満月の夜、暗い夜道を一人で歩く女性。不気味な鳴き声がどこかから聞こえる。
思わず走り出す女性。その一瞬の後、屋根の上にいたウルフ星人は女性に襲い掛かったのだ!
女性の悲鳴。女性の持っていたハンドバッグが道路に投げ出される。
ウルフ星人は倒れた女性に覆いかぶさるようにして女性の血を吸うのだった……。
城南スポーツセンター。
猛の幼馴染で婚約者、霧島冴子が体操の練習をしている。そして空中で高速で何回転もするすごい技を成功させたのだ。
それを見て猛は自分のことのように喜ぶ。
猛「ばんざーい!出来た!出来たぞ!」
冴子「猛さんのおかげだわ」
猛「そんなことはないよ……君ががんばったからだ。ほら、汗を」
猛は冴子の汗を拭いてあげる。
冴子「私、この技、風車って名前つけたいわ」
猛「うん、そいつはいいや。綺麗な名前だ、まるで冴子さんのように」
そんな二人にゲンが走りよってくる。
ゲン「おめでとう!とうとう出来たじゃない」
冴子「まだ完成してないんです」
猛「明後日から冴子さんの家に泊まって、特訓するんですよ」
ゲン「冴子さんの家は、確か三ツ木市だったよね」
冴子「はい」
MAC本部。ダン、ゲン、平山、白川、そして白土と梶田。
ダン「夕べ、三ツ木市で五人目の被害者が出た」
ゲン「三ツ木市!?」
平山「また若い女性ですか?」
ダン「そうだ。検死の結果では以前の事件同様女性の身体には一滴の血も残っていなかったそうだ」
白川「吸血鬼みたいですね」
ダン「まだ誰も正体を見たものはいないが、何人かの者が声だけはきいたという」
白土「声を?」
ダン「うん、まるで狼の遠吠えのようだという」
白土「そんなバカな!ニホンオオカミは絶滅したはずです」
ダン「その通りだ。と、すれば考えられるのは……ウルフ星人に違いない」
白川「人間の血を吸って生きてる……ウルフ星人ですか?」
ダン「そうだ、奴は若い女性の血ばかりを吸い……普段は人間の姿をしているが血が切れると狼の姿に戻ってしまうという」
城南スポーツセンター。
冴子をはじめとする体操クラブの女性達が練習にはげんでいる。
そこにゲンと梶田があらわれる。
ゲン「どんなに素晴らしい技も、命あってのものだよ」
冴子「おおとりさん」
ゲン「君達、連続殺人事件のことは、知ってるね?」
一同「はい」
梶田「夜間の外出は控えるようにって警告してあるはずだがな」
冴子「知ってます。でも…試合まであまり練習する日がないんです」
ゲン「うーん、君たちの気持ちもわかるけど、危険は避けたほうがいい」
冴子「はい」
そこであの不気味な鳴き声が聞こえる。
ゲン「後は頼む!」
ゲンは梶田にその場を任せるとセンターの外に出た。
ビルの上にウルフ星人が。ゲンはマックガン三連射!たまらずにウルフ星人はゲンに襲い掛かる。
格闘戦を繰り広げるが手負いのウルフ星人の方が圧倒的に不利だ。
星人は逃げ出す。それを追うゲンだが、見失ってしまう。
ゲン(かなりの出血をしたはずだ。そう遠くには逃げられない)
ゲンの必死な追跡もむなしく、ウルフ星人の姿を発見することは出来なかった。
地蔵の前で車を降り、自宅である霧島家の門をくぐる冴子。しかし、その庭先であの不気味な鳴き声が……。
冴子「誰!?」
心配して家から出てきた母親の見たものはウルフ星人に襲われている冴子の姿だった!
冴子「ああっ!!助けてっ!きゃあああああっ!!!」
さらにウルフ星人は意識を失った冴子に乗り移ったのだ!
