中国のWTO加盟について関係者語る

李 輯

 中国の人たちの世界貿易機関(WTO)加盟に対する心境は複雑なものであり、あこがれもあれば憂慮もある。しかし、中国のWTO加盟について中米両国が合意に達したニュースが伝えられたとき、より多くの人が感じ取ったのは喜びと安心感であったと言える。

WTO加盟は改革の深化に役立つ

 経済学者の李暁西氏は次のように語った。長い目で見れば、WTO加盟は中国の改革と発展に役立つ。中国の改革はすでに二十年の歴程をたどってきており、現在はまた肝心な時点に差しかかり、さまざまな深層部の矛盾の解決はより徹底的な改革を必要とする。WTOの加盟は中国の国有企業と独占的業種の改革を速め、国際競争に参与し、管理とサービスのレベルを向上させることに対し小さくない促進となろう。

 国務院発展研究センター副研究員の呉正章氏は次のように語った。二十年の改革・開放を経て、中国経済は世界経済と一体に融け合いつつあり、中国の対外貿易依存度はすでに四〇%に近付いている。WTOに加盟し、国際分業と協力に参与することは、中国の経済発展のために相対的により安定した外部環境を作り出すことになる。短期的に見て、WTO加盟後、中国の自動車、医薬、化学工業、農業、サービス業などの分野は競争の圧力に直面するであろうが、長期的に見て、貿易と投資の自由化は中国の国内外の二つの市場、二種の資源を利用して産業構造のグレードアップを促進するのにさらに役立つものである。さらに重要なのは、中国は多国間のトラブル解決メカニズムを利用して自分の権益を最大限に守ることができることである。

 中国経済情報ネットワーク首席経済士の梁優彩氏は次のように語った。WTO加盟は弊害より利点の方が大きい。WTOの加盟は必ず中国の輸出を促すことになるが、輸出の改善は必ず経済全体の成長を促すことになる。来年の中国経済の成長は今年より速くなり、今年は約七%であろうが、来年は七・五%になるはずである。

 中国石油化学総公司のある責任者は次のように語った。中国がWTOに加盟した後、石油化学業種の市場の開放と価格の引き下げは必至である。三ないし五年の後にさらに小売りと卸売市場を自由化させるならば、国内の石油業種にとって厳しいチャレンジとなるであろう。中国の石油化学業種は外部からの競争に対応するため、昨年から製品の品質を高め、技術の改良を急ぎ、コストを引き下げ、シエアを高める措置を講じ始めた。政府による保護は一時的なものであり、長期的に見ると、実力にたよって競争に参加しなければならない。

 国務院発展研究センター対外経済部部長の張小済博士は次のように語った。中国がWTOに加盟した後、外資系企業は中国の経済構造調整の中でさらに重要な役割を果たすようになろう。中国政府が打ち出した国有経済が「なすところもあればなさざるところもある」という発展戦略は経済のグローバル化の動向に合致するばかりでなく、外国の投資者にもより多くの投資のチャンスを提供するものである。中国の市場参入分野において、法制化の条件のもとで、外資系企業には中国国有企業の競売に参与するかあるいは合併・買収の方式で国有企業の改革に参与する条件がある。

準備のさなかにある中国

 国家発展計画委員会と情報産業部の専門家たちは次のように語った。中国はWTO加盟のためにあらかじめ準備を整えた。主な政策は、西北地区の金融保険業、電信業、石油の開発と探査、天然ガスの開発と輸送、コンピューター製造、電力と送電市場などの関連産業を優先して開放することである。中国がWTOに加盟した後、西部地区を優先して開放することは全国的独占業種に対し、直ちに致命的脅威となることがあり得ない。同時に、外国投資を吸引して西部地区に入らせることもできれば、国内のメーカーを国内市場における国際化の競争に次第に適応させることもできる。

 最近上海証券取引所で上場した上海浦東発展銀行の沈思氏は次のように語った。浦東発展銀行のような株式制銀行にとって、(中国のWTO加盟についての)合意の調印は商業銀行の発展のためにチャンスをもたらし、国内の金融企業と国際金融体系との全般的融合にプラスとなるものである。「圧力はよいものであり、浦東発展銀行は今後、一流の商業銀行にならなければならない」。

