悪魔の星ブラックスターから地球を守るウルトラマンレオを倒すため、最大にして最強の円盤生物、ブラックエンドが地球に向かおうとしている。
だがそのことを、おおとりゲンはじめ誰一人、知る者はいなかった。ゲンの運命は、そしてウルトラマンレオの運命はどうなるのだろうか?
三人で墓参りに行った美山家の面々。ゲンとトオルは留守番だ。
部屋でトオルは百子とカオルの写真を見つめる。
トオル(百子姉さん……カオル……)
その時、突如激しい揺れがトオルを襲った。
トオル「地震だ!」
『本日午後1時16分頃、東京南部地区に局地的な地震が起こり、河川海洋工事現場で突然ビルが陥没してしまうという事件がありました。このところ、相次ぐ高層ビル建設のため、地下水脈が変わり、地盤沈下を引き起こした…』
ラジオを止めるトオル。
トオル「おおとりさん、海へ連れてってよ」
ゲン「何だよ、急に海だなんて」
トオル「だってさ、あゆみちゃん達はみんな楽しそうに出かけていったじゃない。僕達も行こうよ」
ゲン「みんなはね、亡くなったお父さんのお墓参りに行ったの」
トオル「だからさー、僕も行きたいんだよ。ねぇ、海へ連れてってよ」
ゲン「だけど、海とお墓とどういう関係があるんだ?」
トオルは百子とカオルの写真を持ってくる。
星空のバラードインストゥルメンタルが流れる。
トオル「百子姉さんはよく、僕とカオルと海に連れてってくれたんだ。伊豆半島の突先さ」
ゲン「……そうだったよな」
トオル「本当は百子姉さん、自分の生まれた黒潮島を見に行ってたんだけどね」
ゲン「だけど……伊豆半島から黒潮島は見えたっけ?」
トオル「百子姉さんにだけは見える、っていうんだよ」
ゲン「そうか……故郷(ふるさと)なんだな」
トオル「だから、百子姉さんに黒潮島を見せてあげようよ!」
ゲン「よし、行こう!」
二人は車に乗って海へと出発した。
トオル「車が多かったら、魚や虫なんて住めっこないよね」
ゲン「うん」
トオル「いいよなぁ…故郷のある人は」
ゲン「どうして?トオルは東京で生まれたんだろ?だったら故郷は東京さ」
トオル「そりゃあそうだけどさ。東京には山も海もないもん」
ゲン「そう言うけどね、お前たちのお父さんが小さい頃にはここらへんの川だって水が透き通るくらい綺麗だったし、魚もとれたんだぞ?」
トオル「本当?」
ゲン「ああ」
トオル「でも、今は違うもんなぁ」
突如、激しい揺れがゲン達を襲う。
ゲン「地震だ!」
丘の上のブラック指令。
指令「ブラックエンドよ!出て来るのだ!ウルトラマンレオを誘い出し、殺せぇっ!!!」
割れた地面の中からブラックエンドが出て来て、街を破壊する。
ゲン「くそぉっ!円盤生物だ!」
ブラックエンドは「レーオッ!レーオッ!」と聞こえる声を出し、暴れまわる。
ゲン(俺の名前を呼んでいる……まさか俺を狙って……)
ゲン「トオル!トオル、お前はここから一人で逃げろ」
トオル「嫌だ!」
ゲン「トオル!」
トオル「僕はおおとりさんと一緒じゃなきゃ嫌だよ!」
ゲン「何を言ってるんだ!ここは危険だ。お前は逃げなくちゃだめだ!」
トオル「あの円盤生物はレオを呼んでいるんだ!きっとレオが現れてみんなを助けてくれるよ!きっと大丈夫だよ」
ゲン「トオル……」
ゲン(トオルはレオがいつでも助けてくれると思っている…今、俺がレオになったらトオルは……)
そう思い、ゲンは首を振る。
丘の上のブラック指令。
指令「ええい!くそぉっ、ウルトラマンレオめ、姿を現せ!どうしても出て考えがある。ブラックエンド、戻れぇっ!」
ブラックエンドは地面に戻っていった。
ゲン「トオル、お前はお父さんがやられた時、カオルちゃん、百子さん、猛が死んだ時、自分で、仇を取ると言ったじゃないか!」
トオル「そりゃ言ったよ?言ったけどさ、やっぱりとてもかなわないよ」
ゲン「あの時、怪獣を憎んでくやしがって流した涙を忘れてしまったのか?え、トオル」
トオル「………」
一同は美山家に戻っていた。
咲子はいずみの手当てをしながら言う。
咲子「そうだったの、でも二人とも無事でよかったわねぇ。私達もね、お父さんのお墓で地震があったのよ、怖かったわ。だって、いずみが凄いハイヒールはいてるんだもの」
いずみ「でもさ、どうしてウルトラマンレオは現れなかったのかしら?」
あゆみ「レオ、レオって名前を呼んでたって言うじゃない」
ゲン「それ、どうして知ってるの?」
あゆみ「トオル君からきいたのよ」
