香港特別行政区基本法と澳門特別行
政区基本法はどう違うか
「中華人民共和国澳門特別行政区基本法」は、香港特別行政区基本法に次ぐ、今一つの「一国二制度」の方針を全面的に体現、保障する全国的法律である。この二つの基本法は、香港と澳門に対する中国政府の基本的な方針・政策の具体的な現われであり、香港特別行政区と澳門特別行政区が高度の自治を実行する法的保障であり、中国が歴史的に残された問題を平和的に解決する輝かしい例証である。
立法の背景と立法の主旨が同じであることから、香港特別行政区基本法と澳門特別行政区基本法は条文の構造と内容の並べ方に共通点がたくさんある。構造の面では、この二つの基本法はともに前文、総則、正文、付属文書の四大部分からなっている。内容の面では、この二つの基本法の特別行政区の基本的な制度と政策についての規定が一致しており、国家主権の原則を十分に体現しているばかりでなく、特別行政区の高度の自治権をも確実に保障している。それには、特別行政区で従来の資本主義制度と生活様相を保持する、中央は特別行政区の主権と関係ある事務に対する管理権がある、特別行政区は基本法から与えられた行政管理権、立法権、独立した司法権と終審権を享有する、特別行政区は独立した経済制度を実行するなどが含まれている。
香港と澳門の歴史的発展と実状の違いにより、この二つの基本法の言語と内容の面の違いは五十カ所近くあり、そのおおまかに描いた特別行政区のモデルはそれぞれ特色がある。
土地制度について、この二つの基本法はともに、特別行政区内の土地と天然資源が「国の所有に属する」、特別行政区政府が土地の開発を管理し、そのすべての収入を使用、支配すると規定している。澳門基本法には、特別行政区成立前すでに法によって確認された少数の私有土地の留保を認めるという例外がある。
防衛問題について、この二つの基本法はともに、「中央人民政府が特別行政区政府の防衛事務を管理する」という規定を行っている。香港基本法には軍隊駐屯に関する条項があるが、澳門基本法はそれに関する規定を行っていない。これはポルトガルが早くも七〇年代に澳門から軍隊を引き揚げさせたので、澳門が祖国へ復帰する時防衛の引き継ぎ問題が存在しないからである。しかし、防衛権に軍隊駐屯権が含まっているため、中央が澳門に軍隊を駐屯させるのは必要であるばかりでなく、法的根拠もある。
特別行政区の役人が「外国居留権」を持てるかどうかという問題について、この二つの基本法には異なる規定がある。香港基本法は「外国居留権を持たない」ことを行政長官立候補の条件及び主要な官員、立法会主席、大法官の就任の条件としている。
澳門基本法は、行政長官を除き、それを主要官員などの就任の条件としないと規定している。役人が在任期間に「外国居留権」を使用して二重の忠節を尽くす問題が生ずるのを避けるため、役人が就任する時、「基本法を擁護し、特別行政区に忠節を尽くすと宣誓する」ほか、「中華人民共和国に忠節を尽くすと宣誓しなければならない」と特に規定している。
香港基本法と澳門基本法には大同もあれ小異もあり、これは「一国二制度」の方針が香港と澳門の実際と結びついた鮮明な特色を十分に現している。