善隣友好を増進し、輝かしい未来をともに築う

(タイ国家文化センターにおける江沢民主席の講演)

(一九九九年九月三日)


 今日、ここでタイ外務省国際研究センターの要請で演説ができることを光栄に思う。まず、わたしは中国政府と人民を代表し、また個人の名義でタイ人民に心からなるあいさつを贈り、良き祝意を表し、また在席の皆さんと中国・タイ両国人民の友情を増進するために貢献をした各界の人々に心から感謝の意を表する!

 われわれは、今世紀の最後の四分の一の期間に、長い歴史を持つ中国・タイ関係が新たな発展を遂げたことに喜びを覚えている。両国の各分野における協力は素晴らしい成果を挙げた。「中国とタイが一家のように親しくする」ことは両国人民の共通の願いである。プミポン・アドゥンヤデート国王と王室の方々は中国・タイ友好を促すため優れた貢献をした。国王陛下の七十二歳の誕生日に当たり、私は心からの祝福を表する。中国政府は中国・タイ関係を高度に重視し、タイを中国の本地域における最も重要な協力パートナーの一つとしている。私はタイが繁栄、隆盛するよう祈り、中国・タイ関係が両国の古代の職人が協力してつくった磁器「宋加洛」のように、いつまでも存続していくよう祈る。

 中国、タイとその他のアジア諸国の人民はアジア文明の創造者、推進者である。人類は間もなく二十一世紀に入り、新しい千年を迎える。このような重要な歴史時点に、アジアの百年来の大きな変化を回顧し、アジアの希望に満ちた未来を展望すると、この上ない感慨を禁じ得ない。

 二十世紀のアジアの百年にわたる歩みは、アジア人民が先人の屍を乗り越えて後に続き、挫折しても屈せず、植民主義と帝国主義に反抗し、国の独立と民族解放を勝ち取った偉大な叙事詩であり、アジア人民が発奮して自強を図り、絶えず進歩し、貧困と立ち遅れから次第に脱却し、世界の民族の中にそびえ立つようになった壮大な絵巻きでもある。第二次世界大戦以後、アジア諸国は困難に満ちた闘争を経て、ついに独立と平等の姿勢で国際舞台に登り、アジアと世界の平和と発展のために重要な貢献をしてきた。ここ二十年来、アジアとりわけ東アジア地域の経済は急速な成長を遂げ、世界でも活力を持つ地域の一つとなった。アジアの大きな変化と振興は、アジア人民が成し遂げた偉大な奇跡であり、二十世紀における世界の発展と進歩の重要な目印でもある。中国政府は一九九七年に香港に対する主権行使を回復し、今年十二月二十日に澳門も祖国の懐に戻る。これは西側のアジアに対する植民地的支配の歴史に終止符が打たれることを意味する。われわれはアジアが二十世紀に勝ちとった歴史的光栄をこの上なく誇りに思う。

 民族の独立、国の統一は、アジア諸国が偉大な発展の成果を勝ち取る重要な前提である。アジア人民は列強に侵略され、いじめられ、国破れ家滅ぶ体験を持っている。そのため、得難い民族の独立と国の統一を非常に大切にしている。民族の尊厳と国の主権を守り、自国の社会制度、発展の道と生活様式を自主的に選択し、いかなる外部勢力も内政に干渉することを許さないことは、アジア諸国人民の神聖な権利であり、アジア諸国が繁栄、隆盛に向かう根本的保障でもある。

 自信自尊、自立自疆(じきょう)は、アジア人民が変革、革新し、万難を乗り越えることを励ます重要な精神である。まさにアジア人民はこうした精神に頼って、経済と科学、文化を発展させ、それぞれの国を建設する道で一つまた一つの勝利を勝ち取った。アジア金融危機の衝撃を前にして、タイ人民は「タイ人によってタイを救う」というスローガンを打ち出し、心を一つにして難関を乗り越え、経済成長を安定させてきた。中国人民は昨年発生した史上まれに見る水害を前にして、心を合わせて、ねばり強く戦って、洪水との戦いで偉大な勝利をかちとった。これらすべてはアジア人民が自ら向上してやまない精神を生き生きと示している。

