一つの中国は争う余地のない事実


 八月一日、台湾当局の「大陸工作委員会」は「対等、平和、双方とも勝利者――特殊な国と国との関係論に対する書面説明」を発表した。同書面説明は、「二国論」は「政治、歴史、法律の観点から既存事実に対し明確な説明を行っている」と弁解している。それでは、一九四九年以後の海峡両岸の関係における歴史、現実、法律の「既存事実」はいったいどういうものなのか。視聴を正すためにも、それをはっきりさせる必要がある。以下は中国共産党中央台湾事務弁公室宣伝局と国務院台湾事務弁公室報道局が発表した声明の要旨である。

中国は一つしかなく、両岸は絶対に二つの国ではない

 台湾は中国の領土であり、海峡両岸は一つの国であって、絶対に二つの国ではない。これはすべての歴史、現実、法律によって証明済みの、争う余地のない事実である。台湾問題は中国の内戦で残された問題である。台湾問題を解決することは、まったく中国の内政に属するものである。

 台湾は昔から中国に属している。宋代(九六〇〜一二七九)から清の光緒年間(一八七五〜一九〇八)まで、中国政府はずっと台湾に対し主権を行使していた。一八八五年、清朝政府は正式に台湾を一つの省に画定した。一八九五年、日本帝国主義は中日「甲午戦争」を介して台湾と澎湖列島を強引に奪い取った。しかし、中国人民は従来から「馬関条約」を含むすべての不平等条約を認めず、そしてこれら不平等条約を廃棄するために、不撓不屈の闘争を進めた。

 一九三七年七月、日本帝国主義は全面的な中国侵略戦争を始めた。一九四一年十二月、中国政府は「中国の対日宣戦布告」を発し、内外に向かって、中日関係にかかわるすべての条約、協定、契約は一律に廃棄すると明確に公示し、また中国は「台湾、澎湖、東北四省の土地を回復する」、「馬関条約」が廃棄されるものに入ると厳かに宣布した。一九四三年十二月、中国、アメリカ、イギリスの三国が調印した「カイロ宣言」と一九四五年七月、中国、イギリス、アメリカの三国が調印し、後にソ連も調印に加わった「ポツダム宣言」はともに、日本は東北、台湾、澎湖列島など中国から奪い取った領土を中国に返還すべきだと明確に規定している。一九四五年八月、日本は無条件に降服し、「ポツダム宣言」を受諾すると宣布した。同年十月、台湾は中国に復帰し、中国の主権下に置かれた。そのときからいままで、台湾が中国の領土の一部である地位は一度も変わったことがない。

 一九四九年十月、中国人民は反帝反封建の革命で偉大な勝利を収め、中華民国政府の反動的統治をくつがえし、中華人民共和国を樹立した。こうして、中華民国政府が中国の主権を行使する歴史に終止符が打たれた。これは中国人民の歴史的な選択である。中華人民共和国政府は全中国唯一の合法的政府と世界における唯一の合法的代表となり、もともと中華民国政府が中国を代表して行使していた、台湾省を含む全中国の主権を受け継いだのは理の当然である。国際法の角度から言って、これは政府を受け継ぐ実例に属し、全世界に公認されている。一九四九年十月以後、台湾当局がいまだ「中華民国政府」の旗印を掲げてはいるが、このいわゆる「中華民国」はすでにその合法性を完全に失ってしまい、もはや中国を代表する合法的政府でなくなった。李登輝は「二つの中国が国際に並存する」と言っているが、それは従来から事実ではなく、李登輝の企図と幻想にすぎない。

 一九七一年十月、第二十六回国連総会は第二七五八号決議を採択し、「中華人民共和国政府の代表は国連における中国の唯一の合法的代表であり、中華人民共和国は安保理五常任理事国の一つである」ことを明確に承認し、「蒋介石の代表を国連とその所属機構から追い出す」と宣告した。これは中華人民共和国政府が中国の唯一の合法的代表であるという事実が国連に受け入れられ、国連における中国の代表権問題が政治上、法律上、手続き上すでに公正かつ徹底的に解決されたことを物語っている。世界では、すでに百六十以上の国が中華人民共和国と国交を樹立している。一九六四年の中仏国交樹立、一九七二年の中日国交正常化、一九七九年の中米国交樹立および中華人民共和国と国交を樹立したすべての国はいずれも、世界に中国が一つしかなく、台湾は中国の一部分であり、中華人民共和国政府は全中国の唯一の合法的政府であるという事実を認めるか尊重している。これは客観的情勢が発展した必然的な結果であり、このすう勢は今後もさらに発展していくであろう。

