張左己氏、労働保障にちいて語る

 張左己労働保障部部長は第九期全国人民代表大会第三回会議で行われた記者会見の席で、中国政府は労働保障の仕事を非常に重視し、労働保障制度の改革を積極的に推進し、広はんな勤労者に比較的充分な就業の機会と基本的な社会保障を獲得させることに努めているとし、次のように述べた。

 三本の保障ライン

 ここ数年来、経済体制の転換、技術の進歩と経済構造の調整につれて、過去の計画経済体制の下で形成された過剰な従業員を減らす必要から、国有企業の一部従業員の一時帰休の現象が現れた。中国政府はこの問題の解決を非常に重視し、一連の政策・措置をとってきた。

 一九九八年五月から、一時帰休者の存在する国有企業では再就職サービスセンターを普遍的に設立し、一時帰休者に基本的生活費を発給し、養老、医療、失業などの社会保険の費用を納入し、職業の指導と再就職の職業訓練を組織し、一時帰休者の再就職を促進している。一時帰休者は再就職サービスセンターに入って、基本的生活保障と再就職の取り決めを結び、その期限は一般的には三年を上回らないもので、三年たってもまだ再就職していない場合は、元の企業と労働関係を解除し、規定に基づいて失業保険の待遇を享受し、その期限は二年を上回らない。二年たってもまだ就業していない場合には、規定に基づいて都市部住民の最低の生活保障を享受する。

 国有企業の一時帰休者の基本的生活保障制度、失業保険制度、都市部住民の最低の生活保障制度は三本の保障ラインを構成し、現段階における中国の特色を持つ社会保障システムの重要な構成部分となり、一時帰休者、失業者と都市部の貧困住民に基本的生活の保障が得られるようにしている。

 二つの確保

 朱鎔基総理は昨年の「政府活動報告」の中で、一時帰休者の基本的生活保障を確保し、企業の引退・退職した人たちの養老保険金の期限通りの全額支給を確保するという二つの問題をめぐって厳格な要求を打ち出した。

 各クラスの政府、労働保障部門はさまざまな困難を克服し、八方手を尽くして、仕事に励み、成果を上げた。一九九九年には、国有企業の一時帰休者が合計千百七十四万人に達したが、年末までに再就職サービスセンターから離れた一時帰休者は五百二十四万人に達し、そのうち、再就職を実現した者は四百九十二万人であった。年末における一時帰休者数は六百五十万人で、九〇%以上の一時帰休者が期限通りに基本的生活費を受け取った。年間に調達した一時帰休者の基本的生活保障金は二百四十五億元で、そのうち、中央財政が地方に支援した資金は九十億元。七月から、一時帰休者の基本的生活待遇の基準は引き上げられ、三〇%増となった。

 昨年末までに、養老保険プールに加入した企業の引退・退職した者が二千九百万人となり、各地方は中央政府の要求に基づいて、養老保険基金の徴収、省内の異なった地区の基金の調節、財政の養老保険基金に対する前貸し、養老保険基金蓄積分の使用などのルートを通じて、資金を調達し、養老金の期限通りの全額支給を基本的に保障し、歴史的原因で滞っていたプール項目内の養老年金を支給した。年間の養老年金の支給額は合計千九百億元に達し、そのうち、中央が地方に支援した金額は百七十余億元に達した。同時に、企業の引退・退職した者の養老待遇の水準を高めたが、一部の地区では企業の引退・退職した者が期限通りに養老年金を受け取っていないところもある。

 一時帰休の状況は逐次緩和

 中国は、国が就業を促し、市場が就業を調節し、労働者が職業を自主的に選択する就業方針を実行し、積極的な措置をとって、新たに生まれた労働力、一時帰休者、失業者の就業と再就職を促進している。一九九九年末、全国の都市部の従業員は二億千十四万人となり、都市部の登録された失業率は三・一%で、就業の状況は基本に安定した。

 これから先の数年間には、経済構造の調整を実行するため、一部の企業が市場から退出し、まだ一部の一時帰休者が次々と現れる可能性がある。今年は、年間に新規増加する国有企業の一時帰休者は約五百万人で、昨年の六百五十万人を加えて、総量は昨年並みとなる見込み。