トオル「とうとうレオは現れなかったんだ!レオはずるいよ!」
いずみ「だからトオル君とおおとりさんはレオと円盤生物の争いに巻き込まれたのよ。やっぱり、円盤生物はレオを狙ってこの地球にやって来るんだわ!」
あゆみ「そんなことないわよ、レオはいつだって私達を助けてくれてるのよ?そんな事聴いたらレオはきっと怒るわよ」
咲子「そうよ、きっと怒るよりも悲しがるわね。皆、勝手なことばかり言ってるから」
ゲン「………」
ゲン(確かにいずみさんの言うとおりなんだ。あの円盤生物はこの俺を狙ってやって来たんだ!この地球にレオがいなければその方がいいのかもしれない…)
真夜中、ゲンはうなされていた。
夕暮れの中で、レオはセブンと熱く手を握りかわす。
セブン「レオ、よくきけ。お前にとって最も大切な時がやってきたのだ。お前が愛する人間達の中で生きて行けるかどうかを決める時が来たんだ」
セブンは夕陽を指さす。
セブン「見たまえ!今沈んでいく夕日は私だ。そして明日昇る朝日は、お前だ!」
セブンはレオの肩に手を乗せる。
セブン「ブラック指令と最後の円盤生物ブラックエンドがこの地球にやって来ている。そして愛する地球のためにお前は戦い勝たねばならない。だが、お前自身が宇宙人ということを人間達に知らせてしまうことになる」
レオ「俺の正体が知られてしまう…」
セブン「そうだ、お前自身が本当に試される時が来たのだ!レオ、さらば!」
夕暮れの空に飛び立つセブン。
ゲン「セブン!!」
ベッドから飛び起きるゲン。部屋には朝日が差し込んでいる。
ゲン「……夢か」
ゲンは起きると百子とカオルと写真を手にとって見る。
ゲン(百子さん、カオルちゃん……もうこれ以上愛する人々を傷つけてはいけないよな)
ゲンは寝ているトオルの方を見る。
トオル「おおとりさん…」
トオルの寝言をきいて微笑むゲン。その顔に迷いはもうない。
河原。
ゲンとトオルは二人でジョギングをしていた。
ゲン「トオル!早く来るんだ!がんばれよ!」
トオル「…もっとゆっくり走ってよ…」
ゲン「ほら、どうした!?まだ半分しか走ってないぞ!」
トオルは地面にへたりこむ。
トオル「もうダメだよ。足が動かないよ。疲れちゃったよ…」
ゲン「何を言ってるんだ!?いつものお前らしくないぞ!」
トオル「少し休ませてよ…」
ゲン「……トオル、今日は練習中止だ」
トオル「本当?」
ゲン「そのかわりお前はこれから一人で海へ行くんだ」
トオル「えっ!?これから?だってまだ朝ごはんも食べてないんだよ」
ゲン「お腹のすいた時の辛さや自分の足で歩いて知らないところへ行く事がどんなに大変な事か自分で確かめるんだ。……いいかトオル、今の俺の気持ちはお前のお父さんと同じなんだ」
トオル「お父さんと?」
ゲン「そうだ、俺が今言った事はお父さんがお前をスポーツセンターに入れた理由と同じなんだ。俺はお前に強くなってほしいからそう言ってるんだよ、分かるか?」
トオル「おおとりさん!じゃ、僕これから海に行ってくるよ!」
ゲン「うん!」
トオル「じゃ!」
走り出すトオル。
ゲン「おい、トオル!ちょっと待てよ!お金が全然なかったら困るだろ?」
トオル「そうだった」
そんな二人の様子をブラック指令が背後から見ていた。
指令「やっとチャンスが来たぞ!ブラックエンド、行けぇっ!!!」
地割れからブラックエンド、再び登場。
逃げる人々に混じってあゆみとその友達たちがいた。
あゆみ「円盤生物だわ!おおとりさんとトオル君、大丈夫かしら?」
子供の一人「行ってみよう!」
子供達「うん!」
ゲン達を狙ってブラックエンドは炎を吐く。
ゲン「トオル、危ない!逃げるんだ!」
トオル「うん!」
二人は走り出す。
ゲン「トオル!トオル危ないぞ!気をつけろ」
だが、逃げる最中にトオルが転んでしまう。
ゲン「トオル、立つんだ!自分の力で立つんだ!トオル!」
何とかトオルは立ち上がる。しかし、周りはもう火の海だった。
トオル「おおとりさん…」
ゲン「トオル、よく頑張った!」
トオル「僕……僕もうこれ以上…」
ゲン「いいんだトオル、えらいぞ!」
笑いあう二人。
やがてゲンが口を開いた。
ゲン「トオル、よくきけ。俺は、本当はウルトラマンレオなんだ!」
トオル「ええっ!?本当に?」
ゲン「うん。ほら、これがレオの印だ」
そう言ってゲンは指にはめられたレオリングを見せる。ブラックエンドがゲン達に迫る!
トオル「いいかトオル!よく見てろ!レオォォォォーッ!!!」
ゲンはトオルの前でレオに変身する!
