一九九九年度中央・地方予算執行状況および
二〇〇〇年度中央・地方予算案に関する報告(要旨)
(2000年3月6日 第9期全国人民代表大会第3回会議にて)
財政部長 項懐誠
一、一九九九年度中央・地方予算執行状況
一九九九年、国民経済と社会諸事業は大きな成果を収めた。第九期全国人民代表大会第二回会議で一九九九年度中央予算が承認された後、国民経済を発展させる中で、固定資産投資の伸びが鈍化し、輸出と外国企業の直接投資が減り、消費需要が振るわず、物価が持続的に下落し、国内の有効需要が不足するなどの状況が現われた。党中央、国務院はこの情勢に鑑み、一九九八年後半から現われた経済回復の良好な勢いを保持するため、積極的な財政政策の実施にいっそう力を入れるという重要な政策決定を果断に行った。その主な内容は次の通りである。年初の予算に定めた国債発行規模を踏まえ、財政部が商業銀行向けに六〇〇億元の長期国債を増発し、そのうち三〇〇億元を一九九九年度中央予算に計上し、中央財政の赤字もそれなりに増大した。残りの三〇〇億元は中央政府が地方政府に代行して借り入れたもので、中央予算には計上されていない。都市部住民の中低所得層の収入を大幅に引き上げ、行政・事業体の職員・労働者の給与を引き上げ、輸出戻し税政策と国内税収政策を調整した。それによる収入の減少と支出の増大の部分は、歳入を増やし支出構成を調整することによって解決し、中央財政赤字の拡大は押さえられた。一九九九年八月、第九期全国人民代表大会常務委員会第十一回会議は、国務院が提出した固定資産への投入額を増やすための国債増発と中央予算補正案を審議、承認した。執行の結果が示しているように、積極的な財政政策の実施を主な内容とするマクロ規制措置は著しい成果を収め、国民経済は安定した伸びを示し、国内総生産(GDP)は前年より七・一%増え、経済運営の質と効率は著しく改善され、諸改革は引き続き順調に進み、人民の生活はいっそう改善された。
国民経済が安定的に成長する状況をふまえ、一九九九年度中央・地方予算執行状況は比較的良好であった。中央の歳入は六三九六億元で、予算の一〇八・七%を達成した。そのうち中央レベルの収入は五七九八億元で、予算の一〇九・六%を達成した。地方財政から中央への上納収入は五九八億元で、予算と同じであった。中央の歳出は八一九三億元で、予算の一〇六・六%を達成した。そのうち中央レベルの支出は四〇九八億元で、予算の九二・九%を達成した。地方補助支出は四〇九五億元で、予算の一二四・九%を達成した。収支を差し引くと、赤字は一七九七億元で、第九期全国人民代表大会常務委員会第十一回会議が承認した補正予算一八〇三億元より六億元減った。
一九九九年度中央財政の国債発行量は計四〇一五億元に達し、地方政府に代行して借り入れた三〇〇億元を除くと、中央財政の債務収入は三七一五億元で、補正予算の一〇〇%を達成した。そのうち一九一一億元を国内外債務の元利償還に当て、一七九七億元を今年度の財政赤字填補に当て、七億元を中央財政債務返済基金として設置した。このほか、一九九九年度の中央政府の管轄する基金の収入は一三四九億元で、中央政府の管轄する基金の支出は一三四九億元であった。
地方の歳入は九六七五億元で、予算の一〇九・九%を達成した。そのうち地方レベルの収入は五五八〇億元で、予算の一〇一%を達成した。中央から地方への補助金は四〇九五億元で、予算の一二四・九%を達成した。地方の歳出は九六三七億元で、予算の一〇九・五%を達成した。そのうち、地方レベルの支出は九〇三九億元で、予算の一一〇・二%を達成した。中央への上納支出は五九八億元で、予算の一〇〇%を達成した。収支を差し引くと、剰余金は三八億元であった。この剰余金は全国各地区の集計数値であり、各地区の発展にバラツキがあり、一部の地区の財政はなおかなり困難である。
