新たな発展期に入った農業


 中国の農業と農村経済は新たな発展期に入った。

 この新たな段階の指標と特徴は次の通りである。@農産物の供給が全面的不足から構造および地域的に相対的過剰に変わり、農産物生産量の最大化の追求を目標とする農業成長の方式は経済発展のニーズに適応できなくなった。A農業生産が商業化、専業化と地域化の方向へシフトしている。B農業発展の資本と技術への依存度がますます大きくなり、農業発展に対する資本、技術投入の役割は著しく上昇し、農業発展に対する労働力、土地の役割はだんだん小さくなった。C労働力構成の面に転換的変化が見られた。一九九二年を転換点として、農業部門に従事している人たちの絶対数は持続的に減少し始め、九七年までにその全社会労働力の中で占める割合は五〇%以下に下がった。D農業は助成と保護を受け始めた。一方では、国は農業への投資を連続的に大いに増やし、他方では、空前の上げ幅で農業・副業生産物の買い上げ価格を引き上げた。これは非農業産業ひいては国民経済が農業への助成と保護の提供にシフトしたことを意味している。

 陳耀邦農業部部長は、農業と農村経済の情勢に現れた段階的変化につれて、われわれは新たな情勢の要請に適応するために、活動の考えの道筋と方式・方法を適時的に調整しなければならないと強調した。

 新たな情勢に直面して江沢民主席は、農民の意欲を引き出すことを農村政策決定の第一義的な出発点とし、農民の革新的精神を尊重し、農村公有制の効果的な実現形態を大胆に模索しなければならず、農村の所有制構造を絶えず充実させ、農村における改革の市場志向を堅持しなければならないと指摘した。

 農村経済体制の改革を深化する全般的目標は、各戸生産連動請負責任制を基礎として、農業社会化サービス体系、農産物市場体系と国の対農業助成・保護体系を柱とし、社会主義市場経済の要請に適応した農村経済体制を発展させる。

第二ラウンドの請負

 農村の改革を深化させるには、まず各戸生産連動請負責任制を基礎とする二重経営体制を長期的に安定させなければならない。農業が家庭経営を基礎とすることは、農業生産の法則によって決まったものである。家庭経営、社会化サービスは異なったレベルの農業生産力を受け入れることができ、伝統的農業に適応するばかりでなく、現代化農業にも適応するのである。生産力が高められた後に家庭経営を変えるという問題は存在しない。

 江沢民主席は次のように指摘している。各戸生産連動請負責任制を安定させる核心は、土地の請負関係を安定させることである。これは農業生産力を発展させる客観的要請であり、農村社会を安定させる根本的措置でもある。中央の土地請負政策は非常にはっきりしたものである。土地請負期限を三十年延ばすことは変わらず、三十年後も変える必要はない。

 土地請負関係を安定させることは、農村における改革と発展の基本的前提である。土地請負関係を安定させてこそはじめて農民たちは長期的な計画をつくり、農民たちの後顧の憂いを解消でき、何も心配せずに都市に出稼ぎに行き、工場に入り、第二次産業、第三次産業に従事することができ、農村の分業、構造の調整を順調に進める条件をつくり出すことができる。土地請負関係を安定させてこそはじめて生産権がはっきりし、管理が規範化し、市場経済の法則に合致した土地転型メカニズムを真に確立することができる。そして「土地があっても耕作しない」と「耕作したいが土地がない」という矛盾を解決することができる。

 この政策は全国各地の農村の幹部・農民の間で強い反響を引き起こした。人々は中央が打ち出した土地請負期限再延長三十年の政策は現実の生産力と広範な農民の意志に合致しており、中国の農業と農村における活動の新しい局面を切り開くことに重大な意義を持っていると普遍的に見ている。

 河北省阜平県の北果園郷西溝村の村民は、土地請負期限を三十年延ばすことは農民を安心させた。農民たちは政策の変化を懸念する必要はないと見ている。

 この政策は農民の意欲を大いに引き出した。現在、北京郊外の農村では各戸生産連動請負責任制を実行し、請負期限が三十年あるいは三十年以上に延ばされ、請負土地面積は六一・八%を占めるに至った。広範な農民は正真正銘の土地の主人公となり、農業投資の主体となったのである。

 北京昌平県興寿鎮木場村の農民王玉甫さんは大西溝開発三十年請負の契約にサインしてから、企画を制定し、図面をつくり、田畑の中にそれを立てた。そしてダムをつくり、耕地を造成し、道路を修築し、用水路をつくり、投資額は二十余万元に達した。「五年後には私の年収は三十万元に達する」と王さんは語った。

 江蘇省は一九九八年十月までに、各戸生産連動請負責任制を実施した農村が八〇%に達した。連雲港、南京の二市では、土地請負「証明書」を受取った農戸はそれぞれ九九・六%、九六・二%に達した。