母「冴子!」
朦朧とする意識の中、冴子の脳裏に浮かび上がったのは自分の花嫁姿……。
母「冴子!誰かぁっ!」
冴子「……やめてお母さん。人を呼ぶのはやめて。私は大丈夫」
冴子は淡々とした口調で言う。
冴子「……私、狼男のお嫁さんになったの」
母「冴子…お前は……冴子…」
狼男に身体を乗り移られた冴子はもはや、猛との結婚などかなわぬこととなってしまったのだ。
突然の悲劇に母親は涙することしか出来なかった。
MACカーで地蔵の前まで来る。
ゲン「夕べは、この近くで見失ったんだ」
梶田「すごい出血だったらしいな」
ゲン「普通なら、間違いなく死んでるところだ」
梶田「じゃあ、川に溶け込んでしまったのかもしれんな」
ゲン「いや、そんな相手じゃない。必ず生きてる」
そう確信して車を走らすゲン。
日が暮れても三ツ木市のパトロールは続けられた。
冴子宅前。
母親「わざわざどうもありがとうございました」
薬箱などを持った女性二人。
「じゃあ、お大事にー」
ゲンはそれを見ていた。
梶田「どうした?」
ゲン「いや、なんでもない」
パトロールを再開するゲン。
夜道に暗躍するウルフ星人の影。響き渡る若い女性の悲鳴。
MAC出動。星人を追う白土、平山のもとにゲンと梶田も駆けつける。
「逃がすなー!」
「おおとり!そいつをつかまえるんだ!」
塀を飛び越えて逃げるウルフ星人。
白土「おおとり!体操クラブの女子学生が襲われた!」
ゲン「えっ!?くそっ!」
それを追うゲン。ゲンは格闘戦に持ち込み星人を投げ飛ばすが見覚えのある技でそれを交わされる。
そう、その技は……
ゲン「風車だ!……まさか…!」
逃げるウルフ星人を追ってたどり着いたのは霧島家だった。
ゲン「そんなバカな!?」
家の中から出てきたのは母親だった。一礼するゲン。
ゲン「MACのおおとりと申します」
母「……おおとり…ああ、猛さんの先輩の方……夕べは冴子がどうも。さぁ、お入り下さい」
家の中に通されるゲン。
ゲン「冴子さんにぜひ…お会いしたいんですが」
母「ちょっとお待ち下さい。冴子、冴子!」
2階から降りてくる冴子。
母「おおとりさん」
ゲンは冴子の服に新しい血痕がついているのを発見する。
ゲン「冴子さん、これはどうしたんですか?」
冴子「ああこれ?今、縫い針が刺さって…」
そう言って冴子は右指を舐める。
ゲン「違うでしょ!針で刺したんなら左手のはずだ」
冴子「……!」
母「おおとりさん、あなた一体何をおっしゃりにいらしたんですか?」
ゲン「僕は、狼男を追ってきたんです」
母「まさか…それがどうして冴子に?」
ゲン「狼男の技は…冴子さんの風車と同じものです。MACまで同行していただきます」
ゲンは冴子を連れて行こうとするが、そこにゲンを冴子から力づくで引き剥がす者が。
猛「やめろぉーっ!ええーいっ!」
ゲン「……猛!?」
猛「いくらおおとりさんでも僕は許さんぞ!」
ゲン「猛!」
猛「そんなバカなことはない!僕はねぇ、子供の頃から冴子さんを知ってるんだ!初めて会ったばかりのおおとりさんに何がわかるもんか!帰れ!帰ってくれぇっ!バカぁっ!おおとりさんのバカぁぁぁっ!!!」
MAC本部。
扇風機の前で風車を回しているゲン。ダンがやってきて扇風機を止める。
ダン「……何をしている?」
ゲン「あの狼男の技は風車と呼ばれるものです」
ダン「そんなことよりお前がついていながら二度も狼男を逃がしてしまったのはどういうわけだ?」
ゲン「それは夕べの報告で…」
ダン「その女性が本当に狼男という確認はまだ取れていないのだろう?」
ゲン「それは…でも十中八九間違いは無いと…」
ダン「うかつに決めるものではない!!!お前のそのやり方が猛君やその女性をどれほど傷つけたか、考えてもみろ!」
ゲン「………」
ダン「お前だっていきなり百子さんを狼男だと言われてみろ。その時、お前ならどうする!?」
ゲン「……うかつでした」
ダン「わかったらすぐ行動に移るんだ!いいな!昼間、狼男が現れない保証はどこにもない。今、霧島家の見張りは白川隊員がやっている。早く行って交代するんだ。…今度は慎重にやるんだぞ」
ゲン「はい!」
そう言って出動しようとするゲンだがふと立ち止まる。
ゲン「隊長、風車ですが……」
ダン「風車は、風がなければ回らない。勝負は風を受ける前の一瞬だ」
霧島家。
猛は冴子の部屋のドアをノックする。
猛「冴子さん、外はいい天気だよ、散歩に行こう」
しかし、一向に反応はない。
猛「冴子さん!?冴子さん!!」
鍵はかかっておらず中に入るとやつれた冴子が部屋の隅でうずくまっている。様子が明らかにおかしい。
猛はカーテンを開けるが冴子が異常に光を嫌うので慌ててしめる。
猛「冴子さん、僕だよ!猛だよ!どうしたんだよ!しっかりしてくれ!」
そこに母親が現れ、猛を部屋から追い出そうとする。
母「猛さん、出て行って!」
猛「しかしおばさん!」
母「冴子は病気なんですよ、お願いだから出て行って!さぁ!」
猛は部屋から追い出されてしまい、冴子の名を呼びながら鍵のかかったドアを叩き続けることしか出来なかった。
母「かわいそうな冴子……お母さんがついてますからね」
ベッドに冴子を寝かせるが、冴子の身体が狼男に変貌を始める。血が切れ始めたのだ。
母「冴子……どうしたの?どうしたの!?冴子!……冴子……どうしようね……今度見つかったらお前は殺されてしまう……」
母はそこである方法を思いつく。
母「そうだ!冴子!お母さんの血をお飲みなさい!お母さんの血なら、誰も何も言いやしない!さぁ!」
そう言って腕を差し出す母だが、実の母の血など冴子には飲めるはずも無い。
母「お母さんの血は、年を取ってるからダメなのね……若い女でなきゃダメなのね……」
とうとう、冴子は完璧に狼男になってしまう。
母「大人になったら猛さんのお嫁さんになるのだと言っていたのに…それももうダメなのね……」
星人に完全にのっとられた冴子は血を求めて外に出ようとする。
母「冴子、表に出てはダメ!冴子、表に出ないで!」
ガラスの割れる音。
猛はやっとのことで扉をこじ開けるとそこには冴子の姿はなかった。開け放たれた窓。
猛「冴子さん…おばさん!」
母「猛さん……冴子がっ!」
外に出て冴子を探す猛。狼男は霧島家の周りを見張っている白川隊員に襲い掛かる!
