◆展示パネル
豆球・スイッチの画像提供:マスカットさん
「電子マスカット」
今回製作した展示パネルは、上に示すように構造はかなり単純です。
まあ何分規模が大きいので回路図を考えるとうんざりしてしまいますが、
別に点滅したりするわけではないので
電子回路的なところは点灯する豆電球の選択回路ぐらいです。
そこで今回は豆電球の選択回路に的を絞って説明したいと思います。
まず、今回製作した18個点灯の回路だと説明がかなり冗長になるので、
極私的展示パネル
| 格好いい | カワイイ | 人気者 | 実用的 |
2SC1815 | ○ | × | × | ○ |
加護亜依 | × | ○ | ○ | × |
F-15イーグル | ○ | × | ○ | ○ |
というパネルを製作する場合を考えます。規模が小さくなっても原理は全く変わりません。
とりあえず、ここでは表の縦方向をスイッチ、横方向を豆電球とします。
つまり、加護亜依スイッチを押すとカワイイ電球と人気者電球が点灯すると言った具合です。
▼選択回路を入れない場合
豆電球選択を行わずにスイッチから直接結線する場合を考えます。
回路は上のようになります。(電源は省略してあります)
何となく見た感じうまくいきそうですが、よくよく考えてみるとうまくいかないことが分かります。
(よくよく考えてみてください)
分かりましたでしょうか?点かないはずの電球に電流が回り込んできてしまうことが分かると思います。
この回路を使うと、上図の?印のように実用的な加護亜依やカワイイF-15戦闘機がでてきてえらいことになってしまいます。(^−^;
そこで豆電球の選択回路が必要になってきます。
この選択回路の任務は、逆流してくる電流を食い止めて、豆電球に期待通りの点灯をさせることです。
ではどのようにこのような役割を持たせるのか?博物館などでは実際に動いているのですから
そんなことは不可能、等というわけがありません。
実はこの機能を実現させるには、中学校の技術の教科書にも登場してくる
「ダイオード」という半導体素子を使えばよいのです。
ダイオードの基本的な動作は下図のような物です。
ここで注意しなければならないのは、電流がダイオードを通ると少し電力を食われてしまうため
電圧が少し下がってしまうことです。
このことを順電圧降下といいます。今回使用した10E1(日本インター)の場合、およそ0.7〜1.0Vです。
そのため、電源は順電圧分の余分を持たせた物を使う必要があります。
▼選択回路を入れてみた場合
ではダイオードを入れてみましょう。こんな感じの回路になります。
実は入れなくても良いところもあるのですが、それを考えると回路製作が面倒くさいので
スイッチから豆電球へ向かって行く全ての線にダイオードを噛ませています。
この回路で、さっきと同じように加護亜依スイッチを導通させると……
というように点灯します。これで冒頭の表で計画したような点灯ができました!
他のスイッチについても同様ですので、上の画像を印刷してなぞってみると
ダイオードの効果を実感できるかと思います。
このようなダイオード回路のことをダイオードマトリックスというそうです。
この展示パネル以外の応用例としては、押されているスイッチの判定などがあり、
今回の例も含めて電流が回り込むと困る場合に時々使われるようです。
▼実際の製作
今回製作した物は、学校の近くを流れている川のどの地点にどのような水生昆虫が棲んでいるのか、という物でした。
水生昆虫は綺麗な水を好む物と比較的汚れた水を好む物とがかなりはっきりと分かれているため、
このパネルを点けてみればどの辺が綺麗でどの辺が汚れているのかが分かります。
製作には、次のような部品を使いました。
豆電球 | 2.5V0.3Aのスポット球(トウザイ) |
ダイオード | 10E1(日本インター) |
スイッチ | 2回路6Pトグル(ミヤマ) |
電源 | 5V3Aスイッチング電源(秋月電子通商) |
ケース | 木製自作(洛星生物部) |
今回は豆電球(0.3A)を18個同時点灯させる必要があったので、電源を5V3A2個並列の6Aにして対応しました。
また、電源電圧が5V、順電圧が0.7Vですのでそのまま直結すると豆電球が切れてしまうため、
4.1Ω(8.2Ω//8.2Ω 注)の抵抗を噛ませて調整しています。ちょっと電流超過気味ですが
期間も3日間ですしその方が明るいのでそのまま行きました。
注: ○○Ω//○○Ω は、○○Ωと○○Ωの抵抗の並列つなぎという意味です。
ちょこっと写真を載せておきます。
ただ、豆電球部分の写真なんかはただ線がごちゃごちゃしてるだけで面白くないと思うので、今回のテーマのダイオードマトリックス部分の写真だけ載せておきます。
基板表面からみて右側から入力され、上側から豆電球へ出力されていきます。
また、二回路開閉のトグルスイッチを使っているので、一方を豆電球、もう一方を地形模型上の位置表示のために取り付けてある
発光ダイオードの点灯用として使っています。(右写真は左写真赤円部の拡大)
▼製作の感想
期待通りの動作をしたときは何とも言えない喜びでした。「よぉぅしゃぁっ!」っていう感じでしょうか。
お客さんの受けも結構良かったようです。来年以降も後輩達が作り続けていってくれればなと思っています。
展示パネルへ
トップページへ戻る
ご意見・ご感想等は……ntsukasa@livedoor.comまで。