ハイテク産業は、新経済成長ポイント
国務院新聞弁公室の趙啓正主任は最近、北京で内外記者会見を行い、朱麗蘭科学技術部部長、程安東陝西省省長、孟学農北京市副市長、陳良宇上海市副市長、李子彬深せん市市長などを招請して、中国のハイテク産業の発展状況および上記の四つの省・直轄市の経済発展に対する役割について語ってもらった。
高成長を保つ
朱麗蘭部長は次のように語った。現在、中国のハイテク産業開発区(以下、ハイテク区と略称)は、外部の発展環境が良好であるばかりでなく、発展テンポそのものもずっと高成長の勢いを保っている。技術・工業・貿易の収入は年間三〇%以上伸びている。電子情報、新素材、バイオテクノロジー、光学・機械・電子の一体化、新エネルギーと環境保全の分野では、ハイテク区は中国のハイテク発展の重要な基地になっており、こうした基地は今後の中国経済構造の最適化をめざす調整にプラスの役割をもたらすだろう。
一九九九年に五十三の国家ハイテク区が技術・工業・貿易の収入を前年比三五・七%増の六千五百六十億元計上し、総生産額は五千六百六十億元に達し、前年より三〇・六%伸び、利潤を三百五十六億元計上し、納税額は二百七十五億元に達し、輸出による外貨獲得額は百六億ドルに達した。一九九九年、国家ハイテク区の新設企業は二千余社となり、区内の企業は一万七千九百余社に達し、そのうち、生産額が一億元以上に達した企業は八百社で、前年より百二十二社増えた。
昨年八月、全国技術革新会議が開かれた。それは中国が市場経済の要請に基づいて国と区域の革新体系を構築する新しい段階を迎えていることを意味している。科学技術部はハイテク区の発展を指導し、科学研究機構の企業への転換を促し、ハイテク企業の設立を奨励し、科学技術型の中小企業の革新基金を組織、管理し、創業サービス・センターの発展を促し、ハイテク製品の輸出基地の建設を速め、ベンチャー投資を促進するなどの面で重要な進展を見せた。
――科学技術部は「ハイテク産業開発区発展の加速に関するいくつかの意見」を制定、実施し、「国家ハイテク区評価指標システム」を制定し、また、関係部門とともに開発型の科学研究機構の企業への転換を共同で促し、科学技術要員がハイテク企業を設立し、さまざまな民営科学技術企業を発展させることを奨励している。
――科学技術部はまた科学技術型の中小企業の革新基金管理の作業を実施した。一九九九年六月から二〇〇〇年一月までに、すでに申し込まれたプロジェクトは三千三百三十一件に達し、そのうち、評価・審査にパスし、落札したプロジェクトは千六百六十件あり、科学技術部、財政部の批准を受けたプロジェクトは六百七件で、サポート金額は七億五千万元に達した。
――現在、全国でさまざまな創業サービス・センター(企業インキュベーター)が合わせて百社あり、世界で三位にランクされている。これらの創業サービス・センターのハイテク産業化の過程における基礎的役割はますます顕著になっている。今後、中国の創業サービス・センターの発展は投資の多次元、形式の多様化という発展の道をたどるとともに、大学の科学技術ゾーン、帰国留学者の創業ゾーン、大中型企業科学技術ゾーン、ソフトウェアなど専門技術インキュベーターを重点的に発展させる。
――ハイテク製品の輸出を拡大するために、科学技術部と対外貿易経済合作部はともに「科学技術による貿易振興行動計画」を制定するとともに、北京中関村、上海、天津、深せん、西安、蘇州など十六のハイテク区を最初のハイテク製品輸出基地に指定し、また、「中国ハイテク製品輸出リスト」を公布した。このリストは企業の製品構成の調整を指導し、中国のハイテク製品輸出管理の規範化、科学化を促すだろう。
