「助けてくれよー!これからはちゃんと勉強するから許してくれよー!」
ある日、遠い宇宙の彼方から不思議な壷が飛んで来た。壷からは不思議な声がしていた。
空き地で言い争っている宮坂とトオル。
宮坂「何だトオルその目は。俺に何か文句あるのか?」
トオル「怪獣君!ここは僕達が先に来て遊んでたんだぜ!?」
宮坂「怪獣君?俺は怪獣君なんかじゃない!宮坂君と呼べ!」
トオル「じゃあ宮坂君」
宮坂「この世は強いものが勝つんだ」
トオル「今日の宿題の答え、教えてやらないから」
宮坂「何だってー!?」
トオル「さぁ皆帰ろう帰ろう!早く帰って宿題やろうよ!」
トオル達はそう言って行ってしまう。
残ったのは宮坂のグループのメンバーだった。
子供「なーんだぁ、宮坂君はトオル君に勉強を教えてもらってたのか」
宮坂「冗談言うな!この俺様があんな奴に勉強教わるわけ無いだろ!」
子供「そうだよな、それでこそ宮坂君だよ」
宮坂「あったりまえだ!」
その時だ。空から何かが落ちてくる。
子供「爆弾だ!」
物陰に隠れる子供達。
落ちた物に近づいたのはまだ近くに居たトオルだった。
カオル「お兄ちゃん、怖いわー」
トオル「カオル、心配するな」
カオル「お兄ちゃん、危ないわよー」
トオル「大丈夫だよ。えーいっ!」
地面に刺さったそれを引き抜いてみるとそれは不思議な壷だった。
子供「なーんだぁ、壷かぁ!」
宮坂「どけどけぇっ!ここは俺様の土地だ!だからこれは俺様の物だ!」
宮坂はこうしてトオルから壷を奪って自分の物にしてしまったのだ。
自分の力で宿題をしようとする宮坂だが、突然出来るわけも無い。
宮坂「ちくしょお!どうして学校の宿題ってのは難しいんだ!」
その時、机の上の壷の中から声が。
「助けてー!助けてー!」
がたがた揺れると壷は床に落ちてしまった。
宮坂「この中から声がするな」
宮坂は恐る恐る壷の中を覗き込んでみるが、そこには怪獣の子供が。
宮坂「あっ!?……おい、お前は誰だ!?」
怪獣「俺はタイショーだ!」
宮坂「なにぃ!?」
怪獣「頼むからさ。この壷の青いボタンをぐるっと回してくれ。そうすれば出られるんだよ」
宮坂「冗談言うな!お前は怪獣だろ?出たら俺を食べちゃうつもりなんだろ!?」
怪獣「頼むよー、俺はそんな悪い奴じゃないよ。何でもするからさ、助けてくれよー」
宮坂「何でもか?……おいタイショー、俺の宿題やってくれるか?」
怪獣「やるよ!何でもやっちゃうよ!」
宮坂「よーし、男と男の約束だぞ!」
ボタンをまわすと中からタイショーが出てくる。
宮坂「おい、タイショー、助けてやったんだから早く宿題やってくれよ」
怪獣「長い間、閉じ込められてたんだから少し休ませてくれよー」
宮坂「ダメだ。早くやってくれよ、早くー」
机にタイショーを誘導する宮坂。問題を見てタイショーはびっくり。
怪獣「ええっ!?ちょっと!こんな難しいのをやんのか?おい」
宮坂「おい、できないのか?お前、何年生なんだ?」
怪獣「怪獣小学校の四年生だよ」
宮坂「何だぁ、俺とおんなじじゃないか。じゃあこの問題だって出来るはずだろう?」
怪獣「でもあの、俺算数はあんまり得意じゃないんだよね、あはは」
宮坂「約束は守れよ!」
怪獣「厳しいな全く……お前はまるで怪獣みたいだな、おい」
宮坂「うるさいっ!俺は宮坂黒彦だっ!」
怪獣「わかったよーっ!宮坂君ーっ!全くこれは君の宿題なんだぞ……」
宮坂「うるさいっ!さっさとやれっ!」
などと言っている時、宮坂母の声が。
急いでタイショーを隠す事にしたのだが隠れる場所が見つからない。
怪獣「仕方が無い。壷をさ、赤いのを回してくれよ。そうしたらキューっと吸い込まれちゃうからさ、嫌だけど」
