一九九八年の中国人権事業の進展状況


中華人民共和国国務院新聞弁公室

 一九九八年は中国の改革・開放実施二十周年に当たり、中国の人権事業が改革、発展、安定の中で引き続き進展をとげた年でもある。この年、中国はアジア金融危機の大きな影響を受け、特大洪水に見舞われた状況の下で、国民経済が着実に成長し、人民の生活が引き続き改善され、民主と法制建設が明らかに強化され、人権状況がたえず改善されるという好ましい状態を保った。

一、 人民の生存権と発展権

 中国は十二億五千万の人口を擁する発展途上国である。人民の生存権と発展権の擁護と促進は、終始中国の人権の方面における第一の課題である。

 改革・開放以来、中国政府はずっと人民の生存権と発展権問題の解決を第一位に置き、経済を大いに発展させ、国民経済を年平均九・六%の成長率で持続的に健全に発展させ、人民の生活水準を大幅に向上させた。二十年来、国内総生産(GDP)は五倍近く増え、一人当たりGDPは三・四倍増えた。都市・農村住民の収入は大幅に伸びた。一九七八年から一九九七年までに、農村住民の一人当たり純収入は百三十三・六元から二千九十・一元に増え、物価要素を差し引いて、実質的に三・四倍増え、年平均伸び率は八・一%であった。都市部住民家庭の一人当たり可処分所得は三百四十三・四元から五千百六十・三元に増え、物価要素を差し引いて、実質的に二・一倍増え、年平均伸び率は六・二%であった。都市・農村住民の貯蓄預金残高は二百十億六千万元から四兆六千二百七十九億八千万元へ、一人当たり貯蓄預金額は二十二元から三千七百四十四元へとそれぞれ二百十八・八倍、百六十九・二倍増えた。住民の住宅条件は著しく改善された。都市部住民の一人当たり居住面積は一九七八年の三・六平米から一九九七年の八・八平米に拡大され、一・四倍増えた。農村住民の一人当たり居住面積は八・一平米から二十二・四六平米に拡大され、一・八倍増えた。国内商品は充足し、ほとんどの商品の供給が需要を超えたかまたは供給と需要のバランスがとれている。都市・農村住民の百世帯当たりテレビ保有量は世界平均水準を超えた。交通、通信などの生活施設と各方面の生活環境も一歩一歩改善され、生活の質は大幅に向上した。住民の消費支出に占める食品支出の比率はたえず下がっている。一九九七年、都市部住民の「エンゲル係数」は一九七八年の五九・五%から四六・四%に低下した。農村住民の「エンゲル係数」も五五%に低下した。統計が示しているように、経済水準、物質生活、人の資質、文化生活、生活環境などの面から総合的に推測すれば、一九九七年現在、中国でまずまずの生活に入り始めた人は八六・五二%を占めた。これは、全般的に言って、中国人民の生活水準が衣食満ち足りてなお余りがあり、まずまずの生活に近づきつつあることを物語っている。

 一九九八年、中国政府は引き続き人民の生存権と発展権を擁護、促進するため、大きな努力を払った。この年、中国はまれに見る特大水害に見舞われ、二億余人が災害を被り、直接的な経済損失が二千億元を超えた。水害と闘う中で、中国政府は終始被災地区の人民の生命の安全を第一位に置き、全国人民を動員し、あらゆる措置を講じて、被災者の衣食、清潔な飲用水、住宅、治療を確保し、被災地の生徒が学校で勉強できるようにし、被災地の人民の生活を保証し、その生命と財産の損失を最低限に抑えた。中国政府はまた確実な措置を取って、被災地の復興活動を真剣に手配し、被災後、疫病がまん延しないよう確保し、被災地の住民が安全に冬を過ごし、住宅再建、生活と生産の回復を順調に進められるように保証した。

 一九九八年、アジア金融危機がいっそうまん延し、アジアと中南米の多くの国の経済的利益をひどく損ない、一億人もの人の生存状況を悪化させ、また中国の経済発展にも重大な影響を及ぼした。中国政府は積極的に対策をとって、アジア金融危機の衝撃を成功裏に防ぎ止め、国民経済にわりに速い成長を保たせ、人民生活を引き続き改善した。一九九八年、GDPは前年比七・八%増えた。農村住民の一人当たり純収入は前年比実質的に四・三%伸び、都市の住民の一人当たり可処分所得は実質的に五・八%増えた。それと同時に、中国はまた周辺の多くの国が通貨の大幅に切り下げられるという圧力を受け、重大な経済損失を担う状況の下で、世界に対し高度に責任を負う精神であくまで人民元の切り下げをせず、関係諸国に力の及ぶ限り援助を提供し、世界経済の安定を維持し、危機が各国人民の生存と発展に及ぼすマイナスの影響を緩和、解消するために自らの貢献をして、世界各国から広く賞賛された。

 中国は普遍的に人民の生活水準を高めると同時に、貧困人口の衣食問題の解決をずっと非常に重視している。一九九八年、政府と社会各界の共同の努力の下で、農村の八百万人の貧困人口の衣食問題が解決され、中国農村の貧困人口を一九七八年の二億五千万人から現在の四千二百万人に減らして、世界で貧困人口を最も速く減らす国となった。これは世界にまだ十三億の貧困人口があり、かつ毎年二千五百万人の速さで増えている状況とは鮮やかなコントラストをなしている。

 生活水準の向上と生活環境の改善にともなって、人民の健康水準が大幅に向上した。統計によると、中国の人口死亡率は建国前の三・三%から現在の約〇・六五%に減り、人口の予期寿命は建国前の三十五歳から現在の七十・八三歳に延び、発展途上国の平均指数より十歳長く、中等先進国の水準に達している。