 国家の領土と主権を分割するのは許されない。国家の領土保全を守ることはありとあらゆる国の神聖な権利であり、国際法の基本的原則でもある。国家の主権はその国の全国民に属するものであって、その国のある地区のある一部の人に属するものではなく、ある地区のある一部の人がほしいままにそれを変えるのを絶対に許さない。海峡両岸がまだ統一されていないとは言え、台湾が中国領土の一部分であるという地位は変わっていず、中国が台湾に対し主権を持っていることも変わっていず、海峡の両岸は依然として現実的な一つの中国である。「書面説明」は「特殊な二国論」のいくつかのいわゆる「特殊性」を挙げてはいるものの、中国の主権と領土は切り離すことができないという最も根本的な問題の上で、相変わらず海峡両岸がすでに二つの国に分裂し、中国の主権と領土がすでに分割されたという李登輝の主張している謬論をかたくなに固持している。したがって、その本質はやはり「二国論」である。

一つの中国という原則は両岸が平等に対話、交渉する基礎である

 周知の通り、中国共産党と中国政府は一九七九年に「平和的統一、一国二制度」という基本方針を実行してから、平等の交渉を通じて平和的統一を実現すると一貫して主張し、そのために積極的な努力を払ってきた。一九八一年九月三十日、当時の葉剣英全人代常務委委員長は「中国共産党と中国国民党の両党が対等交渉を行うことを提案する」ことを提出した。一九八三年六月二十六日、とう小平氏は、「両党が平等に会談し、第三次合作を実行するのであって、中央が地方と交渉すると言わない」といっそう明確に提出した。一九九二年十月十二日、江沢民総書記は台湾政治の変化に照らして、「一つの中国という前提のもとで、いかなる問題についても話し合うことができ、それには両岸の正式交渉の方式について台湾側と討論し、双方とも適当と考える方法を探し当てることが含まれる」と一歩進んでうち出した。一九九五年一月三十日、江沢民総書記は「祖国統一促進の大事業を達成するために奮闘を続けよう」という重要な演説の中で、一つの中国という原則のもとでは、「政治交渉の名義、場所、方式などの問題は、平等な協議を早く進めさえすれば、なんとかして双方とも受け入れられる解決策を探し当てることができる」とはっきり指摘している。上述のことが示しているように、中華人民共和国政府が全中国を代表する唯一の合法的政府であるにもかかわらず、台湾当局の平等交渉の地位についての要求を配慮して、われわれはずっと中央が地方に対する名義で台湾側と交渉するとは言わず、また、台湾が「裏切りの省」であるとも言わなかった。

 実際には一九九二年に始まった海峡両岸関係協会(以下、海協と略称)と台湾の海峡交流基金会(以下、海基会と略称)の話合いは、ずっと平等な地位で進められている。実践が立証しているように、一つの中国という原則のもとでは、両岸が平等に交渉する適当な方式を探し当てるのは完全にできることである。われわれはまた、統一される前に、両岸関係の事務を処理するに当たって、特に交渉の中で、一つの中国という原則を堅持することは、とりもなおさず世界に中国が一つしかなく、台湾が中国の一部分であり、中国の主権と領土保全の分割を許さないのを堅持することである。

 台湾当局が「政治的実体が主権国に対する枠組み」から抜け出し、「両岸の対等の基礎を築く」と公言しているが、これは実際には一つの中国という原則から離れようとするものである。両岸関係を「国と国との関係」に位置づけることは、両岸の交渉の基礎を築くものではなくて、中国を分裂させる基礎を「築く」ものである。これは台湾当局のいわゆる交渉の平等的地位を求めるというのが口実にすぎず、引き続き両岸の対話と交渉を阻止し、さらに一歩進んで台湾を中国から切り離そうとすることがその真のねらいであることを十分に示している。

一九九二年、海協と海基会が達した共通の認識は「海峡の両岸がともに一つの中国という原則を堅持する」ことである

 一九九〇年、台湾当局は海基会を設立した。同基金会は「中国的、善意的、奉仕的」を趣旨とすることを自己規定している。一九九一年二月、台湾当局の制定した「国家統一綱領」には、「大陸と台湾がともに中国の領土である」と「一つの中国の原則」が明記されている。ほかでもなく台湾当局と海基会が上述の承諾を行ったことに留意したため、われわれは海基会と接触、交流、協議し、海協を設立し、一つの中国の原則を基礎として両会が協議することを希望している。