宮坂「よーし!」
赤いボタンを回す宮坂。するとタイショーはあっという間に壷の中に吸い込まれてしまった。
それでその場を何とか乗り切る。
翌日、学校。トオルと宮坂のクラス。
先生「はいそれでは皆さん、昨日の宿題はやってきましたね」
生徒達「はーい!」
先生「結構です。ではまず問題1問。0.6×7、分かった人」
生徒達「はい!」
先生「はい、宮坂君」
宮坂「はい!28です!」
生徒達「違いまーす!」
先生「そうですね、違いますね。それでは他に分かった人」
生徒達「はーい!」
宮坂の足元においてあるのはタイショーの入ったあの壷。
怪獣「ありゃ、間違えちゃったー」
先生「梅田君」
トオル「4.2です」
生徒達「そうでーす!」
宮坂「ちくしょうめ!タイショーの奴、答え間違えやがったな!」
しかし、結局その次の問題も外してしまう。
宮坂「ちくしょうめ!もう許さないぞ!俺に恥をかかせやがって!」
腹いせに足で壷を揺する宮坂。
怪獣「揺すぶらないで〜、おしっこ出ちゃうよ〜」
宮坂「何がおしっこだー!」
間違いの連発に担任の教師も不審がる。
先生「宮坂君、宿題のページを間違えたのではないですか?」
宮下「一生懸命やったんですが……」
先生「もう一度今の問題をお家でやってみて下さい。いいですね?……あら?この水は何かしら?」
宮坂「しまった……タイショーの奴、やったな!?」
先生「えっ?何ですって?」
宮坂「すみません!壷の水が漏ったんです!」
先生「宮坂君、すぐ拭きなさい!」
宮坂「は〜い」
宮坂君の自宅。
宮坂「おいタイショー、お前本気で俺の宿題やってくれたのか?」
怪獣「そっ、そりゃあもう、全力を尽くしてやりましたよ?」
宮坂「嘘つけ!全部間違ってたじゃないか!おかげで俺はどんなに恥をかいたことか!」
怪獣「だから言ったじゃないかー!俺は算数は苦手だって!」
宮坂「お前はどんなに頭が悪い奴なんだ」
怪獣「俺も真面目にやっとけばよかったね」
宮坂「今更言っても遅いよ。あーあ、もう一回あの問題やらなきゃなんないんだぞ。どうするかなぁ……。お前、一体地球に何しに来たんだよ!」
怪獣「あの、学校をさぼって遊んでばっかりいたらお父さんが……お仕置きなんだよー」
宮坂「それで頭が悪いんだな。何とかならないかなぁ……。学校なんて無くなっちゃえばいいのになぁ」
怪獣「学校が無くなればいいのかい?」
宮坂「そんな事出来るわけ無いだろ?」
怪獣「大丈夫なんだよー。俺に任しといてくれよー、なぁ?俺ね、勉強は苦手なんだけど腕には自信があるんだよー。それにね、大きくもなれるしね。行こう!なっ!」
宮坂「うん!」
学校の校庭。宮坂と大きくなったタイショー。
怪獣「さて、ぼちぼちとりかかるとするかね、怪獣君」
宮坂「俺は宮坂。宮坂だよぉ……」
怪獣「怪獣君でいいんだっ!」
宮坂「でっかい事をいい事にしやがって、助けてやった恩も忘れやがって……早くやってくれよぉ……」
怪獣「おう!……これかい?」
叩いたり掴んだり蹴ったりしてタイショーはどんどんと校舎を破壊してゆく。
宮坂「それっ!もう少しだっ!いいぞいいぞー!がんばれー!」
その時、異変を感じたマッキー2号と3号が空から飛んで来た。
マッキー2号には佐藤、白土隊員が、マッキー3号には梶田隊員が乗っている。
佐藤「攻撃開始!」
梶田「了解!」
MACはタイショーに攻撃を仕掛ける。
宮坂「MACなんて怖くない!ほらがんばれー!」
マックロディーでゲンも駆けつける。
ゲン「ちくしょお!怪獣めぇっ!」
タイショーはマッキー両機をいっぺんに張り手で撃墜する!黒煙をあげて墜落するマッキー!
