裁判レポート・控訴審第5回(掲 載:2003年12月27日)
 
※このレポートはnoise氏(dl maniax)の協力を得て作成しています。
なお、録音や裁判所の公式な速記等に基づいているものではな い為、
実際の法廷内のやりとりとは若干、異なる場合があります。
サーチ:

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本文中の敬称は一部省略しています。
 
  • 12月9日(木)15時30分開廷。
  • 傍聴者は前回 とほぼ同数だが、大半は関係者だった模様。
 ――双方より準備書面・証拠資料提出。
裁判官「そ れでは、今回は被控訴人側が作成したDVDを基に検証を実施しますが、控訴人側から何か準備書面に付け加えることはございますか」
任天堂側代理人 (以下「任天堂」)「はい。前回、我々は検証を通じて『個々の要素の創造性』も『全体の配列――ユニットを移動させて、コマンドで “跳ね橋の鍵”を選択して跳ね橋を降ろす――と言う組み合わせ』も我々の著作物であると言うことを立証した訳ですが、例えば著名な文学作品の一文として『トンネルを抜けると、そこは雪国 だった』と言うものがあります。この文章の場合『トンネル(起点)』『抜け る(行動)』『雪国(終点)』の3要素が『トンネル→抜ける→雪国』の順に配列されているこの配列こそがこの文章を川端康成の著作物たらしめ ているものと言えるのです」
裁判官「はぁ」
eb側代理人(以下「eb」)「そ れでは、検証に入らせていただきますが今回、我々は控訴人側のように個々のパーツをピッ クアップして『盗作だ』『いや違う』と言う水掛け論がゲームと言うものの本質を見失わせることには大いに問題があると考え、収録に際して『実際にゲームを プレイしている流れ』を重視しています」
裁判官「そ うですか。それでは始めてください」
eb「我々が今回の検証を 通じて言いたいのは、ゲームと言うものは(プログラム・シナリオ・映像・音楽・インターフェースと言った要素の集合体と言う側面を持つ)複合著作物であっ て、控訴人側のように個々の要素を切り出して『似てる』『似てない』と言ってもしょうがない、と言うことです」

 検証開始。TSの第1章開始から第2章終了までを省略せずそのまま流す。途中で斧 戦士・バーツが登場するとどこからか失笑が漏れる。

eb「ゲー ムはプレイヤーの思考によってほぼ無限大のパターンで組み立てられるものであり、控訴人が言うような個々の部分をあげつらって『似てる』『似てない』と言 うのはゲームの本質を正しく理解していないものと言わざるを得ません。特に、ストーリー部分に関してはTSとFEは全く別 物であると言うことは、声を大にして言いたい。『踊り子に再行動させ る』のも『村に立ち寄ってアイテムをもらう』のも『闘技場で賞金を稼ぐ』のもプレイヤーの自由意志に委ねられている、それがゲームと言うものの本質な のです」
裁判官「つ まり、ストーリー部分が個々のゲームに取って肝要であると言いたい訳ですか」
eb「そ う言うことです――ゲームの根幹を為すのはストーリーだ!
ストーリーが無いのはゲームじゃないんだ!

 
 
(eb側の余りの極論ぶりに、審尋室内が一瞬、凍り付く)

eb「な お、今回提出した鑑定書は土井先生(土井輝生・元札幌大学教授だと思われる)に実際にゲームをプレイしていただき、その結果を基に執筆していただきまし た」
裁判官「続 いてもう一点、被控訴人側の検証ですが――これは『ラングリッサーI&II』(日本コンピュータシステム・1997年)の場面ですね」

 『ラングリッサーI&II』のフィールド場面再生。「カーソルがユニットを掴んだ際に、通常の待機中と異なる動作をする」アクションがFE及び TSに特有ではないことを説明

任天堂「(ユ ニット上に移動したカーソルを目で追いながら)……これ、動くんですか?
eb動きますよ

 同じく『ラングリッサーI&II』でユニットを戦闘させ、フィールド→戦闘の画面切り替えがFE及びTSのそれとほとんど変わりが無いことを説 明(なお、ラングリッサーの戦闘システム自体はFE及びTSのような「1対1」でなく、ユニットごとに複数人の『傭兵』を引き連れる方式)

 -検証終了-

裁判官「被控訴人側の主張に ついては了解しました。それで、改めて控訴人側に確認しますが『個々の要素』が似ているのが問題なのか、それとも『全体の配列』が似ていることが問題なの か。もしくは、その両方について『個々の要素』が似ていることにより『全体の配列』にそれがフィードバックしている、と言うことでよろしいですか」
任天堂「えぇ、 ですから先ほども申し上げた通り『トンネルを抜けると、そこは雪国だった』と言う一文を例に挙げた場合……(発言を遮られる)」
eb「そう何度も繰り返さ ないでくださいませんか」
裁判官「……雪国の例えはも ういいです。でしたら、次回までに控訴人が被控訴人を言い負かせる自信があると言う『剽窃』ないし『パクリ』の実例を10でも100でも挙げてください。 それで、次回ですが双方に行ってい ただいた検証を総括すると言う意味合いもありますので実際に両方のゲームをやってみようと思います。それぞれ、ハードとソフトをこの審尋室 へ持参していただいて――控訴人側は、5作ある訳ですが『トラキア』だけで構いませんかね」
任天堂「はい」
裁判官「それでは次回は来年 の1月27日に、時刻は15時から。場所は今回と同じこの審尋室で。それでは、本日はこれで閉廷」
 

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