アメリカの覇権主義について
『人民日報』は五月二十七日、「アメリカの覇権主義の新たな発展を論ずる」というオブザーバーの論文を発表した。ここにその要旨を掲載する。
――編集者
アメリカを主導とする北大西洋条約機構(NATO)はユーゴスラビア連邦共和国に対し無差別爆撃を行うとともに、あろうことか在ユーゴスラビア中国大使館を襲撃し、中国政府と人民の極めて大きな義憤を引き起こし、全世界の平和を愛する国と人民の厳しい非難を受けている。アメリカのこうした野蛮な暴挙はその覇権主義の凶悪な正体と帝国主義の侵略的本性をあますところなく示している。
世界の範囲から観察すれば分かるように、アメリカのユーゴスラビアへの武力干渉は孤立した偶然な現象ではなく、アメリカが世紀の変わり目に世界制覇戦略の推進に拍車をかける重要な段取りであり、アメリカの覇権主義の新たな発展の重要な目印でもある。これは当面の国際情勢の中で大きく注目すべき新しい動きである。
一、ソ連が解体し、冷戦が終結してから、世界で唯一の超大国であるアメリカは経済、技術と軍事力の強大さに頼って、鼻息を荒くし、眼中に人などなく、世界に覇を唱える野望を急激に膨張させている。
二、東西の二つの戦線でアメリカの覇権主義に奉仕する軍事ブロック或いは軍事同盟をつくり、アメリカを主導とするグローバルな安全システムを構築している。欧州では、アメリカはNATOを世界制覇戦略を推し進める重要な道具としている。NATOは冷戦の所産である。アジア・太平洋地域では、アメリカは十万人の駐留軍を留保することを堅持し、米日軍事同盟を強化し、日本と新しい防衛協力のための指針(ガイドライン)に調印した。
三、軍事的投入を増加し、ハイテク兵器を大いに発展させている。一九九九年、アメリカの国防予算支出は二千七百六十二億ドルに達し、これはロシア、イギリス、フランス、ドイツ、日本と中国の六カ国の軍費総額の一・六七倍に相当している。アメリカはまた、向こう六年間に国防予算を千百二十億ドル増やすことを決定した。
四、アメリカは国際経済新秩序の中で主導的役割を果たし、経済、貿易、科学技術、金融などの分野でグローバルな覇者の地位を確立しようとしている。
五、社会主義国と第三世界に新たな冷戦を発動している。
六、アメリカなどの西側諸国は公認の国際法の準則に挑戦し、さまざまなでたらめな論調を打ち出して覇権主義と強権政治を推し進めるために新しい「理論」を作っている。彼らは「人権は主権より高い」「主権有限論」「人道主義干与論」「新しい干渉主義」「価値観のために戦う」などの謬論を盛んに鼓吹しているが、その目的はいずれも彼らの覇権主義行為を「合法化」させるためである。
アメリカの覇権主義の新たな発展は、その帝国主義の本性による決まるものであり、深い国内、国際と政治的、経済的根源がある。アメリカは経済が九年連続して成長し、政治、経済、科学技術、軍事分野で明らかな優位に立っているため、アメリカの独占グループが外部へ拡張することを要求するのは必然なことである。
しかし、アメリカの覇権主義の皮算用は実現できないものである。世界平和を擁護し、共通の発展を促進することは世界人民の普遍的な要求と強い願望である。世界が多極化に向かうのは歴史発展の必然な趨勢である。この趨勢の発展過程には曲折と起伏が現れる可能性があるが、多極化の流れはいかなる力も阻むことができない。
アメリカが覇権主義と強権政治を推し進めることは、世界の平和と安定を脅かす主な根源であり、歴史の流れに逆行する不正義の行為であり、世界で人心を得ない。歴史は公正なものであり、新植民地主義、新覇権主義は古い植民地主義、古い覇権主義よりよい末路となることはあり得ない。