一九九九年度国民経済・社会発展計画執行状況と二〇〇〇年
度経済・社会発展計画案に関する報告(要旨)

2000年3月6日、第9期全国人民代表大会第3回会議にて

国家発展計画委員会主任 曾培炎

一、一九九九年度国民経済・社会発展計画執行状況

 全般的に見れば、一九九九年度の計画執行状況は良好で、国民経済・社会発展の主な規制目標は基本的に達成された。

 国民経済の発展は引き続き良好な勢いを保ち、成長の質と効果がいくらか向上した。国内総生産(GDP)は八兆二〇五四億元を達成し、前年度比七・一%増となった。農業生産条件は引き続き改善され、構造調整は重要な一歩を踏み出し、自然災害への対応能力がさらに増強された。食糧生産量は引き続き五億トンのかなり高いレベルを保っている。工業生産額(付加価値)は八・五%増えた。工業内部構造の調整は著しい進展を遂げ、電子情報等のハイテク産業の発展が速かった。移動通信設備、コンピュータおよび大規模集積回路の生産量はそれぞれ四三・五%、一九六・四%、一四九%増えた。工業製品販売率は九七・一六%に達し、〇・五六ポイント上がった。工業企業の経済効果総合指数は年間九九・三となり、八・四ポイント上がった。国有および国有持株工業企業は損益を差し引くと、九六七億元の利潤を達成し、七七・七%増となった。第三次産業生産額(付加価値)は七・五%増えた。観光、情報、コンサルティングなどのサービス業は速い発展をみた。

 投資構造は引き続き改善され、工事の質は向上した。全社会の固定資産投資は二兆九八七六億元を達成し、前年度比五・二%増となった。積極的な財政政策の実施、国債の増発、投資の拡大は、経済発展を促すうえで重要な役割を果たした。年間の国債による投資は一〇一〇億元を達成し、それにリードされて増えた地方、部門、企業の投資および銀行融資とあいまって、一部の重要プロジェクトが建設され、力を集中して、多年にわたって達成することのできなかった大事業を成し遂げた。さらに大河川・大湖沼の堤防を六一〇〇キロ補強し、洪水防止の基準が向上した。長江中下流沿岸において耕地を湖沼に戻し、移転住民のために町作りをするプロジェクトは百万人近くの人民大衆に及び、貯水・排水面積を一五〇〇平方キロメートル余り増やした。建設中の自動車道路は二万四〇〇〇キロ、そのうち高速道路は一万キロであった。新規開通した自動車道路は四七四〇キロ、そのうち高速道路は一八九五キロであった。鉄道の新規開通は一〇〇五キロ、複線化は五四七キロであった。都市インフラと環境保全の建設は著しく加速され、都市の日間給水能力は八五〇万立方メートル増大し、汚水の日間処理能力は五八〇万トン増えた。農村部の送電網の改造および建設は全国範囲で展開され、五〇〇県が改造の任務を完遂した。容量二五〇〇万トンの食糧備蓄倉庫を完工した。企業の技術改良とハイテク産業化のテンポが速められた。学生募集の拡大に呼応し、教育施設建設への投入を増大した。六〇%以上の国債投資は中西部地区に用いられた。

 財政収支は比較的速い伸びをみせ、金融は引き続き安定している。全国の歳入(債務収入は含まない)は一兆一三七七億元で、前年度比一五・二%増えた。全国の歳出(債務支出は含まない)は一兆三一三六億元で、二一・七%増えた。全国の財政収支を差し引くと、歳出は歳入を一七五九億元上回り、そのうち、中央財政の赤字は一七九七億元で、地方財政の黒字は三八億元であった。通貨政策の役割を発揮させることに努め、預金・貸付金利および法定預金準備率を引き下げ、消費者融資を拡大し、中小金融機構に対する中央銀行の再貸付規模を拡大し、マネー・サプライを適度に増加し、内需拡大と経済発展を促した。一九九九年末、広義のマネー・サプライ( M2 )、狭義のマネー・サプライ(M1  )、市場現金通貨の流通量( M0 )はそれぞれ一四・七%、一七・七%、二〇・一%伸びた。全金融機構の年末貸付残高は九兆四〇〇〇億元で、一兆八〇〇億元増えた。