 今年、一時帰休者の再就職人数が、新規増加人数を上回ることを実現し、基本的生活保障を必要とする一時帰休者が月平均六百五十万人ないし七百万人となるように努める。

 今年の仕事の重点は生活を保障し、就業を促すことである。「三三制」(一時帰休者の基本的生活資金を保障するため、財政、企業、社会が三分の一ずつ負担する方法をとる)の資金調達原則を真剣に実行し、一時帰休者の基本的生活を確実に保障する。企業と社会から資金を調達すると同時に、各クラスの政府は財政の支出構造を調整し、一時帰休者の基本的生活保障金を財政予算に組み入れ、企業と社会が調達できない分は、国家財政がそれを保証しなければならない。中西部地区と旧い工業基地は、中央財政が引き続きサポートする。

 一時帰休者は基本的生活保障を要求するだけでなく、肝心なのはその再就職を実現することである。

 一時帰休者とその他の失業者の再就職をスムーズに実現するために、中国政府は次のような措置をとった。

 品質と収益を高める前提の下に、国民経済のわりに速い成長速度を保つ。経済構造を最適化させ、第三次産業、特にコミュニティにおけるサービス業を積極的に発展させ、より多くの就職のチャンスをつくり、職業教育と職業訓練を発展させ、一時帰休者、失業者を含むさらに多くの新たに生まれた労働力の再就職の能力を高める。再就職についてのさまざまな優遇政策の実施に力を入れる。中央政府と地方政府は一時帰休者の再就職について、場所の案配、商工登記、税金と費用の減免、資金貸付けなどの面で、一連の優遇政策を制定し、今年はこの面での仕事を強化することになっている。

 今年は引き続き失業保険制度を充実させ、労働力市場の建設を強化し、市場を導きとする就職メカニズムの確立を推進し、都市部の失業率を三・五%以内に抑えるようにする。

 今後、一時帰休の状況が次第に緩和されることになろう。向こう三年間に、計画経済体制から市場経済体制へのシフトによってもたらされた一時帰休・余剰人員の問題も次第に解決されることになろう。

 養老保険の社会化

 一九九九年末において、全国で基本的養老保険に加入した在職の従業員数は九千五百万人に達し、前年末と比べて千万人近く増えた。今年、企業から引退・退職する者は二百万人新規増加する予定で、養老保険金の全額支給を確保する任務は依然として重い。

 このため、中国政府は養老保険制度の改革を積極的に推進し、養老保険のカバーする範囲が広くて、資金調達ルートが安定し、管理・サービスが社会化し、完備された社会保障システムを確立することに努める。

 朱鎔基総理は今年の「政府活動報告」の中で、今年、コミュニティによる引退・退職者管理・サービスを実行するテストを展開することを明らかにした。

 張左己氏はこれについてさらに説明を加えた。企業の引退・退職者の養老年金の期限通りの全額支給を確実に保障するために、今年、多ルートで資金を調達する以外に、徴税範囲の拡大に力を入れ、養老保険にまだ加入していない企業を養老保険のカバーの範疇に組み入れ、養老保険金の社会化発給の度合いを高め、社会サービス機構を通じて引退・退職者に養老年金を直接に支給し、引退・退職者が元の企業から離れて社会化管理を実行することを試行する。

 労働と社会保障法制の整

 一九九四年に、全国人民代表大会常務委員会は「中華人民共和国労動法」を制定した。「労動法」は労働と社会保障分野における基本的な法律で、これをよりどころとして、国務院は相前後して企業の労働紛争の処理、社会保険料の徴収、失業保険などに関する行政法規を制定し、基本的な養老保険と基本的な医療保険制度の確立についての決定をおこなった。

 労働保障部門は企業の最低賃金、集団の契約、労働災害の保険、出産保険、労働監察など一連の規則を制定、公布した。これを基礎として、中国の労働と社会保障の法律・法規システムの枠組みが初歩的に形成された。

 労働と社会保障の法制整備を強化するため、国は関連法律・法規をさらに制定する。そして「社会保険法」、「労働契約法」、「基本的養老保険条例」などの法律・法規草案の制定、起草に力を入れている。そのほか、中国政府は二十の国際労働者規約を批准したが、その中に核心となる規約の一〇〇号の「男女同一労働・同一報酬に関する規約」と一三八号の「就業最低年齢の許可に関する規約」を含んでいる。

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