中国と東南アジアの友好関係史に新
たな一章を書き記す

 ――唐家せん外交部長、朱鎔基総理の東南ア四カ国歴訪を語る

 朱鎔基国務院総理は招きに応じて、十一月二十二日から十二月四日までの間に、マニラで第三回東南アジア諸国連合(ASEAN)――中日韓非公式首脳会合および中国・ASEAN非公式首脳会合に出席し、会合の前後にマレーシア、フィリピン、シンガポール、ベトナムの四カ国を公式訪問した。訪問を終えて帰国する途中、朱鎔基総理に伴って訪問した唐家せん外交部長は随行記者に、今回の会議と訪問で挙げた成果とその意義について次のように述べた。

 朱鎔基総理の今回の歴訪は、世紀の変わり目に中国の指導者が東南アジア地域に対して行った重要な外交活動であり、ASEANと前述の四カ国はこれを非常に重視し、盛大に、熱烈に、友好的にもてなした。会合と訪問期間中、朱鎔基総理はASEANと関係諸国の指導者と、ともに関心をもつ問題について突っ込んで意見を交換し、多くの問題について見解が一致した。訪問は円満な成功を収め、友情強化、相互信頼増進、影響拡大、協力開拓の目的を達し、中国と上述四カ国、ASEANとの善隣友好関係および新たな世紀における東アジア協力のさらなる発展を推し進める上で、先人の事業を受け継ぎ、後人のために道を切り開くという重要な意義がある。

 今回のASEAN――中日韓非公式首脳会合は、世紀の変わり目に開かれた重要な会合である。東アジア諸国の指導者は、新たな世紀における協力強化の問題について探究した。朱鎔基総理が東アジア首脳会合に出席するのはこれが初めてであり、会合の席で東アジア協力の発展方向と指導原則について中国側の考え方と主張を明らかにし、東アジアの多様性が非常に際立ち、各国の国情が完全に同じではないが、精力を集中して経済を発展させ、平和な環境をより一層つくり出すことは、東アジア諸国にとっては最大の共通の利益である、したがって、当面、東アジア協力の重点は経済、科学技術、金融の分野に置くべきであり、平和共存五原則が東アジア諸国の相互関係を規範化させる基本的準則となるべきであると指摘した。中国側の立場は会合後初めて発表された「東アジア協力に関する共同声明」の中でも十分に反映されている。朱鎔基総理はまた東アジア協力の深化について具体的な提案を行い、中国が東アジアの一員とASEANの主要な隣国として、東アジア協力を非常に重視し、東アジアの平和、安定、発展、繁栄に引き続き自らの貢献をしたいと強調し、参加諸国の好評を博した。

 朱鎔基総理は中国・ASEAN非公式首脳会合で、ここ数年における双方の関係の新たな発展を十分に肯定し、善隣協力の絶えまない強化はずっと双方の関係発展の主要な側面であると指摘し、ASEANと各分野、各段階における対話と協力をいちだんと深化させ、双方の善隣と相互信頼パートナーシップの内包を絶えず充実したいと表明した。また、中国側はASEAN側とともに一九九七年の中国・ASEAN「共同声明」の確定した原則を厳守し、引き続き二国間協議を通じ、平和な方式で互いの食い違いを解決し、実際行動で相互関係の大局と地域の安定を守りたいと表明した。ASEAN諸国の指導者は朱鎔基総理の発言に賛同するとともに、双方の関係の発展に満足の意を表した。

 マレーシア、フィリピン、シンガポール、ベトナム四カ国訪問中、朱鎔基総理はこれらの国々の指導者と新世紀に向けての善隣・相互信頼と友好協力関係を発展させることについて突っ込んで探究し、いちだんと相互信頼を増強し、疑問を解消し、経済協力を深化させる面で積極的な成果を挙げた。

 中国のWTO加盟問題については、中国のWTO加盟が本地域に競争をもたらすかもしれないという東南アジアの一部諸国の懸念に照らし、朱鎔基総理はさまざまな場を利用して、中国の輸出構造、外資源および中国市場の全方位的な開放などの角度から、中国のWTO加盟が東南アジア諸国に消極的な影響を及ぼすことがないばかりでなく、逆に中国とこれらの諸国との協力を力強く促し、地域経済の発展と繁栄に利し、同時に国際経済活動に占める発展途上国のシェアを増加し、発展途上国の正当な権益を守ることにプラスとなると納得がいくように説明した。朱鎔基総理の説明は実際に即した情理に適うもので、各国はいずれも中国のWTO加盟に歓迎と支持の意を表した。南中国海の問題については、朱鎔基総理は中国側の立場と主張を重ねて表明し、対象国の異なる状況に基づいてそれに即応した対策をとり、中国が引き続き南中国海の平和と安定に取り組み、二国間の平和的協議を通じて問題の解決に努める考えを明らかにし、さらに中国とASEAN諸国間の共通の利益が主要なものであり、一部の具体的な食い違いを突出させ、宣伝すべきでなく、事態を拡大化、複雑化にする行動をとってはならず、われわれの間に話し合いを通じて解決できない問題はないと強調した。中国側の合理的主張はASEAN側の理解と賛同を得た。

 金融危機後の回復と経済グローバル化の挑戦を前にして、朱鎔基総理は、中国とASEAN諸国の当面の重要な課題は、実際の協力をいちだんと強化することであると強調した。朱鎔基総理は各国の特徴、および中国との協力の現状と可能に基づいて、それぞれ四カ国の指導者と状況に即応し、深く突っ込んだ探究を行い、互恵協力の新しい分野、方途、方式を開拓した。マレーシアでは、双方は金融と文化協力のいっそうの強化についての関係協定を結び、重要な経済協力プロジェクトの実施を促した。フィリピンでは、両国はフィリピンに双方が協力して農業技術センターを設立し、中国の農業振興の先進的な経験と技術を推し広めて、フィリピンにとって当面最も重要な農業の発展を支持することを原則的に申し合わせた。シンガポールでは、双方はいちだんと協力分野を広げることに同意し、シンガポール側は中・西部を含めて対中投資を引き続き増加したいと表明し、中国側はより多くの企業がシンガポールで上場するよう激励することを表明した。双方はまた金融、都市住宅建設、国有企業改革などの面で互いに学習し、参考したいと表明した。ベトナムでは、両国は、経済・貿易協力に大きな潜在力と十分な可能性が存在しているとし、中国側はベトナムの経済発展、構造調整、効果向上に誠意ある援助を提供し、実力のある中国の企業がベトナムに投資することを支持し、良好な経済効果をもつ一部の大型協力プロジェクトの実施実現を促したいと表明した。

 ベトナム訪問の今一つの成果は、両国の総理が中越陸地国境に存在する問題が残らず解決されたと確認したことである。この重要な進展は中越両党の総書記の関心と指導のもとでとげたものであり、両国政府の国境交渉代表団が共同で努力した結果でもある。両国の総理はまた、両党の総書記が目標として確定した年に陸地国境条約に本調印できるよう協定締結の準備作業を急ぐことを指示した。これは両国関係における大きな出来事であり、両国人民の根本的利益と共通の願いに完全に合致し、両国が平和・友好の国境を二十一世紀に持ち込むことを示している。

 唐家せん外交部長は最後に次のように指摘した。朱鎔基総理の今回の訪問は成功と開拓の訪問であり、中国と上述四カ国及び東南アジア全体が新世紀に向かってまい進することに新たな原動力を提供し、中国とASEANとの友好関係に新たな一章を書き記した。

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