昨年の中国の環境状況


 昨年、中国政府は環境保全面で大きな努力を払い、汚染物質排出総量の制限、工業汚染源の基準排出達成と都市環境総合整備でいずれも進展が見られ、環境保全への投資はいちじるしく増加し、国が重点的に力を入れた太湖流域水質汚染の防止と対策措置は段階的成果をあげた。北京市は国の汚染対策の重点都市に組み入れられた。国務院は「全国生態環境建設企画」を発表し、天然林の保護プロジェクトがスタートし、生態の建設と保護が重視され、強化された。

 しかし、中国が直面している環境情勢には依然として厳しいものがある。かなりの地域の環境汚染状況は依然として変わっておらず、いっそう悪化した部分さえあった。一部地域の水土流失、砂漠化、森林、草地機能の衰退などの生態問題がかなり目立っている。昨年は、洪水、赤潮、砂あらしなどのひどい自然災害が発生した。

 水の環境

 中国の水の環境が直面している三つの問題は水質汚染、水資源の不足、洪水災害である。昨年、汚水排出量はやや減少したが、水質は依然としてひどい汚染にさらされている。異常気象と生態の破壊などの原因で、一部の地域ではひどい水害が発生した。西北部の干ばつ、半干ばつ地域の淡水資源は依然として少ない。広大な農村では化学肥料、農薬など化学物質の不合理な使用によって地表水への影響が日増しに深刻化している。

 中国の主な流域(水系)の断面モニター結果が示しているように、一九九七年と比べて長江、淮河、珠江の水質はやや好転し、黄河、海河、松花江の水質変化はそれほど大きくはなく、遼河の水質はやや悪化している。七大水系の汚染の度合い順序は遼河、海河、淮河、黄河、松花江、珠江、長江となっている。大きな淡水湖と都市部の湖にはいずれも中程度の汚染がある。巣湖(西半湖)、 ちん池と太湖の富栄養化問題は依然として深刻である。

 太湖流域の水汚染の防止・対策措置は段階的な成果をあげた。国務院の要求に基づいて、太湖流域の工業企業および集約化された家畜・家禽類飼育場、湖沿岸のホテル・旅館などの廃棄物、廃水の排出は昨年末、基本的に国や地方の定めた汚染物質の排出基準に達した。淮河流域の水汚染の対策の成果も定着している。汚染物排出基準達成という成果は、引き続き拡大している。

表(一) 1998年と1997年の廃水およびCOD排出の比較

 

廃水(億トン)

COD(万トン)

年度

総量

工業廃水

生活廃水

総量

工業COD

生活COD

排出量 総量に占める比率(%) 排出量 総量に占める比率(%) 排出量 総量に占める比率 (%) 排出量 総量に占める比率(%)
1998年

395

201

50.9

194

49.1

1499

806

53.8

693

46.2

1997年

416

227

54.6

189

45.4

1757

1073

61.1

684

38.9

変化値

−21

−26

−3.7

5

3.7

−258

−267

−7.3

9

7.3

変化率(%)

−5.0

−11.5

2.6

−14.7

−24.9

1.3

 大気汚染

 中国の大気環境汚染は依然として煤煙型を主とし、主な汚染物質は二酸化硫黄と煙塵である。昨年、全国の二酸化硫黄、煙塵、工業排塵の排出量は前年と比べてそれぞれ七・八%、七・七%、一二・二%低いものとなった。そのうち、生活分野からの二酸化硫黄排出量は前年に比べて〇・六%上昇し、生活煙塵排出量は前年に比べて一〇・一%減り、生活分野からの汚染物質の総量に占める比率は増えている。

表(二) 1998年と1997年の主要な大気汚染物質排出状況の比較 単位(万トン)

年度

 

二酸化硫黄

 

煙塵

粉塵

工業

総量

工業汚染物質

生活汚染物質

総量

工業汚染物質

生活汚染物質

排出量 総量に占める比率(%) 排出量 総量に占める比率(%) 排出量 総量に占める比率(%) 排出量 総量に占める比率(%)
1998年

2090

1593

76.2

497

23.8

1452

1175

80.9

277

19.1

1322

1997年

2266

1772

78.2

494

21.8

1573

1265

80.4

308

19.6

1505

変化値

−176

−179

−2.0

3

2.0

−121

−90

0.5

−31

−0.5

−183

変化率(%)