 中国建設銀行の関係筋は、もし期限の制限がなければ国内銀行はいつまでも準備が整うことができないと語った。伝えられたところによると、中国建設銀行はリスク管理と銀行内部のモチベーション・メカニズムの確立を含むさまざまな準備を一貫して行っている。

 中国銀行北京分行行長の孟慶賦氏は次のように語った。銀行の業務から見ると、中国と世界とのドッキングという場合、格差が大きく、プレッシャーも大きい。中国銀行はすでに国際競争に正々堂々と進出し、世界的範囲で各項目の業務を繰り広げている。われわれはさらにサービス分野を拡大し、国際市場での経営を絶えず学ぶことになろう。

 広東省食品輸出入グループ公司総経理の施逸倫氏は次のように語った。われわれはここ数年間にすでにライセンス原則ではなく、市場参入原則にのっとって経営を行っている。中米両国間の合意が調印されてからは大量のアメリカ製品が中国に進出することになる。アメリカの農業が発達し、農産物の価格が安いにもかかわらず、中国の特色を持つオリエンタルフードは依然としてわれわれの強みである。われわれはブランド意識を確立し、自分たちのブランドを確立し、われわれの製品の競争力を強めなければならない。

 「富康(シトロエン)」乗用車を生産する中仏合弁の神竜自動車有限公司中国側総経理の張世瑞氏は次のように語った。WTOの加盟は中国の自動車産業を歴史的変革の関門に突き出すことになる。この変革は中国の乗用車産業体系と構造の調整に非常にプラスとなる。より激しい市場競争によって品質の劣る、性能の悪い製品は整理され、中国の自動車産業がより高いレベルへ発展することを促進するだけである。

アメリカの投資者の間で大きな反響

 米中商会のラテム会長は次のように語った。アメリカの在中国投資者は合意の調印を小躍りして喜ぶとともに、向こう数年間、中国のWTO加盟のプロセスの推進を全力あげてサポートすることを明らかにした。

 同商会副会長、米ベーカー・マッケージー弁護士事務所のジョン・スリバン弁護士は次のように語った。中国のWTO加盟によってもたらされた安定性と市場の先行きはアメリカ会社の在中国投資の規模を増大させるものである。

 現段階では、投資額がアメリカの在中国企業の中でトップに立っているゼネラル・モーターズ社は、その声明の中で次のように述べている。中国経済の規模とその世界貿易体系に対する影響を考慮に入れれば、中国をWTOに加盟させることはすべての人の利益に合致する。

 ルセント・テクノロジース(チャイナ)社も、当社は中米間の合意調印によってもたらされるビジネスチャンスに喜びを覚えるものであるとの意を表明した。

 モトローラ社は次のように見ている。重要な投資者と輸出側としてのわれわれ自身の利益というものはさておき、世界で最も多い人口を擁する国がWTOに全力あげて参与するということだけについて言っても、中米間のこの合意は 世界のビジネスの健全な発展にとって極めて重要なものである。

 インテル(チャイナ)社のジム・ジャレット社長はその業種の専門用語で次のように例えている。これは大きな進展であり、中国が世界経済でより大きな役割を果たすためにより広々としたプラットホームを提供するものと思われる。合意はわれわれのユーザーにメリットをもたらし、外国会社の投資をいっそう促すだろう。

 米ボーイング社社長兼最高執行責任者のフィリプッス・コンディット氏はシアトルで、中国のWTO加盟を支持するという声明を発表し、次のように述べた。合意は米中両国人民がより麗しい将来を創造するために絶好のチャンスを提供し、外国の会社が中国で投資するためにより大きな市場を切り開くものである。この合意は米中関係の強化と米中両国経済の発展に寄与するとともに、世界経済の健全な発展をも促進するだろう。

市民の関心は?

