芝生に殺虫剤をまいてもらいました。その時、まず白い粉で芝生をいくつかの区画を区切り、そのあと一つ一つの区画に殺虫剤を噴霧したのです。このやり方の利点は一本一本の草についた虫を余すところなく、殺せることです。それを見て、私は日本人の真面目さに頭が下がる思いでした。

 しかし、一方、日本人はときには真面目すぎ、礼儀にこだわりすぎるきらいがあります。例えば、おみやげの包装は往々にしてシルクや紙箱、木箱、またきれいな色紙や布で幾重にも包み、ややもすると、包装費の方が中身の値段より高くついてしまうような気がするのです。しかも大量の木材などを浪費することになります。これについて、私は日本の友人に話したところ、たしかにその通りだと言ってくれました。そして、日本人は余りにも礼儀を重んじ、面子(メンツ)にこだわり、人と争うことを好まず、そのため、多くの社交活動は往々にして形式的なものになり、名が多くて実が少なく、時には長時間のあいさつをしてから本題に入ることになるのです。これはテンポのはやい時代において、まったく、あるまじきぜいたくだと思います。

 日本についての全般的な印象はアジア文化圏の雰囲気が非常に濃厚だということです。日本人も黄い皮膚、黒い髪、黒い目であり、どこへ行っても漢字が目に入ります。行くさきざきで、中国の古代文化の影響が感じられます。違うところは、日本人が自分なりのやり方で中国の伝統文化を発展させたことです。感覚的な言い方をすれば、中国の門戸からは出てはきたが、アジア文化圏から踏み出していないのです。これは、私がもともと想像していたのとはちょっと違います。

 日米両国間の共通点と相違点

 記者 陳大使は国連駐在中国大使として、長年アメリカで生活した経験がおありですので、アメリカに対し、深い理解と認識をお持ちだと思います。そこで、同じ先進国であるアメリカと日本の間の共通点と相違点について伺いたいのですが。

 陳健大使 一般的に言えば、中国の立場から見ると、アメリカと日本との共通点は見い出しやすいと思います。私は仕事で十数年もアメリカで暮らし、今度初めて長く日本に滞在することになったので、普通の人々よりは、アメリカと日本の相違点に気づきやすいかも知れません。しかも、この相違点はかなり大きいと思います。

 政治制度から見れば、日本とアメリカは三権分立と多党制を実行し、経済的にはともに市場メカニズムで動いていますが、同じように見える表の顔の下には、深層の相違点が大きく横たわっているのです。とくに、その市場メカニズムと資本主義の表現形態と奥深いところに含んでいるいくつかの意味は、両国の間でずいぶん違うと思います。

 アメリカの市場メカニズムは純粋かつむき出しの個人主義、個人の利益、個人の奮闘 、オープンな競争の基礎の上に築き上げられたものです。それに対し、日本は集団を比較的重んじ、家庭、会社、社会、社会の集団利益と全民族の利益を強調しています。そのため、一部個人の独創性や個人の奮闘精神が犠牲になっているようです。この面で、日本とアメリカの差は大きいと思います。よく日本の会社の社長から、「社会がどんなに困っても、人員削減はしません」と誇らし気に言われます。ある意味で、これは終身雇用です。一生涯ただ一つの会社で働いている人も多くいます。私がお会いした日本の会社の役員は、略歴に目を通すと、ほとんどすべてが一生涯一つの会社に勤務し、一歩一歩と出世してきた人たちなのです。このようなことはアメリカではほとんど見られません。日本の企業のこのような会社内部においてキャリアを重んじ、規律を守ることを重んじ、連帯と協力を重んじ、外部の関連企業に対しては、主客の関係をともに配慮することに気をくばり、お互いに利益を分け合うようにし、相対的に安定した需給関係を守り、集団の力で、国際市場で競争をくりひろげてきました。これは一時期成功した「日本の企業文化」とたたえられました。特に、八〇年代の日本経済の高度成長期に、アメリカは圧力と脅威を感じ、日本人がアメリカの企業を押しつぶすか、食いつくすのではないかと、心配しました。しかし、九〇年代になると、日本の経済はバブル経済の崩壊の影響を受けて、低迷を続けました。それに対し、アメリカの経済は相対的に言えば、速い発展ぶりを見せました。この時期に、世界では日本モデルを否定する向きが強かったのですが、私はやはり一が分かれて二となるというか、二つの側面を見るべきだと思います。最近、日本経済の回復につれて、日本モデルを堅持すると同時に調整する必要があるという声が大きくなっています。

