食い止められた経済成長率の低下
十月十九日、国務院新聞弁公室の行った記者会見で国家統計局の邱暁華副局長は内外記者に、今年第1・四半期から第3・四半期までの国民経済の運行状況を説明し、また人々が関心をもつ問題について記者の質問に答え、次のように述べた。
今年第3・四半期の中国のマクロ経済情勢は、第2・四半期と比べて、著しくよくなり、成長率の持続的低下が効果的に抑えられた。
第3・四半期に入ってから、中国のマクロ経済は全般的には良好で、適度の成長を保つと同時に、経済構造が絶えず改善され、経済効益が著しくよくなった。初歩的な推算によると、今年の一月から九月までの国内総生産(GDP)は五兆六千八百億元に達し、比較可能な価格で計算すると、昨年同期と比べて七・四%増えた。このような経済成長率は、現段階で中国のマクロ経済が正常に運行する必然的な結果である。なぜなら、過去の九%、一〇%の高成長から言って、現在低くなったのは収益を伴う速度ではなく、過去長期に存在していた粗放型の、効率がなく、高在庫のために生産する速度である。下半期になってから、中国のマクロ経済状況は上半期よりよくなったが、その基本的な特徴は、適度の成長速度を保つと同時に、経済構造がいっそう改善され、経済効益が引き続きよくなり、正常な状態下での社会需給関係も徐々に改善されていることである。
工業生産が安定成長
今年の一月から九月までの工業生産は、安定成長と同時に、運行の質も著しく向上した。統計データが示しているように、国有企業と年間製品売上高が五百万元以上の非国有工業企業の工業増加額は、昨年同期比九・三%増の一兆四千四百四十億元を完成し、昨年同期より一・三ポイント高くなった。とくに国有企業と大中型企業の生産経営は著しく好転する情勢を呈し、一月から九月までに国有企業と国有持株企業の増加額は七・七%増で、伸び率は昨年同期より三・六ポイント高くなり、大中型企業の増加額は八・八%増で、四・三ポイント高くなった。ハイテク製品は持続的に急増し、工業生産の増加を支える新たな要素となりつつある。このほか、一部業種の生産総量を抑制し、立ち遅れた製品を淘汰する面の調整も成果をあげた。
今年以来、企業の生産と販売の関係は月ごとによくなっている。一月から九月までの累計では、工業企業の生産販売率は九六・四七%で、昨年同期より〇・七二ポイント上昇した。
同時に、企業の経済効益も著しくよくなり、一月から八月までに工業企業が実現した利潤は七五・二%増え、欠損企業の欠損額は一三・七%減った。同期の国有企業と国有持株企業の利潤は昨年同期より二・三倍増え、欠損企業の欠損額は一六・一%減った。そのうち、大中型国有企業の欠損面が昨年同期より五・六%小さくなり、欠損企業は千二百二十六社減った。これら欠損企業のうち、欠損額がわずかな企業は約六〇%ある。昨年末現在、国有工業企業は五万四千百社あったが、今年八月末には、四万八千二百社に減った。
固定資産投資の伸び率が低下
昨年第3・四半期の投資基数がわりに高く、今年第2・四半期以来、前期国債の集中発行期が過ぎたなど要素の影響を受けて、固定資産投資の伸び率は徐々に低下した。一月から九月までの国有企業とその他の類型の経済実体の固定資産投資(都市部と農村部の集団所有制企業と個人の投資を除く)は、昨年同期比八・一%増の一兆千七百六十四億元に達した。そのうち、基本建設投資は八・八%増の六千八百二十四億元、更新改造投資は一・七%減の二千百三億元であったが、製品の品質向上、品種増加、省エネへの投資の増加はわりに速く、不動産投資は一八・五%増の二千二百二十九億元に達した。
今年、政府は投資を六百億元増加し、投資方向をいくらか調整し、中堅企業の技術改造への投資を新たに増加した。この部分の投資が重複建設を進めるのではなく、企業の技術状況の改善と技術のレベルアップを確保しなければならないため、プロジェクトを選ぶときはインフラプロジェクトよりはるかに厳しく、これも全体から今年の投資の速度に影響を与えた。しかし、第4・四半期に各方面の投資増加が速くなるにつれて、第4・四半期の投資はある程度増加し、年間の投資増加は国内総生産(GDP)の七%増を実現するのに必要なレベルに達することができるはずである。