 国有企業の改革と苦境脱出は著しい進展をみせ、その他の諸重点分野の改革も引き続き深化している。行政・企業の分離のテンポが加速している。企業の合併・破産、業種内の再編活動はその度合が強まっている。軍需、非鉄金属、電信などの業種で一群の新しい大型企業グループを創設した。国有企業の苦境脱出活動は成果をあげ、赤字経営の国有および国有持株企業の欠損額は前年より一五・九%下がった。紡績、建材、非鉄金属、鉄道などの業種は赤字解消・収益増大を実現した。国有企業からの一時帰休者四九〇万人余りが再就職を果たし、再就職できなかった一時帰休者の九三%は再就職サービスセンターに入り、そのうちの九七%が基本生活費を受け取った。企業から引退・退職した人に対する養老年金はだいたい期限通り全額給付された。都市部における労働者・職員医療保険制度の改革は引き続き展開されている。

 価格関係を調整し、いっそうすっきりさせた。鉄道の貨物運賃、医療サービスの諸価格および郵便・電話料金の基準を調整し、公有住宅の家賃および高等教育機関、都市の給水、環境保全の料金徴収基準を引き上げたことにより、基礎産業と社会公共事業の発展が促進された。

 食糧・綿花流通体制の改革は引き続き進捗した。農民の余剰食糧の保護価格による無制限な買付政策を実行し、良質食糧に対する高めの価格の買付を実行して、農民の利益を守り、栽培構造の調整を促進した。国有食糧買付・販売企業は順ザヤ価格での販売を堅持し、買付資金の一本化を実現して、経営・管理のレベルがいくらか向上し、大幅欠損の局面が好転した。綿花流通体制の改革は順調に進んだ。

 輸出貿易はかなり速いテンポで伸び、外資利用は引き続き質的に向上した。年間輸出入総額は三六〇七億ドルで、前年度比一一・三%の伸びを示した。そのうち、輸出は六・一%増の一九四九億ドル、輸入は一八・二%増の一六五八億ドルであった。輸出商品の構成は絶えず改善された。機械・電子製品の輸出は一四・七%伸び、正味九九億ドルの増加で、輸出全体の純増総額の八八%を占めた。

 外資の実質利用は五六三億ドルで前年度比三・九%減少した。国外から導入した投資は四五四億ドル、そのうち外国企業の直接投資は四〇四億ドルで、依然として発展途上国のトップを占めた。国家が奨励する資金・技術集約型プロジェクトは著しく増え、そのプロジェクトの規模も拡大し、わが国で投資して工場を設立する多国籍企業は多くなった。

 科学技術と教育の発展のテンポは速くなり、諸般の社会事業は全面的に進歩をみた。科学技術体制の改革はいっそう深化した。十の国家局に所属する二四二の科学研究機構は、体制改革を行った上で八〇%が企業に編入された。国家重点基礎研究発展計画プロジェクトおよび科学技術型中小企業技術創造・革新基金はスムーズに始動した。デジタル・ハイビジョン・テレビ、希土類元素の応用、バイオテクノロジーなどの重要な産業化特別プロジェクトは進展をみた。「神舟号」宇宙船による飛行実験が成功し、これはわが国の有人宇宙飛行事業が重要な一歩を踏み出したことを示している。

 各レベル、各種の教育改革と発展は新しい成果を収めた。一般大学の学生募集人数は前年度比四七・四%増の一六〇万人になった。貧困地区における基礎教育に必要な学校の運営条件の改善を積極的に助成した。全国の八〇%の人口をカバーする地域で九年制義務教育が基本的に普及し、青壮年の非識字者が基本的に一掃された。

 文化・芸術、報道・出版、ラジオ・映画・テレビ、社会科学、計画出産、医療・衛生、スポーツなどの諸般の社会事業は全面的に発展し、社会主義精神文明の建設は引き続き強化された。人口の自然増加率は八・七七‰であった。「村々に通じる」というラジオ・テレビ放送プログラムが全面的にスタートし、これにより、四〇〇〇万近くの農民がラジオも聞けずテレビも見られなかった歴史にピリオドが打たれた。貧困地区の農民健康プログラムがスタートした。