 十一月十五日午後、中米両国間の合意が調印された直後、中国社会調査事務所は北京で、電話で合意調印についてアンケート調査をしたところ、延べ千百五十六の有効回答を受け取った。その中に、合意の調印は「機が熟すれば自然に事が運ぶ」ということであり、中国のWTO加盟は歴史の必然だと答えた人が九四・五%を占め、「中国のWTO加盟は中国人民の利益にも合致する」という朱鎔基総理が訪米期間に語った観点に賛成すると答えた人が九八・九%を占めている。

 この調査はまた、中国のWTO加盟後、中国の輸出関税が引き下げられ、人民の生活水準の向上にプラスとなると考えている人が八〇%で、最も喜びを感じるのは、中国のWTO加盟によって、広範な消費者がより多くの実益を得ることができると考えていることで、それが八七%であることを示している。

 タクシー運転手の劉宝春さんは次のように語った。中国がWTOに加盟した後、わたしにとって一番大きな影響は車の値下げではないだろうか。その時になれば、北京のタクシーも新しい車に変えるべき時期になり、私も車を換えるようになるはずだと思う。それまでの期間は恐らく長いかもしれないが、期待ができる。

 通信製品専売店の解輝さんは次のように語った。テレビから交渉がスムーズに行われたというニュースを耳にした後、中国市場に進出する外資がもっと多くなることを知り、国産の携帯電話がモトローラ、ノキアと太刀打ちできないという状況と同じように、国内の通信産業の立場はさらに困難になると感じた。

 北辰ショッピングセンターの店員の王さんは言う。私はマーケットで家電製品を売る仕事をしている。テレビを例にとると、中国のテレビ市場はすでに十分な競争があり、品質も信頼でき、しかも全方位のサービスシステムがそろっている。中国のWTO加盟後、輸入品の価格が下がるにもかかわらず、それらのアフターサービスは追いつけるとは限らないから、国内企業への影響はあまり大きくないはずである。

 株の売買を行っている韓さんは、中米間の合意が達成したという「株価の上昇のためになる」ニュースを別にどうとは思っていないようだ。自分の立場から見れば、WTOの加盟は株の売買に役立ち、少なくともWTO加盟によって衝撃を受ける業種の株券購入をもっと慎重に扱う上でヒントを与えてくれた。利食し難くなるのは本当につらいからだ。

 果物の販売に従事している魯利如さんは次のように語った。私の外国産果物専売カウンターは恐らくマーケットの中で最もひっそりとした所で、一キログラム数十元の外国産果物は確かに一般庶民の消費水準を超えるものだ。それは包装コストが高くて、関税も高いため、値段も高くなったからだ。WTO加盟後、外国産果物の価格は恐らくだんだんと下がるかもしれないので、アメリカの果物を買う市民は高いとは感じなくなるだろう。

 アジア競技大会選手村にある自動車取引市場のそ慶華さんは次のように語った。自動車を売る仕事の関係で、中国のWTO加盟が自動車業種にもたらす影響に特別な関心を持っている。自動車の輸入税が一歩一歩下がることを知りながら、この日が少しでも遅く到来することを望んでいる。それはうちの会社はちょうど日本製乗用車の通関申告を届けたばかりで、もしちょうどその時に値下がりするならば、耐えられないことになるからだ。この点から見れば、経営者と消費者の受けとめ方は全く違っているようだ。

 発行部数が多い『北京青年報』は十一月十六日に「中国のWTO加盟」についてのホットラインを開通した。ホットラインの利用者はほとんど、中国のWTO加盟は中国の経済にどんな影響を与えるかを知りたいものばかりであった。

 ――大学生の張建華さんは、WTO加盟後、大学の卒業生の仕事探しがかなり大きな衝撃を受けるのではないかを知りたがっていた。

 ――中国測量製図研究院の姜さんは、朱鎔基総理は中国が正式にWTOに加盟した後、中国の人々に対し何を望み、忠告したいのかを知りたいと言ってきた。

 ――ホテルで働いている王威さんは、中国はあと何回の交渉を行ってから正式にWTOに受け入れられるのか、そしてWTOの加盟により中国の中西部の発展は速められるのかどうかと尋ねた。

 ――コンピューター愛好者の李斌さんは、WTOに加盟した後、中関村ハイテク・ゾーンとアメリカのシリコンバレーとの間に激しい市場競争が起こるのだろうかとたずねた。

 ――小学校教師の趙力さんは、中国がWTOに加盟した後、新しい産業の開拓は新たなホットスポットになるだろうか、人々に新たな就職の機会がもたらされるかどうかと質問した。

 ホットラインの統計によれば、中国のWTO加盟に大きな自信を示した利用者は八〇%で、さらにWTOの各条項についての内容を知りたいと言う利用者は七五%で、中国のWTO加盟後に一部の業種が受ける影響に対し質問した利用者は七二%である。

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