会計検査報告書から腐敗行為が明るみに


 今年六月二十六日午後、人民大会堂の会議室で、全国人民代表大会常務委員会委員たちが、同日午前李金華国家会計検査署署長が行った「一九九八年度中央予算執行とその他の財政収支に関する会計検査活動報告」を審議していた。

 二週間後に、この報告書は新華通信社を通じて公表され、その内容は社会各界の注目を集めた。

 全国人民代表大会常務委員会新聞局のある責任者によると、「同報告書の作成は特別な意義を持ち、それは財政部を含む一部の国務院部門が職権を利用して法律、法規に違反し、国の予算資金を流用して自分たちの部門と個人のために私利をむさぼったなどの腐敗現象をはじめて社会に公開したものだからである。それはさらに腐敗を懲罰する中国政府の決意を表わすものだった」ということである。

 憲法と会計検査法の規定に基づき、国家会計検査署は毎年前年度の中央予算執行状況について会計検査を行い、主として財政部の中央予算執行状況、国家税務総局と税関部門の徴税・管理状況、国庫の予算資金の収支状況、国務院各部門の予算執行状況などが含まれている。会計検査署は国務院総理の指導の下で、法律の規定に基づいて会計検査監督権を独自に行使し、その他の行政機関、社会団体、個人の干渉を受けない。

 国家会計検査署のある責任者によると、会計検査署署長が全国人民代表大会常務委員会に会計検査活動を報告することは、すでに五年前から行われており、最初の報告は比較的詳しいものであったが、あとの三回は比較的簡単なものであった。会計検査報告書が資金割り振り権を握る部門が職権を利用して財政資金を流用して私利をむさぼったなどの問題を摘発したのは、今度が初めてである。

 今回は、五十三の国務院部門と、その傘下部門が検査を受けた。法律・法規に違反して流用された金額は百六十四億五百万元に達し、そのうち、四十三の部門が財政資金を流用し、金額は三十一億二千四百万元に達した。これらの資金は部門の行政経費の不足の補充、各種建物の建設工費および対外投資などに使われた。対外投資による収入が一部の人に勝手に分けられた部門もある。例えば、国家観光局傘下の中国観光国際信託投資有限公司は収入を記帳しない手段で、三百八十五万元の国債収益で私腹をこやし、そのうち、会長は七十七万元で私腹をこやした。

 水利部に対する会計検査の中で、一部の法律・法規違反の問題が発覚した。水利部が北京で建設した水利業務指導総合ビルは、実際はビジネス、飲食、客室つきのハイレベルのオフィス・ビルとして建てられた。このプロジェクトを合法化にして早期に着工するため、関係責任者は不当な手段をとり、所属企業と地方の水利部門から建設資金一億四千六百万元を調達したが、そのうちの大多数の資金が出所不明金で、互いに結託し合って水利部からもらった水利専用資金を調達金とした部門もある。

 一九九四年から一九九八年にかけて、水利部とその所属部門が水利専用資金一億千六百万元を流用した。そのうち、一九九八年に河川堤防建設資金千四百万元を流用して、黄河水利委員会などの部門の住宅建設に使った。水利部所属の中国水利投資公司が水利基本建設資金とその他の専用資金を五千二百七十四万元流用して、投資とオフィスビルおよび住宅の購入ひいては株の取引などに使った。

 財政部の法律・法規違反の事件も摘発された。同部の一部の司・局クラスの部門と個人も職権を利用して財政資金を流用した。例えば、一九九八年六月、財政部元工業交通司の一部のものは職権を利用して民間航空総局など五つの部門から資金を調達して、中盛科学技術発展有限公司を設立し、そのうち、民間航空総局が一株主として出資するよう要求するとともに、民間航空基礎建設基金から支出することに同意した。昨年八月までに、合わせて九千二百万元を調達し、主として国債購入と株の取引に使った。

 またこの報告書によって、十の省、自治区、直轄市が電力建設基金を流用して非電力建設プロジェクトに投資したことも明らかにされた。公安部門の行政費用徴収と罰金収入を検査した時、国の規定に違反して費用徴収項目百余件を勝手に設置し、上納すべき資金十三億余元を流用し、金や物資を勝手に個人に支給したことが発覚した。

 この報告書によると、今度の会計検査の中で摘発された個人経済犯罪に対して、関係部門は法によって処理しようとしているかあるいはすでに処理した。しかし、中国の当面の立法状況から見れば、部門の法律・法規違反、意志決定の面での手落ち、管理の不行き届きなどによってもたらされた損害、浪費などの問題に対する処理は往々にしてあまり厳しくなく、法律に違反して取得した金を没収するだけで、意志決定者と関連のある人員の責任は追及していない。

 多くの政府機関の法律・法規違反行為が摘発されたことによって、同報告書は社会各界の注目を集めている。全人代常務委員呉樹青氏は次のように語った。報告書によって暴露された一連の問題は行政腐敗行為である。資金割り振り権と予算収入組織権を握る中央部門の職責はほかでもなく法によって行政を行い、財政規律、法律に違反するさまざまな行為を調べ、処罰しなければならないものであるが、一部の部門は神聖な職責を真剣に履行しなかったばかりでなく、法を知っていながら意識的に法を犯し、社会に悪影響をもたらすとともに、その傘下の部門の問題を処理する能力を必然的に失うことになる。

 全人代常務委員謝安山氏は次のように語った。当面の中国の財力が豊かでなく、一時帰休者と都市・農村の貧困人口が多数存在する状況の下での水利部ら部門の一部責任者の悪らつな行為は目を覆わないわけにはいかない。国の法律に基づき、関係責任者は厳しい処罰を受けなればならない。

 全人代常務委のその他の一部の委員は、全人代常務委は関係部門に責任をもって法によって処理させるとともに、適当な時に、摘発された主要問題に関する国務院の是正状況の報告を聴取することを明らかにした。

 また、関係筋はできるだけ早く法律・法規に違反した行政部門の責任追及制度を制定し、財政特別資金の流用、背任および官僚主義によってもたらされた重大な損害、浪費など問題について真剣に調べ、法によって部門の関係責任者の責任を追及し、法を執行して法を犯す行為を引き続き摘発、公表しなければならないと呼びかけた。

 

 

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