 市況は好転し、人民生活は引き続き改善された。消費者融資の拡大、国民祝日の増加、消費環境の改善などの措置によって、消費需要の増加が促され、下半期の市場売上高は安定的に上昇した。年間の社会消費財小売総額は三兆一一三五億元で、前年より六・八%増え、物価下落要因を差し引くと実質一〇・一%増となった。昨年の七月一日から、都市部低所得住民と政府部門・公共事業団体職員の収入を引き上げた。年間の都市部住民の一人当たりの可処分所得は五八五四元で、前年度比実質九・三%増となった。都市部一人当たりの居住面積は九・六平方メートルで、〇・六平方メートル増えた。都市部登録失業率は三・一%であった。農民の負担軽減のための諸措置を確実に実行に移し、農民収入の増加に努めた。農村住民の一人当たりの純収入は二二一〇元で、実質三・八%増となった。貧困脱却扶助活動は新たな進展をみせ、さらに約八〇〇万人の貧困人口の衣食問題が解決された。

 われわれは、経済・社会発展の過程でまだ多くの困難と問題が存在していることをも冷静に見て取らなければならない。一つは、有効需要の不足である。固定資産投資の伸びが鈍くなり、国有部門の投資の伸び率は第1・四半期の二二・七%から第4・四半期の三・八%に下がり、住民消費の伸びを制限し、消費分野の拡大に影響を与える要素が一部存在しており、住民消費価格と商品小売価格は前年に比べそれぞれ一・四%、三%下がった。二つは、就業の圧力の増大である。昨年末の時点で、国有企業の一時帰休者で就業待機の者が六五〇万人おり、それに失業者もいるので、その就業問題を解決しなければならない。郷鎮企業の従業員は減少し、移動させる必要のある農村余剰労働力が大量に存在する。三つは、農民の収入増加のテンポが鈍化していることである。需給関係が変化し、農産物価格が下がり続け、郷鎮企業の効率が低下しているため、前年度の農民一人当たりの純収入は四八元しか増えなかった。四つは、経済構造の不合理による矛盾が依然として目立っていることである。一般製品の生産能力過剰の問題は依然として深刻で、一部の企業は市場需要の変化に適応できず、開発、創造・革新能力が乏しく、製品のグレードアップが遅く、競争力が強くない。五つは、一部の地区の生態系がさらに悪化し、一部の都市の汚染が深刻になっていることである。これらの問題に対して、われわれは効果的な措置を講じて真剣に解決しなければならない。

 二、二〇〇〇年度経済・社会

 発展の規制目標と主要任務

 今年度の経済活動の全般的要求は次の通りである。国有企業の改革と発展、経済構造の調整、科学技術の進歩、内需拡大に重点的に取り組む。農業の基礎としての地位をいっそう安定させ、農業と農村経済構造の調整に力を入れ、あらゆる方法を講じて農民の収入を増やす。国有企業の改革を基軸として、赤字解消・黒字増大と現代企業制度の確立を積極的に推進する。引き続き積極的な財政政策を実行し、通貨政策の役割をさらに発揮させ、税収、価格等のマクロ規制の手段を総合的に運用し、インフラ建設を強め、技術改良にしっかり取り組み、科学技術革新を速め、消費の拡大に努める。対外開放を拡大し、輸出入を積極的に増やし、外資利用の水準を向上させる。社会保障システムを整備し、貧困脱却扶助活動を重視、強化し、人民の生活をさらに改善する。こうした要求に基づいて、二〇〇〇年度国民経済・社会発展の主要な所期目標を次の通りに定める。

