歴史的飛躍をとげた情報産業
中国では、携帯電話はすでに人々が情報を伝えたり連絡を取ったりするありふれた道具となったが、数年前は富を顕示する象徴であった。
携帯電話の普及は、ある側面から改革・開放後の中国情報産業の急速な発展を表している。
最も速い発展を遂げた産業の一つ
改革・開放以来、中国の情報産業は最も速く発展する産業の一つとなった。国の産業政策のサポートを受けて、中国の電信業は十五年も続いて国民経済の成長率を上回るスピードで発展し、中国の電話ユーザー数の世界におけるランキングは、一九八五年の十七位から一九九七年の二位に上がった。
国民経済と社会発展に対する電信業の貢献度は著しく高くなり、昨年の国内総生産(GDP)に占める電信業の新規増加値の比率は四・九%に上昇し、社会全体の固定資産投資に占める電信業の固定資産投資比率は六・一%に上昇した。
通信網のスケール容量、技術グレード、サービスレベルは、いずれも質的飛躍をとげた。全国には光ファイバー、デジタルマイクロウェーブ、衛星、自動交換、移動通信、データ通信など各種の先進的手段を含み、全国をカバーし、世界に通じる公用電信網がつくり上げられた。
今年七月、全国の長距離電信業務は百六十九万回線に達し、それぞれ一九四九年、一九七八年の五百九十倍、八十七倍となった。長距離電話自動交換機容量は四百八十三万端子に達し、一九七八年の二千五百九十倍以上となった。今年七月、市内電話交換機容量は一億四千七百万回線に達し、それぞれ一九四九年、一九七八年の四百三十五倍、三十三倍となった。
全国の光ケーブルの総延長は百万キロに達し、中日間、中韓間、アジアヨーロッパ間など数本の陸地と海底の国際ケーブルが敷設された。
移動通信網、データとマルチメディア通信網の規模が絶えず拡大されている。電信網は人工網から自動網へ、アナログ技術からデジタル技術へ、単一の業務から複数の業務への転換を実現し、技術・装備のレベルは世界の先進的部類に仲間入りした。全国の市内電話交換機の自動化率は九九・八%に達し、長距離送信のデジタル化率は九九・六%に達した。先進的なデジタル移動通信技術、SDH光通信システム技術などが広く採用され、広域総合デジタル通信網、ATM広域交換システムなどのハイテクも、インターネットで実験されている。
現在、電話が一般家庭に入っており、昨年の全国の電話ユーザー総数は一億一千万戸(そのうち携帯電話は二千四百九十八万戸)で、一九七八年の五十七倍である。電話普及率は建国初期の百人あたり〇・〇七台、一九七八年の百人あたり〇・三八台から今年七月の百人あたり十二・〇六台に上昇し、そのうち都市部の電話普及率は百人あたり二十八・二台に達し、電話の通じている行政村は全国行政村の六七%にも達した。
金融、財政、税務、税関、証券、貿易、科学教育などの部門は、公共通信網を利用してさまざまなコンピューター情報ネットワークと実時間取引ネットワークをつくった。今年七月現在、全国のインターネットの利用者は四百万に達した。
現在世界にある電信の新業務は、中国でもほぼ扱われている。
通信業が大きな発展をとげると同時に、電信改革が絶えず深化し、市場競争の枠組みが逐次形成され、融資ルートが絶えず拡大されている。昨年末現在、全国電信部門の使用した外国借款は約七十億ドルに達し、一九九七年中国電信は香港とニューヨークで上場に成功し、四十二億ドルの資金を調達した。
郵便通信業の様相がすっかり一新した。昨年末現在、全国に郵便局が八万四千カ所あり、解放初期の四・二倍となった。郵便線路の総延長は二百八十五万キロに達し、航空、鉄道、道路、水路など多種の運送ルートを総合的に利用する、相対的に独立自主の快速郵便物運送ネットワークが一応形づくられた。郵政面の科学技術含有量が絶えず多くなり、作業の機械化、自動化、営業窓口の電子化のレベルが著しく向上した。
全国の電子化を実現した郵便局は一万六千二百七十二カ所、信書自動区分け装置は百六セットあり、全国の郵便貯金コンピューターネットワークは三十一の省・自治区・直轄市の五百二十七の県(市)をカバーし、五千八百四十の郵便局の間で随意に預金と引き出しができるようになり、EMS問い合わせシステムは二百一市のオンラインを実現し、三十六カ国・地域ともオンラインを実現した。
