ウルトラマンレオ第9話
『宇宙にかける友情の橋』を読み解く


ウルトラマンレオ第9話。
この話に出てくるギロ星獣は果たして良い奴なのか悪い奴なのか。
本編ではわりとどちらとでも取れる演出をされている。
しかし。本当のところはどうなのだろうか。
幸運な事に第9話の台本が手に入った。
そこで。
台本を参考に、改めてこのエピソードを読み解いてみたいと思う。

ギロ星獣はトオルの言うように良い奴だったのか。
台本と映像との違いとは。
遊園地を舞台にしたファンタジックな事件の裏側が、暴かれる。

台本と映像との大まかな変更点を羅列していこう。
一つ目は「お菓子」。
ギロの初登場シーン。トオルのアイスを欲しそうにしているギロ。
そしてトオルはギロにアイスクリームを渡すシーン。
また、トオルが昏睡状態に陥った時、夢の世界での台詞。
「すっげぇー、お菓子の国だー!」
そしてその昏睡状態のトオルが言う一言。
「ギロはただ、アイスクリームやお菓子が好きなだけなんだ……」
最後に、ダンがゲンに言った印象的な一言。
「この地球は、お菓子で出来た夢の国ではないんだ!」
これらはすべて台本には無かった事である。
つまり、この話におけるお菓子の甘い香りは、
映像になってはじめて追加された演出なのである。
一見関係無さそうなのであるが、あながちそんな事はない。

二つ目は特訓。
いや、特訓は台本にもあるのだが方法が違うのだ。
映像本編ではギロの吐き出す泡を何とかする特訓であった。
しかし台本の時点では単純に触手を手刀で叩き折る特訓である。
更に「怪獣と戦う気持ちをなくしてしまったおおとりに用はないッ!」
というダンのきつい言葉もあった。
(台本ではゲンではなくおおとりと呼んでいる)
そこは映像では「星獣を倒す事だけ考えればいいんだ!」に変更されている。

三つ目はギロに対する周囲の反応。
最初にギロとレオが戦った直後のダンとゲンの会話シーン。
実はこのシーンは最後の最後でダンの独白があった。
「カニの様に長い二本の――(思い出して)ギロ星獣に違いない!」
これは、重要な要素である。
ダンはギロ星獣の事を知っていた。
つまり、どのような怪獣か、知っていたのである。
映像ではダンが一方的にギロを悪い奴と決めつけていたように見えなくもない。
しかし実はその正体を知っていたのでダンは危惧していたのだ。
だからこそダンは最後にトオルにこう言ったのだ。
「きみは怪獣を愛し、怪獣もまた人間を愛することをおぼえた」
ギロ星獣は元々は良い怪獣とは言えなかった。
しかし、トオルとの交流で友情に芽生えた。
これが答えなのであろう。
それをお菓子好きの追加設定と数々のファンタジックな演出で、
どちらとでも取れるように仕上げた。それが真相。

それでもギロを善玉と信じたい方はいるだろう。
しかし最初、レオとギロが戦った場面の最後。
台本では恐ろしい事をしてギロは逃げているのである。

そのとき怪獣がトオルを両手で抱え強烈にしめあげる。
トオルの顔が無意識にゆがんで……
ハッとなるレオの顔。
思わず手をはなすレオ。
その瞬間、レオに正対した怪獣、吼えながらシュワーッと煙の中へ消えてしまう。
ガックリと膝をつくレオ――。


……これははっきりとトオルを人質にして逃走している。
どう考えてもこの行動はゲンの言うような「特別な星獣」じゃあないよねぇ。


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