丘の上のブラック指令。
指令「ブラックスター地球侵略三番手、アブソーバー!来ーーーい!」
美山家は夕食時だった。唐突に地震が起こる。
ゲン「ブラックスターだ!」
トオル「ちくしょお!あいつらはレオを殺すのに何度でも襲ってくるんだ!おおとりさん行こう!」
いずみ「トオルちゃんダメよ!危険だわ」
咲子「そうよ、いけません。家の中にじっとしてるのよ」
トオル「あいつらは僕達の仇なんだ!レオに協力してあいつらをやっつけるんだ!」
ゲン「トオル、待て!見ろ、もう大丈夫だ。今夜は様子を見よう。敵もすぐには襲って来ないだろう……」
地震も、空の赤い稲光も収まり、静かな夜に戻るのだった……。
翌日。
昨夜、光が落ちた場所をマックシーバーで探すゲンとトオル。
そこで子供達を見かける。三人がかりで一人をいじめている。
ゲン「君たちー!だめじゃないか!どうしたんだ?」
トオル「大勢で一人をやっつけるなんて卑怯だぞ!」
子供「こいつが悪いんじゃないか!」
子供「そうだよ!せっかく俺たちが獲った獲物を横取りするんだから!」
ゲン「獲物?」
子供「ズズメさ、ボーガンで落としたんだ」
見るといじめられていた秀行少年は手に大事そうにスズメを持っている。
ゲン「お兄ちゃんにちょっと見せて」
ゲンはスズメを見ようとするがなかなか見せてはくれない。
半ば強引に手を開かせるとスズメは生きているようだ。
ゲン「大丈夫だよ」
子供達に向かってゲンは言う。
ゲン「君たち、このチューインガムであのスズメ譲ってくれよな」
ガムを受け取ると子供達は行ってしまった。
秀行はお礼も言わず行ってしまう。
トオル「おおとりさんにお礼も言わないのかーい?」
その背中を見届けるゲンだが……
少年の行く先に地球のものではない反応がある事を眼力で見抜いた。
そして秀行を追うゲン達。
だが。
秀行「ついて来ちゃダメ!」
少年はゲン達を隔てるように地面を線を引く。
秀行「ここからこっちは僕の国だから入って来ちゃいけない!」
ゲン「君の国?」
秀行「そうさ!力が強いからといって平気で弱い物を殺す奴は入れない国なんだ!」
ゲン「……分かったよ、秀行君。でもあの小屋には何がいるんだい?」
秀行「あれは僕の国の病院さ。このスズメみたいに人間に傷つけられた生物を治してやる病院なのさ」
ゲン「で、君が病院長か」
秀行「うん!」
ゲン「……動物だけかい?入院患者は」
トオル「宇宙生物みたいなのはいないだろうね?」
秀行「宇宙生物?」
トオル「ブラックスターから飛んできた円盤生物さ!」
秀行「そんなでっかい物の小屋に入るわけ無いじゃないか!」
ゲン「いや、形は小さいかもしれない」
秀行「いないったらいない!早く帰れよ!」
その態度にトオルも怒って殴りかかる。
ゲンはそれを止めてひとまずその場を去るのだった。
その様子をブラック指令が遠くから不敵に笑いながら見ているのだった。
色々な生物がいる小屋でスズメを手当てする秀行。
保護されてきた生物の中には一機の円盤が。
秀行「お前は宇宙生物かな?でも心配しないでいいよ。誰にも渡しやしないからな」
円盤生物アブソーバは秀行を麻痺衝撃波で気絶させ、外へと飛び立つ。
指令「アブソーバ、行けぇぇぇーーーっ!」
円盤は巨大化した。
ゲン「ブラックスターの円盤だ……!」
円盤は触手で辺りのビルを破壊し始める。
パトカーが駆けつけ、戦車隊、戦闘機部隊がそれぞれ陸と空から迎え撃つが触手と光線の前に全滅してしまう。