 ほとんどのアジア諸国は第三世界に属し、過去同じような苦難をなめたが、今は共に発展することを望んでいる。みんな平等に対応し、互恵協力し、むつまじく付き合うことの尊さを深く知っている。だから、アジアの土地に有名な平和共存五原則が誕生したのである。アジア諸国は、これらのアジア人民の根本的利益に合致するだけでなく、時代の要請にも即応した国際関係の準則を守り、社会制度の異なる国の平和共存および広範な発展途上国の友好協力のために素晴らしいモデルを打ち立て、国際社会に深い影響を与えている。

 新世紀の青写真をつくるに当たり、アジアの歴史経験は多くのヒントを与えてくれる。世界の多極化と経済のグローバル化がいっそう深く発展し、科学技術が日進月歩の進歩を遂げ、知識経済が興起しだしていることは、アジアと世界各国の発展と進歩に新しい希望をもたらすとともに、新しい挑戦をももたらしている。まもなく到来する世紀に直面して、アジア人民はアジアの未来を考えるとともに、世界の未来をも考えている。どのようにチャンスをつかみ、挑戦を迎え、引き続き平和、安定、公正、合理的国際政治経済新秩序の確立を推進し、持久的平和と普遍的な繁栄の新しいアジアと新しい世界を二十一世紀に持ち込むかは、中国・タイ両国人民を含むアジアおよび世界各国の政治家と人民が直面する差し迫った課題である。

 現在、国際情勢には大きな変化が生じている。冷戦終結以来、世界情勢の全般的すう勢は緩和に向かっている。平和を求め、安定を望み、発展を図るという各国人民の声は日増しに高まってきている。だが、天下はなお太平ではない。覇権主義、強権政治が国際政治、経済、安全保障の面で依然として存在し、しかも新たな発展を見せている。一部の大国は新しい「武力外交政策」と新しい経済植民主義を実行し、多くの中小国の主権独立と発展利益がひどく損なわれ、世界平和と国際安全が脅威を受けている。世界の平和を擁護し、共同発展を促すために、すべての国は世界の反ファッシズム戦争以来に形成された平和共存五原則と「国連憲章」の主旨と原則を含む国際関係の基本的準則を厳守しなければならない。いかなる国も勝手気ままにこれらの準則に違反し、それを踏みにじってはならない。国は大小、強弱を問わず、いずれも国際社会の平等のメンバーであり、各国の事柄は各国人民が自ら決定し、国際問題はみんなが話し合って解決すべきである。これは平和を愛するすべての国と人民の共通の意志であり、阻むことのできない歴史の流れでもある。

 国際経済の往来は、平等互恵、共同発展を堅持すべきである。国際経済貿易分野の新たな規則の制定は、発展途上国の合理的要求を十分に反映し、その正当な権益を保障するようにし、先進諸国はより多くの義務を担うべきで、しかもこうした能力を持っている。いかなる国も自国の強みを借りて経済のグローバル化において特権を狙い、他国の利益を損なうようなことをしてはならない。政治条件つきの経済協力と援助は従来から歓迎されず、さまざまな保護貿易主義は他人を危害するだけでなく、最後には自分をも損なうことになる。こうした歴史的教訓は忘れるべきではない。南北経済のキャップが絶えず拡大している悪性的すう勢を高度に重視し、確実かつ効果的な措置をとって逐次それを解決しなければならない。さもなければ、貧しい国はますます貧しくなり、富める国はますます富み、発展途上国の経済発展が影響を受けるだけでなく、先進諸国も経済の安定成長を実現し難しくなる。

 国際の安全を擁護するには、冷戦思考を徹底的に放棄し、国際社会の持久的平和を各国の相互信頼と共通利益を促す新しい安全観念の基礎の上に確立するように努めなければならない。対話を通じて信任を増進し、協力を通じて安全を図り、互いに主権を尊重しあい、紛争を平和的に解決すべきである。

