日本経済研究九機関が緊急シンポジウム
「二十一世紀の中国経済のゆくえ」を共催


 八月五日、アーサーアンダーセン総研、かんき出版、さくら総研、三和総研、第一勧銀総研、日本総研、野村総研、三菱総研などの共催による緊急シンポジウム「二十一世紀の中国経済のゆくえ」が経団連会館で開かれた。中国側からは中国国家統計局の劉洪局長、中国国家発展委員会綜合司のセツ建偉副司長、中国社会科学院数量経済・技術経済研究所の汪同三所長がそれぞれ基調講演を行った。

 まず、劉洪局長は「改革・開放後の中国経済」と題する講演をし、中国経済体制改革の実態、改革二十年来の成果と対外経済、外資利用の状況について紹介し、次のように述べた。

 二十年の改革により、中国は社会においても経済においても歴史的変化が起こり、社会主義市場経済体制のフレームが一応出来上がった。今、国有企業の改革は「所有権がはっきりし、権利と責任が明確で、行政と企業が分離し、科学的に管理を行う」という原則に基づき、大・中型企業において段階的に規範化された企業システムを作り、企業を法人実体、競争主体に育成するよう努力している。計画、財政、税収、金融、対外貿易、外貨、価格、流通、社会保障などの改革に伴い、マクロ管理体制は大きな変革が起こりつつある。各分野において積極性、主動性、創造性が引き出され、国民経済に空前の大きな活力が注がれたのである。

 一九七九年から九八年までの国内総生産(GDP)の伸び率は平均九・七%に達した。九八年のGDPは七兆九千五百五十三億元で、一人当たりのGDPは六千四百元であった。世界銀行の統計によると、九七年の中国のGDPは世界で七位にランクされている。

 産業構造の合理的な調整によって、ここ二十年に、工業、食糧、畜産、漁業の伸び率はそれぞれ一一・八%、二・四%、九・六%、一二・二%になった。鉄鋼、石炭、セメントの生産量は世界一になった。第三次産業の発展も速く、年平均成長率は一〇・五%に達し、GDPに占める割合が二三・七%から三二・八%に上がった。

 交通、通信の分野において大きな改善が見られた。一九九八年の鉄道総延長は百二十八万キロで、七八年より三十九万キロ増えた。高速道路の建設に至ってはゼロからスタートし、九八年までに八千七百三十三キロ建設された。航空路線の総延長は百五十一万キロで、七八年より百三十五万キロ増えた。水上運送量は約五億トン増えた。通信業の発展は国民経済の中で最も速く、収益最大の産業の一つとなっている。二十年間に、光ファイバー線路が十八万キロ新設され、電話総回線容量は百万回線から一億回線に増え、電話普及率は〇・三八%から一〇・一%に伸び、都市部の普及率は一・九%から二七・七%に伸びた。さらに携帯電話はわずか十年で先進諸国の二十年間の発展レベルに達した。

 八〇年代以来、社会固定資産投資(インフラ投資)は累計十六兆九千六百二十二億元で、九八年の投資額は二兆八千四百五十八億元に達した。資産投資の増加によって、基礎産業とインフラ設備が遅れているといった状態は大きく改善された。

 輸出入と外資導入は著しく増加した。ここ二十年、輸出入総額は年平均一四・八%の伸びを示し、GDPの三四%を占め、七八年の世界二十七位から九八年に十位に上がった。輸出では工業製品が占める割合は八〇年の四九・七%から九八年には八八・八%へと増えた。外資利用は九八年だけでも五百八十六億ドルで、九〇年以前の十一年間の総和を上回った。国外の大企業、大財団からの投資が増え、世界の多国籍企業上位五百社のうち、二百社以上が中国に投資し、一般加工業から基礎産業、インフラ設備、サービス業へと広がり、また徐々に中西部へ進出している。中国の国際収支はバランスが取れ、人民元は安定している。

 セツ建偉副司長は「二十一世紀の中国経済の展望」と題する講演を行い、九七年の十五回党大会で打ち出された二〇一〇年に中国のGDPを二〇〇〇年の二倍にし、二〇五〇年には中等先進国のレベルに達するようにするという目標を強調するとともに、金融、産業、市場経済および都市化、地域差、雇用問題について予測分析を行った。

 汪同三所長は「二十一世紀の中国が直面する挑戦とチャンス」と題する報告を行い、次のように述べた。

 改革・開放以来の二十年間、中国経済は目覚ましい発展を遂げ、世界銀行によると、九七年の中国のGDPは発展途上国で一位、世界七位となっている。国民の生活水準を反映するエンゲル係数は九七年に、都市部が四八・六%で、一九八〇年より八・一%低く、農村部が五五・三%で、七八年より一一・四%低くなった。

 中国社会科学院の予測によると、二〇〇〇年には中国経済の総規模が八〇年の六倍になり、大部分地域の住民の生活レベルがまずまずの水準に達し、二〇一〇年には、国民全体の生活がまずまずのレベルに達する。二〇三〇年以後、中国経済は中等先進国に追い付く。現在から二〇五〇年まで、中国経済社会に大きな質的変化が起こり、工業化と情報化も進み、生活の質も環境の質も大きく向上し、総合国力は一躍して世界の前列に入る。その発展過程は大体三つの段階に分けられる。

