手を携えて新しい世紀に向かう中国とASEAN
近年、中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)との友好的協力関係は急速な発展を遂げている。
ASEANは中国にとって重要な協力パートナーである。一九九四年に、中国とASEANは経済貿易分野における協力メカニズムの構築を始め、一九九七年に、双方の貿易額は二百五十億四千万ドルに達し、史上最高を記録した。現在、中国・ASEAN双方の貿易と相互投資が全面的に繰り広げられており、ASEANは中国にとって国外での主要な工事請負市場となり、双方の協力は多方位、多段階、多ルートの特徴を持つものとなっている。
アジア金融危機は中国とASEAN諸国の経済貿易協力に一定のマイナスの影響をもたらしたが、友好的な近隣として、中国・ASEAN間の経済には相互補完性があり、双方の市場の開発も極めて大きな潜在力を持っている。中国は「平等互恵、実効重視、長期協力、共同発展」の原則にのっとって、商品交換の品種を増やし、弾力性のある貿易方式を模索し、相互投資を奨励し、ハイテク分野における協力を強化するなどのルートを通じて、双方の経済貿易関係を新しい段階に推し進めることを目指している。
双方の間ではさまざまなレベルの政治的往来が頻繁に行われ、相互理解と友情が深められている。わずか三年間で、中国はASEANと話し合いで対話を行う国から対話を全面的に行うパートナーとなっている。一九九七年十二月、江沢民主席とASEANの指導者は初めて非公式会談を行い、二十一世紀に向けての善隣相互信頼のパートナーシップを確立し、発表された共同声明では、次のようなパートナーシップの内容と目標が明らかにされた。すなわちそれは、「国連憲章」、「東南アジア友好協力条約」、平和共存五原則と公認の国際法を相互関係処理の基準とし、善隣友好関係を促し、すべての分野での対話と協力を強化し、地域、国際機構とフォーラムにおける協力を強化し、平等互恵、共に責任を負うという原則を踏まえて、両国と多国間の協力を強化し、経済成長、持続可能な発展と社会の進歩を促し、平和的な方式を通じてお互いの食い違いと紛争を解決し、既存の食い違いが友好的な協力関係の発展を妨げないようにすることである。
中国・ASEANは国際と地域問題において、協調、支持し合い、この地域の諸国間の相互理解と信頼を増進し、対話協力の新しい方式で地域の平和と安定を擁護する面で積極的な役割を果たしている。
最大の発展途上国である中国は、複雑に変化する国際情勢に直面して、広範な発展途上国といちだんと協調を強化し、共通の認識を拡大し、双方の合法的権益を共に守ることを望んでいる。ASEAN諸国は中国の近隣であり、発展途上国でもあり、両者間の協力強化には確固たる基礎と大きな潜在力があるため、その展望は非常に明るい。歴史がすでに、そしてこれからも立証するように、中国・ASEANの善隣相互信頼のパートナーシップの発展は、この地域の平和、安定と発展を促す上での重要で、積極的な要因である。
それにもかかわらず、現在、双方の協力の現状と存在する潜在力の面ではバランスが取れていない。例えば双方の貿易額のそれぞれの対外貿易額に占める比率はまだかなり低く、中国の対外貿易のわずか七%、ASEANの対外貿易の三%しか占めていない。そのため、双方が互恵協力を目指す新しい構想とルートをいっそう開拓し、相互関係を確実に前進させる必要がある。
そのほか、中国とASEANの一部の国の間には歴史的原因によっていまでも領土と海洋権益をめぐって紛争が存在している。中国は南沙諸島およびその付近の海域に対し議論の余地のない主権を持っている。南中国海地域の平和と安定を擁護するため、中国は一貫して双方が対話と話し合いの平和的な方式を通じてそれを適切に処理するよう主張している。近年、中国はこの建設的な立場に立って、ASEANの関連諸国と対話と話し合いを強化し、程度の差こそあれ進展を勝ち取っている。