白川「きゃああーっ!誰かー!」
そこに猛が駆けつける。
白川「あっ、猛君!」
猛「やめろー!」
猛は狼男を止めようとするが腕に噛み付かれてしまう。さらに白川隊員を追う狼男。
白川「誰かー!」
草むらの中から颯爽とゲンが現れ、マックガンを構える。
ゲン「止まれ!」
だが、そこに猛が来て狼男をかばう。
猛「撃たないでくれ!おおとりさん!撃つのだけはやめてくれ!」
そこに平山、白土、梶田が現れ、狼男にマックガンを連続発射する。
「撃てぇっ!」
ピンチに陥った狼男は巨大化する。
「出たぁっ!」
「大丈夫か!?」
「乗るんだっ!」
三人はマックロディーに乗って応戦する。そこにマッキー2号、3号も来てMACは猛攻を開始する。
ゲンは猛を避難させようとするのだが、猛はゲンの手を振り切って狼男のもとへとむかう。
ゲン「猛っ!」
猛「やめろっ!やめてくれぇっ!」
狼男は飛び上がり、風車の高速回転によってマッキー2号、3号を墜落させたのだった。
乗員はパラシュートで脱出することに成功。風車はさらに地上のマックロディーまでも狙っている。
ゲンは変身する。「レオォォォォーッ!!!」
間一髪、マックロディーを抱え込むレオ。風車はその後ろにあった工場を破壊する。
主題歌をバックに格闘を繰りひろげる。
レオは狼男の牙をへし折り、それを投げつける。
狼男は風車をしようとするがレオのレッド手裏剣ビームでそれを阻止される。
レオの脳裏にダンの言葉がよみがえる。
(風車は、風がなければ回らない。勝負は風を受ける前の一瞬だ)
レオは太陽を背に星人の目をくらませ、レオキックで星人を倒した。
猛「冴子さぁーーーーーーーーーん!!!」
猛の悲痛な叫びがあたりにこだました。
狼男の亡骸にすがる猛。
猛「冴子さん……!」
猛の脳裏に浮かぶ冴子との結婚式。
もう、それが叶えられることはないのだ。
だが。
その時、奇跡が起こった。
レオの頭上で輝くレオマスクが唸ると狼男の亡骸が光り輝き冴子が生き返ったのだ。飛び去るレオ。
冴子「私……どうしてここに?」
猛「冴子さん!君は…!」
冴子「猛さん!」
猛「冴子さん!よかった!」
抱き合って喜びをかみしめる二人。ようやく平和が戻ったのだった。
後日、スポーツセンターに元気に風車を披露する冴子の姿があった。
本編解説
・準備中
・ 視聴した感想
前回でテスト運営した怪奇路線を突き詰めていった
「ウルトラ怪奇シリーズ」の第一作目です!
夜な夜な襲われる女性達。怖いです。
何か婦女暴行魔みたいな演出だったけどあれは狙ってるのかなぁ。
満月の夜。人を狂わせる月の光。
今回の話はそのためかだいぶ倒錯したお話でした。
あと、MAC。
何気にMACのメンバーが入れ替わっています。
青島、赤石、桃井隊員らが消えて、ゲンと同期の白土、梶田隊員が登場。
二人ともゲンと仲が良くMACの雰囲気がよくなっています。
そして今回は猛の唯一の主演作。
でも悲しいかな当時の子供達には受け入れられないお話なのでした。
僕は好きですよ。こういう話。