 このほか、政治制度について言えば、両国の基本的体制は同じですが、日本は戦後、アメリカ占領軍によって改造されました。しかし、その運営方式はアメリカと同様のものではありません。アメリカの場合は実力が伯仲する二つの政党が互いに競争したあと、ホワイトハウスかあるいは議会に入る。双方はともにオープンに競争した結果を受け入れています。日本の政治制度はまだ変化が続いていますが、長い間にわたって、主として支配集団の上層部の話し合いの体制がとられてきました。特に自民党一党が与党であった頃は、ずっと党内の異なった派閥の間の話し合いと勢力のバランスをとる中で内閣と閣僚が生まれていました。これは一種の政治利益のバランスをとることによって、自分たちの階級の集団支配を実現するやり方です。

 人々は一般的に、日本のイデオロギーと価値観は西側と同じだと思っていますが、私は完全にそうだとは思いません。日本には西側の価値観も一部あれば、東洋の伝統的な価値観もあります。この二つの側面は補い合い、結び付き合って、日本特有のイデオロギーと価値観を形成しています。

 中国は日本に何を学ぶべきか

 記者 中国国内では、市場経済は欧米文化から生まれたのであり、日本が今日のような発展をとげたのも欧米から学んだ結果なので、日本に学ばなくても、直接西側の市場メカニズムを中国に導入すればいいと考える人がいますが、このような認識をどうお考えですか。

 陳健大使 私はある経済モデルあるいは経済体制を完全にある国、あるところからそのまま導入してくるのはよいことではないと思います。もとからの自分の伝統を失ったら、外来のものは根づきません。外来のものは自国の伝統と結びついてこそ、うまくいき、幅広く受け入れられるのです。この面で、日本は成功の経験があると言うべきですね。戦後、欧米で成功した市場経済の原理を、本来封建体制を基礎とする日本で運用し、日本は五十年で大きな発展をとげました。これは日本と西側とうまく結合した比較的良い一面です。この意味で、日本の成功には、われわれが参考にし、学ぶべきところがあります。

 第二に、ある国が欧米の市場経済を学ぶ際には、自国の伝統的な文化や価値観、体制と結びつけるだけではなく、同時に、自分のもともとの伝統と合わない部分を止揚しなければ、完全に結びつくことはできません。この面で、日本は完全には止揚し切れていないと言えるでしょう。そのため、日本は過去の一時期に欧米に追いつくことに成功しましたが、現在大きな困難に直面し、十年の調整を経ても、まだ低迷から脱却することができないでいます。中国は日本のこういう経験を戒めとして教訓を汲み取るべきだと思います。つまり、市場経済メカニズムを導入する時、われわれの制度と文化的伝統の中の有用な核心部分を保持し、それに適応できない、核心ではない部分を大胆に止揚しなければならないのです。

 第三に、日本はやはり中国に非常に近く、そして東洋文化の基礎を持っていますから、日本を通して市場経済を学ぶのが直接欧米から学ぶより便利です。中国でよく言われる「拝借主義」という言葉を借りて言えば、比較的「拝借」しやすい。これは今に始まったことではありません。二十世紀初め、われわれは西洋文明を学ぶ時、たいがい日本というルートを通したのです。私が言う西側とは資本主義の西洋だけではなく、共産主義の西洋も含んでいます。マルクス主義も西洋で生まれたのです。中国の最初の『共産党宣言』はドイツ語から訳したのではなく、日本語から中国語に翻訳したものです。近代の中日両国の往来から見れば、二十世紀以降、日本は過去も今も中国が西洋文明を学ぶための掛け橋であり続けています。