二、公民の政治的権利の保障

 中国は人民の生存権と発展権を促進すると同時に、民主と法制建設を重視し、法によって公民の政治的権利を保障している。

 中国では、すべての権力は人民に属し、人民が国家権力を行使する機関は全国人民代表大会と地方の各級人民代表大会である。各級人民代表大会の代表とその常務委員会の構成人員はみな民主的に選出され、人民に責任を負い、人民の監督を受ける。各級人民代表大会の代表は各民族、各界から来ており、広範性をもっている。一九九八年初めに選出された第九期全国人民代表大会の代表は二千九百七十九人で、そのうち、労働者と農民は一八・九%を占め、インテリは二一・〇八%を占め、幹部は三三・一七%を占め、民主党派と無党派愛国人士は一五・四四%を占め、解放軍は九%を占め、香港特別行政区の代表は一・一七%を占め、帰国華僑は一・二四%を占めている。

 全国人民代表大会は国家の最高権力機関であり、国の重要な政策と方針を決定し、国の立法権を行使する。一九九八年、第九期全国人民代表大会第一回会議は国務院、最高人民法院、最高人民検察院の活動報告を聴取、審議し、国民経済・社会発展計画と財政予算を審査、承認し、国の新しい指導者を選出、決定した。第九期全国人民代表大会とその常務委員会は一年余り以来、二十四の法律および法律問題に関する決定を審議、採択し、特に一九九九年三月に開かれた第九期全国人民代表大会第二回会議は現行憲法を改正し、「法に基づいて国を治め、社会主義法治国家を建設する」ことを憲法に盛り込み、「法に基づいて国を治める」という国を治める基本的方略を憲法の原則に高めた。これは民主と法制建設を強化し、法によって人権を保障することに対し、重要な意義をもっている。立法活動はいっそう民主化された。一九九八年、全国人民代表大会常務委員会は前後して、土地管理法改正案、村民委員会組織法案、契約法案など三つの法案を公布して、広く社会各界の意見を聴取した。全人代常務委の責任者は相次いで多くの法案の制定あるいは改正について、全国各地へ赴いて調査・研究を行い、意見や提案に耳を傾けた。ミj・/p>

 全人代とその常務委は、法律施行状況に対する監督活動を明らかに強化した。一九九三年から九七年まで、第八期全草l民代表大会常務委員会は女性権益保障法、労働法など二十三の法律と法律問題に関する決定の施行状況を検査した。一九九八年、第九期全人代常務委は前後して六つの検査グループをつくって、農業法など六つの法律と法律問題に関する決定の施行状況を検査した。各専門委員会は民族区域自治法など八つの法律の施行状況を検査し、これら法律の貫徹、施行を効果的に促した。

 全人代の代表が国家権力の行使に参与する情熱はさらに高まった。一九九八年の第九期全人代第一回会議の開催期間に、代表は議案を八百三十件提出したが、この数はこれまでの毎回の全人代に提出された議案数のうち、最も多いものである。提出された二千七百八十二件の提案、批判、意見に対し、関係部門は真剣に検討、処理し、代表たちに回答した。一九九九年の第九期全人代第二回会議の開催期間に、代表たちは議案を七百五十九件提出したが、そのうち立法に関するものが六〇%を占め、これまでの毎回の大会に提出された立法議案のうち、件数の最も多いものとなった。これは代表たちの法に基づいて国を治める意識が強くなったことを反映している。全人代常務委はまた人民大衆からの投書、来訪を処理し、一九九八年に人民の投書を六万通以上受け取り、来訪の大衆を延べ一万一千人余りに応対し、関係部門が一部の重要な案件を処理するのを督促し、大衆を助けて一部の実際の困難と問題を解決した。

 中国共産党指導下の多党合作と政治協商制度は、中国の民主政治制度の重要な構成部分である。政治協商会議は民主諸党派、人民団体と無党派愛国人士からなり、幅広い代表性を持っている。第九期全国政治協商会議の委員は全部で二千百九十六人おり、三十四の業界から来た人たちで、そのうち中国共産党党員以外の人は総数の六〇・一%を占め、八の民主党派の委員は二九・七%を占めている。民主諸党派と政治協商会議組織は政治協商、民主監督、参政議政の面で日ましに重要な役割を果たしている。一九九三年から九八年にかけて、中国共産党中央は国の重要な政策と方針、国家指導者の人選および各項の重要な政策決定、法律、法規について、政治協商会議に参加した民主諸党派、人民団体、各界の代表とさまざまな形式で六十二回も協議した。統計によると、現在、全国の各省クラス政府の中で局長、副局長を担任している共産党員以外の人士は二百人近くおり、市クラス政府及び各省直属の庁(局)で処長、副処長を担任している共産党員以外の人士は六千人余りいる。一九九三年から九七年にかけて、全国政治協商会議は国の政治、経済、社会、文化生活面の一部の重要な問題について中国共産党中央と国務院に重要な議案を百件余り提出した。一九九八年、全国政治協商会議の委員は国有企業の一時帰休者の再就職、科学・教育による国家振興、農民の土地使用権保護などの重要な問題について、中国共産党中央と国務院に多くの提案や意見を提出し、また少数民族地区の教育、貧困脱却扶助、国有企業改革、環境保全産業発展などについての調査・研究を五十一回行い、調査レポート四十五部を提出した。これと同時に、全国政治協商会議は提案の処理にいっそう力を入れて、社会の情勢と大衆の意見を積極的に反映している。第九期全国政治協商会議第一回会議以来、民主諸党派、中華全国工商業連合会と関係ある人民団体及び各界の委員は提案を合計三千四十一件提出し、審査を経て立件したものは二千六百六十四件に達し、これらの提案は処理のため、すでにそれぞれ中国共産党中央と国家機関の関係部門および各関係機構に送付された。