円盤は石油タンクの上に降り立ち、ストローのような器官を出て石油を吸い上げ始める。
悪魔の惑星から来た恐るべき円盤生物アブソーバは、その巨大な触手で次々とそのエネルギー源を吸い上げていった。
エネルギーを補充し終わった円盤は再び暴れまわるのだった……。
美山家の自室に戻ってきたゲン達。
そこへいずみが呼びに来る。
いずみ「おおとりさん、トオルくん、ごはんよ……どうしたの?」
ゲンは地図の点を線でつなぐ。そしてある事に気づく。
ゲン「……やっぱりあそこか!」
いずみ「えっ?」
ゲン「今日円盤が出た場所は全部ここから同じ距離なんだ!」
トオル「ここは秀行君という子がいる所だよ」
ゲン「問題は奴の基地だ……」
トオル「おおとりさん!行こう!」
ゲン「行こう!」
二人は現場に向かおうとする。だが。
いずみ「待って!……危ないわ」
ゲン「しかし……」
いずみ「せめて明日の朝にして。何の用意も無く暗い所に行ったらどんな事になるか分からないわ」
トオル「だってもしその間にまた暴れだしたら……」
いずみ「暗くなってから円盤が出たというニュースはなくなったわ。お願い、危険な事しないで」
ゲン「………」
翌日の朝早く、ゲンとトオルはあの小屋の付近を調べに向かう。
トオル「あの子が来ないうちじゃないとうるさいしね」
ゲン「ああ……」
が、道の途中に鳴子が仕掛けてあった。侵入者に気づき、小屋から出てくる秀行。
秀行「コラー!入っちゃいけないって言ってあるだろ!?」
トオル「こんなに早くから……」
秀行「あのスズメ、とっても具合が悪いんだ。だから暗い時から看病してるんだ」
ゲン「秀行君、お兄ちゃんにこの辺を調べさせてくれないかな?」
秀行「ダメ!」
ゲン「昨日現れた円盤は、この辺に基地を持っているんだ」
トオル「あの小屋の中に隠れているのかもしれないよ?」
秀行「……そんなものいないよ!」
トオル「じゃあ調べさせてくれたっていいじゃないか」
秀行「ダメ!もし円盤生物がいても君達には渡さないよ!」
トオル「何だってぇ!?」
秀行「君達は何でもすぐ殺しちゃうからね」
トオル「怪しいぞー!君、あの中に何か隠してるんじゃないのかー!?」
秀行「いやしないよ!僕はあのスズメの看病で忙しいんだ!早く帰れ!」
トオル「何ぃーっ!?」
殴りかかろうとするトオルだったかゲンはそれを制する。
ゲン「トオル!」
トオル「おおとりさん……」
ゲン「分かった……帰るよ」
秀行は小屋に戻る。そこには円盤がいる。
秀行「大丈夫だよ。お前を決して渡すような事はしないからな。心配しなくていいよ」
ゲン達は帰ったとみせかけ、小屋をこっそりと覗く。
二人の目に映ったのは円盤生物!
トオル「おおとりさん!」
ゲン「……うん!」
小屋の中に突入する二人。秀行はとっさに円盤を隠す。
トオル「隠したってダメだ!見せろよ!」
秀行「やだっ!」
トオルと秀行はもみあいの喧嘩になる。
ゲンの制止の声も聞かずに暴れるが……秀行はある事に気づき止まる。
秀行「僕は負けたんじゃないぞ。僕が暴れると蛙が潰れちゃうから動かないんだ」
トオル「かえる〜?」
秀行「冬眠しているんだ」
ゲンは二人を仲裁して立たせる。
ゲン「秀行君、今、君は蛙が潰されちゃうと困るから君は暴れないと言ったね」
秀行「うん」
ゲン「秀行君、だったら怪獣や円盤生物だって同じじゃないかな。
怪獣や暴れるとその下で人間やたくさんの生き物が潰されちゃうんだよ?
