「澳門基本法」についての一問一答

 澳門問題に対する中国政府の基本的政策は何か

 澳門問題に対する中国政府の基本的政策は、中国とポルトガルの共同声明付属文書としての「中華人民共和国政府の澳門に対する基本的政策の具体的説明」の中で十分に述べられている。これらの政策は主として、澳門に対する主権行使を回復する時、中華人民共和国澳門特別行政区を設置すること、澳門特別行政区は中央人民政府に直轄され、外交と防衛事務を除いて、高度の自治権を享有すること、澳門特別行政区政府と立法機関はともに澳門の現地人によって構成されること、澳門の現行の社会・経済制度は変わらず、生活様式は変わらず、法律は基本的に変わらないこと、澳門特別行政区は文化、教育、科学技術に関する政策を独自に制定し、法によって澳門にある文化財を保護すること、澳門特別行政区は「中国澳門」の名義で単独に各国、各地域および関係国際組織と経済・文化関係を保持し、発展させるとともに、関係協定を締結できること、澳門特別行政区は引き続き自由港と独立関税地区として経済活動を行うこと、澳門特別行政区は財政の独立を保持すること、澳門特別行政区の社会治安は澳門特別行政区が責任を持って維持すること、澳門特別行政区では中華人民共和国の国旗と国章を掲げるほか、区旗と区章も使用できることなどを含んでいる。このほか、当該付属文書はまた、澳門に対する中国政府の前記の基本的政策は全国人民代表大会が憲法に基づき、澳門特別行政区基本法で規定し、五十年間変えないと明確に指摘している。

 澳門特別行政区基本法を制定するのはなぜか

 中国・ポルトガル両国政府の澳門問題に関する共同声明は、二国間の国際協定である。共同声明は両国政府に対し拘束力をもっているとはいえ、つまるところ中国国内の法律文書ではなく、しかも中国政府が共同声明とその付属文書一の中で明らかにした基本的な方針・政策も、比較的原則的、抽象的なものである。ほかならぬこのために、中国政府は共同声明とその付属文書一の中で同時に、中華人民共和国の澳門に対する基本的な方針・政策は、全国人民代表大会が基本法で規定し、五十年間変えないと明記したのである。これを見てもわかるように、基本法の制定は中国政府が承諾したことであり、その根本的目的は共同声明とその付属文書一の中で確認された「一国二制度」を国内法の形式で法律化、制度化することにある。こうすれば、法律の強制力を通じて澳門に対する国の基本的な方針・政策の実施を十分に保障することができる。ほかならぬこの意義から言って、「一国二制度」の方針・政策は基本法を制定する政策的根拠なのである。

 基本法は澳門の平穏裏の移行に対しどのような現実的意義があるか

 基本法は一九九九年十二月二十日から正式に発効するとはいえ、澳門の移行期に繰り上げて基本法を公布したのは、澳門の平穏裏の移行と政権の順調な引き継ぎの実現に対し、きわめて重要な現実的意義がある。

 まず基本法は平穏裏の移行のためにリンクの方向をはっきり指し示している。これは基本法の性質によって決定づけられたものである。なぜなら、基本法第十一条の規定によれば、将来の澳門特別行政区の制度と政策が、社会・経済制度、住民の基本的な権利と自由を保障する制度、行政管理・立法・司法面の制度、および関係政策を含めて、いずれも基本法の規定を根拠とすべきであり、澳門特別行政区のいかなる法律、法令、行政法規とその他の規範的文書も、基本法に抵触してはならないからである。この規定は、基本法が実際には澳門特別行政区の各方面の社会生活が順守しなければならない憲制的法律であり、澳門の現行の各項の制度と政策も基本法のはっきり指し示した方向に沿って発展し、基本法とリンクすべきであることを表明している。このようなリンクがなければ、澳門の平穏裏の移行は保障されない。

 次に、基本法は平穏裏の移行に自信面の保証を提供している。これは基本法の内容によって決定づけられたものである。なぜなら基本法が「一国二制度」の方針・政策に基づいて制定されたものであり、「澳門人による澳門管理」という高度の自治の原則を十分に体現しているからである。基本法の公布は、中国政府が澳門で「一国二制度」を貫徹、実行する確固たる信念と澳門住民に対する十分な信頼を顕示するものでもあり、澳門住民に麗しい未来を描く青写真を展示し、澳門住民の未来に対する自信をも強めた。人心が安定してから社会がはじめ安定する。これは澳門の平穏裏の移行を実現するのに欠くことのできない自信面の保障である。