 海協は授与された権限に基づき、海基会と事務的協議を行う過程で、海峡両岸の同胞往来の中の具体的問題は中国の内部事務であり、一つの中国の原則にのっとって協議して解決すべきである、事務的協議は、一つの中国の原則を堅持するという基本的態度を表明しさえすればよく、一つの中国の政治的内包を討論しなくてもよいと明確に指摘した。

 一九九二年十一月十六日、海協と海基会は事務的協議の中でそれぞれ口頭で「海峡両岸がともに一つの中国の原則を堅持する」ことについて共通の認識に達したことを表明した。海協は「海峡両岸はともに一つの中国の原則を堅持し、国家の統一をはかるように努める。しかし、海峡両岸の事務的協議では、一つの中国の政治的内包に触れない」と具体的に表明した。海基会は「海峡両岸がともに国家の統一を努めてはかる過程で、双方とも一つの中国の原則を堅持しているが、一つの中国の内包に対する認識は、それぞれ異なっている」と具体的に表明した。ここでは、海基会と海協はそれぞれ相手方に対し、一つの中国の原則を堅持し、国家の統一をはかることを明確に承諾した。しかし、両会は「海峡両岸がともに一つの中国という原則を堅持する」ことについて口頭で共通の認識に達したのであって、一つの中国の内包については、海協は「事務的協議では一つの中国の政治的内包に触れない」と言い、海基会は「認識がそれぞれ違う」と言った。これは両会が従来から一つの中国の内包について「それぞれ表明する」ことについて共通の認識に達していないことを十分に物語っている。簡単に言えば、双方がそれぞれ表明する方式で一つの中国の原則を堅持する態度を表明することに共通の認識をもっているが、一つの中国の内包について、双方は討論もしていなければ、共通の認識も全然もっていないのである。

 台湾の関係筋はこの共通の認識を「一つの中国についてそれぞれ表明する」と歪曲しているが、これは実状に合致しないものであり、その意図は「それぞれ表明する」という名義の下で分裂の主張を詰め込むことにある。李登輝の「二つの中国」をでっちあげる分裂活動が激しくなるにつれて、この表現はいっそうはっきりしてきた。いまでは、「書面による説明」は「それぞれ表明する」名義の下で、「双方はこれから一つの中国についてそれぞれ自分の思ったことを言うことができる」と自称し、あろうことか一つの中国を「二つの中国」すなわち「特殊な国と国との関係」と「二国論」であるように表現したのである。これは台湾当局が一九九二年に両会が達した共通の認識を歪曲した真の下心を完全に暴露している。

「特殊な二国論」は両岸関係およびアジア太平洋地域の平和と安定に対する意識的な破壊である

 「書面による説明」は李登輝の「特殊な二国論」が台湾の二千二百万民衆の「心の声」を「十分に反映している」とでたらめに言っているが、これはまったく台湾同胞の感情を冒とくするものである。平和を求め、安定を求め、発展を求めることは、広範な台湾同胞の最大の願望であり、台湾同胞の切実な利益のよってくる所でもある。「特殊な二国論」は意識的に両岸の衝突と対抗を引き起こしたが、これは必ず台湾社会に持続的な動揺と不安定をもたらし、台湾同胞の利益をゆゆしく損なうであろう。「特殊な二国論」は撤回しない限り、台湾海峡の情勢に平和と安定を保たせるのが難しく、台湾は一日も穏やかにならない。

 十数年来、両岸同胞の共同の努力を通じて、両岸の人的往来と交流がたえず拡大され、両岸の経済協力と相互補完・互恵の局面が徐々に形成され、一つの中国という原則の下で、両岸の政治、経済などの面で対話が引き続き深化していくところである。ところが、両岸の同胞が両岸関係のさらなる発展を期待している時に、李登輝は公然と「二国論」を持ち出して、両岸関係の正常な発展の基礎を徹底的に破壊し、台湾海峡情勢の平和と安定の現状を破壊した。台湾を中国から分裂させるため、李登輝は台湾人民の安全、利益、福祉を顧みず、二千二百万の台湾同胞を災難の深淵に推しやった。「特殊な二国論」が世人の公認する一つの中国の原則に公然と挑戦しているが、これは海峡両岸の関係をひどく破壊したばかりでなく、アジア太平洋地域の平和と安定にも危害をもたらすに違いない。「書面による説明」がどのように李登輝のために言い逃れをしようとしても、李登輝は国際社会の「トラブルをつくり出す者」である。

 

 

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