腐敗摘発制度の確立

寥辛聞

 改革・開放以来、政府は経済改革を推し進め、経済の急速な発展を促すと同時に、日増しに深刻化している腐敗問題の解決を非常に重視し、腐敗の懲罰と関連のある法律や制度を制定、整備し、腐敗の一掃に力を入れている。検察機関における摘発制度の確立は改革・開放以来、中国でつくり上げられた腐敗・汚職の一掃を目指す重要な制度の一つである。伝えられるところによると、一九八八年三月に深せん市人民検察院に全国初の摘発センターが設けられて以来、現在までに、全国の各クラスの検察機関に設けられた摘発センターは三千六百カ所余りに達し、全国をカバーする摘発ネットワークが形成された。最高人民検察院の張穹副検察長によると、検察機関が立件し、取り調べを行った汚職・賄賂などの腐敗にかかわる手がかりのうち、八〇%以上は一般の人たちの摘発によるものである。

 「検察長とじかに話し合う日」は、最高人民検察院が一般の人たちの摘発を促すために、一九九二年に確立された制度である。最高人民検察院摘発センターの関係者によると、同センターは発足以来、毎日全国各地から来た百人余りの摘発者や告発者を受け入れている。「検察長とじかに話し合う日」になると、話し合うために訪ねてくる人は日頃より多く、受け入れのためにてんやわんやになる光景がよく見られる。

 張穹副検察長は、「摘発制度の確立は民主化、法制化を目指す重要な構成部分であり、法に従って国を治める重要な措置でもある。話し合う日の開設は、検察長が犯罪面の手がかりを知り、案件の処理の加速を促すのに効果的な役割を果たすことができる」と語った。

 摘発センターの開設

 七〇年代末、八〇年代初めから、大規模な経済体制改革が実施された以降、一部の犯罪者は、改革と経済発展の中の抜け道を利用して、経済犯罪活動を行い、そのうち、汚職や賄賂などの腐敗がかなり大きな割合を占めている。一九八七年の広東省のある統計データーによると、一九八二年から一九八七年一月までに、省全体で摘発された経済犯罪案件は一万六千件に達し、そのうち、汚職・賄賂案件は五九%を占めるに至った。どのようにして腐敗をなくすかということは、各級政府の重要な仕事となった。

 一九八八年三月八日、深せん市は、香港の経験を参考にし、検察機関に中国初の摘発センターを設立した。これは政府の関係部門の注目を集めることになった。同年四月、最高人民検察院は、それを全国に普及し、各地で次々と摘発センターを設立させた。一九八八年六月に、最高人民検察院は摘発電話の番号を公表し、広範な人びとに積極的に検察機関に腐敗分子を摘発するよう呼びかけた。摘発センターの設立は人びとに歓迎された。一九八八年七、八月だけでも全国の各クラスの検察機関が人びとの告発によって得た手がかりに基づき、三百五十件の案件を取り調べ、その中から一部の重大案件を摘発し、国のために千七十一万元と十二万余の香港ドルの経済損失を取り戻した。

 また、ここ十年間に、検察機関は二百八十四万八千件の摘発を受理し、百二万五千件に対する取り調べを行い、その中から多数の汚職・賄賂犯罪者を摘発し、腐敗の出現と蔓延を強力におし止めた。

 人びとの目は鋭い

 「摘発センターの設立により、人びとは汚職者を摘発することができ、訴える場所を得ることになった」と最高人民検察院の汪輝煌さんは語る。

 昨年五月十一日、江西省検察院が省都の南昌市で摘発宣伝活動を行った際、一日のうちに、一万近くの人たちの相談に応じた。省内の横峰県からやってきた農民の黄桐華(五一)さんは、摘発センターに現地のある司法関係者の政策違反と腐敗の事実を訴えたところ、二カ月以内にその取り調べと処理の結果を自分に知らせるという確約があった。伝えられるところによると、江西省検察院が摘発センターを設立して以来、十一万五百四件の摘発を受理し、そのうち、汚職、賄賂、職務怠慢などの犯罪面の手がかりは八万千百二十三件に達した。検察機関の処理した汚職、賄賂などの案件のうち、七〇%が一般の人びとの摘発によるものである。

 重慶市の検察機関の摘発センターは開設されてから十年になるが、全市の公安、法院(裁判所)、規律検査委員会、監査、会計検査などの部門の摘発ステーションと摘発情報を交流し、共同で摘発されたさまざまな違法犯罪の手がかりは七万余件に達し、事件にかかわった金額は十二億七千万元であった。

 北京市の検察機関が一九八八年八月から一九九八年六月までに受理した犯罪の手がかりは、計四万九千七百十四件に達した。一九九五年以降、摘発された百万元以上の重大事件は百九十五件で、それには中国銀行の職員の羅玉海が四十八万余ドルを着服し、七十七万余ドルを流用した案件、中国華陽技術貿易総公司のプロジェクト担当経理の劉淑蘭が汚職を働き、百万元のワイロを受け取った案件、国家人事部の元賃金福祉司司長の康耀がワイロを受け取った事件などが含まれている。

 おおまかな統計によると、ここ十年来、検察機関によって摘発された重大事件の中には、一般の人びとの告発したものが十七万四千件に達した。例えば、人々を驚かせた元貴州省政協常務委員、貴州省信託投資公司会長の王健宏が汚職を働き、公金を流用し、ワイロを受け取った事件、元貴州省公安庁庁長の郭政民がワイロを受け取った事件、元広東省恵州市公安局局長の洪永林はワイロを受け、その巨額の財産の獲得源が明らかでない事件、元陝西省民政庁庁長の石嘉平がワイロを受け取った事件、元ハルビン市常務副市長の朱勝文、同市政府副秘書長の謝万霖ら数十人がワイロを受け取った事件などがそれで、いずれも一般の人びとの告発によって摘発されたものである。また、六千百人余りの県クラス以上の指導幹部が犯罪者として摘発された。

 匿名による摘発

 一部の法律専門家は、ここ数年における摘発制度の確立により、一般の人びとは検察機関による腐敗撲滅のために多くの情報を提供したが、人数とその果たすべき役割から見れば、まだまだ足りないと見ている。

 調査によると、現在、全国で腐敗について手がかりを提供した一般の人びとの人数は少なくないが、検察機関の審査を経て、初歩的な取り調べを行った事件は総数の約三分の一に過ぎず、完全に立件し、取り調べを行った事件は総数の二〇%しか占めていない。中国法制大学のある法学教授はこう分析している。このような状況が生じた原因は主として、提供した腐敗の手がかりの質が低く、匿名による摘発が多いことにあり、これは検察機関の取り調べに一定の難度をもたらしている。検察機関によると、検察機関の受理した一般の人びとの摘発のうち、八〇%が匿名のものであった。

 最高人民検察院摘発センターのこう保宇主任は、「われわれは実名入りの摘発を提唱している。そうすれば、検察機関の案件処理と腐敗撲滅にもっと役立つことになる」と述べている。

 また、こう保宇主任によると、摘発者を保護する面において、各地の検察機関は厳格な守秘制度を制定している。検察機関の案件処理関係者は摘発者のために厳格な守秘制度を順守し、摘発者の合法的権益を保護している。今後、関係部門は法律、法規をいちだんと整備し、摘発者を保護する措置を充実させ、摘発行為を規範化、法制化させることになっている。

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