郵政事業は速い発展を遂げ、郵便配達、新聞・雑誌発行、切手収集と郵便貯金、郵便振替の四大業務を扱い、ほかに広告信書、通信販売、礼儀サービス、電子メール、AV製品郵送、保険代理などの新しい業務も扱っている。昨年の全国郵政業務総量は百六十六億元で、解放初期の百二十三倍に相当し、業務収入は二百八十七億元で、解放初期の四百六十三倍に相当する。高層住宅への郵便物配達率は九五%を上回り、郵便物配達の定刻率は九九・八%に達した。
郵政部門の対外協力が日増しに広くなり、昨年末現在、百四十五カ国・地域と郵便物直接交換関係を結び、国際EMSは二百近くの国と地域に送ることができ、また十八カ国と国際郵便振替業務を展開している。
改革・開放以来、中国の情報産業は導入、消化、吸収と革新との結合を堅持し、多くの国が数十年間を費やして歩いてきた道のりをわずか十数年で歩いて、速やかに通信のデジタル化を実現した。同時に、通信運営業と電子製造業の相互融和と共同発展を力強く促進した。中国が最初の一万回線電話自動交換機を導入してから、一九九二年に自主的な知的所有権を持つ一万回線電話自動交換機を市場に出荷するまで十年かかったが、最初のGSM設備を導入してから自主的にGSM設備を開発するまで四年しかかからず、二・五Gb/s高速光通信設備とATM広域交換設備などを開発する面では、国際先進レベルと比べてわずか一、二年遅れているだけである。昨年、全国の新規増加した市内電話交換機では、国産の設備は九八%を占め、新規増加した光伝送設備では、国産のものは五〇%を上回った。
情報時代を前にして
世紀の変わり目に、各国の情報技術は飛躍的な発展を見せ、人々の生産・生活様式に大きな影響を及ぼし、情報産業はすでに現代の経済成長の主な推進力となっている。情報経済、知識経済は二十一世紀における一国の総合的実力のメルクマールとなった。通信情報産業は経済分野における最も活力に富む産業の一つであり、中国の情報産業の発展にも大きな影響をもたらした。電信のグローバル化が加速するにつれて、中国の電信業務市場が強大なライバルの厳しい挑戦に直面するだろう。こうした成り行きを前にして、中国は世界のハイテク成果、国際市場の資源を利用して、いちだんと改革を深化させ、企業のリストラを通じてその経営メカニズムをできるだけ速く転換し、運行の効率を高め、全体としての実力を増強し、通信情報産業の急速な発展を促進し、より激しい国際競争の中で有利な立場を占めるつもりでいる。
国内の状況から見ると、中国の経済の発展は、より大きな規模、より高い次元から通信に新たな需要を生じさせるだろう。
情報化の重要なインフラとしての国家公共通信網は、狭域網から広域網へ、単一網から総合網へ、自動網から知能網への移行を速め、ネットワークの広域化、個人化、総合化、知能化を実現し、通信、コンピューター、メディアの機能を兼ね備える高速情報ネットワークとなる必要に迫られている。
第九次五カ年計画期間(一九九六〜二〇〇〇年)、全国の電信投資額は五千三百四十億元に達し、二〇〇〇年の全国の電信業務総量と電信業務収入はそれぞれ三千百七十七億元と二千八百七十四億元に達する。二〇〇〇年には、中国は完全に整った統一的、先進的な通信ネットワークを一応つくり上げ、総体的レベルはいっそう向上するだろう。
ネットワーク能力の面では、光ケーブルを主とし、マイクロウエーブと衛星を総合的に利用し、固定電話、移動通信、データ通信、マルチメディア通信が並存し、全国の都市と農村をカバーし、世界各地に通じる大容量、高効率、完全に信頼における通信ネットワークをつくり上げる。全国の市内電話交換機容量は一億七千万回線に達し、携帯電話ネットワークはすべての地区・市クラス以上の都市と九五%以上の県都及び経済の発達した郷鎮、主要な交通幹線をカバーし、GSMネットワークは通信方式が同じの国・地域との国際オンラインを実現する。デジタルデータネットワークは全国の九〇%以上の県・市に通じ、中国公用コンピューターのインターネットはすべての地区・市クラス以上の都市と一部の経済の発達した県都をカバーし、マルチメディア通信ネットワークのカバー率は電話ネットワークと同じになる。知能ネットワークは需要のある地区をカバーする。