 農村の末端における民主政治建設も目覚ましい進展をとげた。各地の農村は村民自治の中で民主的選挙、民主的政策決定、民主的管理、民主的監督を実行している。村民委員会主任、副主任と委員は選挙権のある村民が直接選挙、差額選挙、無記名投票の方法で選出され、その行政面の成績が悪ければ免職することができる。土地請負案から宅地使用に至る村民の利益にかかわる村内のすべての大きな事柄は、村民会議に渡して討論、決定させる。村内の日常事務は、村民会議と村民自治規則、規約を通じて民主的に管理される。村民委員会の活動、村民の利益にかかわる事柄に対し、村民は村民委員会の財務公開を含む村務公開を通じて、民主的に監督を行っている。一九九七年末現在、全国で九十万余りの村民委員会、三百七十八万八千人の村民委員会幹部が選出された。現在、六〇%の農村で村民自治制度が一応確立された。全国農村の村民委員会はたいてい三回ないし四回改選され、選挙参加率は一般に九〇%に達した。村務公開制度は全国のほとんどの村で確立されている。河北、四川、雲南、山西、天津など十一の省と直轄市では、村務公開を実行している村は九〇%以上に達している。一九九八年十一月、全国人民代表大会常務委員会は「村民委員会組織法修正案」を採択して、村民自治制度を完全なものにし、農村の末端における民主建設をいちだんと推進し、人民大衆が直接民主的権利を行使するのを保障するために、力強い法的保障を提供した。

三、人権に対する司法保障

。。一九七九年以来、全国人民代表大会とその常務委員会は三百五十一件の法律と法律問題に関する決定を採択し、国務院は八百余件の行政法規を制定し、地方の人民代表大会とその常務委員会は六千余件の地方的法規を制定して、わりに系統的な法律制度を形成し、社会生活の各分野と公民の各方面の人権に基本的な法的保障を提供した。

 中国は法によって犯罪を懲罰し、公民の生命・財産の安全とその他の各項の人権が侵害されないように保護している。公安と司法機関は法によって、殺人、強奪、強姦、爆破などの重大な暴力犯罪およびその他の刑事犯罪活動を厳しく取り締まっている。一九九八年、全国の裁判所は一審の刑事事件四十八万余件の審理を終え、犯罪者五十三万余人に判決を言い渡した。司法機関は案件を処理する中で、法によって犯罪を追及し、被害者の権利を保護し、同時に法によって被告と犯罪容疑者が法律援助、弁護、回避申請、上訴、控訴、権利侵害に対する告訴、賠償獲得などの権利を保障するように気を配っている。一年来、裁判所は「国家賠償法」を厳格に執行し、国家賠償事件を合計千四百三十一件の審理を終え、法によって公民の合法的権益を保護した。

 中国は法律の厳格な執行を重視し、各段階の司法活動において人権保護を強化している。司法部門の腐敗を懲罰し、司法の公正と当事者の合法的権益を擁護するため、一九九八年、全国の裁判所と検察院は集中的な教育・整頓活動を広く展開した。集中的な教育・整頓活動を通じて、各級司法要員の法によって事を運ぶ自覚性を高め、一部の冤罪案件と誤審事件を是正し、司法要員の法律・規律違反事件を厳粛に取り調べ、処理し、同時に法律を厳格に執行し、文明的に事件を処理する規則・制度と監督・制約メカニズムを確立し、それを健全なものにした。統計によると、集中的な教育・整頓の中で、全国の裁判所は各種事件を合計四百五十六万余件再検査し、判決が確かに誤っていると考える誤審事件を一万二千件発見し、法によって一万一千六百件の判決を改変した。また、法律と規律に違反した裁判官とその他の関係者二千五百十二人を厳粛に処理し、そのうちの二百二十一人の刑事責任を追及した。各級検察機関が各種事件を四十七万七千件再検査し、管轄範囲を超えて立件するなど問題のある事件三千七百七十三件を是正し、誤審事件の当事者百六十一人に刑事賠償を与え、検察機関が直接受理、捜査した事件の犯罪容疑者七百二十九人の期限を超えた拘置の問題を是正し、法律と規律に違反した者は千六百四十一人に対して立件して調査し、そのうちの千五百五十人に対する調査を終え、百十六人の刑事責任を追及した。

 一九九八年、各級裁判所は公開裁判を全面的に推し進め、裁判に対する社会監督と世論監督を強化した。一審事件は法律が審理を公開しないと定めた事件のほか、一律に公開裁判を行い、二審事件も徐々に開廷率を高めた。公開審理するあるいは裁判を公開審理しない案件に対し、一律に公開して判決を言い渡している。開廷して事件を審理する時は、法廷で証拠を挙げ、証拠について質疑し、認証し、弁論して、法廷で判決を言い渡す率を高め、影響のある一部の重大な事件に対しては、現場の生放送と実況中継を行った。現在、全国では十一の高級人民裁判所、五十八の中級人民裁判所が一部分の事件審理状況をテレビで中継放映して、社会の好評を博している。一九九九年三月、最高人民裁判所は「裁判公開制度の厳格な執行に関する若干の規定」を公表し、事件の公開裁判を行う範囲を厳格に規範化させ、裁判活動の全過程を公開することを明確にし、また公開裁判の保障制度を実行に移すことを規定した。

