改革・開放の中にある中国の観光業
国家観光局政策法規司 匡 林
明確な位置付け 国務院は一九八六年に観光業を国民経済と社会発展計画に組み入れ、中国共産党中央委員会は一九七二年に観光業が第三次産業の中の重点産業であることを一歩進んで明らかにした。「国民経済と社会発展の第九次五カ年計画と二〇一〇年の長期目標要綱」は観光業を鋭意発展させる第三次産業の第一位に置いている。全国では二十余の省、自治区、直轄市がいま観光業を本地区の経済発展の支柱産業、先駆的産業、重点産業、先導産業と確定して、力を入れて助成し、優先的に発展させている。
政府主導 政府の主導で観光業を発展させることは、つまり各級政府の積極的な推進と支持の下で、各関係方面を動員して積極的に参与させ、観光産業発展の重点問題と難問を解決し、本地区の観光業発展のテンポを速めることである。これは中国観光業発展の重要な経験である。半数を超える省がすでに観光業の発展を奨励する政策を制定して、観光事業費、セールスとその他の特別基金の増加を保証しており、半数を超える省と自治区がすでに地方的観光業法規を制定している。政府主導と各関係部門の支持で、観光の宿泊と交通などかつて観光業の発展をひどく妨げた難問が力強く効果的に解決された。ここ三年間の「中国の優秀な観光都市」づくりの活動で、政府の主導で観光業を発展させる基礎がさらに強固になり、観光業発展の環境はいちだんと最適化している。
観光業改革を絶えず推進 中国国家観光局と国際旅行総社は一九八二年に行政と企業の分離を実現して、全国の国際国内観光業を統一的に管理する職能をさらに強化した。一九八二年から一九八五年までに対外連絡権の下級部門への移譲、行政と企業の分離、各種経済責任制の実行を通じて、中国の観光業は「事業型」から「実業型」への転換を実現した。一九八六年から一九九二年までは定点管理、スター・クラス管理を主な内容とする全業種管理体制が確立され始め、観光企業グループがつぎつぎとつくられた。一九九二年以来、市場を基礎とする観光経済体制改革は大きな進展を遂げ、経営、管理、サービスは国際とのリンクを速めた。
対外開放 観光業は中国で最も早く開放され、成果が最も顕著な業種の一つである。ケ小平ははやくも一九七九年一月に「観光業を興すには、ホテルを建てなければならない。決意をはやく固め、最初のホテルは華僑と外国の資金を導入しても良く、そのあとは自力で発展する」という重要な政策決定を行った。一九七九年から一九九六年末までの観光業の外資利用額は累計二百億ドルに達し、全国外資導入総額の七%を占めた。観光業開放の範囲が広く、程度が高く、各種類、全方位、多ルート、深層の対外開放の局面がすでに形成されている。同時に、外資とともに先進的な管理経験とセールス網も中国の観光業に入ってきた。昨年一月一日から試行を始めた「外国投資産業指導リスト」は、観光業の対外開放の全般的な原則をいちだんと明確にしている。今年初めに、「中外合資旅行社試行暫定規則」が制定されて、対外開放の範囲がさらに拡大された。
産業拡張 一九九七年末現在、全国に観光渉外ホテルが五千二百一軒あり、客室は七十万一千七百室に達し、一九八〇年の二百三軒、三万二千室と比べてそれぞれ二十四・六倍と二十・九倍増えた。そのうち、スタークラスのホテルは二千七百二十四軒ある。「旅行社管理条例」に基づいて、一九九七年に一、二、三類旅行社の国際旅行社、国内旅行社への転換がスムーズに実現した。転換後の全国の旅行社総数は五千四百九十六社に達し、一九八八年の千五百七十三社と比べて二・四九倍増えた。そのうち、国際旅行社は千百六十三社、国内旅行社は四千三百三十三社。観光のための交通条件は根本的に好転し、観光目的地への到着率が大幅に上昇し、民航の旅客運送能力が持続的に向上し、国際・国内航空線路が大幅に増え、空港建設が速くなり、鉄道、自動車道路、水運が大きく変貌し、飲食、レジャー、ショッピングの環境が改善され、サービスがよくなった。
豊富な製品 伝統的観光製品はいっそう豊富になり、ニーズに合うようになり、観光製品と観光設備の開発が一応のスケールに達し、観光客を受け入れる公園の建設も市場の需要に応え、国際水準とリンクする面で際立つ成果をあげた。市場観念は絶えず強化され、セールスの視野はいちだんと開け、セールスの方法も多くなり、観光地の特色と全般的なイメージをPRするセールス活動は顕著な成果をあげた。特に一九九二年の中国友好観光年から始まった各種のセールス活動は毎年大規模に行われ、際立った成果をあげ、国際観光市場できわめて大きな吸引力をもつイメージを樹立した。
観光客激増 八〇年代初期から始まり、九〇年代に入ってから盛んになった国内観光は、すでに中国観光業の堅実な基礎となり、国境観光と外国観光も着実に発展している。一九九七年に中国に観光に来た人は延べ五千七百五十八万七千九百人に達し、世界第五位で、一九七八年の三十一・八三倍であった。観光による外貨収入は百二十億七千四百万ドルで、世界におけるランキングは第四十一位から第八位に躍進し、一九七八年の四十六倍であった。国内観光人数は延べ六億四千四百万人、国内観光収入は二千百十二億七千万元、出国人数は延べ五百三十二万三千九百人に達したが、それは二十年前がとても比べものにならないものである。
発展する産業 観光による外貨収入はすでに国の貿易外外貨の重要な収入源となっている。一九九七年のそれは同年の中国貿易輸出額の六・六%を占めた。GDPに占める観光業総収入の比率も年を追って上昇しており、一九九七年は四・一六%に達し、都市では一〇%を越えた。観光業は多くの人に就職口を提供し、一九九七年末現在、全業種の直接就業人数は百三十四万人、間接就業人数は約六百七十万人に達した。中国観光業はまた、交通、建築、通信など関連産業の発展を大いに促進し、新しい産業が派生した。全国で観光業が扶助する貧困人口は三百余万人に達し、七千万の貧困人口の四・二九%を占めた。観光業の発展は人民大衆の日増しに増大する精神文化の必要を満たし、また民族文化を発揚し、資源の持続可能な開発を実現する面で積極的な役割を果たしている。