   経済成長率は七%前後とする。

   全社会の固定資産投資の伸びは一〇%前後とする。

   総体的に消費者物価と小売物価を昨年とほぼ同じかやや高い水準に抑制する。

   輸出入総額の伸び率は三%とし、国際収支の基本的均衡を保つ。

   中央財政赤字は二二九九億元とする。

   通貨発行量は一五〇〇億元前後とする。

   都市部の登録失業率は三・五%前後とする。

   人口の自然増加率は九・二‰とする。

 二〇〇〇年度国民経済・社会発展の主要任務を次のように定める。

 (一)投資規模を引き続き拡大し、さらに投資構造の最適化を進める

 二〇〇〇年度の経済成長の所期目標を達成するためのポイントは、投資がより速いテンポで伸びることが可能かどうかにかかっている。全社会の固定資産投資の伸び率一〇%前後は、需要と可能性に基づいて定めたものである。国債と財政による投資を引き続き増やし、銀行貸付の増加と企業投資の増加をはかり、集団と個人経営および私営などの非国有経済が投資を増やすよう誘導、奨励し、できる限り外資を多く利用する。固定資産投資の重点は、インフラ建設、とくに水利、鉄道線路、自動車道路、通信基幹網などの重点プロジェクト建設をいっそう強化すること、企業の技術改良を支持し、ハイテクの産業化を速め、装備産業を扶助し、産業技術進歩と産業のグレードアップを推し進め、国防科学技術のレベルアップをはかること、西部開発と生態建設および環境整備への投入の度合いを大きくすること、教育、科学技術のインフラへの投資を増やすこと、主要生産地区の食糧倉庫建設を強化すること、経済的で実用的な住宅の建設を速めることである。一群の重要プロジェクトの着工と建設を進める。

 (二)農業と農村経済構造の戦略的調整に力を入れ、農村経済の体質と効率を全面的に向上させる

 水利を重点とする農業のインフラ建設を引き続き強化する。長江、黄河などの大河川堤防プロジェクトの建設を速め、河川・湖沼の浚渫と移転住民の町作りおよび特に老朽化した危険なダムに対する危険除去と補強に取り組み、主要河川の制御水利センタープロジェクトを強化する。関連施設を含む大型灌漑区の改造プロジェクトを整備し、節水灌漑を大いに発展させ、農村の水道、電気、道路、通信などの公共施設建設を強化する。

 農民が市場の需要に応じて、栽培構造を調整し、グリーン食品、地元の特色ある農産物を積極的に発展させ、農産物の良質化に努める。

 食糧流通体制改革を引き続き深化させる。農民の余剰食糧を保護価格で無制限に買い上げ、国有食糧買付・販売企業の順ザヤ価格の販売と買入れ資金を一本化する政策を堅持する。

 郷鎮企業の構造を調整し、地方小都市を積極的に発展させる。郷鎮企業と農業の産業化経営が結合するように誘導し、農産物の加工転化、高付加価値化を促す。合理的配置、科学的計画に基づいて、地方小都市の建設を速める。郷鎮企業が小都市へ集中するよう奨励する。

 貧困脱却難関突破の諸政策・措置をさらに実施し、さらに一〇〇〇万人前後の農村貧困人口の衣食問題の解決をめざし、国家の「八・七(七年間で八〇〇〇万人)」貧困脱却扶助難関突破計画の完成に努める。

 (三)工業構造の調整によりいっそう力を入れ、成長の質と効率を向上させる

 技術進歩と産業のグレートアップを速める。旧工業基地の産業調整と企業再編を速める。技術が立ち遅れ、品質が粗悪で、資源を浪費し、汚染が深刻な一部の零細工場・鉱山を断固閉鎖し、立ち遅れた設備、技術と生産プロセスを淘汰する。石炭と冶金業種の総量規制に力を入れる。あらゆる方法を講じて工業製品の品質、労働生産性及び企業の効率と収益を高める。

 (四)良好な外部環境づくりに努め、国有企業の改革と発展を積極的に推進する

 引き続き銀行の不良債権帳消し引当金の規模を大きくし、それを主として国有大中

型企業の倒産および資源の枯渇した鉱山の閉鎖に用いる。一部の国有大中型企業の債務の株式化作業を急ぐ。企業融資のルートを広げる。

 計画という手段、財政政策、通貨政策、経済槓杆を総合的に利用して、適時に市場需給を調整する。引き続き商品市場を整備して、資金、技術、労働力等の要素市場を育成し、発展させる。市場に対する監督・管理を強化し、公正競争に適した市場環境を作り出す。偽物・粗悪品の製造・販売行為を厳しく取り締まる。社会保障制度を健全化させ、都市部で養老、失業、医療を重点とする社会保険を強制実施する。国有企業の一時帰休者の基本生活保障と再就職活動をいっそう立派に行い、企業の引退・退職者の基本養老年金を期限通りに全額支給することを保証しなければならない。条件の整った地区では、一時帰休者の基本生活保障を失業保険に組み入れるテスト作業を積極的かつしっかり進める。多種多様の方法を取り、多ルートを通じて社会保障資金を調達し、社会保険基金の価値保持・増殖問題の研究に力を入れる。就業チャンスの増加に努め、中小企業と非国有経済の発展を助成する。

