家事のオートメ化、社会化


 千百年来、中国の婦人たちはきつい家事に縛られてきて、家庭では洗濯、炊事、子供の世話などの役割を演じていた。

 しかし、新中国成立後、国が「家事労働の社会化」という目標を提出したため、婦人たちは次々と家庭を出て社会に進出し、就業率が絶えず向上した。ところが、その当時、機械化のレベルが低かったので、五〇年代から六〇年代頃までは、家事の強度と量が依然として大きく、婦人たちの余暇はほとんどそれに奪われてしまっていた。「退勤後は出勤よりも疲れる」と人々はよく口にしていた。

 経済の発展につれて、いろいろな家電製品が登場し、「労働サービス公司」という市民の家庭の需要を満たすための機構も次々とでき、家事は次第に社会化するようになった。今では家事の負担はますます軽減し、家事を体を鍛える方法の一つとしている人もいるくらいである。

 ある研究院の定年退職者である劉翠珍さんは、自分が体験してきた家事労働の変化を次のように感慨深く振り返るのだった。

 わたしは一九五七年に上海から北京に引っ越してきた。上海にいた時、毎朝起きてからしなければならないのはストーブをたくことであった。その時は練炭がなかったので、毎朝ストーブをたく必要があるのだった。すべての家でこのようにやっていたので、朝の住宅街はむせて咳き込むほど煙が漂っていた。また、毎朝四、五時ごろ移動式便器を洗うのが当時の上海の人たちの習慣で、庭から聞こえてくる便器洗いの音が一日の始まりを意味するものとなった。

 その時は今のような核家族が少なく、ほとんど三世代が同居していたので、洗濯、炊事、子供の世話、裁縫などの家事がたくさんあった。給料も低かったし、家政婦を雇う余裕など全くなくて、すべての家事は自分でしなければならなかった。

 毎日仕事が終って家に帰ると、まず台所で二時間ほど食事の用意をして、食事の後はまたたくさんの家事をしなければいけず、日曜日も子供をつれて公園に遊びに行く時間さえほとんどなく、洗濯だけで半日ぐらいかかるのだった。洗濯用具は洗濯機ではなく、大きな木製のたらいと洗濯板であった。同じ庭をはさんで住む隣近所の主婦たちは、洗濯をしながら世間話をするのが唯一のストレス解消の時間であった。きつい家事によって、われわれの世代は腰痛病にかかっている人が多い。

 六〇年代になって、わが家はミシンを買った。これは当時では大変なことで、近所の人たちにうらやましがられ、時々使わせ下さい、と頼みに来る人もいた。

 七〇年代末にはまた半自動式洗濯機を買い、大変助かった。厚着、シーツなどの洗濯の悩みから解放された。

 改革・開放実施後の八〇年代に入ってから、国民の生活はますます豊かになり、便利な家電製品も次々と現れたが、わたしにとって電気炊飯器が最もお気に入りのものであった。米と水を中に入れて、スイッチのボタンを押すだけでOK、その間に野菜を洗ったり、おかずを作ったりして、食事の用意の時間を大いに短縮することができた。

 電気冷蔵庫も毎日野菜を買う面倒を省き、野菜を保存することができるので、毎日新鮮な野菜を食べるようになった。そのほか、夏には自家製の冷たい飲み物を楽しめる。

 今ではガスがストーブに取って代わり、石炭を買ったり、ストーブをたいたりするなどで悩むことはなくなった。

 九〇年代の今日、電子レンジ、電子オーブン、電動食品加工機、消毒ケースを買い、洗濯機も全自動洗濯機に変えた。

 労働サービス公司、団地コミュニティーの出現によって生活は便利になった。自分の力が及ばない家事があれば、電話一本で手伝ってくれる人が来てくれるから便利である。

 わたしは九七年に急病にかかり、コミュニティー・サービス公司の仲介によって家政婦に面倒を見てもらった。病気がかなりよくなってからパート・タイムーの家政婦に切り換えた。

 現在、すっかり家事から解放されて悠々自適の老後生活を送っている。

家事労働のオートメ化、社会化の過程

 家電製品は八〇年代から、一般の中国の人たちの生活に入るようになった。例えば、それ以前の一九七八年には洗濯機の年産量はわずか四百台だったが、一九八八年になると千四十六万八千台に激増した。電気炊飯器などの電気炊事用具の年産量も一九七八年の三万六千四百台から一九八八年の六百四万九千七百台に増えた。家事労働のオートメ化の程度が大いに向上した。

 夫婦共稼ぎの家庭に代わって年寄りや子どもの世話をしてくれる北京市三・八サービス公司が一九八四年に設立され、全国から家政婦を雇った。それ以来、北京市の家政婦市場もだんだん盛んになり、家政婦が都市に来て働くことは一部の農村が豊かになるルートにさえなった。安徽省無為県赫店郷出身の家政婦が毎年古里へ持ち帰る収入は約二十万元に達することが八〇年代のある調査で分かった。

 家事労働の社会化は八〇年代から始まった。北京の利康転宅サービス公司は最初の専門サービス公司である。その出現以後、家庭サービス業は速やかに発展している。

 家事サービス業界で、人気があるのはパート・タイマー市場である。洗濯から、食事の用意、掃除、子供やお年よりの世話までいずれも世話をしてもらえることになっている。

 そのほかにも、人々のためにサービスを提供している専門の会社はたくさんある。例えば、クリーニング店、野菜加工工場、半製品食品加工工場などがそれである。日常生活のためにサービスを提供する市場は広い範囲に及ぶもので、展望も明るい。その潜在力は北京だけで約十六億七千万元に達することが北京市街区七百二十世帯に対する調査で分かった。

 

 

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