限りなきビジネスチャンスの
中で未来を開拓しよう

――中国製品のロシア進出

 ロシア極東研究所の経済学者ミハイル博士にとって、今年の十月八日から十二日までモスクワで催された'99モスクワ・中国中小企業製品展覧会は中国商品に対するその印象を徹底的に変えるものであった。氏は次のように語った。

 展覧会を見る前においては、私の中国に対する理解はまだ五〇年代のレベルにとどまっていた。展覧会を見た後、印象は完全に変わり、中国製品は本当に私の見聞を大いに広めることになり、中国のいくつかの企業、特に民間用のエレクトロニクス企業はすでに世界の前列にあり、中国の経済成果は本当に人々をびっくりさせるに足るものであった。今度の展覧会で深い印象を持ったのはミハイル氏だけでなく、ロシアの『コムソモーレツ』紙、『トルード』、『モスクワ・ニュース』、『ビジネスマン』紙とモスクワのエコー放送局などの現地メディアは先を争って今回の展覧会の盛況を報道した。モスクワ市中小企業局のエゴロフ局長も、これは二十年来モスクワ市で行われた最もすばらしい展覧会だと見ている。

 モスクワで大いに注目されているこの展覧会は中ロの国交樹立五十周年を記念するためのビッグイベントとして、国務院の許可を得て、国家経済貿易委員会が主催し盛華仁国家経済貿易委員会主任が自ら代表団を率いて参加したものである。盛華仁主任は開幕式で次のように述べた。中小企業は各国の経済発展においてますます重要な地位を占めるようになった。それは新技術を導入し、就職の機会をつくり、都市・農村の市場を繁栄させる面では大企業の取って代わることのできない役割を果たしている。中小企業の発展は世界各国で広く注目を集めている。中国の改革開放の二十年来、中小企業は急速な発展を遂げ、その数はすでに企業の総計の九九%を占め、国内総生産(GNP)と国の財政収入の中で重要な地位を占めるに至った。中ロの経済はかなり大きな相互補完性を持っており、両国の中小企業の間の協力は大きな潜在力と明るい展望を持っている。

 今回の展覧会の主催者である国家経済貿易委員会中小企業対外協力協調センター、中小企業国際協力協会と中国汎用技術集団国際広告展覧有限公司の紹介によると、今回の展覧会の展示面積は約五千平方メートル、中心展示コーナーは千平方メートル近くもあり、全部で百八十余りの標準展示ケースが置かれている。展示に参加した企業は二百余社に達して、それぞれ北京、上海、天津、江蘇、浙江、深せん、甘粛、新疆などの十八の省、直轄市、自治区からきており、圧倒的多数は各地の実力のある貿易会社と著名ブランドのメーカーであり、例えば、春蘭グループ、小天鵝グループ、科竜電気有限公司、珠江ピアノ工場、兆維グループなどである。

 中国汎用技術集団国際広告展覧有限公司の李仁貴総経理は次のように語った。今回の展示館の全体の設計は美しく上品で、熱気のある雰囲気が感じられ、濃厚な中国の民族の特色を具現しているとともに、近代的な息吹きにも富む。展示された千余種の商品のカバー率は大きく、機械、鉱産物、化学工業、電子、軽工業、繊維製品、工芸品と食糧、食用油、食品などに及ぶもので、その中には、中国の当面の経済技術発展のレベルを示している製品があるだけでなく、伝統の特色をもつ商品もあり、また特産品、良質な製品、新製品も一部にはある。それはロシアの消費者たちの間で非常に歓迎されている。展覧会の初日に、深せん珍興靴業有限公司ははじめてロシア側と三百六十万ドルの契約を結んだ。

 展覧会の開幕後、毎日の一万人近くの人の見学者を引きつけた。おおまかな統計によると、展覧期間における契約ベースの取引金額は一億七千万ドル(十四億二千万元)に達した。

