カラーテレビ業、風雨の中でまた一年

 カラーテレビ業は、中国の市場の風雨の洗礼を最も多く受けた業種であり、最も速く成熟した業種でもあると言えよう。六〇年代の初めに、中国は最初のテレビを試作した。現在では、カラーテレビ業はすでにかなりの規模に発展し、年間に三千六百三十七万台を生産し、生産量は世界の第一位を占めている。しかし、カラーテレビ業の速やかな発展につれて、市場の需要は小さくなり、市場競争は激しくなった。価格合戦、資源合戦、技術合戦などは連年続き、中国のカラーテレビ業は戦略的選択に直面している。

絶えることなき競争

 今年四月七日、長虹テレビは値下げを発表し、これによって今年第一ラウンドの値下げ競争が始まった。これは中国カラーテレビ業の五回目の値下げ競争である。

 一九八八年、長虹テレビが初めて値下げをして、カラーテレビ業の値下げ競争を引き起こした。その時から、国産カラーテレビ競争は値下げを重ね、過酷な競争は技術、品質、サービスなどの面で絶えず突破を遂げるよう企業に迫り、カラーテレビ業全体を新しい段階に上がらせた。長虹テレビはその時の値下げ競争で唯一の勝者となり、その他の企業にとって生き生きとした競争の授業となった。その後、一九九六年から一九九八年までの三年間に、カラーテレビ業ではまたも値下げ競争が続けて行われた。

 今年の価格合戦は各大手カラーテレビ企業にこれまでなかった圧力を感じさせた。これと同時に、世論もそれに空前の関心を寄せた。

 長虹テレビの値下げを前にして、各大手カラーテレビ企業はどう対応したのだろうか。康佳テレビは値下げ競争に参加せず、長虹テレビの値下げ行動についていかないと表明した。TCLテレビ、創維テレビなどは、状況の変化を静観した。海信テレビはわが社の製品が需要に追い付かないので、値下げの必要がないと称した。しかし、十三日後の四月二十日、康佳テレビはカラーテレビの値下げを発表した。康佳テレビの値下げを知った翌日、TCLテレビは康佳テレビに習って値下げすると言った。四月二十二日、創維テレビは全世界において全部製品の価格を一八%引き下げた。四月二十四日、ソニー、松下、フィリップス、東芝、三星、LGなどの外国のカラーテレビもこっそりと値下げした。四月二十六日、あくまで値下げをしない海信テレビも、全面的に価格を引き下げ、しかもその幅はさらに大いものであった。五月二日、厦華カラーテレビの三大種類のカラーテレビの価格は残らず引き下げられ、その幅はいっそう大きいものであった。五月三日、TCLカラーテレビは全面的に値下げした。カラーテレビメーカーは死に物狂いで値下げ競争を繰り広げたのは、市場のシエアを多く占めようとしたからである。

 カラーテレビの値下げはカラーブラウン管業にも悪影響を及ぼした。五月二十三日、全国の八大カラーブラウン管工場の経営者は北京に集まり、六月二十八日から一斉に操業を一カ月停止して、カラーテレビメーカーがカラーブラウン管を買い付ける時価格を全面的に押えることを食い止めることを申し合わせた。おまえがやらなければおれがやる。これが市場経済である。国産カラーブラウン管の生産が停止してから、外国のカラーブラウン管がすぐさま中国市場に入ってきた。

 七月になってから、カラーテレビの価格は安定しないばかりでなく、引き続き下落した。テレビ工場と外国カラーブラウン管のかさみ撃ちを受けて、八大カラーブラウン管工場は利点と弊害を何回も比較した後、ついに合意を翻し、次々に繰り上げて操業をを再開した。

 九月十九日、長虹テレビは、全国で同社の生産したすべての型番のカラーテレビの価格を引き上げると発表した。これと同時に、康佳テレビもその一部の型番のカラーテレビの価格を引き上げた。創維テレビ、楽華テレビも急いでその一部製品の価格を上の方に調整した。こうして、カラーテレビの値上げ風潮が急に巻き起こされた。

