「水爆だ!すごいなぁ!」水槽に蒼い墨汁をたらしたその様子は水爆のきのこ雲そっくりだった。
他の子供たちが見るなか、次郎少年だけは「何でこんなもの!」と水槽を揺らして墨汁と水を混ぜて行ってしまう。
歩道橋の上で通り過ぎる車の群れを眺める次郎。しかし、やがて咳き込んでしまう。
そこにカオルと百子が通りかかる。
カオル「次郎ちゃん、どうしたの?」
次郎「僕、身体がだんだん弱くなってきたんだ」
百子「えっ?」
次郎「僕ねぇ……僕……」
百子「どうしたの?一体」
次郎「夢を見たんだ。空から毒のゴミがいっぱい降って来る」
カオル「夢の話でしょ?それ」
次郎「でも本当のことなんだ。僕のミドリガメも死に、かぶと虫もいなくなった。きっとどこかで死んでるよ。僕も……僕ももう死ぬ…!」
そう言い残し走り去ってゆく次郎。
カオル「次郎ちゃーん!」
次郎はマックロディーの前に立って止める。
次郎「止まって止まってー!」
ゲン「危ないじゃないか。……何かあったのかい?」
次郎「マッキー3号は、宇宙へいける?」
ゲン「…ああ、行けるよ」
次郎「僕をどこか、綺麗な星に連れてって!ねぇ!ねぇ!」
ゲン「…一体どうしたんだ?」
次郎「…ゴミが……」
ゲン「ゴミ?」
次郎「窓から毒のゴミがいっぱい入ってくる夢を見たんだ」
ゲン「なぁんだ、夢の話か」
次郎「でも、本当の夢なんだよ」
ゲン「本当の…夢?」
次郎「うん、僕の身体、毒のゴミに弱いんだ。だから僕だけ……だんだん弱っていくんだ。あっ、僕だけじゃない。窓のところに置いていたミドリガメも死んじゃったんだ。ねぇ、お願いだから僕を綺麗な星に連れて行ってよー」
ゲン「よしわかった。もしそんな恐ろしい毒のゴミが空から降って来たら君を真っ先に綺麗な星に連れて行ってあげる。約束するよ。でも、今はまだ大丈夫だ。君の思い過ごしだよ。」
次郎「でも…僕…」
ゲン「本当に大丈夫だって」
しかし、次郎は浮かない顔で帰っていったのだった。
MAC基地。
次郎(空から毒のゴミがいっぱい降ってくるんだ。ねぇ、きれいな星に連れてってよ)
次郎の言葉を思い出し物思いにふけるゲン。
ダン「どうしたんだ?」
佐藤「変だぞ、おおとり隊員」
ゲン「……宇宙をパトロールしている時、いつも思うんですけど……地球ほど美しく見える星はありませんよね」
白土「本当だな、ここから見るのは綺麗なもんだ」
そこに梶田隊員が来る。
梶田「おおとり隊員、今日パトロール中に次郎って子供と会った?」
ゲン「ああ」
梶田「トオル君の友達なんだそうだ、その子」
ゲン「どうしたんだ?」
梶田「熱を出しておおとり隊員に電話してくれって言い続けているそうだ」
ゲン「熱を出して?」
梶田「うん」
大槻隊員はダン隊長に報告する。
大槻「隊長。地球防衛委員開発、クリーン星で明朝6時、新型CS137ロケット弾の実験を行うと決定した。なお地球には全く影響はない模様です」
次郎の見舞いに行くゲン。
次郎「MACのお兄ちゃん……僕……僕…」
ゲン「心配すんなよ、風邪だよ。すぐ良くなるさ、なっ」
次郎「……僕の机……引き出し、開けて……」
そこには箱が入っていた。そしてその中には再び動き出すことのないミドリガメが収められていた。
やがて苦しみだす次郎。
次郎「ううっ、喉が……喉が痛いよぉっ!ど……毒のゴミがぁっ!!!」
ゲンが帰った後、次郎の部屋に怪人物が訪れる。
星人「次郎君、次郎君」
次郎「……誰?どこから来たの?」
星人「クリーン星から来た星人さ。君は、きれいな星に行きたいんだってね」
次郎「連れてってくれるの?」
星人「うん」
次郎「すぐ用意するよ」
星人「用意などいらない。さぁ、すぐ行こう……いいかい?」
