中国の情報化の現状とその発展の動向

情報産業部副部長 呂新奎


 今や、情報技術に突き動かされて、人類社会は工業化社会から情報化社会へと向かっている。グローバルな情報化の動きは中国に歴史的チャンスをもたらすと同時に、厳しい挑戦をももたらした。

情報化の建設とその発展の現状

 一、 情報化は経済に対するマクロ・コントロールの度合いを高めた。

 九〇年代の半ば頃から実施され始めた、「金」を頭文字とするプロジェクトに代表される情報化の重要なナショナル・プロジェクトはとりあえずの成果を収めた。

  金橋プロジェクト――七十カ所の衛星ステーションの建設が完了し、その主要ネットワークは三十の大中型都市をカバーし、経済効果と社会効果を上げた。

 金カード(ゴールデン・カード)プロジェクト――十二のテスト都市ではATM(自動現金支払機)のネットワーク接続が実現し、さらにATMのインターネット接続が一部の都市で実現した。カード発行量は六千万枚を超え、全国の銀行では、ネットワークによる取扱量は毎日五万回以上となり、金額は八百億元ないし一千億元に達している。

 金税プロジェクト――会計検査システムも稼動している。おおまかな統計によると、ここ三年間に、調査、処理された領収書の利用による違法事件は三万余件で、取り返された税金額は一億五千万元に達した。

 金関プロジェクト――輸出入企業のコード番号と輸出入商品のコード番号という「二項目の基準」が制定、実施された。また、割当許可証管理システム、輸出入統計管理システム、輸出関税払戻管理システム、および輸出入による外貨収支を審査の上相殺するシステムという「四つの応用システム」が稼動し、次々と使用に供されている。これらの建設によって、対外経済貿易の現代化管理水準が高められ、貿易摩擦が少なくなった。

 二、 情報化が電子情報技術の普及と応用を促進。

 電子情報技術の普及と応用は種目別の応用から集積化、総合化、ネットワーク化の応用へと発展しつつあり、省エネ、消耗の低下、汚染の減少、生産効率と製品品質の向上の面で役割を果たしている。

 ――電子技術の普及と応用に使われる資金の投入と産出の比率は一対五である。

 ――全国では、コンピューターによる制御技術を導入した水道会社は五〇%を占めており、この技術で未然に防いだ損失は毎年、三十五億元の投資に相当するものである。

 ――非鉄金属業種では、コンピューター制御アルミ電解層が八〇%に達し、年間を通じて発電量一億二千万KWHを節約することができる。

 ――企業改造における電子情報技術の導入によって、生産の効率と実益が大幅に高められた。例えば、成都航空機工業公司はコンピューター集積生産管理システムを利用して、マクドネル・ダグラス航空機の機首の組立周期をそれまでの一年から半年に短縮させた。

 ――農業情報ネットワークがすでに十数の省・市の二百余県までに広められており、良い効果を挙げている。昨年、山東省聊城市ではセリの売れ行きが悪くなった。セリの販売待ちについての情報がネットワークで発表されると、たなざらしになった商品は一週間のうちに売り切れたばかりでなく、その値段も倍以上になり、二百万元余りの直接の実益を挙げた。

 三、 情報化が科学研究、教育および報道事業の発展を促した。

 ――かなり多くの大学・短大と科学研究部門で、インターネット接続の実現により、コンピューターが科学研究と教育についての情報を検索し、交流する重要な道具となった。教育部門では、コンピューターによる補助教育と遠隔教育がすでにスタートした。

 ――報道と広報の面では、新華社と『人民日報』社などの主な報道機関がインターネットによる情報サービスを開始した。伝えられるところによると、『人民日報』インターネット版の利用者数は延べ千三百万回を超え、そのうちの半数は国外からのものだといわれている。

 四、情報化が郵便・電信、エレクトロニクスおよび放送・テレビ業種を国民経済の新たな成長スポットになることを促している。

 ――情報化は通信産業の発展を促した。一九九三年から一九九八年までに、プロセス制御電話交換機は千九百七十八万回線から一億二千万回線に増え、電話普及率は二・二%から一〇%に伸びた。昨年の郵便・電信の業務量は二千二百九十五億元に達し、前年より二五・四%以上増えた。

 ――情報化は電子情報市場の空間を拡大した。一九九三年以来、コンピューター製品、通信機器、ソフト製品の販売額はそれぞれ五〇%、四〇%、三五%以上の伸び率で増えている。昨年、電子情報産業の販売額は三千百億元に達した。

 ――情報化は放送・テレビ業種の発展を促した。一九九三年から一九九八年まで、ラジオ放送のカバー率は七六%から八六%に、テレビのカバー率は八二%から八七%に伸び、有線テレビの利用者数は八千万世帯に達している。

