中ロ、戦略的協力パートナーシップを強化

 一九九六年に中国とロシアが二十一世紀に向けての戦略的協力パートナーシップを構築して以来、このパートナーシップは各方面で充実し、発展している。

 冷戦終結後、全世界の経済と政治には大きな変化が生じ、中ロ関係は新しい段階に入った。一九八九年五月、当時ソ連共産党中央委員会書記長、ソビエト最高議会議長であったゴルバチョフ氏は中国を訪問し、中国の指導者ケ小平氏と歴史的意義を持つ会談を行った。その時の訪問は、中ソ関係が三十年のブランクを経て再び正常な関係を取り戻したことを示すものであった。その訪問の最も著しい成果は、同盟を結ばず、対抗せず、平等で、互いに尊重し、互いに内政に干渉しないことと平和共存の原則にのっとって、新しいタイプの関係を打ち立てたことである。ケ小平氏はその会談を、「過去に終止符を打ち、未来を切り開く」と称した。

 ゴルバチョフ氏の中国訪問は両国関係の発展にとって新たな原動力をもたらし、それに続いて李鵬総理(当時)と江沢民総書記がそれぞれソ連を訪問した。また、両国外相は東部国境協定に署名し、国際指導原則にのっとって両国の国境線を河川の中心線とすることが確定され、これによって東部国境についての双方の意見の食い違いにピリオドが打たれた。両国議会は一九九二年二月にこの協定を批准し、両国外相は三月に批准書を交換した。

 一九九一年にソ連は崩壊したが、両国の建設的関係の発展が阻止されることはなかった。旧ソ連を構成していた十五の共和国が独立主権国家となり、一九九一年十二月にロシア連邦がソ連の継承国家となることを宣言してから間もなく、中国政府とこれら十五カ国は外交関係を結んだ。

 一九九二年一月三十一日、国連安全保障理事会首脳会議の際に李鵬総理は初めてロシアのエリツィン大統領と会談し、ロシア側は旧ソ連と中国が署名した条約と義務の承諾の履行を重ねて言明した。また、双方は両国関係を引き続き発展させ、両国関係の順調な引き継ぎを保証する旨を表明した。

 一九九二年十二月、ロシアのエリツィン大統領は中国を訪問し、その際に中ロ両国は共同声明に署名して、両国が善隣友好、互恵協力関係を維持、発展させることを正式に宣言した。双方はまた、両国関係が平和共存五原則の基礎を踏まえて確立されるべきであることに同意し、科学・技術、文化協力、および宇宙の平和利用、国境地帯における軍事力の相互削減、信頼強化措置の確立などを含む二十余りの協力の協定に署名した。

 一九九四年九月、江沢民国家主席は国の指導者として初めてロシアを訪問した。その時の会談において、江沢民主席は「同盟を結ばず、対抗しないことは、両国人民の根本利益に合致する。平和共存五原則を踏まえて友好互恵協力関係を打ち建てることは、両国人民の利益に最も役立ち、世界の平和と発展にもプラスとなる」と強調した。会談で江沢民主席とエリツィン大統領は意見を交わし、世界各国の多様性と独自の見解を認めること、平等を基礎とした協力、強権政治への反対、対立する政治、軍事、経済ブロックの結成への反対、アジア・太平洋地域が協力すべきこと、核不拡散の支持など、世界の一連の問題について共通認識に達した。

 両国外相はまた中ロの西部国境画定協定に署名し、それによって国境の九九%以上が法律上の解決を得た。かつて紛争と軍事衝突が悩みの種であった国境地帯は、平和、安定、繁栄のシンボルとなった。

 中ロ両国のこうした関係は、一九九五年に新しいピークを迎えた。五月に江主席はモスクワを訪問して反ファシスト戦争勝利五十周年祝賀活動に参加し、六月に李鵬総理もロシアを訪問した。会談の中で江沢民主席とエリツィン大統領は各分野における協力促進と拡大の新たな方法について話し合った。

 一九九六年四月の第三回中ロ首脳会談の際、江沢民主席とエリツィン大統領は三つ目の共同声明に署名し、両国は平等、相互信頼を旨とした二十一世紀に向けての戦略的協力パートナーシップを発展させることを決意したと宣言した。双方はそれぞれのクラスとさまざまなルートの対話を維持することに同意し、最高レベルの接触と話し合いが特に重要であると考えた。このため、北京とモスクワの間に政府ホットラインを開設することになった。また、善隣関係を深めるため、双方は中ロ友好・平和・発展委員会を設立し、両国の各界の代表が同委員会に参加することに同意した。さらに、中国、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン五カ国は、国境地帯における軍事分野での信頼強化に関する協定に署名し、中ロ両国は国境を平和・安定、友好・善隣の国境にすることを決意した。