中央と地方の予算執行状況を集計すると次の通りである。一九九九年度の全国の歳入は一兆一三七七億元で、予算の一〇五・三%を達成した。全国の歳出は一兆三一三六億元で、予算の一〇四・二%を達成した。収支を差し引くと、歳出は歳入を一七五九億元上回った。
一九九九年度の各予算任務を円滑に達成するために、国務院および地方の各級人民政府は主に以下の諸活動に取り組んだ。
(一) 収入の徴収・管理を強化し、財政収入の安定的な増加を確保した。一九九九年度の全国の歳入は一兆元を突破し、前年度より一五〇一億元増え、一五・二%増であった。歳入の国内総生産(GDP)に占めるウエートがそれぞれ一九九七年度の一一・六%、一九九八年度の一二・四%から一九九九年度の一三・九%へと上昇した。 (二)積極的な財政政策を真剣に実行し、財政のマクロ規制の効果をかなりよく発揮させた。一つは、各地区、各関係部門は引き続き国債の投資項目の選定と資金の運用管理を立派に行い、国務院の定めた投資方向に基づいてプロジェクトを定め、断固として重複建設を行わず、支出予算と資金の貸付使用計画を真剣に行い、また資金運用に対する監督・検査を強め、国債資金の運用効果を保証した。二つは、個人所得の配分政策を調整して、国有企業の一時帰休者の基本生活費、失業手当および都市部住民の最低生活保障費の水準をかなり大幅に引き上げ、行政・事業体の職員・労働者の給与と引退・退職者の年金を増やし、国有企業の引退・退職者の年金基準と一部の優遇対象者に対する恩給基準を引き上げ、その受益者は八四〇〇万余人に達した。三つは、適時に一部の租税政策を調整した。輸出を支援し、国際市場を開拓、拡大するため、二回に分けて一部商品の輸出戻し税率を引き上げ、わが国の輸出における平均戻し税率を五・五ポイント引き上げて、一五%以上となった。当年の還付額は六二六億元で、予算より一五六億元増え、前年度より四三・五%増であった。投資を奨励するために、去年の七月一日から実際に投入された額に対し固定資産投資方向調節税を半分に減らし、また国家の産業政策に合致した企業技術改良プロジェクトに対し、国産設備を購入した場合、企業所得税を四〇%免除することを認めた。適切に個人所得を調節し、配分の格差を小さくし、住民の貯蓄を消費、投資に転換させ、内需を拡大するため、十一月一日から住民預金利子に対し個人所得税の徴収を回復させた。
(三) 支出構成を重点的に調整し、重点プロジェクトへの保障の度合いを絶えず向上させた。一九九九年度、全国の歳出は前年度より二一・七%増え、そのうち中央レベルの支出は二七・一%増であった。これは多年来稀なことである。地方補助支出を含む歳出の中で重点的に保証したプロジェクトは下記の通りであった。(1)基本建設支出は一四八六億元で、前年度より七四・九%増、企業の技術改良および利子補助の支出は六一億元であった。(2)社会保障支出は三六〇億元で、前年度の二・一倍であった。そのうち国有企業の一時帰休者の基本生活補助金および企業の引退・退職者の年金の給付支出は二五七億元で、前年度の二・七倍であった。(3)中央レベルの財政支出に占める教育事業費の割合は昨年より一ポイント引き上げ、実際支出は一二七億元であった。中央の管轄する一部の大学が地方に移管された要素を考え合わせれば、同じ標準で比較すると、前年度より二三%増であった。科学技術発展基金を設立し、知識イノベーションプロジェクトをスタートさせ、基礎研究および国の重点科学研究プロジェクトへの投入を増やし、実際支出は九八億元で、前年度より一四・六%増であった。(4)貧困脱却扶助に力を入れ、貧困脱却扶助基金の実際支出は九一億元であった。このほか、中央財政は中央社会保障専用資金を設立し、中央部門が管轄する破産企業の一時帰休者の配置にも必要な資金を振り向けた。