技術グレードの面では、電信ネットワークは四級ネットワークから二級ネットワークへの移行を実現し、省と省の間の光ケーブル幹線ネットワークが格子型を主とし、省内の光ケーブル幹線ネットワークが環状を主とする構造を形成する。新たにつくった長距離伝送ネットワークはすべてSDH技術を採用し、業務量の大きな幹線は容量のより大きな伝送設備を使う。衛星移動通信を適度に発展させるとともに、第三世代の移動通信システムを開発、実験する。デジタル通信ネットワークとマルチメディアネットワークは逐次総合的広域ネットワークに移行する。電信サポートネットワークは一応形成される。
サービスレベルの面では、都市は各世帯の一台の電話を取り付ける必要を満たす。全国の電話ユーザー総数は一億五千万戸に達し、そのうち、携帯電話ユーザーは三千八百万戸に達する。全国の電話普及率は百人当たり十三台に達し、都市部の電話普及率は百人当たり四十台、携帯電話普及率は百人当り三台に達する。中国公用コンピューターのインターネット業務は地区・市以上の都市及び経済の発達した県都に提供し、マルチメディア業務のサービス範囲は電話業務と同じである。
二〇一〇年には、中国の電信業に根本的変化が生じ、ネットワークの規模、技術グレード、サービスレベルなどは、世界の先進的部類に仲間入りする。全体の通信能力は二〇〇〇年を踏まえて倍増し、ネットワークの規模は世界のトップとなり、市内電話交換機総容量は三億七千万回線に達する。通信ネットワークの技術グレードは先進国のレベルに達する。電信ネットワークは世界最先進の技術・設備を応用し、高速の、弾力的な、信頼における知能化伝送ネットワークは全国の都市と農村をカバーする。全国の電話ユーザー総数は四億九千万戸に達し、全国の電話普及率は百人当たり三十八台に達し、そのうち、携帯電話ユーザーは二億戸で、普及率は百人当たり十五台に達する。
対外開放
呉基伝情報産業部部長によると、中国電信業の管理といっそうの開放はWTOに加入するかどうかを基準とするのではなく、改革・開放政策を引き続き堅持し、電信運営業の管理を強化し、国際の科学的管理法を導入して、電信サービス業の発展を促進できるようにするのである。
中国の通信運営ネットワークを対外開放するかどうかの問題について、同部長は次のように述べた。中国の通信運営ネットワークはまだ外国人に開放しておらず、中国の現行政策は一九九三年から、中国にある外資企業を含む外国企業及び個人は通信運営業を経営してはならないと明確に規定している。一九九五年に公布した対外貿易経済合作部の外国投資目録は、郵便・通信運営などの分野をも外国投資禁止の範囲に入れている。しかし、通信運営業が開放されていないことは、外資を利用しないことを意味しない。
このほか、第三回中国投資貿易商談会から、中国は金融、保険、電信、商業、貿易、航空など十の分野で外国投資に対する制限をいちだんと緩めるという消息が伝わっている。電信関係の分野では、中国は段階を追って電信市場を開放し、まず価値を増加する電信業務から試行し、それから基礎電信の産業分野に逐次拡大する。
呉部長がこのあいさつを行った三日後、国内最初のアメリカ独資企業が経営する中国語サイト 「焦点ネットワーク」は北京で開通した。「焦点ネットワーク」の経営者が記者会見で中国のインターネット分野における競争に参与するとはっきり表明した時、事実上彼らの行動はすでに中国のインターネット市場が絶対に開放市場であることを明確に表明した。「焦点ネットワーク」の責任者は自信にあふれて、「われわれのこのサイトの開通は、完全に中国政府の現行政策に合っている」と語った。
情報産業部関係部門のある責任者の説明によると、「焦点ネットワーク」のようなインターネット情報サービス業者(ICP)あるいはその他のインターネット接続サービス業者(ISP)が市場競争に参与するのは歓迎されるべきであるが、現行政策が制限しているのは、通信運営業務という特殊な範囲であり、呉部長は「認めない」と言ったが、それは、実際には国の一九九三年と一九九五年の政策と原則に依拠してそう言ったのである。