星人が合図するとひとりでに窓が開く。
次郎「わぁっ、すごーい!」
星人「あっ、いけない。また毒のゴミが降ってきた。急ごう!」
そのまま次郎は星人に連れられて爆炎で燃えゆく地球を後にクリーン星へと向かう。
そこは空気がきれいで花が咲き乱れる夢のような星だった。
星人「さぁ、ここだよ」
次郎「わぁっ、ここがクリーン星?」
星人「そうだよ」
次郎「きれいだなぁ〜」
やがて次郎は花畑の中でかぶと虫とミドリガメをみつける。
次郎「あっ!ミドリガメだ!…あっ!僕のかぶと虫だ!」
虫「そうだよ、次郎。ここに来てすっかり元気になったんだ」
カメ「私なんか、生き返ったのよ」
虫「ここはいいよ、地球と違って」
次郎「毒のゴミは降らない?」
虫「降るもんか」
次郎「じゃあ、目に染みる雨は?」
虫「降るもんか。次郎もここで暮らせばいっぺんに元気になるさ」
カメ「そうねぇ」
虫「いいよ、ここは、なぁ」
カメ「ええ、クリーン星って本当によかったわ」
虫「次郎、みんな呼んでやろうよ」
次郎「父さんも母さんもくればいいのになぁ」
次郎は母に起こされ気づくとそこは自分の部屋だった。
次郎「かぶと虫が……僕のかぶと虫が……」
母「夢を見たのね。窓を開けて空気を入れ替えましょう」
次郎「開けないでお母さん!!!」
母「…どうしたの?」
次郎「毒のゴミが!」
母「ふふっ、まだ言ってるの?大丈夫よ。MACのお兄ちゃんもそうおっしゃったでしょ?さあ」
母は次郎を寝かしつけて窓を開けようとするが次郎に頑なに拒まれてしまうのだった。
次郎「開けないでー!お母さーん!!!」
MAC本部。
サイレンが鳴り響き、緊急の通信が入る。
通信「緊急情報!緊急情報!UFO(ユーエフオー)が地球に接近中!UFOが地球に接近中!…MAC本部!MACほーんぶ!!!」
ゲン「はい、こちらMAC本部!」
通信「こちら宇宙ステーションV9(ブイナイン)!」
ゲン「V9!V9!」
通信「救援!……救援を求む!現在V9の……」
ノイズ交じりのその通信も爆音とともに途切れる。
ダン「白土、出動だ!」
白土「はい!」
ゲン「こちらMAC本部!こちらMAC本部!V9!V9!……応答ありません」
ダン「ダメか…」
通信「UFOは引き続き地球に接近中!なお、宇宙ステーションV9は攻撃を受けた模様!」
ゲン「隊長!」
通信「こちらは宇宙ステーションA!地球に接近中のUFOを攻撃するため発進したロケット戦闘機隊は全機撃墜されました」
佐藤「マッキー3号キャッチ!あっUFOキャッチ!隊長!マッキー3号はあと5分でUFOに接触します!」
ダン「ゲン、いくぞ!」
ゲン「はい!」
マッキー3号。
白土「こちらマッキー3号」
佐藤「UFOは現在、スペースポイント0724を通過!」
白土「了解!」
さらに進むとその飛行物体の姿が現れた!
「あっ、あれは!」
それは宇宙昆虫サタンビートルだった。
次郎の部屋。
母「あらあら次郎ちゃん。寝てなくちゃダメじゃないの」
次郎「お母さん、怪獣は東京に来るの?」
母「ええ、家から出ないようにってテレビで言ってるわ」
次郎「MACがやっつけてくれるよね、きっと」
母「でもねぇ、40メートルの宇宙昆虫なんですって。かぶと虫に良く似た」
次郎「……かぶと虫…?」
マッキー2号で昆虫を追うダンとゲン。
ゲン「隊長、宇宙のどこから飛んで来たんでしょうか?それに…どうしてそんなものが地球に…?」
白土「こちらマッキー3号、応答願います!」
ダン「モロボシだ」
白土「宇宙昆虫は間もなく東京上空に侵入します」
ダン「よし、わかった」
ゲン(ひょっとしたら、クリーン星から飛んできたのかもしれない……そうだ、きっとそうだ!)