(四)財政立法と監督・管理を強化し、法に基づく財政管理を促進した。一九九九年に「会計法」を改正し、充実させ、「中央予算の執行における法律・規律違反行為についての処罰暫定規則」など六〇余種に及ぶ財政規則制度を制定した。
一九九九年度の予算の執行状況をかえりみて、われわれは、財政活動と予算執行においてなおゆるがせにできない問題が存在していることも冷静に見てとっている。第一に、財政・経済分野における規定違反行為と違法犯罪活動がまだかなりひどく存在しており、財政・経済秩序がまだかなり混乱しており、法律を無視し、法律を厳格に執行せず、違法行為を追及しない現象がかなり普遍的に存在している。第二に、財政保障能力は依然として弱く、各級財政の圧力は大きく、とりわけ一部の県、郷の財政上の困難が際立っており、一部行政・事業体の職員・労働者の給与が期日通り支給されず、保障すべき支出がなお十分に保障されないこともある。第三に、支出構成の調整を始めたが、テンポが遅く、投入する力量も不十分で、財政まるがかえの問題が依然として存在している。
二、二〇〇〇年度中央・地方予算案
二〇〇〇年は、わが国の経済発展にとって有利な条件がたくさんある。国際経済環境は全般的に好調で、世界経済と貿易はさらに回復するであろう。一連の内需拡大の政策・措置のさらなる実施や改革開放の深化により、国内経済の成長に積極的な影響を与えることが期待される。とくに世界貿易機関(WTO)加盟についての交渉は大きな進展を見せており、これはわが国の経済・貿易の成長パターンの転換および成長の質的向上に対して力強い推進力となろう。一方、われわれが直面している矛盾と問題も少なくない。世界経済の発展には潜在的弊害が相変わらず存在しており、国際市場の競争は一段と激化し、国内経済の運営の中では有効需要が不足している。これらの問題を解決するカギと根本的な活路は発展を加速させることである。「発展は絶対的な道理である」。客観的経済実状から見ると、われわれは経済発展を促進する一連の政策措置をさらに強化し、積極的な財政政策を引き続き実施しなければならない。
当面の国民経済発展の実際的必要から見て、積極的な財政政策はさらに強力に推し進める必要がある。それは内需を拡大し、経済の安定成長を促進する目標を最終的に実現させ、国民経済の構造調整、科学技術進歩における質と効率の高い発展を保障することになる。目下、積極的な財政政策を実施する必要な条件は備わっており、リスクは大きくない。国際通常のやり方から見ても、わが国には起債の余裕がまだかなり存在している。経済が持続的で、テンポの速い、健全な発展を保ち、経済効率が絶えず向上し、財政収入が比較的速い伸びを保ちさえすれば、財政の債務償還能力は日増しに増強する。他方、われわれは国債、赤字規模の問題も非常に重視しており、財政能力、リスクに対する研究を強化し、財政の運行状態のモニタリングを念入りに行い、必要な対応策を検討し、財政リスクの発生を防ぎ、必要のない支出を圧縮させ、赤字規模の抑制に努めると同時に、政策や措置を改善し、財政資金の誘導と牽引の効果を増大させている。
以上の状況に基づいて、二〇〇〇年度中央財政予算はとくに次のいくつかの面に重点をおく。
(一)引き続きインフラ建設を強化する。この二年間の国債を資金源とするインフラ・プロジェクトを一日も早く完工させ、効果を上げるようにするため、投入を引き続き増加する必要がある。西部開発など国民経済発展の大局に関わる一群の大プロジェクトの前期準備作業にもかなりの資金を増やす必要がある。中央財政予算は基本建設投資として計八九三億元を計上する(地方補助支出を含む)。
(二)国有企業の改革と発展への支援に力を入れる。引き続き重点業種、重点企業、重点製品、重点プロセスの技術改良に取り組み、中央財政予算は企業技術改良資金および利子補助金を一六五億元計上する(地方補助支出を含む)。