−7.8

−10.1

0.6

−7.7

−7.1

−10.1

−12.2

 酸性雨の問題も依然として深刻である。煤煙を主とする大気汚染によって酸性雨が国土面積の三〇%をカバーすることになり、明らかな地域的特徴を示している。華中の酸性雨地域の汚染はやや軽減し、華南の酸性雨地域汚染の全般的枠組みには変わりはなく、華東、西南の酸性雨地域の全般的汚染の度合いは依然として前年の水準を維持している。北部の図門、青島の局地的な酸性雨汚染は依然として深刻である。

 酸性雨の問題を解決するために、中国政府は一連の措置を講じ、酸性雨汚染対策を強化した。国務院は国家環境保護総局の「酸性雨制限地域と二酸化硫黄汚染制限地域の画定案」を認可した。二つの制限地域に、炭層の硫黄の含有量が三%を超える炭坑の建設を禁止し、すでに建設されたが、炭層の硫黄の含有量が三%を超える炭坑に対してはその、生産を逐次制限し、或いは企業の操業を停止させる。火力発電所以外に、大中都市の市街区および近郊で石炭を燃料とする火力発電所の建設を禁止する。また、新たに建設されるか、改造された炭層の硫黄の含有量が一%を超える発電所には、硫黄除去施設を設けることを義務づける。

 工業固体廃棄物

 工業固体廃棄物の汚染は環境の品質にひびく重要な要素の一つである。工業固体廃棄物の排出と堆積は大量の土地を占用し、地下水および水源地に脅威をもたらしている。

 昨年、工業固体廃棄物の産出量は八億トンで、そのうち危険性のある廃棄物の産出量は九百七十四万トン、県および県以上の工業固体廃棄物の産出量は六億四千万トンで、総産出量の八〇%を占めた。

 都市環境

 昨年、中国政府は都市インフラ建設の歩みを強化し、都市環境インフラの水準は引続き向上し、サービス機能がいっそう強化されたが、都市環境の質は楽観視することはできない。都市化過程の加速、都市人口の密集、自動車の台数の増加などは都市環境に巨大な圧力をもたらした。

表(三) 全国の都市のインフラ水準

年度

集中給熱面積
(百万平方メートル)
都市給水総量(億立方メートル) 用水普及率
(%)
ガス普及率
(%)
一人当たりの緑地面積
(平方メートル)

ゴミ
無害化処理率
(%)

1998年

861.9

471

96.1

78.9

6.1

58.5

1997年 807.5 476

95.2

75.7

5.5

55.4

変化値 54.4 −5

0.9

3.2

0.6

3.1

変化率
(%)
6.7 −1.1

10.9

 都市の多くの河川は、さまざまな度合いの汚染を受けている。五二%の河川がひどく汚染され、年を追って深刻化している。また圧倒的多数の都市の地下水の水位は下がりつづけ、都市の空気の質は全般的に見ればやや改善されたが、その汚染は依然として深刻である。北部の都市は南部の都市よりひどい。一部の大・中都市には煤煙と車の排ガスの混合型汚染が現れた。多くの都市の騒音汚染は中程度の水準にある。そのうち、生活騒音の影響は範囲が広く、拡大される動きが見られる。交通騒音の生活に対する影響が最も大きく、工事による市民の生活への影響もひどい。ゴミのたい積も依然として深刻で、ビニール袋による汚染の問題も目立っている。

 昨年、国家環境保護総局は検定を通じて煙台、栄城、莱州、昆山、中山など五つの都市を国家環境保護模範都市と指定した。これまでに、中国には環境保護模範都市がすでに十一ある。一九九八年末までに、五十九の都市が都市大気質の週間情報を公表するようになった。一九九七年と比べて四十二の都市が増えた。北京、大連、南京、上海、青島、厦門など六つの都市は都市大気質日間情報を公表した。国務院弁公庁は「期限通りに鉛を含むガソリンの使用、販売の禁止に関する通達」を下達し、二〇〇〇年末までに全国的な範囲で段階的に鉛を含むガソリンの生産、販売、使用を禁止し、車の無鉛化ガソリン使用を実現することを決定した。現在、全国の二十余りの大・中都市では鉛を含むガソリンの使用が禁止されている。