……それとも、自分の国の生き物じゃなきゃ潰されちゃっても構わないのかい?」
首を横に振る秀行。
ゲン「そうじゃないだろう?だったら調べてもいいかい?」
秀行「………」
ゲン「頼むよ」
秀行「………殺さない?絶対殺さないって約束すれば見てもいいよ」
ゲン「……ああ、殺さないよ」
ゲンはそう言って円盤生物をダンボールの中から取り出そうとする。
が、円盤は青い毒ガスを振りまき部屋を飛び回る。
トオル「このぉっ!」
秀行「やめるんだっ!」
トオルは木の棒で叩き落そうとするが、それを秀行は止める。
しかし、トオルは円盤を叩き落した。そしてさらに叩きつける。
ゲン「トオル!やめるんだ!」
トオル「おおとりさん!放してよっ!」
円盤生物に対する恨みに燃えているトオルの目には他には何も映らない。
トオルはゲンをも振り払うと円盤を殺しにかかる。
だが、再び秀行はトオルを止める。
秀行「殺さないって言ったじゃないか!約束したじゃないかーっ!やめろぉー!やめてくれぇー!」
だが、円盤はその隙に高熱の火炎を放射して小屋を焼き払おうとする。
秀行「やめろ!やめるんだ!」
ゲン「秀行君!トオル!他の動物を逃がすんだ!」
動物達を逃がす三人だが、円盤生物が不気味な動向を見せる。
ゲン「……危なーいっ!逃げるんだ!」
ゲンは二人を小屋の外へ避難させる。
しかし、逃げる最中にトオルは鳴子につまづき、スズメの入ったかごを落としてしまう。
そして少し離れた場所へ避難した時、秀行はスズメに気づき取りに戻ろうとする。
秀行「あっ!スズメが!」
ゲン「秀行君、ダメだっ!」
秀行「嫌だ!行くんだーっ!」
二人がかりで秀行を止めに入っている時、小屋が大爆発を起こす!
そして火の海の中から巨大化した円盤生物が!
秀行「僕のスズメが……!僕のスズメが……!」
秀行はスズメのもとに走る!あと一歩で届きそうな所でゲンは秀行を止める事に成功した。
そう、円盤生物が火炎弾を発射してきたのだ!秀行の前で火に包まれるかごの中のスズメ!
秀行「ああ……!ちくしょお!僕のスズメを……!」
秀行は泣き叫びながら円盤生物に向かって石を投げつける!
円盤生物に対する怒りは誰にも負けないトオルも一緒になって石を投げる。
だが、円盤生物が二人に迫る!
ゲン「二人とも!逃げるんだ!」
秀行「おおとりさん!あいつをやっつけて!」
ゲン「危ないっ!逃げろーっ!」
円盤生物は地面に降り立って二人を触手で掴み取ってしまう。
ゲンは変身する。「レオォォォーーーッ!!!」
主題歌をBGMに登場すると触手を切り離すと二人を助け出す。
円盤はその隙に首に触手を巻きつけるのだが、レオはそれをも手で切り離してしまう。
そしてレオのレオキックが円盤生物に炸裂!
だが、何と言う事だろう!レオの必殺のレオキックを受けてもなお円盤は活動を止めないのだった。
炎を吹きながら近づき、レオの足を触手でからめて倒してしまう。
レオが危ない!レオはこのまま焼き殺されてしまうのか!?
だが、レオは何とか足の力で脱出するとレオキックの時と同じ箇所をタイマーショットで狙い打ち、倒すのだった。
美山家前、一同と手当てを受けた秀行。
トオル「秀行君、元気出せよ。君が悪いんじゃないよ」
いずみとゲンは元気付けようとカナリヤの入ったかごを持ってくる。
いずみ「ほら、可愛いカナリヤでしょ?これ、秀行君にあげるわ」
無言で首を横に振る秀行。
ゲン「可愛いだろー?ほら、こっちの方の名前……」
秀行は黙って歩きはじめる。ゲンは慌てて追う。
ゲン「秀行君……」
秀行「僕がやっつけてと言った。僕が殺したようなものだ」
ゲン「違うよ、秀行君……君が悪いんじゃない」
だが、秀行は首を横に振ると再び歩き始める。
いたたまれない気持ちのゲンに咲子が声をかける。
咲子「おおとりさん、一人にしてあげなさいよ」
ゲン「しかし……」
咲子「大丈夫よ。子供はね、あんな風にいくつもの障害を乗り越えてだんだん大人になっていくものなのよ」
ゲン「………」
秀行の後姿を見つめながら、ブラックスターの卑劣な行為を決して許してはいけない、などとゲンは思っているのだろうか。
指令「ブラックスターよ!次だ!ウルトラマンレオを倒せる円盤生物、デモスよぉーーー!」
また一つ、ブラックスターからの暗殺者デモスが地球に向かった。今やレオを助けてくれる者は誰もいない。