 業界専門家の分析によると、カラーテレビの価格を反騰させた要因は三つある。第一は素子が値上げしたことであり、第二は国内市場が始動し、購買力が強くなったことで、第三は国際市場から見て、現在の世界の家電製品価格の安い地域が中国にあることである。

 家電業の製造技術のレベルから見て、家電業の合理的利潤は八〜一〇%の間にあるべきであるが、今は三〜五%しかない。利潤の急激な減少は企業の資本蓄積を低下させ、発展・拡大と技術革新の後続力を失わせた。先ごろ、国家発展計画委員会は「安値によるダンピング行為制止に関する規定」を公布したが、その目的はほかでもなく、安価によるダンピングを阻止し、国と経営者の合法的権益を守ることにある。

 長虹グループ企画管理センターの郭徳軒主任によると、カラーテレビ価格が安くなると、企業が発展するのはなかなか難しい。国際と国内の経済情勢およびカラーテレビ業の具体的な状況から見れば、最低に落ち込んだカラーテレビの価格はこれ以上下がることがなく、上がるしかないのである。

 先頃、TCLグループは北京で、同社が独自に知的所有権を持つデジタルテレビがすでに国家放送・テレビ製品品質検証センターの認証にパスし、間もなく全面的に出荷されると発表した。これと同時に、その他のカラーテレビ企業も次々にデジタルテレビを開発して売り出した。こうして値下げ競争は技術合戦に変わっていった。

 業界筋は、カラーテレビ業の競争が価格から技術に変わるのは大勢の赴くところであり、また数年にわたる値下げ競争の圧迫を受けて、新製品開発の強みが大手企業に移っていき、開発能力を失った企業は今後の新製品消費ブームに淘汰されることを予示している。カラーテレビ市場を整頓・併合する最終的な決定的要素は価格ではなくて技術であると指摘した。

値下げ競争をどう見るか

 カラーテレビ市場の値下げ競争は重複建設の悪い結果を典型的に暴露した。八〇年代の前半に、一気に百十三本もテレビ生産ラインが導入された。重複建設によって形成された過剰の生産能力は、必然的に市場の激しい競争をもたらす。

 国家発展計画委員会産業発展研究所の費洪平研究員によると、重複建設と重複生産により、カラーテレビ工業の生産能力が過剰となり、そのため、値下げは企業の正常な価格行為であるべきであり、当面の内需拡大によって市場の繁栄を促す方針・政策に合致する。

 値下げ競争の中で、生産規模が小さく、技術の実力を持たない弱い企業は発展するのが困難であり、強みのある企業は機に乗じ、横向きの買収と併合を通じて規模を拡大する。中国家電協会筋によると、当面の中国家電業の総量は大きいが、個々の企業の実力は強くなく、一九九七年のカラーテレビ業界には年産量十万台以下の小工場がまだ三十余社あり、これらの工場は生産を続けるのが困難で、整理される可能性がある。値下げは疑いもなく、吸収合併を促進し、業種の集中の程度を高め、反応がにぶく、技術力の弱い一部の企業は排除され、シエアがますます大型企業に集中する。

 値下げ競争は企業の科学技術への投入を減らし、それによって技術革新を遅らせることがあるかどうか。これについて費洪平研究員は次のように見る。

 適度の値下げは技術革新とグレードアップを妨害しないばかりでなく、カラーテレビ工業の技術革新と製品のグレードアップ、モデルチェンジの加速に役立つ。カラーテレビ製品にサイクルがあり、三、五年ごとに技術が一回グレードアップするので、技術レベルの低い製品をできる限り安価で売りさばき、利潤獲得任務を技術レベルの高い製品に達成させるべきである。

康佳グループの総裁陳偉栄氏は、カラーテレビの価格合戦はここ数年来の業界内の重複建設の悲劇的結果であり、やむを得ないことであると指摘し、値下げ競争に別れを告げ、科学技術で勝負するよう同業者に呼びかけた。

幸いにも、当面、国内の多くの大手カラーテレビ企業は次々に売上高の四〜五%ひいてはもっと多くを科学研究と製品開発に投入していることである。製品の科学技術の付加価値を高め、スケール経営と統一管理を通じてコストを最大限に引き下げ、競争力を持つ価格を形成することこそ生存していく根本的な道である。頭のいいカラーテレビ業者は、新しい技術を作り出すことは、実際には新しい市場、新しい需要を作り出すことであり、技術の面でリーダー的地位に就いてこそはじめて永遠に不敗の地に立つことができることを知っている。