 記者 中国が学ぶべき日本の長所をもう少し話していただけませんか。

 陳健大使 中国人の伝統の中には、アメリカ人に似ているところがあります。それは個人の奮闘精神です。この点はとくに国外にいるとよりはっきり見てとることができます。過去の一時期、特に「文化大革命」の中でこれはかつて否定されました。海外にいるアジア人の中で、もっとも結束しているのは韓国人であり、次が日本人で、最も弱いのは中国人です。中国人は、アメリカ人の個人的奮闘を学び、それをもととして、市場経済を発展させることはわりにたやすい。ところが、こうしたやり方は偏ったものになりがちです。それに対し、日本人は企業文化、集団精神を重視し、集団の凝集力を増強することを重視します。これは、中国が市場経済を進める時、学ぶべきものです。その利点は一時期的で、短期的な経済効果ばかりを目指すのではなく、長期的な発展目標に目を向け、しかもともに発展をとげ、社会の安定を図ることに役立つのです。

 好感度低下の原因

 記者 中日両国は一九七二年に国交正常化を実現した後、一時期「中日ブーム」が現れました。その後、いろいろな原因で、両国間に問題が起こり、両国関係はある程度阻害され、影響を受けました。近年行った両国民に対するアンケートによると、どちらも相手国に対する親近感と信頼度が低下しています。こういう現象をどうお考えですか。その原因は何だと思いますか。

 陳健大使 その中にはさまざまな直接的な原因があります。しかし、これらの直接的な原因はもっとも根本的原因ではないと思います。根本的原因は両国の国際環境に変化が生じ、両国の相互関係に変化が生まれたことにあります。七二年に中日国交正常化が実現した時、日本は比較的に成熟した先進資本主義国になっていましたが、中国は当時、まだかなり貧しい発展途上国でした。そんな情況の下でも、毛沢東主席と周恩来総理は対日活動を非常に重視し、日本からの戦争賠償要求を放棄しました。こうした背景のもとで、両国は国交正常化以降、政治的とびらを開き、あらゆる面で再興を待つ中日関係はいっぺんに各分野で活発になり、二十余年の交流により、両国関係は全面的に大きな発展をとげ、比較的に成熟したと言えるでしょう。目下、模索、開拓できる新たな分野はそれほど多くはありません。

 それと同時に、両国の相互関係にも変化が生まれました。日本は経済大国から政治大国へ進み、国際的に、地域的にもっと役割を果たそうとしています。中国は国連常任理事国で、世界中でもっとも人口が多く、国土面積が広い発展途上国として、だんだんと経済的に繁栄した先進国を目指す道を歩んでいます。ですから、二十一世紀には、東アジア地域に、中国と日本という「二強」が並存する局面が現れるでしょう。これは二千年以上の歴史の中で、未曾有のことです。歴史上、中国が強大で、日本が中国に学んだ時期があります。近代になって、日本が強大になり、中国が日本に学ぼうと思っていたが、かえって日本にいじめられるという時期となり、二強並存はありませんでした。現在、両国関係が直面している問題はどのように二強並存に対処し、ともに発展するかということです。解決しなければならないのは、互いに相手をアジアの平和と安定を擁護する積極的な要素と見なし、経済協力の主なパートナーとして見るべきです。これは二十一世紀に、中日両国人民が友好的感情を築き上げ、発展させるための新たな基礎です。この面の客観条件は備わっていると思います。現実から見れば、中国であろうと、日本であろうと、どちらも平和で安定した周辺環境を必要とし、ともにアジアで両国間あるいは多国間の経済協力を必要とします。こうすれば、二十一世紀の国際競争の中で、欧米のように有利な立場に身を置くことができるでしょう。そのため、両国は歴史を鑑(かがみ)とすることを基礎に踏まえて歴史的な葛藤を乗り越え、相互に理解し合い、相互に信頼し合う互恵協力の密接な関係を樹立すべきです。そうした関係に到達するには、双方の政治家が思い切って大胆な歩みを踏み出さなければなりません。