(三)社会保障への投入を増やし、一九九九年に実施された収入配分調整政策を全面的に実行する。二〇〇〇年度の中央財政予算は計七〇七億元計上し、そのうち、中央所属企業の一時帰休者への基本生活費補助金は三七億元、財政難に陥っている旧工業基地、中西部地区の国有企業の一時帰休者の基本生活費補助金の不足分の補填としての移転支出は五〇億元、石炭、非鉄金属、軍事工業などの困難に陥った業種の引退・退職者の年金の不足分の補填は八八億元、一部地区での社会保障待遇の改善、行政・事業体の職員・労働者の給与引き上げなどの補助金は五三二億元である。
(四)教育、科学技術、農業への投入を大きく増やし、その伸び率が経常収入の伸びを上回るよう確保する。中央レベルの教育経費の財政支出に占めるウエートは前年度に比べさらに一ポイント上昇し、教育事業費は前年度比二九・七%増の一六五億元、科学事業費は前年度比一四・一%増の一一二億元、農業事業費および農業生産助成支出は前年度比一四・八%増の七九億元となっている。
(五)国家安全面の経費支出を適宜に増やす。軍隊、武装警察部隊、公安・検察・司法機関などがビジネスや企業運営から退くことにより、その機能履行に必要な経費に対し、中央財政から五六億元を補填する。国防支出予算は一二〇五億元で、前年度より一二・七%増となり、ここ数年間の伸び幅と同じであるが、増加分は主に軍の将兵の給与・手当の引き上げ、澳門駐在部隊の支出に当てる。
二〇〇〇年度の国内総生産(GDP)は引き続き七%前後の成長が見込まれ、これは歳入増加の基盤となる。一方、われわれは今年度の財政収入の増加を制約する要因が若干存在することも冷静に見てとっている。一つは、一九九九年度に税関が監督・管理、密輸取締りに力を入れたので、輸出による税収は八一・二%と通常を上回る伸びを示したが、今年度も前年度と大体同じ額とみて計上している。二つは、国が貸付金利を七回引き下げ、金融・保険業の営業税率を引き下げており、また国内の消費需要の不足などの影響からみて、営業税の伸び幅が下降線をたどる可能性がある。三つは、投資需要を拡大するために税収調整政策を取っていることである。即ち固定資産投資方向調節税の徴収を一時停止し、国産設備投資分に対する企業所得税を減免することにより財政収入の減少を招くことになる。四つは、輸出を奨励し、国際協力を拡大するため、今年度の輸出戻し税を八〇〇億元とし、前年度比二七・八%増となるが、これも直接財政収入の減少を招く。
二〇〇〇年度の財政収支状況を総合的に分析、判断した上で、国務院は二〇〇〇年度の中央予算案を編成した。二〇〇〇年度の中央歳入は六九〇四億元で、前年度の執行額より五〇八億元増やして七・九%増とする。そのうち中央レベルの収入は六三〇六億元で、前年度の執行額より五〇八億元増やし、八・八%増とする。地方から中央への上納収入は五九八億元で、前年度と同じである。中央歳出は九二〇三億元で(債務利息支出を含む)、前年度の執行額より一〇一〇億元増やして一二・三%増とする。そのうち中央レベルの支出は四八〇一億元で、前年度の執行額より七〇三億元増やし、一七・二%増とする。地方補助支出は四四〇二億元で、前年度の執行額より三〇七億元増やし、七・五%増とする。収支を差し引くと、赤字額は二二九九億元となる。
二〇〇〇年度の中央財政予算は、複式予算に基づいて編成すると次の通りである。中央財政の経常予算収入は六九四二億元、支出は六四一五億元で、収支を差し引くと、五二七億元の黒字で、これを建設予算に繰り込む。中央財政の建設予算収入は四八九億元、支出は二七八八億元で、収支を差し引くと、支出は収入を二二九九億元上回る。国内外債務の元金は一五八一億元で、それに補填すべき今年度の財政赤字二二九九億元および中央代行で発行する地方債券五〇〇億元を加えると、国債発行の総規模は四三八〇億元に達し、そのうち中央財政で三八八〇億元発行し、前年度の実際発行額より一六五億元増加する。そのほか、二〇〇〇年度の中央政府の管轄する基金収入の予算は一三〇三億元、基金支出の予算は一三〇三億元を計上する。