市場での販売が相対的に安定
第3・四半期に入ってから、市場での売れ行きがややよくなり、九月には六・六%増えて、六月より一・二ポイント上昇した。品種から見ると、ビッグスクリーンカラーテレビ、冷蔵庫、エアコンおよび家庭用パソコン、移動通信設備などの売れ行きがわりによかった。一月から九月までの社会消費財小売り総額は昨年同期比六・三%増の二兆二千百四十九億元に達し、そのうち都市部は昨年同期より六・五%増えた。
販売増加と同時に、市場物価の下げ幅はやや小さくなったが、総体的レベルは相変わらず低下する状態にある。統計によると、第1・四半期から第3・四半期までの商品小売販売価格は昨年同期より三%下がり、住民の消費価格は一・六%下がり、下げ幅はそれぞれ昨年より〇・二ポイント小さくなった。これは、主に肉類と家禽類の価格の下げ幅が明らかに小さくなり、住宅とサービスの価格が反騰したためである。
物価が二十三カ月も続けて下がることは、中国の特定の歴史的条件の下で実現したものであり、通貨引き締めと単純に理解してはならない。物価がいつ反騰するかに至っては、ここ二カ月の中国の経済運行の一部指標から先行の兆しを見てとることができる。今年の八月は七月と比べて、九月は八月と比べて、社会商品小売価格はそれぞれ〇・七ポイント上がった。同時に住民消費価格もそれぞれ一%と二%上がった。構造調整の加速と改革のいっそうの深化につれて、物価の持続的下落の状態は改善されるが、この改善は過去の高インフレ下の物価の大幅上昇の状況に戻ることがなく、市場物価の上げ幅は依然として相対的安定という平穏に変動する状態を保つであろう。
ほぼ正常な金融情勢
一月から九月までに、中国の金融機構は各種貸付を七千二億元新規増加したが、増加額は昨年同期より六百十億元減った。各種預金は九千九百七億元新規増加したが、増加額は昨年同期より三百二十二億元増えた。そのうち、企業預金は二千四百二十四億元増え、昨年同期より百五十二億元多く、住民預金は五千九百九十六億元増え、昨年同期より二百七億元多かった。第3・四半期以来、住民預金の分流がやや速くなり、預金の増加が明らかに鈍くなった。
人々の消費心理が大きく変わり、過去の不足経済、計画経済の状態下で形づくられた消費観念は、市場経済条件下の消費観念に取って代わられ、消費行為は理性的になった。消費行為の著しい変化は、また商品を貯えることから主に貯金することに変わったことに現れている。そのため、利率が持続的に引き下げたにもかかわらず、住民はやはり主に長期と短期の手持ち通貨の価値増加と価値保持の問題を考えている。これは、需要面から旧い体制、旧い経済構造の下での過度の値上げ行為を効果的に抑えた。
中国の通貨供給量は適度の増加を保っている。九月末、M2、M1、M0は昨年同期よりそれぞれ一五・三%、一四・八%、一六・四%伸び、通貨流動性はわりに大幅に強くなった。
外資利用が減少
七月以来、国はいちだんと措置をとって、輸出の増加を力強く促した。一月から九月までの輸出入総額は累計二千五百四十六億ドルに達し、昨年同期より九・四%増えた。そのうち、輸出総額は千三百七十億ドルで、二・一%増え、持続的減少の局面を改めた。輸入総額は千百七十六億ドルで、一九・三%増えた。貿易黒字は百九十四億ドルであった。
外資利用額はやや少なくなった。一月から九月までの累計では、実際の外国直接投資額は二百九十二億ドルで、昨年同期より六・八%減った。
目下、経済運行の全般的な情勢は大体正常であるが、投資の増加幅が小さくなり、物価が持続的に下がっている。これは、当面の需要不足の矛盾が依然としてわりに際立ち、経済面の深層の矛盾、特に構造不合理の問題がまだ根本的に解決されていないことを示している。今後の数カ月に、中国は積極的な財政・税務政策の実行にいっそう力を入れ、通貨政策に役割を果たさせることに努め、合わせて税収、価格などの経済レバーを運用して、消費、投資、輸出の需要を効果的に促し、経済成長の年間予期目標の順調な実現を確保し、来年の経済の安定発展のために良好な基礎を築くであろう。