 検察機関は法律執行に対する監督にいっそう力を入れ、訴訟活動において、法律があるのにそれによらず、法律の執行が厳格でなく、司法が公正でないなどの問題を法によって是正している。一九九八年、捜査監督活動の中で、延べ七万一千人を期限を超えて拘置する状況に是正の意見を提出し、捜査活動における違法行為九千九百六十四件に是正の意見を提出した。刑事裁判を監督する活動においては、確かに誤りがあると考える刑事判決、裁定に対し、抗訴を提出したものは三千七百九十一件、裁判活動における違法状況延べ千二百十一件に是正の意見を提出した。刑罰執行を監督する活動においては、関係部門の処理した減刑、仮釈放、刑務所外での暫時執行、病気治療のための保釈など各方面の違法状況延べ九千六百七十二件に是正の意見を提出した。民事裁判、行政訴訟を監督する活動においては、法的効力は発生したが、確かに誤りがあると考える民事、経済、行政の判決と裁定を重点的に是正し、合計二万六千百五十八件の上訴事件を立件して審査し、裁判所に八千四百三十八件の抗訴を提出した。検察機関はまた法によって職務犯罪を取り調べ、処理し、一九九八年は司法要員と行政法律執行要員の収賄、私情にとらわれて悪いことをするなどの犯罪事件五千八百十一件、七千六十七人を立件して捜査し、国家機関の工作要員が不法に拘禁したり、拷問して自白を強要したり、報復し陥れたりするなどの犯罪事件千四百六十七件を取り調べ、処理し、法によって公民の合法的権益を保護した。

 中国の弁護士陣はたえず拡大され、すでに公民の合法的権益を擁護する重要な力となっている。統計によると、全国の弁護士事務所は一九七九年の七十九から一九九八年末の八千六百余りに増え、弁護士は二百十二人から十万余人に増えた。一九九九年三月末現在、七十九の外国弁護士事務所(そのうちの二十七の事務所はアメリカから来た)は中国で事務所を開設し、香港の二十六の弁護士事務所は大陸部で事務所を開設した。一九九三年から一九九七年までに、中国の弁護士は合計二百万件の刑事事件、百二十一万件の民事事件、百五十万件の経済事件、二百六万件の非訴訟法律事務を処理し、二十五万の政府機関と企業の法律顧問を担任した。

 中国では法律援助制度が幅広く実施され、司法メカニズムを完全なものにし、公民の権利を守り、司法の公正を促す面で、ますます重要な役割を果たしている。一九九七年五月、中国法律援助基金会と司法部法律援助センターが設立された。これは中国が法律援助制度の確立と実施の面で実質的な一歩を踏み出したことを示している。現在、全国に各級法律援助機構が五百以上ある。一九九八年、各級法律援助機構は各種の法律援助案件八万余件を処理し、延べ百万余人の公民の法律相談にのって、経済面で困難を抱えている公民が自らの合法的権益を平等に実現することに、重要な貢献をした。

四、公民の経済、社会、文化の権利

 中国は公民の労働と社会保障の権利を重視、保護している。公民の就職権利を保護するため、国はさまざまな職業紹介機構を発展させ、就職サービスと職業指導を提供し、働き口を増やし、職業訓練を行うなどの措置を講じて、勤労者の就職と再就職を促している。ここ二十年は、経済の発展につれて、農業以外の産業に二億五千余万の働き口をつくり、一億三千万人の農業労働力が農業以外の産業に移転した。一九九七年末現在、全国に設立されたさまざまな職業紹介機構は三万四千余カ所に達し、その年に延べ八百七十三万七千人を周旋して就職させた。一九九八年の都市部で登録した失業率は三・一%であった。

 失業者と一時帰休者の再就職問題を解決するため、国は一九九四年から再就職プロジェクトを実施し始め、現在は全国でそれを推し進めている。一九九八年末現在、全国の一時帰休者を抱えている国有企業はいずれも再就職サービス・センターを設立し、国有企業の一時帰休者の九九%は再就職サービス・センターに入り、そのうち、生活費を支給される比率は九三・二%であった。再就職プロジェクトの実施によって、一九九七と一九九八の二年間に国有企業の一時帰休者千四十二万五千人が再就職した。

 国は職業研修訓練の事業を積極的に発展させ、勤労者の職業技能を開発し、勤労者の就職能力を増強させている。一九九七年末現在、全国に技術労働者学校が四千三百九十五校あり、在学生は約百九十三万二千人、同年の卒業生は六十九万九千人に達した。同時に、その他の各種人材百三十七万人を養成、訓練した。就職訓練センターが二千七百カ所あり、労働部門の認可した社会の力でつくった訓練機構は二万余カ所あり、年間に五百余万人を養成、訓練することができる。

 国は、勤労者が労働報酬を取得する権利を保障し、従業員の給与水準は経済発展を踏まえてちくじ向上している。一九九七年、全国従業員の賃金総額は前年比三・六%増の九千四百五億三千万元であった。従業員の年平均賃金は前年比四・二%増の六千四百七十元で、価格要素を差し引いて、実質的に一・一%伸びた。一九九八年上半期に、全国で従業員に支給した賃金は前年同期比百八十七億元増の四千四百六十六億九千万元に達し、実質的に四・四%増えた。全国従業員の平均月給は五百十三元で、前年同期と比べて実質的に六%伸びた。国は最低賃金保障制度を実施し、現在、各省・自治区・直轄市(チベットを除く)はいずれも本地域の最低賃金基準を公表、実施し、勤労者の最低賃金水準を保障している。