 中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)はいずれも国際政治経済新秩序の確立を推進している提唱者である。一衣帯水の隣国として、発展途上国として、われわれ双方の戦略的共通認識は絶えず増強されている。善隣友好は、中国とASEAN諸国がともに必要としている。友好的に話し合いさえすれば、相互間に解決できない食い違いはない。中国とASEAN諸国はいつまでも良き隣国、良き友人、良きパートナーとなるべきである。アジア金融危機において、中国とタイなどASEAN諸国はその危害に対して同感し、共通の利害のために助け合った。中国はこの金融危機のショックを受けたASEAN諸国に力の及ぶ限りの援助を提供した。中国はASEAN関係国と本地域および南中国海の平和と安定を擁護する原則と方式について模索し、友好的話し合いと交渉を通じて存在している食い違いを解決することを望んでいる。中国はASEANが平和、自由、中立の地域を建設する努力を尊重し、「東南アジア非核地帯条約」議定書を尊重、支持している。中国はASEAN経済の一体化の進展を歓迎し、積極的に瀾滄江・メコン川流域における協力に参与し、ASEANの二〇二〇年発展計画とハノイ行動計画を高度に重視し、ASEANとの経済貿易、科学技術、社会などの分野における交流と協力を深めるよう希望している。私はずっと、連帯し、繁栄するASEANはアジアの平和と発展を促す重要な勢力であると見ている。

 近年、中国とASEANの関係は全面的かつ深く発展している。一九九七年、私とASEAN諸国の指導者は「共同声明」を発表し、中国・ASEAN善隣相互信頼パートナーシップの樹立を確定したが、これは双方関係の発展の方向を示し、枠組みを構築した。中国はまたタイ、ベトナム、マレーシア、ブルネイなどと二十一世紀に向けた協力計画に調印しあるいはそれを発表するとともに、すべてのASEAN諸国と互恵協力関係をいっそう強化するよう望んでいる。中国とASEANはすでに互いに重要な貿易、投資パートナーとなっている。平和共存五原則を順守することを基礎とし、中国とASEANとの友好関係の発展は見通しが明るいと確信することができる。

 二十世紀は、中国に大きな変化が生じた世紀である。中華人民共和国成立五十年来特に改革・開放二十年来の困難に満ちた創業を経て、中国の総合国力と人民の生活水準は大幅に向上した。中国人民は中国の特色を持つ社会主義を建設する偉大な道に沿って急ピッチで前進している。われわれの戦略目標は、二十一世紀中葉に、現代化を一応実現し、富強、民主、文明的社会主義国を築き上げることである。新世紀に、中国人民はタイ、ASEAN、アジアおよび世界各国人民とともに、アジアと世界の平和と発展を促す崇高な事業を推進するために奮闘することを願っている。

 中国の現代化建設は、長期の平和的国際環境と良好な周辺環境を必要としている。中国の発展と安定、中国の周辺地域の平和と繁栄および平和共存五原則を踏まえて地域の安全新秩序を確立、擁護することは、アジア諸国の共通の利益に合致したものであり、中国の根本的利益に合致したものでもある。中国は独立自主の平和外交政策と防御的国防政策を実行することを堅持している。中国の発展はいかなる国にも脅威を構成することがなく、地域と世界の平和と繁栄に役立つだけである。今後、中国は発達しても、変わることなく独立自主の平和外交政策を実行し、揺るぎなく広範な発展途上国および平和を熱愛するすべての国と人民の側に立っていく。中国には「己れの欲せざるところを、人に施すなかれ」ということばがある。中国は覇権主義と強権政治に断固反対する。中国は永遠に覇を唱えない。これは中国政府と人民が世界に行った厳かな約束である。

 中華文明は数千年にわたって続き、国家統一は終始中国歴史の主流である。国の統一を擁護するのは、中国人民が世々代々にわたって非常に大切にしている崇高な目標である。世界には一つの中国しかなく、台湾は中国領土の不可分の一部であり、「平和的統一、一国二制度」の基本方針に基づいて台湾問題を解決するのは、中国人民全体の共通の願望であり、中国歴史の発展の大勢の赴くところである。香港が祖国に復帰した実践が証明しているように、中国が完全な統一を実現する進展はアジアの安定と繁栄に役立つ。中国政府はタイとASEAN諸国の政府が台湾問題についての中国政府の立場を支持していることを高度に評価する。

 最後、私は在席の若者にひと言話したい。二十一世紀は結局はあなたがたのものである。あなたがたが自民族とアジア諸国人民の優れた伝統を受け継ぎ、発揚し、新世紀において国を建設し地域と世界の平和を擁護する光栄ある使命を勇敢に担い、各国人民とともに、アジアと世界の麗しい未来を開拓するものと信じる。

 

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