 (五)積極的な財政政策の実施に力を入れ、通貨政策の役割をいっそう発揮させる

 わが国経済の現状および直面している問題に鑑み、今年度のマクロ規制の所期目標を達成するため、積極的な財政政策を引き続き実施し、一〇〇〇億元の長期国債を発行して、それを投資需要の拡大に用いる。全国財政の歳入は一兆二三三八億元、歳出(債務利子による支出を含む)は一兆四六三七億元とし、収支を差し引くと、二二九九億元の赤字で、すべてが中央財政赤字となり、地方財政の収支は均衡を保つ。大いに収入増加・支出節約活動に取り組み、租税の徴収・管理を強化し、法による税政を厳しく実行し、税収の増加を確保する。支出構造の調整と最適化を進め、経常的支出を厳しく規制し、圧縮し、重点支出の需要を保証する。財政的資金の指導的役割を十分に発揮させる。

 さまざまな通貨政策の手段を総合的に用いて、着実に金融の経済発展に対する助成の度合いを大きくする。経済発展の要請に合わせ、ベース・マネーの供給を増やして、適宜にマネー・サプライを増やす。中小企業の信用保証システムの確立と整備を速め、条件の整った中小金融機構に対して、再貸付の規模を適度に拡大する。国債の発行に組み合わせて、貸付の規模を拡大し、インフラ建設と技術改良をサポートする。製品の売れ行きがよく、収益があり、信用度が高い企業に対して、流動資金の融資を適宜に行う。農民の借り入れ難の問題を真剣に解決する。

 (六)西部大開発戦略を実施し、地域経済の調和のとれた発展を促す

 西部大開発戦略を実施し、中西部地区の発展を速めることは、党中央がわが国の現代化建設に関するとう小平氏の「二つの大局」という戦略的思想に基づき、遠い将来を見通し、全局を統一的に把握したうえで下した重要な政策決定である。今年は全般的計画の制定と関連政策の検討を急ぎ、インフラ建設の強化や生態環境の保護などの重点分野で実質的なステップを踏み出さなければならない。

 インフラ建設を速めることは西部大開発の基礎である。水利、交通運輸、通信、観光およびラジオ・テレビ放送などのインフラ建設を速め、西部地区における資源の優位を経済的優位へと転化させる。水資源の合理的開発と効果的利用を重要事項として位置付け、節水プロジェクトを優先的に発展させる。自動車道路に関しては、国道主要幹線と省・自治区レベルの地方幹線建設を速め、貧困地区の道路が国道主要幹線に結び付くよう大いに支援する。鉄道建設は西部地区の内外に通ずる幹線鉄道をいっそう整備する。主要幹線空港の建設を踏まえて、一部のローカルライン空港を合理的に計画、建設する。天然ガスのパイプラインによる輸送を積極的に発展させる。今年は引き続き一群の重要プロジェクトの建設と着工に取り組み、それらの前期作業をいっそう強化し、とりわけ新疆タリム盆地から上海まで、また四川・重慶地区から武漢まで等のガス輸送パイプラインの前期作業を速め、プロジェクトの早期着工に努める。

 生態環境づくりと環境保全を強化することは西部大開発の重要内容である。「耕地をもとの林地(草地)に戻し、むやみな伐採や放牧を禁じて緑化し、食糧による救済援助、個人請負」という総合的な措置を取り、目下食糧に比較的余裕があるという有利なチャンスをつかんで、長江、黄河上流地域の生態の脆弱な地区で、勾配の急な耕地の整備に力を入れ、計画性をもち、段取りをつけ、モデルケースのテストを踏まえたうえで、耕地の林地、草地への回復を着実に推し進め、禿山・荒地を緑化し、森林・草地の植生を取り戻して、西部地区の生態環境が悪化している状態を根本的に変えていく。今年度のテストとしての耕地の林地、草地回復面積は約三三万ヘクタール、林地回復面積は六六万ヘクタール以上とする。