――一九九九年には、国内にはベンチャー投資のブームが現れた。多くのハイテク区、企業インキュベーターも小さな規模のベンチャー投資活動を試行し始め、一部の留学人員が帰国して企業を設立し、これは国際ベンチャー投資の背景もある。そのため、科学技術部は昨年十一月に六つの部・委員会と共同で「中国ベンチャー投資発展促進に関するいくつかの意見」を作成した。
今後、ハイテク区の発展は国の経済構造の調整、内需の拡大と西部の大開発などの中心的作業と結び付けて、国の中長期発展戦略の要請を目標とし、全面的に企画し、合理的に配置し、全力あげて自主的知的所有権をもつプロジェクトを形成させる。
「自由企業制度」を実行する上海
一九八五年に上海で「漕河けい新興技術開発区」が設立されていらい、上海市でのハイテク区設立はすでに十五年間の歴史をもつに至った。最近、主として生物医薬産業と情報産業にたずさわる「張江ハイテクゾーン」は上海市が全力あげて重点的に発展させる区域に指定された。
企画面積二十五平方キロの張江ハイテクゾーンは浦東にある。それを革新型人材、研究開発機構、インキュベーター、ハイテク企業、資質の高い仲介サービス機構が集中する地区に築き上げるというのが上海市の目標である。短期的には「技術革新区」と「浦東ソフトウェアゾーン」を重点的に開発する。
陳良宇上海市副市長は次のように述べた。今年初め、上海市は「張江ハイテクゾーンの発展を促すことに関するいくつかの規定」を公布した。この規定は企業がゾーンに入って革新、創業を行う制限を緩め、登録などの手続きを簡素化し、とくに内外に開放するだけでなく、さまざまな所有制のものにも開放することを提出した。このハイテク区内には「自由企業制度」を実行し、企業は従業員の募集、分配、経営の面で自主権をもつこと、企業を設立する場合、直接登録の方法をとることができるとともに、五つの作業日内に審査、認可の手続きを済ませることが確保され、規定に基づいて繰り上げて審査、認可すべきものも十五の作業日内に済ませることになっている。ハイテク区内には知識の資本化、財産の所有権化、効率の最適化を充分に具現する分配制度が全面的に確立されるため、科学技術と革新によって財産をつくることが実現できる。張江ハイテクゾーンに入った基礎的な科学技術サポート・プロジェクトに対して、用地の面で長期的に優遇を与える。開発、革新とハイテク産業化プロジェクトに対して財政面で専門資金によるサポートを与える。自ら革新の能力を持つ、高成長の科学技術企業に対して、土地開発原価オプションあるいは土地使用権の株式参加などの方式をとってサポートを与え、これらの企業の急速な発展を促すことをめざす。
海外からきた一部の革新・創業者と多国籍企業はすでに張江ハイテクゾーンに入り、現在までに、十億ドルの資金が導入された。この半年間には三十余のプロジェクトが登記を行い、認可された。それは主としてさまざまな開発機構、開放的実験室、情報技術とソフトウェア開発センターおよびさまざまな仲介機構などである。その中には、国の大型科学プロジェクト「上海光源」、国家人類遺伝子南方研究センター、国家新薬選択センター、高性能コンピュータ・センター、中国科学院薬物研究所など一部の重点科学技術プロジェクトがある。
陝西省で始動する西部大開発
中国西北地区の窓口である陝西省は中部、東部との結びつきが最も密接で、相対的に言って、西部のその他の省、自治区と比べて経済力と科学技術力はかなり強大である。例えば、中国最初の運搬ロケット、集積回路、カラーブラウン管、民間航空機などはいずれも陝西省で生産されたものである。したがって、陝西省は西部大開発において重要な地位を占めている。
程安東陝西省省長は次のように語った。陝西省は非常に強い科学技術力を持ち、技術者が八十七万人もおり、独立した科学研究機構が千七十二カ所もある。そして民営科学技術企業が七千五百社、大学が五十三校もあり、国の宇宙開発、航空、兵器、機械、電子、計器、農業などの重要な科学研究基地がある。
