教育は一大産業である


 当面の中国では、教育消費はほかでもなく明日に投資することであると、人々はあまねく認めている。

 国家統計局と中国経済景気センターの行ったサンプリグ調査が示しているように、住民の貯金の一〇%が教育への支出に使われる予定のもので、その比率は住宅購入に使われる予定の七%より高いものであった。

 小中学校のパソコンによる補助教育の応用の現状に対して北京で進められた調査、研究が示しているように、近年、家庭がパソコンを購入した目的について調査したが、その六九・一%の人は子供の勉強のためだと答え、しかもそれは家庭収入とはぜんぜん直接の関係はない。

 長年来、市民がサイフのひもをゆるめるようにと、政府は苦心に苦心をかさねてきた。住宅の購入は銀行のローンを使うことができ、車の購入も銀行のローンを使うことができ、ひいては家庭用消費財を購入する場合も銀行のローンを使うことができるようになったが、その結果はどうだったのか。人びとの目に映ったのは、ある債券の発売となると、黒山の人が争って買う場面であり、一方、物価は下落し、貯金の残高が増え、経済だけは冷えている。五兆元の貯金は依然としておりの中で眠っているライオンのように、すこしも動かないままである。いったい、住民たちはそのお金を何に使うつもりなのだろうか。

 教育を尊ぶ伝統をもつ中国人は、教育に投資し、将来のためにサイフのひもをゆるめるのを惜しまない。名門校に入学したい、ブランド品の文房具を買い求めたい、脳保健食品を食べたい、パソコンを使いたい、ピアノを習いたい、絵の勉強をしたい、といった子供の願いごとは何でもかなえてあげるばかりか、求めていないものでも親としては何とかして与えてやりたい状態である。ある親はこう語った。「子供は高校三年生で、お金がかかる年ごろになっています。だから家は今年大きい消費財一つも買わずに、全力挙げて子供のためにお金を使うつもりです。もしも大学の公費入学試験に落ちたら、全額自費でも大学に入学させるつもりでいます」。

 子供の教育はもとより、自分でお金を払って成人教育に参加する人もますます増えている。社会人を主な募集対象とする清華大学遠隔教育は、ほとんど毎年応募者の申し込みに応じきれず、北京大学、清華大学などのMBAもここ二年大変人気を呼んだ。これらの教育を受けるのには少なくとも一千元ぐらいかかるが、多い場合は一万元もかかる。にもかかわらず、人々はこういうお金を払うときはまゆ一つひそめないのである。

 中国留学生サービスセンターの話では、毎年政府が学位取得のため公費で派遣する留学生は少なくなり、訪問学者として出国した人もここ数年二千人前後にとどまった。公安部出入国管理局の集計によると、近年、自費で出国する留学生の人数は全国の私事出国の中でかなりの比率を占めるようになった。昨年一年だけで私事で出国した中国人は百六十万人に及んだ。

 ブレア英首相はイギリスの大学の学長たちに、中国のこの市場に熱い目を注ぐようはっきりと語った。今年三月、北京で開催されたイギリス教育展に百余校が参加したのは、イギリスの大学が中国の学生にとびらを開いたことを明らかに示している。中国留学生サービスセンターからの情報によると、今年シンガポールは昨年の五百人を下回らない全額奨学金を中国の高校卒業生に提供するという。外国教育の市場化が進むことの直接の結果は、外国大学の中国国内大学に隅々にまで浸透していることである。

 この支出はどれぐらいになるのか。関係筋は次のように推算してくれた。イギリスの大学に留学することを例に挙げてみよう。一人につき一年間の学費は十万元、生計費は六万元で、四年間で六十四万元になる。相対的にそれよりやや安上がりのもあるが、例えば、キプロスに行ってホテル管理コースを勉強する場合、学費に生計費を加えると、三十万元近くになる。

 「中国のお金を外国に流出させることで、外国の消費を刺激するつもりなのか」。経済学者の魏傑氏は焦り気味でこう語った。「教育も消費の一つであり、教育に対する選択には国境がなく、優れた教育条件がそろっているところは応募者のないことを心配せずに済む。高校卒業後の教育に対する需要を国内でうまく転化すれば、それは非常に大きな市場になるはずである」。

 現在、中国では大学の入学率は七・九%に達しているが、教育部の「二十一世紀に向けての教育振興計画」で明らかにされた目標は「二〇一〇年には全国の人口が教育を受ける年限は発展途上国の中の先進的水準に到達し、大学教育の規模がかなり大きくなり、入学率は一五%に近づくことになっている」。中国の教育市場は潜在力が極めて大きい。

 しかしながら、中国の教育の当面の発展状況は思わしくない。経済学者の鐘朋栄氏は、中国の大学の数はあまりにも少なく、大学の募集人数は全国の大学入学希望者を大いに下回っている。

 「中国には大学が一千百余校あり、学生は三百二十万人いるが、もしも人数が倍増して毎年さらに三百二十万人を募集した場合、一人につき一年間の費用は一万元として、毎年三百二十億元の収入増となる。この三百二十億元があれば、中国の市場が活性化されることになろう」と、魏傑氏はまたもそろばんをはじいた。

 中国では現在、普通小中学校の生徒は約二億人いる。そのうち、一〇%が「学校を選択する」という教育消費方式を取って入学したとすれば、毎年の学校選択費用を五千元として、約一千億元の潜在的収益となる。

 教育消費方式はまた教育、生徒、関係職員が膨大な存在として衣食住、交通、日用品などの面で巨大な需要を生み出し、力強く関連産業の発展を促すであろう。

 「あれほど多くの高校卒業生が希望の大学に入学できず、あれほど多くの親が自分のお金で子供を大学に入学させたいと思っていることから、大学に対する投資のリターン率はかなり高いものと考えられる。投資を開放させれば、多くの人々はむしろ学校運営に投資しても、ビデオCD、洗濯機の製造、酒造工場の建設などに投じないのである。

 企業運営と同じように大学を運営すべきで、大学教育は精神内需におけるもっとも速く利益を上げられる産業である。

 現在の中国では、大学教育は相変わらず上部構造として進められており、大学教育には産業化なしという問題が存在している。魏傑氏はこう語った。「現在、大学教育を発展させることは、単なる政府の投資だけにたよることができなくなり、多元的な投資を導入すべきである。教育は産業化されれば、利益をあげることもできる」。

 経済学者の鐘朋栄氏は持説を発表し、次のように語った。民間人が大学運営に投資し、そういうケースが多くなれば、少なくとも三つの面から就職のプレッシャーを緩めることができる。一つ目は大がかりな教育事業を進めるのにはより多くの教育者を必要とし、それは社会全体の就職のチャンスを直接増やすことになる。二つ目は青少年にとって言えば、就職の時期を遅らせることができる。つまり大学に入学することにより、就職の時期は十八歳から二十二歳にまで遅らせることができる。中年の人から言うと、半年、一年、ひいては二年間の期間をさいて、再教育や専門訓練に加われば、社会全体の就職のプレッシャーを軽減することができる。三つ目は資質の低い一部労働者をある程度の専門知識を身につけた資質の高い労働者に養成することは、この人たちが新しい産業と業種に適応することに役立ち、とりわけこの人たちが国際労務市場で仕事をさがすのになおさらプラスとなる。

 「企業運営と同じように大学を運営し、公有制、私有制、株式制、中外合弁、外国独資といったさまざまな方式を取ることができ、市場メカニズムを介してより多くの社会からの資金を教育に引き込むようにすべきである」と鐘朋栄氏は話す。

 

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