 存在する問題

 記者 中日両国にはまだ何か問題があると思いますか。そしてこれからどのようなより現実的な努力をすればよいのでしょうか。

 陳健大使 現実から見れば、双方ともに問題があると思います。日本は、二十一世紀の地域情勢について、アジア地域には三つの潜在的な不安定要因があると、分析しています。第一は朝鮮半島、第二は台湾海峡、第三は中国の未来の行方だと考えています。このいわゆる三大不安定要因の中の二つは中国にかかわっています。しかし、日本は、中国の発展と強大化がアジア地域の平和と安定に有利であることを見取っていません。台湾問題について、われわれはまず、平和的に解決しようと主張しています。しかも、この問題の解決そのものが地域の平和と安定に役立つのです。中国の行方については、改革・開放以来の二十年の成果そのものが、改革・開放という道を引き続き歩むことこそが中国人民全体の利益に合致しているものであることを示しています。この道は後戻りすることができません。日本は中国が発展し、強大になることに正しく対処すべきであります。

 中国の立場から言えば、第二次大戦後、日本がその戦争中、中国とその他のアジアの国々を侵略した歴史を、徹底的に、深く受け止め、さらに全面的に国民全体の共通認識として総括し、反省するということをしなかったため、日本国内でたえず、「南京大虐殺」を認めないような、右翼分子が中国侵略の歴史を否定する逆流が現れてくるのです。そのことにより、中国人民は、日本が再び軍国主義の道を歩まないか、再び中国とアジアの人民の脅威になるのではないかと、疑わざるをえなくなりました。これは、中日両国が二十一世紀の二強並存の枠組みの中で、互いに相手を積極的な要素と見なし、協力すべきパートナーと見なすことを妨害するかぎとなることです。ですから、双方は問題を適切に処理し、意思の疎通をはかり、理解を深め、相互信頼のパートナーシップを築き上げるべきです。

 「中国脅威論」

 記者 日本では、中国が強大になると、日本にとって脅威になるだろうと懸念する人がいます。つまり、いわゆる「中国脅威論」です。しかし、この言い方は最初アメリカで言われ始めたそうです。一九九四年、アメリカのワールド・ウォッチ研究所長レスター・ブラウン氏は『ワールド・ウォッチ』誌で、「誰が中国を養うか」と題する研究報告を発表し、その後、またこのテーマで本を書いて、西側で大きな波紋を投げかけました。ブラウン氏の見解が正しいかどうかは別として、私の理解では、それは、将来中国が食糧を自給できなくなり、世界の脅威になることを心配するブラウン氏の個人的な意見だと思います。それは日本の「中国脅威論」の意味とは違うようですね。

 陳健大使 「中国脅威論」の提起は最初、確かに日本ではなく、アメリカでなされたのです。初めは食糧の角度から、その後、文化的な角度、また中国が強大化するという角度から語られました。

 彼らの考えによると、中国が強大にならないことも脅威ですし、中国文化と西側文化の相違も脅威ですし、中国が強大になることもまた脅威です。要するに、中国は彼らの目には、どうしても脅威に映るのです。「中国脅威論」はアメリカで提起されましたが、それを大きく受け止めたのは日本です。日本には、これを受け止める大きな土壌があると言えます。日本が中国を脅威と感じる要素は前述した若干の点にあります。こういう認識は一つの基本的な事実を見落しています。つまり、中国が統一された国になってからの二千年余りの歴史から見れば、中国は従来平和を愛する民族であり、可能なかぎり、いつもあらゆる方法で平和的に問題を解決したいと、望んでいるのです。台湾問題に関するわれわれの目標は、「一国二制度」で平和的に解決することです。中国は開放された環境の中で、国際社会とドッキングする情況の下で発展をとげることができるのです。その時、中国の経済的利益は日本の経済的利益ならびに世界の利益と一致するのですから、中日両国にとって利益の衝突による戦争を招くことは不可能なのです。少なくとも、中国の方には、そうした要因はないと思います。「中国脅威論」をまき散らす人は主に、アジアの不和を願っているのだと言えます。こうすれば、彼らはアジアを分割し、世界を一極支配するのに有利になるでしょう。現在、日本の一部の有識者はすでにこうした認識を持つようになりました。ですから、中国と日本がもし互いに信頼し合い、平和的に付き合い、友好的に協力することができなければ、両国にとって不利になるのです。