主題歌をバックに登場したレオはしっぽを掴む。
トオル「がんばれー!」
ブラックエンドの背中からツノが生えてきてレオを刺す!
炎をよけたレオはツノを折り、ブラックエンドに向かって投げつける!口の中に命中!
その様子を見ていたブラック指令。
指令「ブラックエンドめ!何をしているのだ!とああっ!!!」
火の手の回っていない工事現場まで来たトオル。
トオル「レオーーっ!!がんばれー!」
その時、背後からブラック指令が襲い掛かる!
トオル「うわぁっ!離せっ!」
指令「レオ!見るがいい!フハハハハハ!!」
ブラック指令はサーベルをトオルの喉もとに突きつける。
トオルを人質に取られたレオは思う通りに戦えない。
一方的にやられ続け、とうとうカラータイマーが赤く点滅を始めた。
指令「どうだレオ!」
トオル「レオー!おおとりさーん!がんばれー!」
指令「黙れ!!」
その時、苦しさのあまり遠のくレオの意識の中に雄雄しくも戦った在りし日の思い出が浮かんでくるのであった……。
赤い球となって飛んでくるレオ。ブラックギラスとレッドギラスとの対決。
かつてのペットだったロンとの対決。
得体の知れない通り魔、ケットル星人との対決。
団地を襲った恐ろしい悪魔、アクマニア星人との対決。
月からの使者、キララとの対決。
MACとスポーツセンターの仲間の命を奪ったシルバーブルーメとの対決。
そして、ウルトラセブン。
セブン「レオ!今こそお前の力を発揮する時だ!」
あゆみとその友達たちはブラック指令とトオルを見つけ出した。
あゆみ「あいつが円盤生物を操っているんだわ!」
子供たちは物陰からその様子を伺う。その時、トオルがブラック指令の腕に噛み付く!
指令「フハハハハ!…うわぁっ!くそぅっ!」
それを合図に子供たちはいっせいにブラック指令に襲い掛かる!
前主題歌インストゥルメンタルをバックに押し倒されるブラック指令。脱出するトオル。
子供「おい!玉を奪え!」
子供「玉を取るんだ!」
あゆみが指令の手に噛み付く。
指令「うわああああっ!」
その隙にトオルが水晶玉を奪う。
トオル「レオー!」
そしてレオの元にそれを投げて渡す。ブラック指令は苦しそうにうめく。
指令「玉を返せぇぇっ!!」
玉を手に取るレオ。
倒れているレオに突進してくるブラックエンド。それを間一髪かわして立ち上がるレオ!
ブラックエンドは地面にぶつかり残った角も折れてしまう。
レオは水晶玉に赤いエネルギーを込めて投げつける!
大爆発を起こすブラックエンド!
一方、水晶玉を失ったブラック指令も溶けて泡となっていった。
トオル「溶けていくぞ」
その時、空からブラックスターが地球に向かって飛んできた!
レオはそれを仲間を失った悲しみや怒り全てを込めた渾身のシューティングビームで迎え撃つ!
ブラックスターは火花を噴いて跡形もなく粉砕!!!
トオル達はレオに向かって手を振る。
「レオー!ウルトラマンレオーっ!」
レオは嬉しかった。トオルやトオルの友達がこんなに勇気があり、こんなに素晴らしい力を持っていてくれた事が。これで心置きなくレオの任務から離れる事が出来る。
美山家。
桜が舞い散る中、ゲンは旅立つ。
あゆみ「本当に行ってしまうの?」
ゲン「うん」
咲子「おおとりさん。私達はね、もしも、もしもよ?あなたが他の星の人でもちっとも気にしてないのよ」
いずみ「私の知っているおおとりさんは宇宙人なんかじゃないわ。私達と同じ血が流れている人間よ」
ゲン「ありがとう、僕にとってその言葉は一生忘れる事が出来ません。やっと今、この地球が僕の故郷になったのです。だから青い空と青い海のある故郷をこの目で見て、この手で確かめたいんです」
レオリングを外して拳を握ってみせるゲン。
トオル「必ず帰ってきてね」
微笑むゲン。
ゲン「じゃ」
歩き出すゲン、振り返ってみんなに手を振る。
咲子「気をつけてねー」
ゲンは再び歩き出し、角を曲がってその姿が見えなくなる。
トオル「おおとりさーーーん!!!」
突然、走り出すトオル。
星空のバラード(Vo有り)が流れる。
あゆみ「トオル君!」
走り続けるトオル。日が暮れる頃、トオルは海へとたどり着いていた。
トオルは見た、夕焼けの中、地平線に向かって進むひとつのヨットを。
トオル「おおとりさーん!おおとりさーん!」
トオルはヨットに向かって大きく手を振る。ヨットにはゲンの姿が。
ゲン「トオルー!」
トオル「おおとりさーん!必ず帰って来てねーー!おおとりさーん!」
ゲン「さようならーーー!」
トオルは泣きながら笑っていた。トオルの見守る中、ゲンのヨットは夕日に消えてゆく……
ウルトラマンレオ・完