二〇〇〇年度の地方財政予算の歳入は一兆四三四億元で、前年度の執行額より七・八%増とする。そのうち地方レベルの収入は六〇三二億元で、前年度の執行額より四五二億元増やし、八・一%増とする。中央からの補助金収入は四四〇二億元で、七・五%増とする。地方財政予算の歳出は一兆四三四億元で、前年度の執行額より八・三%増とする。そのうち地方レベルの支出は九八三六億元で、前年度の執行額より七九七億元増やし、八・八%増とする。中央への上納支出は五九八億元で、収支はバランスがとれている。
二〇〇〇年度中央と地方の予算案の集計状況は次の通りである。全国の歳入は一兆二三三八億元を計上し、前年度の執行額より九六一億元増やし、八・四%増となり、全国の歳出は一兆四六三七億元で、前年度の執行額より一五〇〇億元増やし、一一・四%増となる。
三、財政改革を深化させ、収支管理を規範化し、法による財政管理
を推進し、二〇 年度の予算任務の達成に努める
二〇〇〇年は第九次五カ年計画の最後の年であり、改革の難関突破と国有企業の苦境脱却のカギとなる年でもある。今年度の諸般の財政活動を立派に行い、財政の機能を十分に発揮させて、財政管理を強化することは国民経済の持続的で、テンポの速い、健全な発展を保ち、社会主義市場経済体制の構築を加速させ、現代化建設の第二段階の戦略目標を全面的に達成することから言っても、新世紀に向けて幸先のよいスタートを切るためにも、新旧のきずなとしての重要な意義をもつ。
(一) 引き続き財政投資管理を強化し、財政のマクロ規制の役割を十分に発揮させる。今年度の国債資金は依然として国務院の定めた方向と重点に基づいて割り当てる。
(二) 租税の徴収・管理に力を入れ、財政収入の持続的かつ安定的な増加を確保する。各地区、各部門は真剣に「地方が勝手に制定した租税還付政策の是正に関する国務院の通達」を貫徹、執行しなければならない。租税法の統一性と権威を保つために、租税法の規定に違反して、租税還付やその他の租税減免の手段で投資を引き入れてはならず、なおさら様々な手を使って租税法と税収政策に融通性をもたせたり、任意に納税の先送りや減免の許可をしたり、「超過課税」をしたりしてはならない。
(三) 予算管理を強化し、予算制度の改革を着実に推進する。いかなる単位も財政資金の使用を申請する場合は、予算の手順にしたがって事を運び、先に予算を立て、しかる後に支給を求め、予算支出管理規則を厳しく執行しなければならない。
予算制度改革の主な内容は次の通りである。一つには、予算科目の細分化、部門別予算の編成である。二つには、調査・研究を行い、それぞれの状況の違いをとらえて、定員と定額基準を合理的に制定し、予算の編成、その執行状況の審査に重要な根拠を提供すべきである。三つには、予算部門の収支状況について全面的な整理を行い、予算編成作業の改革のために良好な基礎を築く。四つには、政府による買付のテストが顕著な成果を上げたことを踏まえて、政府による買付の範囲を政府機関のすべてのオフィス用品、オフィス設備、公共施設の建設および関連サービスの面に広げていく。五つには、国庫による集中支給制度の研究をスタートさせ、それを管理強化、反腐敗、廉潔政治建設のための抜本的な措置の一つとする。
