世界にはばたく中国の武術


 鄭州国際少林武術祭が九月一日から五日まで河南省鄭州市で催され、二十の国・地域の四十五の武術代表団、四百五十九名の選手がこれに参加した。今回は一九九一年開催以来の六回目で、前三回は年一回、後は二年一回であった。開催期間には、多くの内外武術愛好者が鄭州に集まり、競技に参加し、技芸を磨き合い、ともに進歩をめざした。

 南アフリカ選手のジュレーさんは「武術の習練によって人格を鍛え、立派な人間になることができるのです」と語り、武術を習練して一年にしかならないが、男子長拳套路(動作)競技で銀メダルを獲得した。北京武術院院長、今大会仲裁委員会主任の呉彬氏によると、武術習練の基本的目的は健康を保ち、身を守ることで、さらに重要なのは道徳を尊ぶことである。

 五千年の歴史を持つ中国武術は中国のさまざまな伝統的文化を内包し、中華民族の自ら努力して向上をめざし、何事も恐れず、義侠心を尊ぶ民族の精神を現している。武術は中国の言語ばかりでなく、中国の古代哲学、美学、倫理学、心理学、社会学、兵法学、漢方医学などをも世界へ伝えている。外国の多くの武術選手はみな中国の事情に通じた人たちである。

 ガボン選手のベンチャさんは外国選手の中で唯一六回も少林武術祭に参加した人で、「私は少林武術祭を離れることはできません、武術祭にこのベンチャを欠くこともできません」と言った。ベンチャさんはガボンで中国武術の普及に努め、映画やビデオを通じて中国武術の護身、養生、保健のうえでの長所を紹介し、ガボンの大統領とスポーツ担当官の前で武術を実演し、五年前にガボンに最初の武術館を設立した。

 近年来、一部の影響力のある武術コーチ、選手が外国へ行って中国武術の普及に力を注ぎ、アメリカ、イタリア、南アフリカ、フィリピンなどの国の武術責任者やコーチは皆中国系の人たちである。中国で武術を学んでいる外国の人たちと国外で武術を教えている中国人は共同で中国の伝統武術の世界での伝播を促進している。

 徐才中華全国体育総会顧問、アジア武術連合会名誉主席の話では、一つの国あるいは民族の優れた文化遺産は全人類に属するもので、中国で生まれた武術もそうであり、まさにシェークスピアの作品が全人類に属するようなものである。武術を発展させ、伝播するのは伝統武術を世界へ広める以外に、武術競技をできるだけ早くオリンピック種目の中に組み入れ、世界のために今一つの競技種目を増やすことである。

 早くも八〇年代に、中国は「中華武術を世界に広め、オリンピック進出を目指そう」というスローガンを打ち出した。一九九〇年十月三日、国際武術連合会が正式に発足した。現在、この協会の会員国および地域は七十七となり、大陸にまたがる機構も設立し、それによって武術をオリンピックの競技種目に組み入れる資格を勝ち取った。一九九八年十一月二日、国際武術連合会は北京で国際オリンピック委員会に同機構加入申請書を手渡した。これは中国武術がオリンピックに進出する途上で重要な一歩を踏み出したことを示している。

 武術祭に国際性をもたせるため、前回から、アジア武術連合会が定めた套路の競技を設け、今回は少林拳とアジア武術連合会の定めた七つの套路を留保するほか、自由套路の競技を増やし、競技の競争性と吸引力を高めるばかりでなく、より国際化、規範化、科学化させることになった。これは中国武術がオリンピックに進出するために払った努力である。

 武術が最終的にオリンピックに進出するには、まだたくさんのなすべき事がある。まず最初に武術競技の制度と競技のルールを充実させ、国際慣用の競技方法を参考にし、武術の内容から形式まで、ルールから制度まで現代オリンピックとリンクさせるようにする。同時に、国際武術連合会は今年六月十八日に国際オリンピック委員会に認知され、二年の期間を経て正式に承認されることになる。もし、中国が二〇〇八年オリンピック開催申請に成功すれば、武術のオリンピック進出にとって絶好のチャンスをもたらすことになろう。

 

 

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