「喫茶・泉」探訪レポート
reported by 土日旅人・コバイア(99.4.25)
99年4/18、4/25放送のサイキックで話題になった、京橋のとんでも喫茶店・泉。僕(コバイア)と土日旅人は幸いにも?地元が京橋である。ということで、早速潜入取材を敢行することになった。大阪書店の近くと言われた時点で、「ああ、あの辺か」と大体場所の見当がつき、迷いもせずに、ものの10秒ほどで場所を探し当てた。
建物の2階の壁から突き出た細長い看板は紫色。そこには、番組でレポートされていたように「音楽喫茶鍋物定食・泉」と書かれている。書かれているだけならいいが、その「泉」のレタリングが、まるで岡本太郎がデザインしたかのような、太陽の塔のようにまがりくねり、三日月のような図形が乱用された怪しいロゴなのである。見るからに怪しいが、創業当時はおそらくモダンなイメージを与えていたのであろう。
店の入り口の両脇にはメニューのサンプル展示用のガラスケースが置かれている。向かって左側のケースには、コーヒーやジュースなどの飲み物が中心で、普通の喫茶店と変わらないと言っていい。一つひっかかるところがあるとすれば、そうしたソフトドリンクに混じって、何故か一つだけカクテル(バイオレットフィズ)が展示されているところだ。しかし、段をおって見下ろしていく内に、ぜんざいも発見した。甘味も堪能できる!
この時点で既に何かおかしいというものだが、驚愕は右側のガラスケースである。まず目に飛び込んでくるのは真っ赤な生肉のサンプル。そう、噂のしゃぶしゃぶセットである。他にもてっちり、刺身盛り合わせ、丼もの各種、そして最下段には定食(中央には「泉定食」が!)が並べられている。そしてケースの隅で異彩を放っているのは鮭茶漬である。このケースを見て「ここは喫茶店だな」と思うのはおそらく津田さんとそのフォロワーのべ800人くらいに違いない。
店の入り口は前面ガラスばりで、自動ドアになっている。僕達は店に入る前に懸命に中を覗こうとしたが、ドアの丁度視線のあたりにカラフルな模様がつけられている上、ガラスに向かい側のパチンコ屋の派手な照明が反射して、うまく覗くことができない。しかたなしに、僕達は意を決して中原名人のように「今から突入しまーす」することにした。
若干のきしみ音をたてながらドアが開いた。目の前に広がったのは、一瞬の闇。よくよく見てみると、暗い店内には、間隔を広くとってテーブルが並べられており、学生風の先客が一人、奥のテーブルでコーヒーをすすっていた。すると、店に入ってきた僕達に気づいた店のおばさんが奥から出てきた。
とりあえず、店の中で最も明るい、入り口近く、レジ横の席につき、僕はアイスコーヒーを、土日旅人はクリームソーダを注文した。その際に、普通の喫茶店と同じくお冷やとおしぼりが出されたが、僕のおしぼりを包む袋には大きな穴が空いていた。
飲み物を待つ間、二人で店内を見まわす。竹内さんの弁では「テーブルの大きさとか種類がまちまちでとりとめなく配置されていて、懐かしのインベーダーゲームもある」とのことだったが、薄暗い空間には、低く、ガラスばりのテーブルが整然と並べられており、見渡した限り、僕達の座った隣のテーブルを除いて、全て同じものであった。その唯一違う種類のテーブルこそ、ゲームの筐体であった。が、電源は入っておらず、テーブル上にはられたゲーム説明もインベーダーではなく、聞いたこともないタイトルだった。メモをとってくればよかったと今更後悔しているが、そこにはファンシーな女の子のイラストが描かれてあった。
店に入って、すぐ右手には、噂の「幻の2階」へ続く螺旋階段(それこそ鹿賀丈史がピーマンかじりながら降りてきそうな)があり、誰もが「一体この上には何があるのだろう」という疑問を抱いてしまうに違いない。しかも、薄暗い1階に比べて、2階はやけに明るいのである。
そして、店内には看板にある「音楽喫茶」のとおり、ジャズともイージーリスニングともつかない音楽が比較的大き目の音量でかかっていた。後でそれは有線だということがわかったが、その音楽を誰も聴いていないのがポイントだろう。
などと色々物色している内に注文がきた。クリームソーダ、アイスコーヒーともにいたってノーマル。そして、その瞬間を逃さず、土日旅人がおばさんに「あの、メニューか何かあったらいただけますか」とメニューを求めた。ナイス!
