原子番号が同じで質量数だけが異なる原子のことを「同位体」という。 同位体は化学的な性質は同じであるが、放射能の有無など性質が異なるため、「核種」とよぶこともある。 本稿では「核種」を用いる。
現在のところ、原子番号が110番までの原子には名前がついているが、天然に存在する元素では92番のウランが最大である。 原子番号が93以上の元素のことを「超ウラン元素」という。 超ウラン元素の全部と、テクネチウム(43番)、プロメチウム(61番)は天然に存在せず、人工的に作られた不安定元素である。 天然に存在する元素でも、原子番号84番以降の原子は不安定であり、時間がたつと一定の割合で崩壊する。 また、原子番号が84未満の原子の中にも不安定な核種が存在する。
陽子も中性子も少ない、小さな原子では、中性子数は陽子数と同程度 (1:1) であるが、原子番号が大きくなるにしたがって中性子の割合が増し、大きな原子では陽子と中性子の比が 2:3 ほどになる。 大まかにいって陽子数と中性子数がこの比率になっている核種は安定であるが、この比率からはずれた核種は不安定である。 不安定な核種は α線、β線、γ線 といった放射線を放出して安定な核種に変化する。 これを「放射性壊変」あるいは「壊変」とよぶ。 また「崩壊」ということもある。 大きすぎる原子核は不安定であり、壊変を繰り返して小さな原子核に変わろうとする。 また大きな核種は「原子核分裂」をして一気に小さな原子核に変化することもある。
引用・参考文献
理科年表