 国家経済貿易委員会中小企業対外協力センターの袁普副主任は今度の展覧会について、次のように語った。今回の展覧会は両国企業界の相互の理解を促し、中国の製品に対するロシア国民の認識を新たにするものとなり、一定の程度において中国の商品のロシア市場におけるよくないイメージを変えるとともに、中小企業にロシアにおける限りないビジネスチャンスをもたらすものとなった。

 今回の展覧会は中国の各省・直轄市・自治区の経済貿易委員会が自らメーカーを組織して展示に参加し、展示品の質を保証した。その中で、ロシアの消費者に歓迎されている製品としては家電製品、磁気カード、凍害防止液、陶磁器、アパレル製品、食品、電池、照明器具などがあり、多くの見本が全部買い切られた。需給双方が直接顔を合わせたため、中国企業のロシア市場に対する理解と認識を深めることになった。ロシアの工業は大型のものから軽小型に転換している時期にあり、中国の軽工業製品の質と価格はロシアで大きな競争力を持つ。展示に参加した多くの企業は、今度の展覧会は収益を手にする勇気を奮い立たせることになったと語った。そしてロシア市場をがっちりととらえて、ロシアでの投資を計画することを明らかにした。陝西省を例にとると、展示に参加した企業は七社あり、展示後にロシアに事務所を設立しようとしたものが三社あり、投資して工場を設置しようとしたものが一社ある。済南のミニバイク集団は積極的にパートナーを探して、六社の企業とさらに交渉を続けている。

 同時に、今度の展覧の実践を通じて、中国企業はロシア市場進出の面でチャンスが存在しているばかりでなく、挑戦にも直面していることを感じ取っている。袁副主任はさらに次のように語った。西側諸国と韓国の企業がすでにロシア市場に進出し始め、競争は非常に激しく、展示に参加した企業の多くはこれに対して大きな関心を寄せている。例えば、天津環球磁気カード公司は展覧会で八百万ドルの契約を結ぶと同時に、いっそう投資を拡大し、ロシアの磁気カード市場を急速に占有するつもりである。

 そのほか、今回の展覧会は経済貿易委員会が企業を率いて、組織的にロシア市場を開拓する新しいルートと方法をも模索するものであった。それは工業と貿易を結びつけ、製品の輸出を促し、国内市場の消費が盛んではない問題を解決する上で一定の啓示を与えてくれた。

 しかし、中ロ経済貿易協力はここ数年来絶えず健全に発展しているとはいえ、両国の協力の規模とレベルはまだ満足できない状態にとどまっており、昨年の二国間の貿易額は五十四億八千万ドルに達しただけにすぎず、これは両国の持つ潜在力とははるかにかけ離れたものである。ロシアと貿易を行う時に、企業がさらされるカントリーリスクと通貨価値のリスクのほか、国境貿易の初期における中国側の規範に合わないやり方がもとで一定の好ましからぬ影響をもたらしたこともその原因の一つである。中国商品には一部のにせもの、劣悪商品が存在していたため、ロシア市場における中国商品全体のイメージに悪影響を及ぼした。そのため、市場の規範化した運営は非常に重要である。貿易体制の面で、より多くの生産企業が直接市場に向かうよう励まし、国際市場のニーズを理解させるために、国はより多くの優遇政策を制定しなければならない。そのほか、政府はより多くのサービス的な助成を企業に与えるべきだ。対ロシア貿易において、企業はかなりのリスクに耐えなければならない。経済安全が保障されない場合、政府間の信頼できる連絡ルートはとりわけ重要である。今後、政府はこの方面でより大きな努力を払うことになろう。

 今回の展覧会の成果を発展させるため、国家経済貿易委員会中小企業対外協調センターとモスクワ市中小企業局が協力覚書きに調印し、双方は展覧会とシンポジウムの開催、情報交換、プロジェクト協力促進などの面で、中小企業に必要なサービスを提供することを目指している。

 中ロ双方の経済にはそれぞれ強みがあり、互恵性が強く、中ロの平等と信頼における戦略パートナーシップの基礎の上で、双方が共に努力する限り、両国の経済貿易協力はきっと新しい段階を迎えることができると信じる。

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