報道

東京新聞 2003年2月6日 朝刊

自殺女子大生の両親が医師提訴
「精神療法が不適切」

 元早稲田大生の長女=当時(二七)=が自殺したのは不適切な精神療法を受けたのが原因だとして、川崎市中原区の両親が五日、東京都内の市立病院に勤める元担当医(四三)に約八千四百万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。

 訴えによると、長女は失恋から睡眠障害などの症状を訴え、在学中の一九九五年三月に私大病院に入院した。

 当時、同病院の精神科に勤務していた担当医はカウンセリング的な精神療法を行い、長女は退院したが、その後の通院治療中に三度の自殺未遂を行い、二〇〇〇年五月に自殺した。

 両親側は「元担当医は自ら恋人役を演じ、患者が医師に恋愛感情を抱く『転移』を長女に生じさせ、依存関係を作っておきながら、あらためて医師と患者の関係を確立せず、漫然と面接を続けたため、自殺の原因となった」と主張している。



産経新聞 2003年2月6日朝刊

「娘自殺は医師の責任」
精神療法めぐり両親、賠償求め訴え

 「娘が自殺したのは不適切な精神療法を行った医師の責任」として三年前に二十七歳で自殺した無職女性の両親=川崎市=が五日、主治医だった男性医師(四三)を相手に、約八千三百万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。

 原告側の弁護士によると、精神療法の過誤を問う訴訟は初めてという。

  訴えによると、女性は大学生だった平成六年から鬱症状を訴え、翌年都内の病院に入院。当時勤務していた精神科の男性医師の治療を受けた。しかし男性医師は途中から「私が娘さんの恋人役をやる」とする治療方針の精神療法を実施。この結果、患者と医師の関係を逸脱した状態になっていったという。女性は退院後も男性医師の精神療法を受けていたが、自殺未遂を三度起こし、十二年五月に自殺した。

  原告側は「医師は『恋人役』というわけのわからない治療で娘を自分に依存させ、病を悪化させた。その態度や言葉が自殺のきっかけになっており、医師には責任がある」と主張している。

 医師の話
「認識の違いについては今後、法的枠組の中で明らかになると思っています」

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