 勤労者の安全と健康を保障するため、国は多くの専門法規を制定し、さまざまな労働安全・衛生制度を確立し、健全にし、労働安全と衛生に対する監督・検査を強化した。近年、企業の負傷・死亡事故と職業病の発病率は低下の趨勢を呈し、労働環境の日常検査の合格率は年を追って上昇している。一九九七年の全国企業従業員の負傷・死亡事故と死亡人数は前年同期と比べ、それぞれ一二・五%、九・八%低下し、重大な傷害・死亡事故と死亡人数はそれぞれ一五・六%、一・八%低下した。

 社会保険事業も速やかに発展している。一九九八年末現在、全国で統一的な企業従業員基本養老保険制度が基本的に実行され、ほとんどの省・自治区・直轄市で基本養老保険の省クラス統一拠出が実行されている。全国に基本養老保険に加入した従業員は八千四百余万人、離職休養・定年退職者の養老年金の期日どおり全額支給する比率は九九%に達している。一九九八年末現在、全国で七千九百三十二万人の従業員が失業保険に加入した。一九九七年末現在、三百九十六万四千人の従業員と百十一万五千人の離職休養・定年退職者が医療保険制度の改革に参加し、千百五十五万三千人の企業従業員と二百六十六万八千人の離職休養・定年退職者は重病医療費用の社会統一拠出に参加した。二十六の省・自治区・直轄市は公傷保険費用の社会統一拠出と出産保険費用の社会統一拠出を実行し、この二つの統一拠出に加入した企業従業員はそれぞれ三千五百七万八千人と二千四百八十五万九千人である。

 社会救済と社会福祉事業は着実に発展している。一九九八年末現在、全国の六百市と千二百四十二県で都市部住民最低生活保障制度が確立され、三百三十二万人が国から最低生活保障救済を得ている。全国のさまざまな社会福祉院は合計百六万人収容することができ、現在は八十万人を収容、扶養している。

 公民の教育を受ける権利は一段と保障されている。国は教育への投入を増やし、公民が教育を受けるために、積極的に条件を整えている。一九九七年、全国の教育経費の支出総額は前年と比べて一一・九一%増え、そのうち国の財政的教育経費の支出額は前年と比べて一一・四二%増えた。国の財政的教育経費支出はGDPの二・四九%を占め、前年よりいくらか上昇した。中央と地方各級政府の予算内教育経費は前年と比べて一二・〇三%増えた。一九九八年、全国の三百六十県(市、区)は九年制義務教育の基本的普及と青壮年文盲の基本的一掃の要求に達した。この結果、全国でこの二つの要求に達した県(市、区)は二千二百四十二にのぼり、人口カバー率は一九九七年の六五%から七三%に上昇した。年間に三百二十万人の青壮年を非識字状態から脱却させ、青壮年の非識字率を五・五%に低下させた。一九九七年に全国に小学校が六十二万九千校あり、子供たちが基本的には学校に上がれるようになった。中学校は六万六千校あり、小学校の九四%の卒業生が中学校に進学することができる。高等学校は三万一千校あり、五〇%以上の中学校卒業生が高校の教育を受けることができる。大学と高専は二千余校あり、毎年二百万人の学生を募集することができ、高校卒業生の進学率は四五%であった。一九九七年、全国の大学と高専の在学生総数は六百八万人、そのうち大学院生は十八万人で、それぞれ一九七九年より二・二倍、九・六倍増えた。大学の粗入学率は九・〇七%に上昇し、世界の発展途上国の平均水準を上回った。統計によると、中国の二十五歳とそれ以上の人口のなかで、中等教育を受けた人の比率は四二・五%に達し、アメリカなど先進国の水準に近付いている。

五、女性と児童の合法的権益

 中国女性の国家と社会管理に参与する程度はたえず高くなっている。第九期全国人民代表大会の女性代表は六百五十名おり、代表総数の二一・八二%を占め、前期より〇・八二ポイント上昇した。第九期全国政治協商会議の女性委員は三百四十一名おり、委員総数の一五・五%を占め、前期より一・五四ポイント上昇した。現在、国家指導者を担当している女性は四名おり、女性の正副部長は十八名いる。三十一の省・自治区・直轄市の党と政府の指導グループにはいずれも女性幹部が配備されている。こうして、全国の省クラスの党・政府指導グループの中の女性幹部は四十三人に達し、五年前より四六・四七%増えた。一九九七年末現在、全国の女性幹部総数は、幹部総数の三四・四%を占める千三百八十三万八千人に達し、一九九五年より八%増えた。

 女性の就業人数は増え、就業の比率も高くなった。国際労働機関(ILO)が一九九八年にアメリカ、ロシア、インドなどをはじめとする世界の二十六カ国の就業状況について行った統計によると、中国女性の就業率は五六%に達し、第一位にランクされた。一九九七年、就業者全体に占める女性の比率は四六・五%で、一九九〇年より一・五ポイント上昇した。女性の就業者数は一九九〇年より三千六百余万人増えた。非国有企業には、女性の職員・労働者が五百十三万人おり、一九九〇年より五倍以上も増え、女性の占める比率はもとの三六%から一九九七年の四七%に上昇した。たとえ現在の産業構造調整と企業のメカニズム転換の過程で、女性職員・労働者の一時帰休者がわりに多いという状況の下でも、女性全体の就業率は依然として上昇の勢いを呈している。

