再編の中で発展をめざす自動車企業


 中国の自動車市場は六年間不況が続いている。今年に入って以来、自動車産業は苦境から抜け出せないばかりでなく、より困難な決定的な時期が差しかかっている。今年一月から四月までに、全国の自動車生産台数は五十七万五千六百台で、昨年同期と比べ一〇・七一%伸び、販売台数は五十四万四千六百台で、六・八三%伸び、在庫は二十万九千台で、六一・二四%伸びた。これと同時に、今年末に中国が世界貿易機関(WTO)に加盟すれば、自動車産業は最大のショックにさらされることになると思われる。

 自動車産業の活路は再度ホット話題となり、自動車企業の大規模な再編が勢いから見て不可避であると関係筋は認める。七月に北京で開かれた自動車工業発展戦略シンポジウムに出席した国家機械工業局の要員によると、同局は最近、国務院にかなり具体的な自動車企業再編の提案を行い、資産の再編を通じて自動車グループ企業を三社ないし四社つくり、中堅企業を五社ないし六社設立することを計画し、全国的範囲で大規模な自動車工業併合の高まりを盛り上げようとしている。

併合の道を歩む

 早くも一九九四年に、政府は「自動車工業産業政策」を公布した際、二社ないし三社の自動車メーカーを助成して迅速にかなりの実力をもつ大型企業グループを形づくることをはっきりと指摘した。これまでの五年間に、自動車工業は高速成長から低速成長になり、一九九三年以前の一〇%ないし四〇%から一九九四年以降の二%ないし四%に減り、昨年は一・一%しか伸びなかった。自動車市場の不況のため、自動車生産能力が遊休状態になり、自動車の価格が下がり、四〇%以上のメーカーは赤字となった。この期間に、自動車企業の併合と再編は不可避的に緩やかではあるが困難を克服しつつ進められている。

 張小虞国家機械工業局副局長によると、「自動車工業産業政策」公布、実施以後の五年間に企業の枠組みは大きく変わった。昨年までに、全国の自動車完成車目録に組み入れられた企業は百二十三社から九十八社に減り、そのうち、三社の生産台数はゼロであった。昨年、全国で生産された百六十二万七千八百台の自動車のうち、九二%の生産・販売台数が十三社の企業と企業グループに集まった。上海自動車グループ、第一自動車製造グループ、東風自動車グループなど最大手三社の年産台数は三十万台に達し、南京、北京、長安、昌河など四つのグループは年産十万台の規模を形成した。このほか、年産五百台ないし一千台の企業は十六社あり、五百台以下は十三社あり、極力頑張っている。ある企業は有名無実になり、年産台数はほとんど〇ないし二百台で、総生産台数は業種全体の生産台数の一%しか占めなかった。これらの企業が優位企業に併合されるのは無理のないことである。

 五年来、自動車企業の内部構造もだいぶ変わった。もとの生産能力が非常に薄弱な製品の開発と経営・販売は普遍的に強められた。

 技術構造の面で、一部の大手企業は単一的で、簡単な製造技術の導入から設計、開発技術の導入、販売、保守修理、サービス技術の導入にシフトした。完成車製造技術の導入に力を入れると同時に、部品特にシステム化部品の製造技術の導入も徐々に充実してきた。これは自動車企業がグループ化に向けて発展する上で必ず通らなければならない道である。

WTOに直面して

 国家機械工業局の権威のある業種レポートによると、五年来、中国の自動車工業の併合と再編は徐々に行われてきたが、近年来同じく併合の高まりを示した世界自動車工業と比べて、中国の自動車工業は依然として軟弱に見える。現在、自動車業種九十八社は二十の省・自治区・直轄市に散在し、機械、交通、航空、兵器など九つの部門と系統に属し、閉鎖的、重複導入、重複建設などの分散、混乱、劣悪の局面が普遍的に存在しているため、自動車工業の全般的発展をひどく制約している。中国が間もなくWTOに加盟することは自動車工業が直面する最大の、最も切実な問題である。

 中国自動車業種協会の専門家によると、昨年の中国の自動車生産台数は先進国の中型自動車メーカーの年産台数に相当する。WTO加盟までに、高い関税の保護に頼り、国産自動車は価格の上で強みを持っていたが、いったんWTO加盟にすれば、国外の企業が一気に攻め込んできて、中国の自動車企業は品質、品種、価格を問わず劣勢にある。