怪獣「やったやったー!俺は強いな!」
それを見たゲンは変身する。
ゲン「もう許さないぞ……!レオォォォーーーッ!!!」
前主題歌インストゥルメンタルと同時に現れるレオ。
宮坂「あっ!レオだ!邪魔しちゃ困るなぁ……」
校舎を破壊しているタイショーにつかつかと歩み寄ってその肩を叩くレオ。
怪獣「肩叩くな、忙しいんだって。誰だよもぅっ!」
振り返るとそこにはレオが。
怪獣「わあぁっ!……だーれ?」
宮坂「おいタイショー!自信があるのならそいつもやっつけちゃえ!」
その言葉を皮切りに格闘戦が始まるがどこかコミカルだ。やがてタイショーは倒されてしまう。
宮坂「なんだぁ、ダメな奴だなぁ。でもあれだけやればいいや。おーい戻ってこーい!」
壷の赤いボタンを回す宮坂。
すると黄色い煙と同時にタイショーは壷の中に。
怪獣「ふうっ、やれやれ。疲れたなぁ、もう……」
急いで家に帰る宮坂だが、その途中でタイショーはまたもやおもらしをしてしまう。
壷を洗って自室に吊るしておく宮坂。
その壷の中からタイショーは聞く。
怪獣「さっきの怪獣は何ていう奴だい?」
宮坂「ウルトラマンレオさ!」
怪獣「あれが噂のレオかぁ……」
MAC基地。ダンとゲン。
ダン「お前がついていながら逃がしてしまうとはどういう事だ!」
ゲン「……すっと消えてちゃったんです」
ダン「何がすっとだ!……しかし良かった。あれで学校に生徒でもいる時間だったら大変な事になっていたぞ」
ゲン「どうして誰もいない学校を壊そうとしたんでしょうねぇ」
ダン「……何を言ってるんだ。小学校が休みになった。その間に何とか早く怪獣を見つけ出すんだ」
ゲン「はい!」
空き地にいる宮坂のグループ。
学校が休みなので暇を持て余しているのだ。
宮坂「学校が休みで宿題がないとつまらないもんだなぁ」
子供「うん、暇で暇でしょうがないよ」
子供「なぞなぞでもやろっか」
宮坂「あれは頭使うから嫌だよ」
子供「じゃあちえのわでもしようか」
宮坂「それも頭使うだろ?」
子供「そうだ、怪獣ごっこをしよう!」
宮坂「よーし!俺はウルトラマンレオ!お前達はMAC隊員の準備をしとけ!」
子供達「おー!」
宮坂の部屋。
怪獣「怪獣になれって言っても俺は元々怪獣じゃないかー」
宮坂「でもいいか?本物の怪獣だって分かったら大変だからぬいぐるみだって言うんだぜ?」
怪獣「ええ?ぬいぐるみ?大丈夫かー?俺怖いよー、嫌だよー」
宮坂「怪獣のくせに意気地が無い奴だなぁ。怖くなんかないさ。さぁいこう!」
空き地。
レオのお面とスーツをつけた宮坂とMACのヘルメットとベルトをつけた子供達がタイショーと怪獣ごっこをしている。
それをトオル兄妹は見ていた。
トオル「怪獣だ!」
カオル「お兄ちゃん!」
トオル「うんっ!」
二人はパトロールに出ていたマックロディーをつかまえる。
ゲン「やぁ!」
トオル「大変だよおおとりさん!怪獣だ!」
カオル「早く、お兄ちゃん!」
こうしてゲンと佐藤隊員もタイショーを追うことに。
街中を走り抜けるタイショー。
宮坂を含む子供達、トオルとカオル、そしてMACはそれを追う。
怪獣「ぬいぐるみじゃないんだよ。本物なんだ。うわっ!本物のMACだ!」
ベビーカーに乗ったり八百屋を横切ったり、そばを食べたり……。
最終的には銭湯に入り、煙突に登ってしまった。
ゲン、佐藤、梶田、白土のMACが追いついてきてそれを発見する。
佐藤「あっ!あんな所に登りやがって!」
ゲン「ああっ!」
佐藤「撃てーっ!」
一斉にマックガンで煙突に向けて射撃する四人。
怪獣「助けてくれー!おかあさーん!ちゃんと学校行くから許してよー!ちゃんと勉強するから許してくれよー!」
それでゲンは気づく。
ゲン「そうか、あの怪獣はお仕置きされてたんだ」
タイショーのピンチに壷に戻そうとする宮坂だが、ボタンが取れてしまう。
宮坂「あっ!壊れちゃった……」
怪獣「そうだ!困った時にはウルトラマンレオだ!レオー!助けてー!家に帰りたいんだよー!」
宮坂「悪い事しちゃったなぁ……何とかならないかなぁ」
ボタンをくっつけようとしてみるものの、宮坂の手ではどうにもならない。
やがて煙突は折れて落ちてしまう。
間一髪巨大化して難を逃れるものの、マッキー2号と3号が。
怪獣「もう嫌だよ!早くお家に帰りたいよぉ〜!」
ゲンの元にダンが来て言う。
ダン「早くあいつを送ってやれ」
ゲン「はい!レオォォォーーーッ!!!」
レオはマッキーからタイショーをかばうようにして立ちはだかる。
そして合図をしてマッキーを去らせた。
それには地上のMAC隊員達も訳が分からない。
白土「どうしたんだろう?」
怪獣「レオー!僕お家に帰りたいんだよー!お願いしまーす!」
タイショーは土下座までする始末。
レオは頷くとタイショーを背中に乗せて飛び立つ。
宮坂「おーいタイショー!帰ったら一生懸命勉強して怪獣小学校の優等生になるんだぞー!」
怪獣「うん、怪獣君もなー!」
こうして怪獣タイショーは自分の星に帰っていった。でもタイショーと怪獣君はちゃんと勉強するかどうか、心配だなぁ。
宮坂の部屋。
真面目に机に向かっていると思いきや鉛筆を転がしたりして答えを決めているようだ。
あの壷は花瓶のかわりに使われていた。
ふとタイショーの事を思い出して中の花と水を窓から捨てる。
マックロディーでパトロールをしていて通りかかったゲンはその水を浴びてしまう。
宮坂「おーい、タイショー!元気かー?」
壷とも空ともつかない所に語り掛ける宮坂。
ゲン「宮坂君!」
宮坂「宮坂君?いいんだよ、俺は怪獣君で!」