 女性の教育を受ける水準は明らかに向上している。推算によると、一九九七年、十五歳以上の女性人口の一人当たり教育を受ける期間は六・四一年で、一九九〇年より一年前後長くなり、同期の男性の伸びより速いものであった。女性の成人非識字率は一九九〇年の三一・九三%から一九九七年の二三・二〇%に下がった。女子と男子の入学率の差は一九九〇年の二・九一ポイントから一九九七年の〇・二一ポイントに下がった。一九九七年末現在、全国に女子大学生が百十八万人余、女子大学院生は五万人余に達し、それぞれ在学生総数の三六%と三〇%を占めた。中学校と小学校の女子生徒の生徒総数に占める比率はそれぞれ一九七八年の四一・五%、四四・九%から一九九七年の四五・五%、四七・六%に上昇した。一九九八年末の統計によると、中国科学院、中国工程院の一千余名のアカデミー会員の中に、女性アカデミー会員が六十二名おり、六%を占め、世界のその他の国の女性アカデミー会員の比率より高いものである。

 女性の健康状況はたえず改善されている。一九九八年、全国に婦女子医療・衛生機構が三千二百七カ所、ベッドが四万二千二床あった。各級の医療・衛生機構は婦女子保健網を逐次設立して健全にし、妊娠初期にカードをつくり、出産前に検査を行い、高齢と危険のある妊産婦を管理し、入院して出産し、出産後の女性の家を訪れて乳児の状況を調べ、育児の指導をするなど一連の妊産婦保健作業を繰り広げ、女性の生育安全を保護している。一九九七年、全国の妊産婦の入院出産率は六三・五%に達し、妊産婦の死亡率は十万人当たり六十三・六人で、一九九〇年より三分の一下がった。女性の平均予期寿命は一九四九年建国前の三六・七歳から一九九七年の七三・二歳に延び、男性より四・五歳長寿で、国連が提出した二〇〇〇年の世界婦人の平均寿命六五歳の目標より八歳も長いものである。

 児童権益は法による保護を受けている。一九九七年、全国に幼稚園が十八万三千カ所、幼稚園(小学校に入る前の学習クラスを含む)に入った児童が二千五百十九万人、幼稚園の粗入学率は四〇%以上に達している。学齢児童の入学率は九八・九%に達し、一九九〇年より一・一ポイント上昇した。一九九八年、希望プロジェクトは二十五万一千八百人の学校へ行けない児童を資金面から援助し、希望小学校を千八百五十五校新築し、被害地区の貧困家庭の五万三千九百七人の児童を資金面から援助した。希望プロジェクトは実行してからの九年間に、内外の寄付金を合わせて十六億千百万元受け取り、学校へ行けない二百九万八千八百人の児童を資金面から援助し、希望小学校七千百十一校の建設を援助した。流動人口の中の学齢児童・少年の入学問題を解決するため、一九九八年、国家教育委員会、公安部は「流動する児童・少年の入学に関する暫定規則」を制定し、流動人口を受け入れる地区の人民政府に、法によって流動する児童・少年の入学のために条件を整え、入学のチャンスを提供し、一定の年限の義務教育を受けるよう保障することを要求した。一九九七年、障害児のために創設した特殊教育学校は千四百四十校に達し、一九九〇年より倍近くも増えた。視覚障害児、聴覚障害児、精神薄弱児の入学率は六%から六四・三%に上昇した。特殊教育学校の在校生数は一九七八年の三万一千人から一九九七年の三十四万一千人に増えた。普通の学校で学んでいる障害児は、三十四万六百人で、一九九〇年の六倍近くに増えた。

 児童の健康水準は著しく向上している。現在、全国に乳児愛護病院が四千七百三十カ所ある。統計によると、一九九七年末現在、世界の二〇〇〇年児童発展二十四項目指標のうち、中国がすでに達成したかあるいはまもなく達成するものは十四項目ある。乳児の死亡率と五歳以下の児童の死亡率はそれぞれ三・三一%、四・二三%であり、乳児の死亡率は二十年前の七・四ポイントから四・〇九ポイント下がり、五歳以下児童の死亡率も三分の一前後下がった。一九九七年、児童の下痢による死亡率は十万人当たり百四十一・七人で、一九九一年より六七・八%下がった。全国に設立したリハビリセンター(ステーション、所)は三千三百七十一カ所あり、十年内に四百十六万人の身体障害者は程度は違うが、健康を回復した。そのうち、九万人の聴覚障害児が話せるようになり、六十万人の小児マヒ後遺症患者は矯正手術を受けて体の機能を改善し、十四万人の精神薄弱児はリハビリ・トレーニングを受けて、認知力と自己管理能力を高めた。国が投資して設立した都市児童福祉院は九十一カ所あり、二万余人の孤児を引き取って育てている。国は計画免疫を通じて脊髄(せきずい)灰白質炎を撲滅した。国民はすべてヨードを加えた塩を食用している。九千万余人の妊婦、二歳以内の乳幼児など特に必要な人びとにヨード入りの丸薬を補給して、身体障害の発生を減らした。

六、少数民族の権利

 中国は各民族の一律平等および少数民族に対する特殊保護の政策を実行している。少数民族の人民は漢民族の人民と同じく憲法と法律に規定されているすべての公民権を平等に享有するだけでなく、法によって少数民族特有のさまざまな権利をも享有している。