 アジア経済圏

 記者 伊藤忠中国研究所の藤野文晤所長はここ数年、アジアで経済共同体を作っても良いのではないかと、提案しています。藤野氏は、「世界で欧州には欧州連合(EU)、北米には北米自由貿易協定(NAFTA)、南米には南部共同市場(MERCOSUR)があります。アジアには東南アジア諸国連合(ASEAN)があるとはいえ、アジアの主導的な勢力にはなり得ていません。アジアを統合する経済共同体を作ることを考えるべきだ」と主張していますが、大使はどうお考えですか。

 陳健大使 私はこうした見解に賛成です。地域経済協力はグローバル化の一段階でもあるし、グローバルへ向けての掛け橋でもあります。さらに、グローバル化がもたらした挑戦に直面する際に、そのマイナスの影響を防ぐ防壁だと思います。北米とヨーロッパの一本化経済が長足の発展をとげたのを背景に、アジアの国々、東アジア諸国はその現実を正しく認識し、われわれの協力を強化する必要があります。これは東アジアを含むアジア諸国の利益に合致するものであり、必然的な動きでもあります。しかし、それを実現する過程は少し長いかも知れません。それにはいくつかの原因があると考えています。一つは歴史の問題です。日本は徹底的に軍国主義の罪を清算しなかったため、アジア諸国に受け入れられる度合いが低く、アジアで発揮できて然るべき役割を果たすのに影響を及ぼしました。第二の原因はアジア諸国の間の経済発展の段階や格差が比較的大きいことです。日本のような先進国もあれば、中国のように必死に追いつこうとしている国もあります。また、発展レベルがかなり低い立ち遅れた国もあります。このようなカテゴリーで共同体を作るには、貿易面での開放を行い、互いに特恵貿易を実行するほか、発展援助や技術移転を提供することも必要です。日本ではかつて雁行形態論を唱えた人がいましたが、アジアの国々から広く受け入れられることはできませんでした。なぜかというと、それは一時期に出現した一部の国が経済技術の先端を行き、一部の国がその後に遅れて行くという局面を固定化したからです。最後の一つの原因は、アジアが経済協力をする、あるいは経済一本化をはかる、または共同体を作るには、一定のプロセスが必要だということです。EUも数十余年の努力を経てはじめて実現したのです。日本ではいま、円圏を作ろうと、提起する人がいますが、私はこういう考え方は地域経済協力自体の法則に合わないと思います。

 切なる願いを託す言葉

 記者 陳健大使、これを機会に読者と日本の国民に何かお話したいことはありませんか。

 陳健大使 私が話したいことは一つだけです。つまり、世界のすべてのことは変えることができるということです。情勢を変えることもできますし、利益を調整することもできます。しかし、一つのことは変えることができません。それは地理的な位置です。このことを中日両国人民は認識すべきだと思います。われわれはよく、中日両国が「一衣帯水」の隣国だと言いますが、この表現は中国ではほとんどすべての家庭の人たちに知られています。しかし、日本ではあまり知られていないと聞いています。これは大いに強調しなければなりません。中日両国の地理的な位置はお隣のように近い。経済、資源、技術などの相互補完性はとても強いのです。二千年の中日往来の歴史から見れば、両国人民は「和すれば則ちともに立ち、戦えば則ちともに傷つく」ということです。互いに学び合い、互いに補い合い、密接に協力することは、両国民の共通の利益と長期的な利益に合致するとともに、自地域の平和、安定と発展にも有益です。両国民がこういう大局に着眼し、両国人民の利益の合流点を拡げ、両国の友好協力を促進するよう望んでおります。

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