そして、おばさんの手から渡されたメニューは、これも竹内さんの弁ほど大きなものではなく、ハードカバー見開きの普通のサイズのものであった。しかし、おかしいのは、そのメニューにはさまれた、「お献立」と題されたもう一つのメニューである。
普通の喫茶店では出されない異形のメニューの数々がここに記されていた。このメニューを土日旅人が必死に書き写してきたので、そのままのせることにする。ご堪能ください!
「泉メニュー」
かば焼き定食(1400円)
おつくり定食(1400円)
すき鍋定食(1400円)
なべ焼き定食(1000円)
もも焼き定食(価格記載なし)
泉定食(1600円)
よせ鍋定食(1000円)
鍋焼うどん(1600円)
丼(吸物付)
うなぎ丼(1000円)
かつ丼(1000円)
他人丼(1000円)
肉丼(1000円)
親子丼(1000円)
木の葉丼(1000円)
赤出し(200円)
吸物(200円)
鍋物
てっちり(時価)
かにちり(価格記載なし)
すき焼き(2200円)
しゃぶしゃぶ(2200円)
よせ鍋(2200円)
うどんすき(2200円)
一品料理
造り合わせ(1000円)
まぐろ造り(900円)
はまち造り(900円)
いか造り(価格記載なし)
たこ造り(800円)
かば焼き(700円)
その他
サケ茶漬(600円)
のり茶漬(600円)
おぞうに(600円)
ぜんざい(600円)
おかき(300円)
いずみシャーベット(600円)
バイオレットフィズ(500円)
他、酒類各種、普通の喫茶店にありそうなメニュー各種が揃っていた。
僕達は、メニューを眺めて、その奇怪さや、不釣合いな価格にいちいちつっこみを入れながら談笑していたが、決して注文する気にはなれなかった。
土日旅人のバイトの時間もあって、それほど長居はできなかったが、店内にいた30分ほどの間に、店の主人らしきおじさんが入ってきて、おばさんと何やら言葉をかわした後、今度はおばさんが外へ出ていった。10分後、何やらビニール袋をかかえたおばさんが帰ってきて、再びおじさんが外へ。せわしないことこの上なし。
しばらくして先客の学生風の兄ちゃん(サイキッカーに見えなくもない)が出て行き、その日最初の伝票がレジ横の串に刺された。またしばらくして、僕達に続く第3の客が入店。新聞を脇に抱えたおじさんである。店の馴染みらしく、おばさんと気軽に会話をかわしていたが、さすがに「今日は勝ったで!すき焼き頼むわ!」とは言わなかった。
といった所で僕達は店を出た。帰り際、土日旅人がレジ横に置いてあるターンテーブルを指摘して、おばさんに、「頼んだら何かレコードかけてくれるんですか?」とまたもや大胆な発言。それに対しておばさんは「かけるけどええレコードないで」とそっけなく答えた。レコードはレジの裏側にあるらしく、今は埃をかぶっているようだったが、僕の立ち位置からは、現在使用中の有線のデッキが見えただけだった。あまりのそっけない答えに土日旅人も会話の続行を断念し、店へ出たのであった。
以上が、先日の喫茶・泉探訪の顛末です。この「京橋探訪シリーズ」、カツ一、山内書店、居酒屋とよ、キリンドなども行う予定なので今後もご期待ください。また、京橋ツアーも企画中です。