 西部大開発については、旧体制と伝統的な発展モデルを踏襲してはならず、社会主義市場経済体制の確立と経済成長パターンの転換という要求に応じて、新しい発想、新しい方法、新しいメカニズムを積極的に採用し、思想を解放させ、実際に即して真理を求め、大胆に創造、革新し、意欲的に開拓しなければならない。各地の資源の特徴と地元の優位から出発して、市場の見通しのよい特色のある経済と優位産業を発展させる。人材の養成と導入を強化し、人材の役割を発揮するのに有利な社会環境と政策環境を作り出す。国は中西部地区への投入を増やし、財政の移転支出の度合いを増大させる。国債による投資、「債務の株式化」、不良債権引当金による実損処理、外国政府および金融機構による貸付も中西部地区へ傾斜させる。新しい情勢の下で西部開発を速めるには、主として市場メカニズムを運用し、各方面の資金を導入して、巨大な資金需要を満たさなければならない。関連政策を充実させ、投資環境の改善に努め、外資ならびにわが国の東部の資金をより大胆に導入する。

 西部大開発は東部地区発展のための市場とエネルギー・原材料面でのサポートを提供し、東部地区の構造調整のための条件を作り出す。

 (七)対外開放レベルを絶えず高め、国内外の二つの市場、二つの資源をよりうまく利用する

 国際経済環境の好転とわが国の世界貿易機関(WTO)加盟プロセスの加速という有利なチャンスをとらえ、国際標準にのっとって関連法律・法規を調整、整備し、輸出入と外資利用を積極的に拡大する。輸出戻し税など輸出の各項インセンティブ政策を引き続き実施する。機械・電子製品の輸出をさらに拡大し、紡績、アパレルなど伝統的な輸出製品のグレードアップを加速し、ハイテク製品の輸出に力を入れ、より多くの農産物が国際市場に入るよう推し進める。輸入品構成のさらなる最適化をはかり、国内において急用の、カギとなる設備、技術、原材料の輸入をうまく組織する。国有対外貿易企業の改革を積極的に推進し、生産企業の輸出入経営権登録制の実施を速める。輸出商品における自主割当の品目を減らし、割当の管理と入札方法を改善する。加工貿易企業の類別管理を実施する。外貨の不法な国外への持ち出し、外貨のヤミ取引、詐欺行為による脱税、密輸などの取り締まりを徹底的に推し進める。

 投資環境のさらなる改善をはかり、外資利用の方式と分野を拡大する。外国企業の投資分野、投入地域および技術移転、国産化率、外貨均衡、外資比率などの面の規制を緩和する。段取りを追って金融、保険、電信、観光などサービス分野の対外開放を積極的に推し進める。外商のBOTとインフラ譲渡など関連管理方法の制定と実施を急ぐ。多国籍企業の誘致やその資金の導入の度合いを大きくする。外資が様々な形をとって国有企業の再編・改造に参与することを積極的に誘致する。外資の投入が国の奨励するハイテク産業、環境保全産業などの分野と中西部地区に向かうよう誘致する。外国投資企業に対する管理とサービスを改善し、外商の合法的権益を保護する。

 わが国の世界貿易機関の加盟をめぐって、各方面の準備作業をしっかり行う。

 (八)持続可能な発展戦略を堅持し、生態環境の保全と建設をりっぱに進める

 「三つの河」(淮河、海河、遼河)、「三つの湖」(太湖、巣湖、てん池)、「二つの区域」(二酸化硫黄規制区域、酸性雨規制区域)、「一つの市」(北京市)、「一つの海」(渤海)および三峡ダム区と長江上流の汚染防除に引き続き力を入れ、汚染対策の重点プロジェクトの実施に力を入れる。汚染の深刻な都市に対しては、期限付きで改善を求める。長江と黄河上中流地域における天然林資源保護プロジェクト、十大防護林体系の建設プロジェクト、および黄土高原と首都周辺など重点地域の生態環境の総合対策プロジェクトへの投入を引き続き増やし、水土流失対策を強める。土地、森林、草原、水、鉱物、海洋などの国土資源を法によって保護するとともに合理的かつ効果的に利用する。建設用地に対する計画・管理を強化する。