チャレンジにどう対処するか

 カラーテレビ業がどのように自らの競争の強みを作り出し、保持するか、競争環境に根本的な変化が生じた市場を前にして、自らの発展戦略をどう調整すべきか。これは企業界のみならず、社会各界が広く関心を寄せている問題でもある。

 世界の先進的なカラーテレビ企業から見て、日本の東芝、ソニーであれ、ヨーロッパのフィリップスであれ、これらのメーカーはいずれもカラーブラウン管から大規模集積回路とマイクロ・エレクトロニクスに至るまでのカラーテレビ製造の核心的な技術を握っている。だが、中国のカラーテレビ企業の現状はそれとは鮮明なコントラストをなしている。中国のカラーテレビ企業の年間売上高が百億元にも達しているのに、利潤が数億元しかないのはなぜか。これらの企業が核心的技術を握っていないからである。

 中国の一部のカラーテレビ企業はすでにこの問題を意識している。呉少章広州楽華電子有限公司董事長は、「カラーテレビ企業のスタートラインが低すぎたため、業界内の一部の企業が目先の収益しか重視せず、低品質、低価格の製品で市場での生存を謀っているが、このようなやり方はすでに業界の健全な発展に重大な影響を及ぼしている」と語った 。 中国のテレビ企業に存在する技術問題について、呉氏は「新製品開発の能力が弱く、問題は主に集積回路、テレビの完成品とカラーブラウン管の技術に集中している。この問題を解決しなければ、中国のカラーテレビ工業は永遠に頭角を現す日がないであろう」とし、「楽華テレビは年間利潤の八〜一〇%を技術開発基金に充て、中国のカラーテレビ工業のために斬新な道を切り開くことを目指している」と宣言した。

 カラーテレビ業の競争は必然的に技術競争になる。このため、カラーテレビ企業は科学技術への投入、ニューテクと新工程の応用を重視し、技術革新を企業の市場競争の手段とすると思われる。これに対し、企業家たちの認識がすでに一致している。

 カラーテレビ工業は伝統的なシミュレーション・テレビからデジタル・テレビへの飛躍を経歴しており、テレビ分野のグレードアップとモデルチェンジの中で先にチャンスをつかむため、海信、TCL、康佳など多くのテレビ企業は早くからデジタルテレビの研究を始めた。

 深せん康佳グループは去る九月末に上海で開催されたフォーチュン・グローバル・フォーラムの開幕当日にマスメディアを通じて、同社最初のハイビジョンデジタルテレビ生産ラインが始動したニュースを発表し、同時にクリスマス期間に第一陣のデジタル・テレビをアメリカに輸出するため積極的に努力している。

 春蘭印カラーテレビは新登場のものである。春蘭グループ総裁の陶建幸氏は、「われわれはこの方面(価格)でその他の企業と競争しない。肝心なのは核心的技術(集積回路)の主導権を握ることである。この主導権はコスト面で強みを持つばかりでなく、もっと重要なのは製品の重複不可能性を確立できることである。春蘭テレビの科学技術への投入は年平均五億元であり、今年は七億元に達した」と語った。

 企業家たちは経営の質に関心を持ち始めた。海爾グループ総裁の張瑞敏氏は同社の各項目の第一位を二度と強調せず、大きくなろうと思えば先に強くならなければならないことを打ち出し、大きいとは規模を指し、強いとは効率を指し、大きくなるのは強くなった結果であるべきであり、効率のある企業こそ急速に発展する企業であると語った。

 多元化の経営は企業の真っ先に選択する経営方式である。長虹グループは早くからエアコン業種に進出し、康佳グループは冷蔵庫業に進軍し、海爾グループは一九九七年にテレビ分野への進出に成功してから、昨年はまた情報産業に進軍し、コンピューターなどの製品を生産し始めた。これらの大手企業は関係分野への浸透を通じて多元化の経営を実現した。

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