 少数民族は、国家事務管理と自民族事務管理に参与する権利を享有している。第九期の全国人民代表大会と全国政治協商会議には五十五の少数民族はいずれも自民族の代表と委員を送り出している。全国総人口の八・九八%を占める少数民族には、全人代代表が代表総数の一四・三七%を占める四百二十八人おり、全国政治協商会議委員が委員総数の一一・七%を占める二百五十七人いる。各少数民族が集中して居住する地方では、民族区域自治が実行されている。一九七八年以来、中国では六十三の民族自治地方が新たに設置され、いまでは、全国に合わせて五つの少数民族自治区、三十の自治州、百二十の自治県(旗)、千二百余りの民族郷がある。全国の五十五の少数民族のうち、四十四の民族はすでに自治地方を設置し、区域自治を実行している人口は少数民族総人口の七五%を占めている。民族区域自治制度は各少数民族の人民に本地区と自民族の事務を管理する自治権を十分に与えている。「民族区域自治法」の規定によると、民族自治地方の人民代表大会常務委員会の主任または副主任は、区域自治を実行する民族の公民が担任し、各自治区主席、自治州州長、自治県県長はみな、区域自治を実行する民族の公民が担任し、自治地方の人民政府のその他の構成員はできるだけ区域自治を実行する民族とその他の少数民族の人を配備するようにしている。現在、全国の少数民族幹部はすでに二百五十万人に達している。一九九八年、チベット族の幹部はチベット自治区幹部総数の七四・九%を占めた。

 国は、少数民族地区の経済と社会発展に対し扶助政策を実行し、資金、技術、人材などの面から支援を与えて、少数民族地区の経済発展と社会進歩を促し、少数民族大衆の生活水準を高めている。統計によると、一九九七年、少数民族地区の国内総生産はすでに一九七八年の三百二十四億元から二十一倍増の七千八十七億元に増え、年平均伸び率は一〇・九%で、全国の平均伸び率より一・一ポイント高いものであった。一人当たり国内総生産は二百四十七元から十五倍増の四千五十三元に増えた。少数民族地区の農民の一人当たり純収入は、一九七八年の百二十元から一九九七年の千四百八十二元へと、十一倍以上増えた。都市部住民の可処分所得は、三百七十五元から四千八百十八元へと、十二倍近く増えた。

 近年、中央政府がチベットに与える財政補助は、毎年のように十二億元を上回った。五〇年代から一九九七年までに、中央政府はチベットに合わせて四百余億元を投入し、大量の物資をチベットに運んだ。一九八四年の全国の九省・直轄市の四十三件のチベット援助プロジェクトに次いで、一九九四年には中央政府と全国各地はまたも六十二件のプロジェクトの建設を無償援助し、総投資額は四十億元に達し、すでに六十件が完工した。これらの援助と支持は、チベット経済の発展と人民生活水準の改善をこの上なく大きく促した。統計によると、ここ五年来、チベット経済は平均一二・九%の率で成長し、二年続いて全国平均水準を超えた。一九九八年、全チベット自治区の農民・牧畜民の一人当たり収入は千百五十元に達し、都市部住民の一人当たり生計費所得は初めて全国平均水準を超えて五千百三十元に達した。都市部の一人当たり居住面積は全国平均水準より五平方米多い十四平方米となり、農村の一人当たり居住面積は二十平方米以上に達し、全国平均水準とほぼ同じである。全自治区の総人口は民主改革前の百余万人から一九九八年の二百四十余万人に増え、平均予期寿命は三十歳延びた。

 少数民族の教育・文化権利は保障されている。一九九七年の少数民族の専任教師数は一九七八年の四十三万三千人から八十三万三千二百人に増え、各級各種学校における少数民族学生・生徒の在校生数は千二十四万八千人から二千九百余万人に増えた。普通大学、高校・中学、小学校の少数民族学生・生徒数の学生・生徒総数に占める比率は、それぞれ六・八%、六・七%、八・九%であった。内蒙古など少数民族が集中して居住する八つの省(自治区)の学齢児童入学率は九七・六%に達している。五十五の少数民族はいずれも自民族の大学生があり、そのうち十数の少数民族の一万人あたり大学生数は全国平均水準を超えた。旧チベットには、近代的と言えるような学校は一校もなく、文盲率は九七%にも達したが、一九九八年現在、全自治区には各級各種学校が四千三百六十五校あり、文盲率は四十七ポイント下がった。新疆ウイグル自治区の青壮年の文盲率は九六%以上で、全国平均水準より二ポイント高いものである。

 中国は、少数民族の伝統的文化と宗教信仰の自由の保護を重視している。中国では、各少数民族は、法によって自民族の言語と文字を使用し、発展させる自由、自民族の風俗と習慣を保持するかまたは改革する自由、宗教信仰の自由を享有している。統計によると、全国に、漢語と少数民族の言語を同時に使って授業する各種の学校が一万余校あり、使用する少数民族の言語は六十余種に達している。チベットでは、小中学校は漢語とチベット語で授業しており、大学と高等・中等専門学校はチベット語学部またはチベット語クラスを開設している。チベット族の優秀な伝統的文化は受け継がれ、発展している。目下、全国に、チベット学の研究機構が五十余あり、研究者は数千人にのぼっている。チベット族の民間文化・芸術遺産は、大規模に、系統的に調査、収集、整理、出版されている。大量のチベット語の古代典籍が整理、保護され、チベット人民出版社は仏教経典、チベット医書、チベット暦法、歴史典籍、人物伝記、民族・民間の文芸書籍などを含む古代の有名な著作を重点的に整理、出版した。チベット図書館だけでも、チベット語の古代典籍を保護するために、十余万冊も収集、整理した。「ゲサル王伝」は民間で伝わっている英雄史詩で、自治区は専門機構を設けてそれを応急的に整理し、これまでに五千余万字を整理し、それを研究する専門書を三十余部出版した。チベットの数多くの貴重な文化財は保護を受け、ポタラ宮の修繕工事が終わったあと、チベット自治区政府は二千六百万元を支出して、カンデン寺を全面的に修繕し、一九九七年十月に完成した。