 澳門特別行政区が高度の自治権を享有するというのはなぜか

 澳門特別行政区は、高度の自治権を享有する地方行政区域である。高度の自治は、主として次の二つの方面に体現している。

 まず自治の範囲から見て、一つの国または地域の内部事務は行政、立法、司法の三大種類にほかならず、そのため基本法第二条は、澳門特別行政区が全国人民代表大会から権力を授けられたあと、基本法の規定に基づいて高度の自治を実行し、行政管理権、立法権、独立した司法権と終審権を享有すると規定している。これは澳門特別行政区が本地区のすべての内部事務に対し十分な自治権を享有することを意味する。このほか、基本法第十三条の規定によれば、外交事務は中央人民政府が責任を持って管理するとはいえ、澳門特別行政区は権力を授けられれば、依然として基本法に基づいて、経済などの特定分野でその他の国または地域と関係協定を締結、履行することを含めて、関係ある対外事務を処理することができる。これを見てもわかるように、自治の範囲について言えば、澳門特別行政区の享有する自治権は中国大陸部の民族自治区域よりはるかに大きいのである。

 次に、ほかでもなく基本法が澳門特別行政区に本地区の事務を独自に管理する幅広い自主権を与えているため、澳門特別行政区の享有する自治の程度は中国大陸部の民族自治区域よりはるかに高いばかりでなく、世界の連邦制国家の構成員よりもはるかに高いものである。例えば、アメリカの法律によれば、アメリカの各州は金融・租税政策を独自に制定する権力もなければ、独自に通貨を発行し、独立関税を実行する権力もなく、司法面の終審権享有などはなおさらお話にならない。しかし、基本法の規定によれば、これらの権力は完全に澳門特別行政区の自治範囲内の事務に属し、中央はいかなる干与もしない。行政、立法、司法の分野であろうと、対外事務処理の面であろうと、世界には澳門特別行政区のようにこれほど大きな自治権を享有する単一制国家の地方政権または連邦制国家の構成員は一つもない。

 澳門特別行政区の高度の自治権はどこから来るのか

 地方の自治権は、中央の授権から来る。これは単一制国家の基本的特徴の一つである。中国が単一制国家で、澳門特別行政区が中国の一地方行政区域である以上、その享有する高度の自治権も当然中央の授権から来ている。この点について、基本法第二条は明確な規定を行い、全国人民代表大会が澳門特別行政区に基本法の規定に基づいて高度の自治を実行する権力を授けることを確認している。なぜなら、中国憲法によれば、全国人民代表大会が国の最高権力機関であり、人民を代表して国家管理の権力を行使し、中国政府が澳門に対する主権行使を回復したあと、澳門地区の事務を管理する権力が法によって全国人民代表大会に属するはずだからである。したがって、澳門特別行政区が高度の自治を実行するなら、全国人民代表大会は授権的な法律規定を通じ、「一国二制度」の方針・政策に基づいて、澳門地区の事務を管理する権力を澳門特別行政区に授けて行使させなければならない。

 全国人民代表大会の具体的な授権のほか、基本法はさらにその他の授権的な規定をも行っている。例えば、中央人民政府が澳門特別行政区に基本法に基づいて関係ある対外事務を独自に処理する権力を授けると規定し、澳門特別行政区が全国人民代表大会、全国人民代表大会常務委員会または中央人民政府の授けるその他の権力を享有することができると規定しているのがそれである。この意味から言って、基本法は実際には澳門特別行政区に高度の自治権を与える授権的法律でもある。

 「澳門人による澳門管理」をどのように正しく理解するか

 基本法第三条は「澳門特別行政区の行政機関と立法機関は、本法の関係規定に基づき、澳門特別行政区の永住民によって構成される」と規定している。この規定が言っているのは、とりもなおさず中国政府が共同声明の中で説き明かしている「澳門人による澳門管理」の基本的原則である。「澳門人による澳門管理」の実行は、澳門地区の各種社会事務が澳門の地元の人によって管理され、中央が決して北京またはその他の地区から人を派遣して管理に参与しないことを表明している。これは中国政府の四十数万の澳門住民に対する高度の信頼を十分に体現している。「澳門人による澳門管理」の実行は、澳門特別行政区の高度の自治の基本的特徴でもあれば、高度の自治を実現するのに欠くことのできない重要な保障でもある。