 都市化のレベル 35.00% 30.00% 25.00% 20.00% 15.00% 10.00% 5.00% 0.00% 1987年 1980年 1985年 1986年 1987年 1988年 1989年 1990年 1991年 1992年 1993年 1994年 1995年 1996年 1997年 1998年 年度 表(五) 1978−1998年における都市化レベルの変化状況

 耕地/土地

 昨年は水土流失対策がいっそう強化された年であった。年間に対策措置がとられた水土流失面積は五百万ヘクタールを超えた。昨年末までに、全国で累計して水土流失面積七千八百万ヘクタールの総合的整備を完成した。また、一億カ所を超える貯水・土壌保持プロジェクトが建設された。七大河川流域の水土保持プロジェクトの建設は二十六省の八百余県と二万余りの小さな流域をカバーし、そのうち五千余りの小さな流域の対策措置はすでに完了した。中央と地方はいずれも水土保持への投入を増やした。

 中国は一人当たりの耕地面積が少なく、質も高くない。耕地総量の動態バランスの目標を確立し、一九九七年から二年連続して非農業建設の農地占用を凍結したにもかかわらず、耕地の減少は依然として一九九七年に比べてやや増加した。耕地土壌の有機物質は基本的に安定し、有機肥料の投入は低下の動きを示している。土壌の質はやや退化した。昨年、国は「土地管理法」及び関係法規を新たに修正し、そのため、土地管理にかなり充実した法律的よりどころができた。

 森林/草地

 中国の森林面積は一億三千万ヘクタールあるが、一人当たりの森林保有面積は八・六立方メートルで、世界の一人当たり水準の一二%しか占めていない。一人当たりの森林保有面積では世界で最も少ない国である。中国は草地資源の大国であり、草地面積は国土面積の約四〇%を占め、一人当たりの草地の保有面積は〇・三三ヘクタールしかなく、世界の一人当たりの草地保有面積の二分の一である。近年、草地に対する略奪式開発によって草地面積は年を追って減少し、草地の質が次第に低下し、水土保持の能力が弱まっている。

 昨年、国務院は「全国生態環境建設企画」を認可、公表し、緊急通達を出して破壊的開墾と林地不法占用を断固として制止し、天然林の伐採を禁止し、国有天然林の保護プロジェクトをスタートさせた。国は草地建設と保護のプロジェクトを実施し、これには牧畜地域の開発モデル・プロジェクト、南方における山間草地の開発モデル・プロジェクトと災害救助・家畜保護などのプロジェクトが含まれている。これらは草地の生産力の向上、草地生態環境の改善面で明らかに効果があった。

 生物の多様性

 中国は生物資源が非常に豊富な国の一つである。生物物種の種類が豊かで、生態系統の類型がよくそろっており、人工育成の動物・植物の野生近縁種が多い。現在、生物の多様性は森林の乱伐、湿地の開発、野生動物・植物の生存空間の急激な縮小と環境汚染などの脅威に直面している。

 昨年、国務院は国家クラス自然保護区十二カ所の新規建設を認可し、中国の国家クラス自然保護区の総数は百三十六カ所に達した。ユネスコが一つの保護区を世界人間・生物圏保護区ネットワークに組み入れ、中国の生物圏保護区はすでに十五カ所に達するようになった。国務院弁公庁は「自然保護区管理活動の強化に関する通達」を出し、自然保護区の管理と建設が強化された。

 気候の変化と自然災害

 昨年、中国ではつづけて三回も大きな自然災害に見舞われた。それは長江、松花江と嫩江流域の洪水、近海海域の赤潮、内蒙古、新疆の砂あらしである。

 エルニーニョ現象の影響を受けて、昨年の豪雨による水害の範囲は広く、洪水の持続期間が長く、史上まれに見るものであった。昨年、ひどい損害をもたらした赤潮は五回もあり、範囲が広く、持続期間が長く、ひどい危害と損害をもたらし、新たな赤潮生物種が発見された。農業生産の角度から見れば、全国のほとんどの地域は降雨量が多く、災害が軽く、日照が充分で、農業生産の気候条件としては普通の作柄のものとなった。

 

 

 

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