情報化の発展についての全般的構想

 情報化は国民経済の急速で、健全な発展と社会の進歩を促進する上で重要な意義を持っている。中国は各国の情報化建設中の経験と教訓をくみ取り、底力があるという強みを生かし、比較的高い起点から「飛躍」的な発展を実施して、先進国とのギャップを縮める。情報化の建設は戦略性、長期性、全体性という特徴を持ち、国民経済と社会発展の各分野に及ぶものである。

 情報化の発展についての構想は次の通り。

 一、国家情報化の定義――国の統一的な企画と組織の下で、農業、工業、科学技術、国防および社会的生活などの各分野では現代的な情報技術が取り入れられ、情報資源を掘り下げて開発するとともに幅広く利用して国の現代化を速める。

 二、国家情報化体系の六つの要素――情報資源、情報ネットワーク、情報技術の応用、情報技術と産業、情報化のための人材、情報化についての政策、法規および基準。

 三、情報化建設の指導方針――@全面的に計画し、国が主導する。A基準を統一し、協力して建設する。Bネットワークに接続し、資源を共同で享有する。

 四、情報化建設の目標――第一歩、二〇〇〇年までとして、一定の規模と一応の国家情報化体系を形成させる。第二歩は二〇二〇年までとして、健全でかなりの規模を持つ進んだ国家情報化体系を築き上げる。

情報化の方向とその発展の動向

 国情を真剣に分析し、中国における長年の情報化推進の実践と経験を総括した上で、以下の原則と発展方向をいちだんと把握する。

 ――中国の情報化は、必ず国が統轄するものでなければならない。国による主導という方針を堅持するには、国は国情に合致した情報化の全体の企画を着実に強化し、全体としての優位を発揮させなければならない。

 ――中国の情報化は、工業化を情報化と結びつけた道を歩まなければならない。

 ――中国の情報化は、自国の情報産業の発展、特に集積回路、コンピューター、通信およびソフト産業の発展を促さなければならない。

 前述の原則と発展方向により、各地区、各部門の情報化の建設と発展は、分野の情報化、区域の情報化および企業の情報化という構想に従って進められる。

 一、 分野の情報化

 分野の情報化とは業務内容と業務取扱にかかわる業種、部門の情報化を指すものである。例えば、「金関プロジェクト」、「金カードプロジェクト」などはいずれもこの分野に属する。分野の情報化が打ち出された意義は、ネットワーク資源と情報資源の重複建設を防ぎ、根本から資源の共同享有、ネットワークの共用を促すことにある。例えば、「金カード」、「金関」、「金税」などプロジェクトの建設を基礎として、情報技術とネットワークを利用して財政、税務、金融、対外貿易などの部門の情報システムとネットワーク接続を行い、ネットワークの利用による徴税業務を逐次実現し、国税、地方税および関税の電子納入を完成し、納税業務を取り扱う際の手落ちを減らし、なくすようにする。

 二、 区域の情報化

 区域の情報化の建設の内容はたくさんあるが、当面、重点的に六つの面を強化しなければならない。@区域内、および地域に跨る情報資源バンクの共同享有の建設を速め、静態的で孤立した情報資源をネットワーク化し、共同で享有できる情報資源に変える。A既存のネットワーク資源を十分に利用し、先進的で、適用性のある規範化した、安全な公用情報の基盤ネットワークを建設する。B国の法規と基準にも合致すれば、それぞれの地区の情報化の発展にも合致する政策と法規を積極的に検討し、制定する。C高い資質の、全面的な技術を身につけた、スピーディーな対応ができる情報化サービス陣の養成に力を入れる。D情報資源の開発と利用のための条件を作り出し、望ましい市場環境を創出する。E現代的な情報技術を利用して一部の在来産業を改造した上で、一部のハイテク産業陣が情報化経済の新たな成長スポットとして形成されるようにする。

 三、 企業の情報化

 企業情報化はほかでもなく、企業が現代的な情報技術を利用し、情報資源のいっそうの開発と広範囲の利用を通じて、生産、経営、管理、政策決定の効率と水準を絶えず向上させることを踏まえて、企業の経済効率と競争力を向上させる過程である。

 要するに、ハイテク産業を発展させ、国民経済の情報化を推し進めることは、中国が現代化建設を速めるための戦略的任務であり、世界各国が積極的に推し進めている戦略的任務でもある。中国は情報化の国際協力を展開する共通点を絶えず探し求めることによって、この偉大な事業のはつらつとした発展を共同で推し進めることを願っている。

 

 

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