 一九九七年四月、江沢民主席とエリツィン大統領はモスクワで四回目の会談を行い、世界の多極化と国際新秩序確立に関する共同声明に署名し、国際情勢と国際関係についての意見を述べた。江沢民主席のモスクワ訪問の期間中、中国、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタンは国境地帯の軍事力相互削減協定に署名した。また、中ロ友好・平和・発展委員会が正式に発足した。

 一九九七年十一月、エリツィン大統領は三回目の中国訪問を行い、両国首脳による五回目の会談が行われた。双方は五つ目の共同声明と一連の協定に署名した。

 一九九八年十月、江沢民主席は再びロシアを訪問し、モスクワでエリツィン大統領とネクタイなしの非公式会合を行って中ロ関係の共同声明に署名し、世紀の変わり目における両国関係の発展の方向性を示した。

 両国首脳の会合のほか、その他の指導者も経常的に相互訪問を行った。李鵬前総理、人民代表大会常務委員会の喬石前委員長、朱鎔基総理、全国政治協商会議の李瑞環主席、中央軍事委員会の劉華清副主席がそれぞれロシアを訪問し、ロシアのチェルノムイルジン、キリエンコ両元首相、上院議長、下院前議長らが中国を訪問した。

 中ロ両国は、国際および地域の一部の問題について見解が一致している。ここ数年、両国の指導者はアジア・太平洋地域の安全、コソボおよびイラク情勢、アジアの金融危機の後遺症、国連改革問題などについて幅広く意見を交換してきた。両国外相はまた、国際的に注目を集めている問題について常に意見を交換し、国際情勢の中で最も敏感な問題に対して足並みをそろえてきた。両国は反覇権、多極化世界の確立、多極化プロセス促進の面で効果的に協力を推し進めている。

 台湾の問題について、ロシアは強固な立場を保ち、一つの中国だけが存在し、中華人民共和国政府が中国を代表する唯一の合法政府であって、台湾は中国領土の不可分の一部であることを認めている。そのほか、ロシアはロシア連邦が台湾と決して政府間関係を拡大しないことを表明した。このためにエリツィン大統領は一九九二年九月に台湾に関する大統領令に正式に署名した。

 中国はロシアが国の主権、団結、領土保全を維持するために傾けてきた努力を支持し、ロシアの北大西洋条約機構(NATO)拡大に対する懸念に同調し、ロシアのアジア太平洋経済協力会議(APEC)フォーラムへの参加要求を支持している。

 そのほか、中ロ両国は経済・貿易分野における協力を引き続き拡大している。この面において両国の大企業はますます大きな役割を発揮しており、エネルギー、機械製造、航空と宇宙開発の面での協力はすでに重点となっている。両国が署名した三十億ドル余りの協力プロジェクトである連雲港原子力発電所はすでに施工が始まっており、西シベリアから中国上海への天然ガス輸送も計画中で、価格は八十億ないし百億ドルに達する。今春、朱鎔基総理がロシアを訪問し、ロシア政府と共に二国間貿易に存在する問題を解決し、経済・貿易の協力分野をさらに切り開き、多くの新しい協力のスタイルを開拓した。

 日増しに向上、発展する中国とロシアの関係には、堅固な基礎がある。まず、両国はそれぞれの経済を発展させるという極めて困難な任務に直面し、いずれも長期に安定した国際環境、特に周辺地域の平和的環境を必要としている。その次に、両国の経済界は相互補完性を持っており、経済協力には巨大な潜在力がある。双方は経済・貿易協力がそれぞれの経済の振興、とりわけ国境地域の経済発展にとって重要な要素であると見ている。第三に、双方は互いに相手国の政治の安定、経済の発展、民族の団結、国力の増強、国民の生活水準の向上、およびそれぞれが国際実務において大きな役割を発揮することを望んでいる。双方は多くの国際問題に対し、一致あるいは類似した見解を持っている。第四に、二国間の問題を処理する際、双方は平等、相互尊重、内政相互不干渉の原則を厳守している。そのため、中国はエリツィン大統領が間もなく中国を訪問することによって、中ロの戦略的協力パートナーシップがさらに前向きに発展するものと深く信じている。

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