 少数民族地区の医療衛生条件は著しく改善された。チベットでは、医療・衛生施設が都市と農村にくまなく設けられ、一九九七年末現在、衛生機構は千三百二十四カ所、病院のベッド数は六千二百四十六台で、千人当たり二・五台以上あり、技術専従者は一万九百二十九人に達し、千人当たりに医者が一・八四人いる。寧夏回族自治区には衛生機構が四百七十六カ所あり、千人当たりに医者が五・一五人おり、一人当たり衛生事業費は十九・五一元で、一九五七年よりそれぞれ五一・五九%、二一三・四一%、二九二三・一四%増えた。貧しい山間地帯の医者と薬品不足の状況は徹底的に改められた。

七、人権分野における対外交流と協力

 中国は一貫して人権の普遍性についての国際社会の原則を尊重しており、積極的に国際人権分野の活動に参与し、平等と相互尊重を踏まえて国際社会と人権問題について対話と協力を展開することを主張している。

 一九九八年は国連の「世界人権宣言」発表五十周年にあたる。江沢民主席は一九九八年一月アナン国連事務総長に書簡をおくり、中国政府は国際社会がこの綱領的文書を記念し、人権分野の活動を回顧し、総括し、未来を展望し、企画することを完全に支持すると表明した。十二月十日、江沢民主席は中国人権研究会にメッセージを送り、同研究会が「世界人権宣言」発表五十周年記念会を開催することを祝い、「世界人権宣言」の地位と役割を高く評価し、中国が国際社会とともに公正かつ合理的で平和な繁栄した世界をつくり上げるために貢献をしたいと強調した。十月、中国は「二十一世紀に向けての世界人権」をテーマとして、第一回国際シンポジウムを開き、世界五大州、二十六カ国の百人近くの専門家と学者を参会するよう招請し、彼らとともに「世界人権宣言」発表五十周年以来の国際人権の実践の経験を総括し、当面国際人権分野が直面しているチャンスと挑戦を検討し、世界人権の世紀にまたがる発展の見通しを探究した。銭其しん国務院副総理は会議に出席して講演を行い、世界人権促進についての中国政府の原則的立場を説明した。「世界人権宣言」発表五十周年記念活動の一環として、中国の学術界はその他の一連のシンポジウムを開き、十二月に中央人民放送局で人権についての一連の特別番組を放送し、人権知識の普及教育を繰り広げた。

 中国政府は従来から人権促進面における国際人権条約の積極的な役割を重視しており、これまで十七の国際人権条約に加入し、さまざまな措置をとって条約の義務を真剣に履行している。これを踏まえて、中国政府はそれぞれ一九九七年十月と一九九八年十月に「経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約」と「市民的および政治的権利に関する国際規約」に調印した。現在、中国は憲法と法律の規定に基づいて規約を審議している。「中英共同声明」と「香港特別行政区基本法」の関係規定によると、前述の二つの人権規約の香港に適用する関係規定は引き続き有効であり、香港特別行政区の法律を通して施行される。一九九七年十一月、中国政府は関係規約機構と国際社会によりよく香港の人権状況を知ってもらうため、香港特別行政区に代わって国連に「経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約」と「公民的および政治的権利に関する国際規約」の執行状況についてのレポートを提出することを決定した。

 中国は人権分野で、国連と積極的に協力を行っている。中国政府は一九九八年九月、ロビンソン国連人権高等弁務官を中国訪問に招請し、双方は人権問題について広範囲に交流を行い、「技術協力プロジェクトの協力意向覚書」に調印した。一九九九年はまた国連人権高等弁務官事務局の専門家グループを訪中に招請した。同専門家グループは中国政府の関係部門、非政府組織、関係地方政府部門と人権分野の諮問サービスと技術協力の問題について友好的な交流と広範囲の討論を行った。ここ数年、中国政府はまた前後して国連宗教非容認問題レポーター、国連任意拘留問題活動グループを訪中に招請した。最近、中国政府は国連酷刑問題レポーターを訪中に招請する計画である。

 中国は、人権問題の上で一貫して対話を主張し、対抗に反対している。長年、中国は世界の多くの国と人権問題について対話と協力を行った。中国の指導者は外国の国家元首、政府首脳、関係者と会談を行うとき、人権問題について広範囲の討論を行った。一九九七年、江沢民主席がアメリカを成功裏に訪問したとき、双方は調印した「中米共同声明」の中に、中米間の建設的戦略パートナーシップの構築にともに力を入れて取り組むことを決定した。双方は、人権問題の上で重大な食い違いがあることを認めながらも、平等と相互尊重の精神にのっとり、政府、非政府間の対話を通じて討論を繰り広げることに同意した。一九九八年、クリントン大統領が訪中した際、江沢民主席と人権問題について率直な対話を行い、双方は前述の共通の認識を改めて明らかにした。一九九八年、欧州連合(EU)とアメリカは前後して第五十四回国連総会への対中国人権非難決議案提出を放棄する決定を行い、中国と関係諸国との対話と協力を促した。その後、中国はイギリス、フランス、オーストラリア、カナダ、ノルウェー、スウェーデン、ブラジル、日本、アメリカ、EUなどの国や組織と人権問題について政府、非政府間の対話を行い、二国間または多国間の一連のシンポジウムを開いて、広範囲の交流と協力を展開し、相互理解を増進し、積極的な成果をあげた。

 中国にも世界のその他の国と同じく、人権分野に解決する必要のある問題が少なからず存在している。中国政府は世界各国の人権促進面の有益な経験を参考にし、これまで通りに中国人権事業の発展促進に力を入れ、同時に国際対話と協力に積極的に参与し、国際人権事業の健全な発展を促進することを望んでいる。

 

 

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