 ここで言う「澳門人」とは、法律上ではまず基本法第二十四条の規定した澳門特別行政区の永住民を指し、中国・ポルトガル共同声明の中では「現地人」を指している。中国人であれ、ポルトガル人であれ、またはその他の国籍の人であれ、基本法の規定した条件に合致しさえすれば、澳門特別行政区の永住民になることができ、したがって澳門を管理する主人公になることができるのである。次に、「澳門人による澳門管理」については、愛国者を主体とすることを強調すべきである。澳門特別行政区が中国の地方であり、現地人の圧倒的多数が中国人であり、国を愛し澳門を愛する現地人を澳門管理の主体にならせてのみはじめて「一国二制度」の澳門での実施を確保し、澳門の長期にわたる繁栄と安定を保つことができるからである。これに対し、ケ小平氏は「香港人による香港管理に触れた際、『香港人による香港管理』は限界と基準がある、つまり愛国者を主体とする香港人が香港を管理しなければならない」、「愛国者の基準は、自民族を尊重し、誠心誠意祖国の香港に対する主権行使の回復を擁護し、香港の繁栄と安定を損なわないことである」と非常にはっきりと指摘した。香港はそうであり、澳門もそうである。

 「澳門人による澳門管理」の原則は、基本法のその他の各条でも体現されている。例えば、基本法の行政長官、政府の主要官員、行政会委員、立法会正副主席、終審裁判所所長、検察長が皆澳門特別行政区の永住民の中の中国公民が担任するという規定、立法会議員が皆澳門特別行政区の永住民が担任するという規定、公務員が澳門特別行政区の永住民でなければならないという規定は、すべて「澳門人による澳門管理」の原則を体現している。

 「五十年間変えない」はいいかげんに言ったのだろうか、五十年後は変えるかどうか

 基本法第五条は、中ポ共同声明にある「五十年間変えない」という方針・政策を法律の形式で固定し、「澳門特別行政区は、社会主義の制度と政策を実行せず、従来の資本主義制度と生活様式を保持し、五十年間変えない」と明確に規定している。これには十分な現実的根拠がある。これに対し、ケ小平氏は香港問題に触れた際に鋭く論述し、「中国が真に発達し、先進国を追い越すとは言わないがそれに近づくには、なおも三十年ないし五十年の時間がかかる。今世紀にわれわれに開放政策を実行する必要があるというなら、来世紀の最初の五十年内に中国が先進国のレベルに近づくにも、この政策から離れてはならない。この政策から離れるとだめになる。香港の繁栄と安定を保つのは、中国の切実な利益に合致する。だから、われわれはいい加減に、感情に駆られて五十年と言ったのではなく、中国の現実と発展の必要を考慮してそう言ったのである」と指摘した。

 五十年内は変えないが、五十年後には変えるのではないだろうかと心配する人がいる。この問題は二つの方面から理解しなければならない。まず大きい方面から見ると、「一国二制度」の実行は決してある時のある事の便宜的な計画ではなくて、改革・開放の必要に適応し、国家と民族の長期の利益に合致する基本的国策である。中国の改革・開放の政策は変わることがあり得ず、「一国二制度」の政策も変わることがあり得ない。これはケ小平氏が指摘したように、「実際には、五十年は形象的な言い方にすぎず、五十年後も変わらない。前の五十年は変えることができないが、五十年後は変える必要がない」。次に、大きな政策が変わらないというのは、なにも具体的な社会制度を変えてはならないことを意味しない。変わることは永遠不変のもの、絶対的なものであり、変わらないことは相対的、一時的なものであり、問題はよいものに変わるかそれともわるいものに変わるかである。よい方面に向かって変わりさえすれば、澳門の繁栄と安定に有利であり、社会の進歩に有利であり、澳門住民は歓迎し、自分から変えると言い出すはずである。

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