 現在、自動車の輸入関税は完成車が八〇%、部品が五〇%であり、WTO加盟後、完成車は二〇〇五年までに二五%に下がり、部品はゼロに下げなければならない。これは輸入車の価格が年を追って下がり、国産車を猛烈にゆさぶることを意味している。現在の国産自動車および部品の市場価格では大量に輸入された国外製品と競争するのは難しい。

 価格に競争力が欠けている以外に、新車の開発は国外企業と同じようにはいかない。乗用車工業の例を挙げると、現在、国内の大手乗用車メーカー八社が生産している数十種の車種の中で、「完全な国産品」は二種類しかなく、ほかは全部導入されたものであり、八社の企業はほとんど新型車の開発能力を備えていない。国内の既存の数十種の車種はほとんどが国外の八〇年代の製品で、九〇年代の製品は三種しかない。乗用車の使用期限は十年ぐらいである。完成車開発能力が備わらない情況の下で、品種の競争は劣勢に置かれる。中国の自動車工業の開発能力が低いことは技術上の原因以外、カギとなるのは資金が不足しているためである。新製品の開発は少なくとも一億五千万ドルを必要とし、研究開発周期は数年に達し、このような高い開発コストは中国のいかなる自動車企業も独自に引き受けることができないのである。新車の開発能力の低下は、中国の自動車工業が国外企業との競争の中で、品質が劣勢にあることを決定づけている。

 「経済参考報」の分析によると、WTO加盟後の衝撃によって、自動車企業はほとんど操業停止、生産転換、破産ひいては倒産するかもしれないという。これらの企業にとっての最もよい活路は国内の大手自動車グループに併合されることで、これはほかでもなく政府関係筋の自動車産業再編計画が達成しようとしている究極の狙いである。

チャンスが現れた

 自動車産業の大規模再編は大局の赴くところであり、一部の地方政府と企業はすでに手を打っている。

 今年五月、湖北省政府の関係部門は同省の自動車業種の分散、混乱の現象を大いに整備し、構造を調整し、三年のうちに全省の自動車工業企業(完成車、部品、関連のある企業を含む)を現在の五百五十五社から五十五社に縮減することを目指している。これは同省の重点自動車企業の東風自動車グループ公司を二〇一〇年までに年産百万台の規模を持つ企業に築き上げることを確保するためである。

 政府が自動車工業再編計画を打ち出した後、自動車工業の発展は新しい時期に入ることになる。

 大手企業間の連合の局面が現れる。大手企業は戦略的再編を実現し、規模を迅速に形成し、開発資金の投入を保証し、新車種開発のテンポを加速すると同時に、企業の強みの相互補完を実現し、最大限に企業の競争力を強め、特に経営販売ネットワークの共同享受は市場を効果的に切り開き、完成車のマーケットシェアを拡大し、同業種間の悪性的競争を免れることができる。

 中国は国外の自動車関係の多国籍企業と全面的に協力しようとしている。現在、フォルクスワーゲン、フォード、ゼネラル・モーターズ、スズキなど数社の国外大手自動車企業が中国の自動車業に投資し、あるいは工場を設立して生産に取り組んでいる。中国の自動車工業はこれらの企業とさらなる資金と技術の導入を含む最大限の協力を求めようとしている。

 政府は自動車工業への投資に力を入れ、重点的に数社の大手企業を助けて資産の再編を行い、一部の中型自動車企業を併合し、拡張の狙いを達成することになると思われる。

 張小虞氏は中国の自動車工業の展望について楽観的態度を表し、次のように述べた。

 中国経済の回復につれて、自動車工業の発展のチャンスが現れている。

 中国政府は昨年から水利、鉄道、道路、都市建設などインフラへの投入に力を入れており、これらの措置は自動車工業の発展を直接促進する役割を果たしている。例えば、数年不況が続いた大型トラックの販売台数は昨年、二〇%伸び、都市の交通に適した大中型バスの生産・販売台数は二〇%伸び、これは数年来見られなかったことである。道路が車を促し、車が道路を促し、互いに促進して良性的に循環することは世界自動車工業発展の共通の法則である。

 政府の関係部門はマイカー消費を奨励する政策を制定している。農村の現代化の発展と農民の生活水準の向上につれて、農村の自動車市場の展望も明るい。

 国家発展計画委員会経済予測部門の情報によると、今年の自動車の需要量は昨年のゆるやかな増加から適度の増加に転じ、今年は自動車市場の環境が近年来最も余裕のある有利な年となり、自動車市場は全面的に活性化する状態に入らなくても、構造的に活性化される局面が現れることになろう。

 

 

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