ここ数年らい、省都西安市に牽引される関中ハイテク産業開発地帯がすでに始動しており、西安、宝鶏、咸陽、楊凌、渭南にある五つのハイテク開発実験区はすでに陝西省では産業投資リターン率が高く、技術革新能力が大きな経済成長地帯となっている。省全体のGDPに占めるハイテク産業のウェートは一八%に達した。
西部大開発ブームに対して、陝西省は次のような措置を講じた。
一、ハイテク産業開発区のインフラ建設を優先的に発展させ、かなり短い期間に五つのハイテク開発区をめぐって現代化都市群の形成に努める。
二、ハイテク、観光、果物業、軍需工業など四大特色をもつ産業の育成に力を入れる。移動体通信、大画面テレビの高精細度カラーブラウン管、デジタル・スキャナー式テレビ、医療用生物チップ、日用化学工業製品、生物活性安定医薬品など二十の重要科学技術産業化プロジェクトを重点的に発展させる。これらの自主的知的所有権をもつハイテク製品の売上高がここ数年、十数億元ないし数十億元にのぼり、四つないし五つの新興支柱産業を形成させることに努める。
三、中小企業向けの貸付担保基金(公司)、中小科学技術企業向けの技術革新基金、投資・融資顧問サービスセンター(公司)、種子基金、青年科学技術創業基金などを設ける。陝西省ハイテク産業投資公司はベンチャー投資の運営パターンに基づいて、国家開発銀行と共同で十億元の資金を拠出し、ハイテク産業化プロジェクトへのサポートに力を入れる。
第一の成長ポイントとなる深せんのハイテク産業
中国最初の経済特別区である深せん経済特別区は、今年で設立二十周年になる。一九九九年における同市の工業総生産額は二千二十五億七千万元に達し、前年より一七・六%伸びた。そのうちハイテク製品の生産高は八百十九億八千万元で、前年より二五・一%伸び、工業生産総額の四〇・五%を占めた。ハイテク産業は深せん市の経済発展にとって第一の成長ポイントとなっている。
早くも一九八五年に、深せん市政府と中国科学院が共同で深せん科学技術工業ゾーンを設立した。一九九六年、科学技術部の認可を経て、深ロレ市は科学技術工業ゾーンを含む国家ハイテク産業ゾーンを設立し、面積十一・五平方キロのハイテク産業区の創設を計画したが、いまでは七平方キロが開発されている。
李子彬深せん市長は深せん市のハイテク産業区の特徴について次のように語った。
一、小さな機構が素晴らしいサービスを提供している。ハイテク産業区の管理陣(政府の派遣機構であるハイテク区弁公室)の行政管理要員は十二人しかいないが、政府がハイテク産業区の建設において果たしている役割は産業の案内役であり、政策を制定し、環境を整え、全方位のサービスを提供することである。
二、電子情報製品をリーディング・インダストリーとするハイテク産業群が形成された。昨年、ハイテク産業区の電子情報製品の生産額は二百五十二億八千万元に達し、ハイテク産業区内の二百九十六億九千万元のハイテク製品生産額の八五%を占めており、IBM、長城公司に代表される内外のコンピューターブランド品の完成品、部品を生産する産業群、自動電話交換機、移動体通信製品を先導とする通信産業群、財務管理、ネットワーク製品を主とするソフトウェア産業群を形成している。これらの産業に投資している多国籍企業はIBM、フィリップス、コンパック、オリンパス、エプソン、ルセントテクノロジー、トムソンなどがある。
三、自主的知的所有権をもつ製品が半分を占めている。ここ三年来、深せんハイテク産業区では技術情報、バイオ技術を主導とする自主的知的所有権をもつハイテク製品の生産が急速な発展を遂げてきた。統計データによると、昨年の自主的知的所有権をもつハイテク製品の生産額は百四十七億元で、ハイテク産業区の中の同類製品の生産額の四九・六%を占めている。特に長城公司のコンピューター、華為公司、中興公司の自動電話交換機と移動体通信システム、黎明公司のネットワークシステム、豪威公司の導電性ガラス生産設備、科興と海王公司のalbインターフェロンなどはいずれも内外でかなり多くのシェアを占めている。
