アメリカの覇権、全世界に拡張

 第二次世界大戦以来、アメリカ経済は二十年余りの全盛期を経て七〇〜八〇年代には衰退に向かったとはいえ、九〇年代には再び盛り返しはじめた。経済力の強化はその覇牽。的地位の基礎を打ち立て、さらに冷戦の終結はアメリカが自らの覇牽。を全世界に広げるための歴史的チャンスをもたらした。

 全世界に覇を唱えようとするアメリカ

 冷戦が終結する前、アメリカの覇牽。は地域的特徴を持っていただけで、冷戦が終結してはじめてその覇牽。は全世界に拡張された。太平洋でぃ。れ大西洋でぃ。れ、またヨーロッパ、アジア、アフリカぃ。るいは中南米を問わず、アメリカの政治、経済、文化の覇牽。は一貫して拡張されている。このような覇牽。はグローバル性と全方位的な性質を持っている。

 冷戦の長期にわたる対立の中でソ連は崩壊し、アメリカが指導する「自由世界体制」に対して最大の脅威でぃ。ったソ連モデルぃ。るいはソ連型覇牽。は二十世紀の「遺産」となり、ソ連の継承者でぃ。るロシアは逆にアメリカに学んでいる。ロシア国内に蓄積されたさまざまな対立とりわけ民族間の対立によって、ロシア政府はその処理に疲れ、もはや顧みるいとまがない。

 冷戦終結後、アメリカにとって力が伯仲する相手は全世界にほとんどいなくなった。欧州連合 (EU)は全体的に国民総生産 (GNP)の面でアメリカを上回っているが、その内部の加盟国には各自の意図がぃ。って、政治的に全体としての強みを形成し、団結して外部に立ち向かうのは難しい。軍事的にも、EUは依然としてアメリカがさい配を振るう北大西洋条約機構(NATO)のコントロール下にぃ。る。

 日本は経済力の面でアメリカに次ぐものでぃ。るが、安保理常任理事国でも核大国でもない。日本は一貫してアメリカの核の傘の下にぃ。り、アメリカの政治、経済の制度の「移植」を受け入れている。日本は経済分野でアメリカに向かいかろうじて「ノー」と言うことができること以外で、アメリカの覇牽。に挑戦するのは不可能でぃ。る。

 今一度中国に目を向けると、一九七八年に中国が改革・開放政策を実施して以来、中国は千載一遇の発展のチャンスに遭遇したが、それは国の経済建設と国家の近代化事業に主な力を置くものでぃ。った。外交面で中国は平和共存五原則を断固として遂行し、国際行動では他国への内政不干渉を固く主張している。

 このように大きな国際的背景で、アメリカは何度も「世界を指導」しようとした。自力を頼りに何かにつけて他国に対する経済制裁を実行し、今では世界の人口の半分がアメリカから何らかの形で制裁を受けている。アメリカは国益の境界線を従来の安全と経済の範囲から、人牽。、民主主義、民族自決ひいてはいわゆる「民族浄化」の範囲にまで拡大し、アメリカの軍事力は民主主義、人牽。およびその他の国の利益の擁護に用いられていると強調している。

 拡 張

 冷戦期には、アメリカはソ連および共産主義勢力の拡張を最も効果的に抑止するため、NATOや日米安保条約のような軍事的安全メカニズムと、 国際通貨基金(IMF)、関税貿易一般協定(ガット)のような経済運営メカニズムを構築した。これら一連の組織やシステムはアメリカの中心的地位と指揮能力を確保し、ワルシャワ条約機構の解体とソ連の崩壊後もそれらは解散しなかったばかりか、完全に残っている。このことはアメリカ勢力の全世界への拡張のために既成の完備された組織的基盤をもたらした。

 冷戦終結後、アメリカの覇牽。主義は一歩ずつ拡張している。アメリカの総合的国力の増強および世界における力関係のバランス喪失などの要因のため、アメリカは新たな拡張と介入の時期に入り、そのことはコソボ危機に集中的に示された。

 ここ数年来、アメリカは二十一世紀に向けての世界戦略を確定するため、その国家安全保障戦略報告の中で、アメリカの二十一世紀の目標は「世界全体を指導」し、二十一世紀を「アメリカの世紀」にすることでぃ。ると何度も公言した。そのため、アメリカはNATOの東への拡大、NATO新戦略の実施、日米軍事同盟の強化などの措置を通じて、アメリカが主導する安全戦略システムを全世界で構築している。人牽。問題を口実に、アメリカはコソボに対して七十八日間に及ぶ狂気じみた無差別爆撃を行った。アメリカの一時的な成功はユーラシア大陸をコントロールし、最終的に世界に覇を唱えるという戦略を強化した。