 伝えられるところによると、現在までに、全国の八〇%の村は第二ラウンドの土地請負を完了した。

 安徽省の農村は第二ラウンドの土地請負責任制を実施して以来、土地請負制度の改革を深化させ、一部の農民は土地の長期的束縛から解放され、転業を始めた。そのうち、非農業農家が六十五万八千戸、兼業農家が三百六十七万七千戸に達し、それぞれ農戸総数の五・六%、三一・六%を占めるようになった。巣湖市槐林鎮大汪村の三百四十八の農家の中では、土地を畑仕事に熟練したものに移譲し、漁網を編み、販売する農家が九五%に達し、村全体の農家の年収は一般には一万元以上となり、十万元を突破した農家もある。

 農業部は土地請負の指導と点検を上手に進め、土地請負期限延長の全面的状況を適時に把握すると同時に、存在している問題を確実に解決し、土地請負の諸管理制度を確立し、それをさらに充実させ、土地請負期限延長活動をさらに推し進めている。

農業の産業化を促す

 農業の産業化経営を促すことは、今後の中国の農村における改革と発展を深化させる重要な課題となり、農村の経済を発展し、農民の収入を増やし、農村の労働・就業を拡大し、社会主義市場経済と農業現代化建設の歩みを速める上で、重要な意義を持つものとなった。

 中国の農村は九〇年代の初めから、商品経済、高収穫・高品質・高収益の農業を発展させることを提唱している。山東省は率先して「主導的産業を確立し、区域的配置を実行し、リード企業に頼り、スケール経営を発展する」という農業の産業化経営発展の戦略を打ち出し、明らかな効果をあげた。

 東部の経済の発達した地域と中部地域の一部の県・市では相次いで「貿易・工業・農業一本化、生産・加工・販売一本化」を主要な経営形態とする農業の産業化経営が推し広められて、農村経済の発展の歩みを速めた。

 農業の産業化経営が中国で必然的に現れ、台頭した原因は、生産・加工・販売というさまざまな環を有機的に結び付けて、新たな運営メカニズムが形成されたことにある。各戸生産連動請負制を変えないという前提の下で、農業産業のチェーンをさらに延ばし、農家経営の外部的規模の効力を拡大し、商品品質のグレードアップをはかり、中間の環を減らし、取引コストを引き下げ、全体の競争力を増強し、経営の付加価値を高め、そして産業の一本化とサービス・システムを通じて、農家の商品生産が専業化、社会化、地域化、集約化経営の道を歩むように導くことである。現在、全国の農業産業化経営は新たな発展期に入った。

 中国の農村の数多くの地区での実践は、中国の農業産業化のために模索を通じて貴重な経験を積み上げることになった。農民たちは市場を導きとし、各戸生産連動請負制を基礎とし、牽引車の役割を果たす企業あるいは農民が自発的に組織した仲介組織をつながりとして農業の生産前、生産中、生産後の諸環を結び付け、耕作・飼養、供給・生産・販売、農業・工業・商業の一本化の経営を実現させることを目指している。

 湖北省十堰市では農業の産業化を促す過程で、発展の戦略を絶えず調整し、同地域の特徴に合致した農業産業化促進の道を模索し、農村経済の健全な発展を促し、近年、年間の伸び幅が三〇%以上となり、農民の一人当たりの年間純収入千三百余元のなかで、農業産業化による増収比率は八〇%以上に達した。

 十堰市では農業の産業化において多種経営を実行し、市全体において前後して野菜、コンニャク、茶、ショウガ、家畜・家きん、果物、タバコ、キクラゲなど八大支柱産業を確立し、産業化の面積は十三万三千ヘクタールに達した。

 十堰市は農業産業化を促し、貧困からの脱却のテンポを速めている。現在、市全体の農業産業化による年間収益は二十億元近くに達し、農業総収入の約八〇%を占め、山間地帯の貧困人口を三十七万人以下に減らした。

 実践が示しているように、農業の産業化経営は農業、農村経済が在来の計画経済から社会主義市場経済へと転換し、粗放型成長方式から集約型成長方式へと転換する上で歩まなければならない道であり、農家の経営が市場経済に進出することを導き、農業の増殖能力と比較的効果を高め、自己蓄積、自立発展の良性循環を形成する発展メカニズムである。これは社会主義市場経済の条件のもとで、生産力の発展により適応する新たな生産経営方式と産業組織形式である。

 農業部農業産業化指導グループ弁公室主任の李恵安氏によると、農業産業化経営は農業生産力の発展を促すだけでなく、農村における改革のさらなる深化でもある。生産力の発展から見れば、農業産業化経営の実施は農業生産の集中化、生産の専業化、サービスの専業化の実現を促進し、産業のチェーンをさらに引き延ばすものである。この四つの運営の特徴を通じて、農業の商業化、専業化、近代化への転換を促し、農業の生産力のレベルを大きく高めている。

『北京週報』

 

 

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