 工業の汚染対策と産業構造の調整との結合を堅持する。省エネルギーと環境保全のモデルとなる重要な一群の項目を配置する。クリーン・プロダクトの普及に積極的に取り組む。二〇〇〇年度の工業排水規制基準の達成率、産業煤煙の規制基準の達成率、産業固体廃棄物の総合利用率はそれぞれ七五・四%、七五・九%、四六・二%とする。都市の汚水とゴミの処理施設の建設を加速する。クリーン・エネルギーを動力とする都市部の交通手段の発展を奨励する。環境保全産業市場の育成と規範化に力を入れる。

 (九)科学技術・教育による国家振興のテンポを速め、社会諸事業を全面的に発展させる

 今年は、全国の科学研究機構管理体制の改革を基本的に完遂する。力を集中して、一群の重要な基礎研究プロジェクトを立派に実施する。大型国有企業が技術開発センターを設立することを支援し、多種多様な形の民間科学技術企業および技術集約型中小型企業の発展を奨励する。

 教育の改革と発展を速める。資質教育を全面的に推進する。九年制義務教育の基本的な普及と青壮年の非識字者の基本的な一掃に力を入れ、とりわけ西部の教育基盤の弱い地区におけるこの「二つの基本的」な活動の進展を速める。引き続き大学院生と一般大学本科・専科の学生の募集規模を徐々に拡大し、大学の学科建設をよりいっそう強化する。二〇〇〇年は、計画として大学院生を一二万人、一般大学本科・専科の学生を一八〇万人募集する。

 三、有効需要の増大に努め、国民経済の持続的で、テンポの速い、
健全な発展を促す

 内需拡大は当面の経済生活におけるさまざまな矛盾と問題を解決する重要な措置であり、国民経済発展の長期的戦略方針でもある。われわれは体制、メカニズムと政策の面から条件を整えて、有効需要の増大に努め、国民経済の持続的で、テンポの速い、健全な発展を促さなければならない。

 都市・農村の市場開拓に力を入れ、消費需要を積極的に拡大する。社会消費財小売総額が七・一%増の三兆三三五〇億元に達するよう努力する。それにはまず、収入配分政策を積極的に調整し、住民の購買力を向上させる。引き続き一九九九年度の収入配分を調整する各政策を確実に実行し、都市部における中低所得層住民の収入を逐次高める。都市部住民の一人当たりの可処分所得を実質四%増とする。農民の一人当たりの純収入を実質四%増とする。第二に、消費政策を改善し、消費分野を広げる。これまでに公布された消費規制の関連政策・規定の整理を急ぐ。教育ローンと耐久消費財ローンの方法を充実させる。電信、観光、文化・レジャー、スポーツ等の消費を促進する。第三に、消費のシステムを改革し、健全化させ、住宅等の新たな消費のホットスポットを積極的に育成する。第四に、消費環境を改善し、都市・農村市場の開拓に大いに力を入れる。

 積極的に投融資体制の改革を推し進め、有効需要を増大させる体制の条件を整える。第一に、投融資体制改革のテンポを速め、企業の投資のインセンティブメカニズムや制約メカニズムを打ち立てる。第二に、企業の融資ルートを広げ、企業の投資拡大能力を強める。資本市場と多様な融資ルートの発展を加速し、企業が市場の需給と自己発展の需要に応じて積極的に投資を増大できるようさせる。産業投資基金管理弁法の制定と実施に力を入れる。ベンチャー投資メカニズムの確立を積極的に推し進める。第三に、良好な政策の環境づくりに努め、社会各方面の資金による投入が増大するよう奨励し、誘導する。

 価格槓杆の役割を発揮させ、経済成長と構造調整を促進する。引き続き価格関係をすっきりさせ、価格メカニズムを完備させる。産業用水、都市用水、公共交通等の価格を適当に引き上げ、汚水とゴミの処理費の徴収を強化する。電気料金形成メカニズムを改革し、電気料金の構成を調整する。

 管理と法秩序建設を確実に強化し、社会主義市場経済の秩序を規範化し、健全化させる。今年のもう一つの重要な任務は、国民経済・社会発展第十次五カ年計画および長期計画の策定を立派に行うことである。

 マクロ規制、経済管理に関する法規と規定を整備するテンポを速める。「入札法」の関連実施細則の制定を急ぎ、大いに入札募集と入札制度を推し進める。

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