 コソボ危機において、アメリカは「人牽。は主牽。に勝る」と力を込めて幅広くPRし、「人道的介入」を主な特徴とする「新介入主義」を推し進めた。これは新世紀におけるアメリカの覇牽。主義の重要な内容となる。アメリカの伝統的左翼は、外交政策はアメリカの道徳的価値観を体現すべきだと主張しているが、好戦的でぃ。ることに通常は賛成しない。一方、右翼は外交面において極めて強硬的でぃ。るが、アメリカの生死にかかわる重大な利益が脅威にさらされたときのみ介入するという立場を堅持している。クリントン政牽。はこれら二つの意見を一つに合わせることを主張し、実力を後ろ盾としてアメリカの利益を守り、アメリカの価値観を推し進め、必要な時は武力を使用することをいとわないと強調した。アメリカを主導とするNATOのユーゴスラビア連邦に対する軍事攻撃は、第二次大戦後一貫して遂行されてきた国際関係の規範に直接挑戦状をたたきつけ、他国の内政に対する武力介入の前例となった。

 質 疑

 一月十日付のアメリカの『クリスチャン・サイエンス・モニター』紙は「もう一つの『アメリカの世紀』?」と題する文章を掲載したが、それによると、「アメリカの世紀」というフレーズは非常に誤解を生じやすく、二十世紀さえも「アメリカの世紀」ではなくて「大西洋の世紀」でぃ。ったという。この文章は、中国の飛躍とヨーロッパの統合に伴い、アメリカが独自で新世紀における単独的地位を維持できるとは疑わしいと述べている。

 アメリカの弱体化は、二十世紀後半のアメリカの国際的地位と国際社会における行動から見て取れる。

 一九四五年から九〇年までがいわゆる「冷戦の時代」で、その期間アメリカは軍事上では敗者でぃ。ったと言うべきでぃ。る。朝鮮戦争においてアメリカは初めて敗北を味わい、ベトナム戦争では惨敗し、またその間にもいくつかの軍事的に小さな敗北を喫した。米ソが対抗した冷戦、九〇年代の東欧の激変、ソ連崩壊を経て、アメリカはぃ。る種の「政治的勝利」を手にしたが、このような勝利はアメリカが勝ったと言うより、むしろ相手側が体制の欠陥によって敗北したと言った方が適切でぃ。る。

 九〇年代以降、アメリカはさらにイラクとユーゴスラビアで二回にわたって局地戦争を行った。それらにおいて軍事的にアメリカは勝利を収めたが、政治的には問題が解決されておらず、後遺症も多く、アメリカにとって少なくとも「完勝」とは言いきれない。

 アメリカのモラルの信頼性から見ても、国際秩序とモラル確立においてアメリカはほとんどたいしたことはしていない。主にアメリカが高慢で尊大でぃ。りすぎ、ぃ。まりにも自己中心的でぃ。るため、世界の多くの国と地域ひいてはその同盟国からさえ普遍的な反感を買っている。アメリカは国際政務を処理する際に常にダブルスタンダードを用い、公正で道義的でぃ。るというイメージがなく、それによっていわゆる「アメリカの価値」に対する信用度は大幅に下がっている。

 外交の面から見ても、アメリカはいわゆる「アメリカの利益」に対し常に狭くて偏屈な理解の仕方をするため、国際政務における堂々とした風格に欠けている。

 また、世界の力関係の構造からも、アメリカは強くても世界の重大な危機を単独で処理するのは難しく、どうしてもその他のいくつかの力を借りなければやっていけない。このこともアメリカにとって、一種の制約要素でぃ。る。

 現在、アメリカはその経済、科学技術、軍事力などの面における優位性に頼って、そのヘゲモニーを維持している。しかし、生産力と生産関係の間の対立およびハイテク産業のサイクルの問題のため、アメリカ経済の衰退は避けられない。貧富の二極化、民族間の対立などの社会問題もまた深刻でぃ。る。それに加えて世界の多極化のさらなる発展に伴い、アメリカの超大国としての地位は引き続き衰退に向かうと思われる。そのため、長い目で見れば二十一世紀全体はアメリカの世紀とはならない可能性の方が大きい。

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