 第一段階は二〇〇〇〜二〇一〇年である。GDPの年平均成長率が八%前後を維持し、二〇一〇年のGDP(九五年の価格で計算、以下同)は二十兆元に達し、一人当たりのGDPは一万四千元になる。この期間、大中都市と一部の沿海地区の中小都市は一応工業化を実現に近づき、同時に工業化を農村へと幅広く推進し始める。

 第二段階は二〇一一〜二〇三〇年である。中国のGDPは六十二兆元、一人当たりのGDPは約四万元になる。工業化が普及し、大部分の地域で情報化が前進を遂げる。科学技術は国際先進水準に近付き、一部の分野で世界をリードし、経済技術全体の実力は世界の前列を行き、国民の平均生活水準は中程度の発達のレベルに達し、一部の地域と大中都市の住民生活水準は先進国に近づく。

 第三段階は二〇三一〜二〇五〇年である。GDPの年平均成長率が四〜五%のレベルを維持し、二〇五〇年のGDPは百五十二兆元に達し、一人当たりのGDPは約十万元になる。科学技術の水準は先進国の水準に達するかあるいは近づき、いくつかの分野で世界の前列を行く。国民経済は全部情報化を実現し、生態環境は大いに改善され、国民の生活は先進国の中の上の水準に達する。

 現在、中国は依然として発展途上国であり、一人当たりのGDPはわずか七百ドルでしかない。二十一世紀を前にして大きな難問を抱えながら、絶えず新たな厳しい挑戦に直面するだろう。

 (人口と就職について)中国は今、就職難という厳しい現実に直面している。一九九七年、国有企業の一時帰休者の数は千百五十一万人で、実質失業率は三〇%となっている。いま、中国の国有企業には六千万人の従業員がいるが、そのうち余剰人員が二千万人と推測される。それにもかかわらず、中国の人口は増加を続けており、二十一世紀の前十年は労働力適齢人口のピークになると予想される一方で、資質の高い人材が不足している。また、人口高齢化がますます深刻化し、二〇一〇年になると、六十五歳以上の高齢者は総人口の一〇%を占め、二〇三〇年には一五%になると推測され、社会福祉への圧力はますます大きくなるだろう。

 (環境について)昨年、中国は史上まれに見る大水害に見舞われた。その原因の一つは土砂流失である。長江流域各省の土砂流失面積がその総面積に占める比率は、四川省四五%、湖北省三三%、江西省二一%、湖南省二〇%、江蘇省一五%、安徽省四五%となっている。人為的な生態系破壊により、全国土地面積の〇・八%しかない。湖沼面積がかなり減少した。長江に重要な貯水的役割を果たす洞庭湖の面積は五十年前より四九%減少し、貯水能力がかなり低下した。また、程度が違うものの、河川、湖、海のほとんどが汚染されている。都市地下水の汚染は五〇%以上に達している。産業廃棄物と生活ゴミの汚染も深刻である。環境問題を招く原因は主に二つある。一つは国民教育水準が低く、環境保全意識が薄いこと。いま一つは工業化、都市化の早期実現を焦るため、「先に汚染し、後から整備する」といった不経済な行為が存在することである。

 (エネルギーについて)二〇〇〇年に、中国経済の発展は石炭十六億トンにあたるエネルギーを必要とし、二〇一〇年には二十億トンに増えると推測される。エネルギーの供給が需要に間に合わず、石油はかなり輸入に頼ることになろう。

 (生産効率について)中国経済が大きく発展したにもかかわらず、生産効率が先進国との格差は依然として際立っている。これまでの計画経済体制の慣性作用により、むやみな成長速度の追求、粗放型経営の弊害がまだ残っており、生産効率は先進国よりかなり低い。例えば、エネルギー産業はアメリカの場合、年間十億トンの石炭生産に対し、労働力はわずか十五万人で、一人当たりの年間生産量は六千六百トンを上回る。それに対し、中国は年産十三億トンに対し七百万人の労働力を必要とし、一人当たりの年生産量はわずか百八十五トンで、生産効率はアメリカの二・八%でしかない。鉄鋼産業の場合、一人当たりの年間生産量はわずか日本の二十二分の一に過ぎないのに、一トン当たりのエネルギー消費は日本より四八・七%高くなっている。このほか、石油化学工業、機械・電子産業などの分野においても、先進国との開きが大きい。

 (農業について)中国は世界の七%の耕地で世界の二二%の人口を養っているが、その反面、世界人口の四〇%にあたる農民がわずか世界人口の七%にあたる非農民を養っている。人口増加、土地減少、資源不足の矛盾がますますひどくなる。一人当たりの耕地面積は世界平均水準の三分の一、水資源は世界平均水準の四分の一しかない。そして家庭を単位とした農業生産であるから、経営規模が小さく、組織化の度合が低い。現代化農業を達成することは、中国にとって重要な課題である。

 二十一世紀に、困難と挑戦が中国に発展のチャンスを提供している。中国人民は目標を達成するために、大きな努力と知恵を惜しまず、厳しい試練に耐えなければならない。

 講演の後、パネリストの三人が質問に答え、業界の人々と意見を交換した。

 

 

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