四、企業を主体とする研究開発システムが確立された。深せん市の科学研究作業と企業の関係は非常に密接で、市全体の二百七十一の研究開発センターの九〇%は企業に設けられており、科学研究要員の九〇%も企業に勤めている。研究開発経費が売上高の一〇%を上回る企業もいくつかある。一部の企業は現地で研究開発センターをりっぱに運営すると同時に、アメリカのシリコンバレー、北京、上海、南京などにも研究開発センターを設立している。
五、大学の役割を効果的に発揮させている。ハイテク産業発展の後続力を強化するため、深せん市は清華大学と深せん清華大学研究院を開設し、北京大学、香港科学技術大学と深港産学研(生産部門、教育部門、研究部門)基地を設立し、ハルビン工業大学、ロシア、ウクライナの八つの大学と深せん国際技術革新研究院を設立した。深せん市はまた上海交通大学、南京大学、中国工学研究院、中国社会科学院など三十三の大学・研究機構と深せん「バーチャル大学」園を設立し、十七カ所の外国名門大学もそのネットワーク加入者となり、バーチャル大学園は深せんおよび周辺地区のハイレベルの人材の養成と科学技術成果転換の基地となっている。
香港に隣接しているため、深せんハイテク産業区と香港はハイテク産業発展の面での交流が日増しに頻繁になり、香港科学技術大学、香港大学、香港理工大学、香港国語大学、香港浸会大学、数多くの香港の会社がそれぞれ同ハイテク開発区でインキュベーター施設、企業、研究開発センターなどを設立しており、ハイテク分野における深せん市と香港の協力の展望は明るい。
より高い収益を目指す北京市
北京中関村科学技術ゾーンは全国の知的資源と科学者、技術者が最も密集しているところであり、さまざまな大学六十八校、在校生三十万人、さまざまなレベルの各種研究所を二百十三カ所も擁しており、中国科学院と中国工学院のアカデミーメンバーが全国総数の三六%を占めている。現在、中関村科学技術ゾーンでは科学技術部に認可されたハイテク企業が六千六百九十社ある。昨年、これらの企業の技術・工業・貿易生産総額は八百六十四億一千万元、工業生産額は五百二十七億元、輸出による外貨獲得額は八億二千万ドル、利潤総額は四十億一千万元、納税額は二十九億九千万元に達した。
孟学農北京市副市長は次のように語っている。中関村科学技術ゾーンに代表される北京市のハイテク産業は近年、急速な発展を遂げており、すでに北京市の工業経済の成長の主導的な力となっている。昨年、市全体のハイテク製造業の増加額は百六十五億元に達し、市全体の工業増加額の二五・七%を占めた。今年、このウェートは二七・五%に上昇し、二〇〇五年までには三八%になるようにする。
北京市のハイテク産業発展の発想について、孟副市長は次のように語った。
電子情報、バイオテクノロジーと新医薬、光・機械・電子一体化、新素材、環境保全などの五大新興産業の発展を重点的に促す。同時にハイテク技術で在来産業の改造を進め、北京市の経済構造調整と産業のグレードアップを速める。
中関村科学技術ゾーンの発展目標は、科学・教育による国家振興戦略の推進を目指す改革試行区、国際的競争力をもつ国家科学技術革新モデル基地、全国に向けての科学技術成果を育て上げる波及力のある基地、資質の高い創造的人材の養成基地になるように努めることである。五年後には、中関村科学技術ゾーンのハイテク企業の技術・工業・貿易生産総額が年間六千億元に達するように努め、また自主的知的所有権をもち、国際市場で一定のシェアを占める大型ハイテク企業の育成を目指すことである。