次郎「かぶと虫……かぶと虫……僕を迎えに来てくれたのかな?」
窓を開けて見てみると空には宇宙昆虫の姿が。
次郎「ああっ!あれだ!やっぱりそうだ!僕の…僕のかぶと虫だ!」
空中で迎撃するマッキー2号と3号。
しかし昆虫は腹部からミサイルを出して街を破壊する。
一方、次郎は「僕のかぶと虫だ!僕を迎えに来てくれたんだ!」と言って昆虫に走り寄る。
ゲン「あっ!次郎君だ!次郎君が危ない!」
ゲンはマッキー2号を垂直着陸させると次郎のもとへと走る。
ゲン「次郎君、危ない!戻れぇぇっ!」
マックガンで応戦するが、効果は薄い。とうとう次郎は昆虫の足元にたどり着いてしまった。
次郎「僕のかぶと虫だ!僕を迎えに来てくれたんだ!」
ゲンはそれを見て、走りながらレオへと変身する。「レオォォォォーッ!!!」
空中からの突進、角やミサイルの攻撃に苦戦しながらもレオは格闘で昆虫の羽根をむしりとることに成功した。
一方、次郎はその戦いの巻き添えで気絶してしまった。
次郎はクリーン星にいた。だが、そこにも爆炎が。さらに空から毒のゴミが降り注ぐ。
次郎「あっ!毒のゴミだ!」
その時、向こうにブランコに乗った星人の姿が。
星人「次郎!こっちだ」
次郎「あっ!クリーン星人だ!ああっ!毒のゴミが!毒のゴミがぁぁっ!」
星人「慌てることはない。さぁ、早くブランコにお乗り。このブランコは普通のブランコとは違うんだ。乗ってみないとわからないよ、さあはやくはやく」
次郎「うん」
次郎がブランコに乗ると周りの毒のゴミは消え、きれいなクリーン星に戻った。
次郎「わー、本当だーきれいだなー」
その時、どこからか戦いの音が聞こえる。
次郎「ねぇ、何の音?」
星人「お前のかぶと虫とレオが戦っている音だ」
次郎「かぶと虫は僕を迎えに来てくれたの?」
星人「そうだ」
次郎「やっぱりそうだったのか。ねぇ、止めて」
星人「止めなくてもいずれ決着はつくさ。……!!いやな奴が来た。いいか次郎、いくら誘われてもブランコから降りるんじゃないぞ。勝手に降りたら……いいか?きれいな星には連れて行かないからな」
次郎「わかったよ約束するよ」
星人「ハハハハハ……ハハハハハハハ!」
笑い声と共に消える星人。それと入れ違いのように来るゲン。
ゲン「次郎君」
次郎「おおとりさんかぁ」
ゲン「次郎君、どうしたんだい?お父さんとお母さんが心配して探してたよ」
次郎「僕は…きれいな星へ行くんだ。地球にいたら……きっと…」
ゲン「そうか、次郎君は身体が弱いもんなぁ。でも、身体より心の方がもっと弱ってる」
次郎「だって、毒のゴミが空からいっぱい降ってくるんだもん。……おおとりさんは毒のゴミが怖くないの?みんなも怖くないのかなぁ…」
消えるゲン。いつの間にかブランコの上に戻ってきているクリーン星人。
星人「ハハハハハ、その調子、その調子。……ほら、君のかぶと虫が戻ってきたよ」
クリーン星人の手にはかぶと虫が。
次郎「わあ〜っ」
しかし、相変わらず戦いの音は聞こえる。
次郎「変だなぁ…僕のかぶと虫とレオ、戦ってるけどなぁ……」
星人「さぁ、あれに乗って地球から逃げよう!」
次郎「うん、きれいな星に行くんだね?」
星人「そうだ!行くよ、1、2、3!」
次郎「わああっ!」
次郎はブランコから落ちて巨大な昆虫の頭に。
次郎「わぁ〜」
虫「次郎、さぁ行こう!」
だが、その時爆炎が吹いて毒のゴミが降り注ぐ。昆虫はスピードを上げる。
虫「次郎、次郎、しっかりつかまってるんだぞ」
次郎「でも……だめだよー、落ちるよー、僕落ちるよー、だって風が強いんだもん、わあああっ!!!」
次郎は気づくとガレキの中にいた。
ダン「次郎君、しっかりするんだ、次郎君!」
次郎「かぶと虫は?僕のかぶと虫は?」
レオと昆虫が戦っている。
昆虫はレオに紫色のガスのようなものを吹きかける。苦しんで倒れるレオ。
その紫色のガスを良く見ると無数の毒のゴミだった。
次郎「ああっ!毒のゴミだ!」
ダン「そうだ、次郎君が恐れていた毒のゴミはあいつが降らせていたんだ」
次郎「誰が……誰が僕のかぶと虫を……僕のかぶと虫を……」
ダン「次郎君、ここは危険だ、さぁ!早く!」
安全な場所に逃げる二人。
ダンに助けられた次郎はレオとサタンビートルの格闘を見ながらその時はっきりと毒のゴミを撒き散らしているのはクリーン星人に操らているサタンビートルだったことを知った。
主題歌をバックにレオは黄金に輝く体中のエネルギーを両腕に集めてそれをサタンビートルに放った。
シューティングビームだ。さらに得意の格闘で戦い、レオキックで止めをさしたのだ。
次郎の部屋。ゲンとトオルと子供二人がお見舞いに来ている。
次郎「僕、もう元気だ。起きるよ」
トオル「毒のゴミが降ってくるぞ〜」
子供「ほら!」
子供「降ってきた降ってきた」
次郎「降るもんか!レオがやっつけてくれたもん!……僕ねぇ、身体も弱かったけど、心も弱かったんだ。でも、もう強くなったんだ!」
ゲン「よし、その元気だ!その元気で毒のゴミなんか吹き飛ばせ!」
次郎「よーし、トオル君、いっちょやろうか!」
トオル「よし!やろう!」
部屋の中で相撲を取り始めるが、母の登場で水入りに。
その時、次郎は元気に動き回るかぶと虫を発見したのだった。