(四)財政支出構成の調整に力を入れ、重点を際立たせ、党と国の重要方針・政策の実施を確保する。一つに、財政資金の供給範囲を逐次規範化し、財政支出で養う人口が多すぎる問題や事業体への支出があまりにも多く負担している問題を解決し、地方の機構改革の有利な時機を逃さず、機構、職場と定員の設置作業をしっかりとやり、剰員を整理し、人件費を厳しく抑制する。二つに、事業体の改革テンポを速め、各事業体の違いを区別しながらそれ相応の措置を取る。営利的事業体については、財政による支給を停止し、市場に向かわせなければならない。営利性と公益性の二重性格を帯びる事業体については、その収入条件と能力に応じて、事業運営経費を適度に減らす。公益性事業に対しては、それへの助成を強め、科学技術、教育、社会保障、農業、生態保護などの重点分野とプロジェクトへの支出を保証する。防災システムの構築に取り組み、天然林の保護と開墾地を森林に回復させるプロジェクトをサポートし、貧困脱却扶助面の難関突破に力を注ぎ、農民の収入を増やす。三つに、競争分野への直接投入を逐次減らし、企業の公正競争のために良好な環境を作り出していく。四つに、国家の政権建設への支持を強化し、その支出経費を増やすよう努め、公務員の給与が期日通りに全額支給されるよう保証する。
(五) 社会保障活動を立派に行い、社会保障システム建設を加速させる。当面の社会保障活動の重点は、国有企業の一時帰休者の基本生活費、企業の引退・退職者の年金、都市部住民の最低生活費を期日通り全額給付するよう確保することである。
(六)租税と料金についての改革を積極的に推進し、配分関係をさらに整理していく。租税と料金の全般的改革は総体的に企画したうえで段階に分けて実施する。現在、交通および自動車関連の租税と料金改革の立法手続はすでに完成し、燃料税、自動車購入税の実施案など様々な準備作業はすでに完了しており、条件が熟した時正式に実施する。
(七)財政に対する監督・管理を強化し、財政・経済秩序を整頓する。今年度は、次のいくつかの仕事に重点的に取り組まなければならない。一つに、財政資金の監督・管理を強め、あらゆる財政支出、とくに重点支出に対しては、予算編成の審査や資金の給付から、資金の用途にいたる全過程を監督するとともに、その利用効果を追跡調査する。予算の食い込み、流用または損失・浪費に対してはその責任者の責任を追及する。二つに、行政事業運営費や罰金・没収金の「収支二本立て」管理に関する中央の規定を引き続きしっかり実行し、財政予算と財政特別口座の管理を立派に行い、「部門は納付書を作成し、銀行が徴収を代行し、財政部門が統括管理する」という管理方法を全面的に実施し、罰金の決定と納付、納付書と金銭をそれぞれ分離しなければならない。三つに、「会計法」を確実に貫き、会計の基礎作業を立派に行い、会計情報の質を向上させ、会計士派遣制と主任会計師制を実行し、会計監督を強め、会計業務における偽造証明の提示、偽帳簿の作成、偽りの会計検査などの行為を厳しく取り締まる。四つに、経済関係の鑑定・証明書発給を専業とする社会的仲介機構の整理・整頓に力を入れ、社会的仲介機構の業務行為を規範化し、業種内の自己規制を強化し、社会に客観的かつ公正な、効率の高い仲介サービスを提供する。五つに、財政法制をさらに健全化し、財政に対する法執行を強化し、財政部門に対する行政再審制度を健全化し、財政部門の法律執行責任制と評定・考課制度を確立、推進し、財務の順法管理に力を入れる。
(八)刻苦奮闘、勤倹建国を旨とする方針を堅持し、節約意識をしっかり樹立し、勤倹節約で財政を管理する。各級財政部門は財政資金を科学的、合理的に振り分け、厳格に監督、管理し、奢侈と浪費に断固反対し、汚職や腐敗を厳しく取り締まり、率先して節約できるすべての資金を節約し、資金を最も有効に使い、限られた財力が改革開放と社会主義現代化建設の中でより大きな効果を発揮するようにしなければならない。
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